大同大学-高森裁判 経過ブログ

「ペンネーム使えますか?」
問い合わせただけで契約を解除された高森が、支援者とともに裁判を闘うドキュメンタリー。

レアケース

2009-04-28 22:14:24 | その他
 このごろいろいろな労働組合を回っています。
 ご支援をいただきたいという訴えをしているわけです。

 そのなかでいろいろな労働組合で言われるのが、「う~ん、難しいなあ。こんなケース見たことないですよ」というものです。
 なんで見たことないのか、というと、誰も訴えたことがないからです。
 しかし、mixiやなんかで聞いてみると、2月になって突然断られたという話は、決して珍しいものではありません。そうすると、授業のためにしたせっかくの準備は無駄になり、一年間空けておいた時間をもてあまし、収入が減るという、一年の計画がすべて壊れてしまう事態に遭遇してしまうわけです。
 それだけの不利益に会いながら、なぜみんな黙っているのか?
 
 まず第一に、どこかの大学で争いごとを起こすと、その主張がどれだけ正当なものであっても、「危険人物」と目されてしまうということです。大学の専業非常勤の人たちは、大学の専任教員になりたい人たちなので、そのキャリア設計に暗雲が垂れ込めることになります。なんと、これは地労委のあっせんの場で、労働者の権利を守る役目の労働者委員にも、心配されてしまったことです。
 次に、大学非常勤講師のお仕事だけをしていると、収入が大変少ない。週1コマの授業を一年間受け持つと、だいたい30万円程度。10コマもったとしても300万円です。もちろん10コマも受け持っている人はそういません。裁判をすると少なくとも60万円~70万円はかかるので、それを負担できません。もちろん、カンパを集めるにしても、最終的にいくら集まるのかは分からないので、ある程度の負担は覚悟しなければなりません。
 さらに、裁判を起こして自分が得られる利得が極めて少ないということです。裁判に勝って1年分の講師料を取り戻したところで、30万円ですから赤字決定です。慰謝料を請求するにしても、それがいくらになるかというのは未定ですから、それほど期待するわけにはいきません。

 このようなさまざまな理由があり、大学が約束を破って雇用をしなかったとしても申し立てられない現状があるのです。しかし、そういう弱みを握られていて、好きなようにさせていると、状況はさらに悪化していきます。「なにやったってどうせ何もいえないだろう?」という大学の横暴をどこかで歯止めをかける必要がある。今回の提訴はそういう闘いの第一歩です。

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すべての闘うものたちへ、『MILK』(ガス・ヴァン・サント監督)を見よ。

2009-04-26 21:53:39 | その他
 私は映画の宣伝で、「同性愛ではない。これは普遍的な愛の物語である」という決まり文句を見るたびに、白々しい気分になる。
 サンフランシスコ市政委員のハーヴェイ・ミルクは同性愛者のために戦い抜き、同性愛者の市民権のために殉職した。普通の会社員だった彼が、パートナーとの関係をよりよいものにするためにサンフランシスコにやってきた。やがて、カメラ店を開くが、ミルクがそこでしいたげられて暮らしている人たちをなんとかしようと政治に目覚めていくにしたがって、そこは街の若者たちのたまり場になり、同性愛者のコミュニティを中心とする商工会を作って活動をはじめていく。市政委員などの公職を求めて何度も立候補するも、どうしても届かない。しかし、ついに市政委員に当選。同性愛者の権利獲得のために東奔西走する。

 監督はガス・ヴァン・サント。『グッドウィル・ハンティング』や『小説家を見つけたら』のようなハリウッド的な佳作を作る一方で、『JERRY』『エレファント』『ラストデイズ』のような一般受けしにくい映画を作ってきた(『エレファント』はカンヌでパルムドールと監督賞を同時受賞した)。自身がカミングアウトした同性愛者で、初期には『マイ・プライベート・アイダホ』のようなゲイ・ムービーも撮っている。
 人物描写が巧みで、実験的な作品と興行向きの作品の両者を行き来しながら撮影し、自身の映画語法を確立してきた。
 『MILK』もハーヴェイ・ミルクを虚飾なく描く。いきなり地下鉄の階段ですれ違った男を口説きだすのだから、今の日本ですら「家族秩序を壊す」と言い出す人も現れそうだ。しかし、彼のチャーミングさ、物腰の柔らかさと機転のよさとあまり両立しそうにない信念の強さを描き出すことで、そんなことが政治家にとって本質的ではないことが分かる。
 ハーヴェイ・ミルクの人物像を、これまでいくつかの実験的な作品で磨き上げてきた映画文法を駆使して描き出していく。ロブ・エプスタインの『ハーヴェイ・ミルク』から引用した当時のドキュメンタリーの8mmフィルムも効果的にさしはさまれる。そのなかで、時代の象徴として時代のうねりの中で走り続けることを余儀なくされる。その中で、苦しみも悲しみも途方もないレベルで起こり続ける。

 権利を求めるということが、これほどの覚悟と痛みを必要とするのか、ということがヒシヒシと伝わってくる。

 その意味で、この映画はある意味では闘う人の普遍的な真理を語っていると思います。同性愛の問題は、黒人よりも女性問題よりも遅れてきた権利運動であったために、同性愛者であるガス・ヴァン・サント監督にとってもリアルな経験として共有されている。ドキュメンタリー映像もある。そのためにリアルな物語として権利獲得のプロセスを描くことができました。その意味で「これは普遍的な物語」にまで昇華されている。

 私は、そこまで厳しい闘いをしているわけではありませんが、それでもやるからには腹を括らないといけないなと思いました。
 権利を獲得するのは楽じゃないな~。単にごり押しでも、理念でもダメ。現実との折り合いをつけながら、少しずつ前進するしかありませんね。

 みなさんも、是非、ご覧になってみてください。

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オルグキャラバン①(金山コース)

2009-04-26 14:28:23 | オルグ活動記
腹が減っては戦ができぬ、金がなくては裁判できぬ、支援なくては勝てません。

そんなわけで、いま、さまざまな労働組合にご挨拶をしてまわっています。
東海圏非常勤講師組合は新設の弱小組合で金もなければ組織力もない。
ここだけで闘えるようなものではありません。
ですので、1つでも多くの労働組合にご支援をいただいて、闘うしかありません。

先日、愛知県労働組合総連合(愛労連)などが入っているビルにいき、宣伝資材を渡してオルグ要請をしてきました。

私たちの訴えを真摯に聞いて、共感してくれるのは、やはり非正規雇用の問題を扱っている組合の方々でした。

全労連全国一般
では、会社が就業規則を見せてくれないというので、新たに労働組合を作ろうとしている人たちが来て、相談をしているさなかに飛び込みました。非正規の扱いが本当にひどいことを話してくださいました。

JMIUでは、『高学歴ワーキングプア』の話をして、そうした現状と自分たちが抱えている非正規の問題を重ね合わせて応援のお言葉とカンパをいただきました。

ほかにも、いくつかの労働組合を回り、支援を要請しました。
非正規の問題をあまり扱っていない組合は、まだ問題がどこにあるのかが理解できないところもあるようで、こちらとしても説明するための言葉を洗練させていく必要を感じました。

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なぜ支援が必要なのか?①

2009-04-25 00:20:06 | その他
 こうして、ブログで支援を訴えているのはなぜなんでしょうか?

 よくある誤解としては、「裁判官は私情をさしはさまず誰の目にも明らかな判断をする」というものです。
 法律は、現実に起こるすべてのことを書いてある、神のご託宣ではありません。あくまでもそれまでの現実をある程度反映しながら、人間という限られた想像力の存在が作ったものです。したがって、法律は必ずしもどんな現実でも記述するわけではありませんし、同じ言葉でも多様な解釈の余地があります。その解釈いかんによっては、法律はこちらに有利にも、あちらに有利にもなりえるわけです。
 「誰の目にも明らかな判断」ができるのなら、裁判官なんてものはいらないわけです。どんな事態でもおのずと白黒ついている。

 なぜ裁判をしなければならないかというと、ある法律の文言をある事態にあてはめてこちらは相手が不当だと考えるし、相手はこちらが不当だと主張する。純粋法理的には決まらないからこそ、そこを裁判官に決めてもらう必要がでてくるわけです。
 今回の問題も、わたしは大同大学が不当な解雇をしたと思っているし、弁護士さんも法律的にも大同大学のやり方には問題があると考えて弁護してくださっています。しかし、大同側は契約成立には至っていないという主張をしている。
 私たち非常勤講師あるいは非正規雇用の人たちが不当な扱いを受けないよう、公正な判決を得るためには純粋法理に任せているだけでは、十分ではありません。もちろん論理的な研究は必要ですが、社会が何を望んでいるのかということを形にして裁判官に示さなければなりません。
 そのために、支援の輪を広げ、裁判傍聴を組織し、署名を集める必要があるのです。

 大学が内定契約成立後にクビを切ったり、直前になってコマを減らしたりという非常勤講師に対してあまりにも厳しい労働条件を押し付ける現状にノーを突きつけましょう。そのために、是非、支援をお願いします。


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公判への多数の傍聴と裁判費用カンパのお願い

2009-04-22 02:00:19 | 支援者からのコメント
公判への多数の傍聴と裁判費用カンパのお願い
東海圏大学非常勤講師組合執行委員長 光沢 隆

 授業1コマ(週にひとつの授業)の契約解除に対して裁判を起こそうと思う人は、多くないと思います。もちろん非常勤講師にとっては、授業1コマといえども重要な収入源であり、大切な仕事ですが、1コマのために裁判をするのはかえって大変だ、と思うかもしれません。高森さんが裁判を起こそうと思ったのは、自分自身の生活のためでもありますが、それ以上に、非常勤講師全体の待遇改善を考えてのことです。ペンネームの使用をたずねた、というような理由だけで雇用契約を解除するような行為は今後繰り返されるべきではない、このような大学の対応をこのまま放置してしまえば、非常勤講師の雇用はますます不安定なものになってしまう、との思いから裁判に踏み切ることを決意されました。それゆえ、高森さんの闘いは、われわれ非常勤講師全体の闘いとも言えます。
 東海圏大学非常勤講師組合は、全面的に高森さんを支援します。そして、みなさまからも支援(カンパ、励ましの言葉など)をいただけましたら、うれしく思います。

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