やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

一人旅はいいもんだ

2007年08月28日 00時36分44秒 | Weblog
いく姫からメールが入りました。
なんと京都にいるそうです。
8月いっぱいで退職ですが、有給消化で今はお休み中。
せっかくの休みなので念願の一人旅に出かけたそうです。
京都、大阪を巡る旅。しかし訪れるのは修学旅行以来ということなので、関西は多少詳しい私がスケジュール表をつくりました。
ちょっと厳しいスケジュールですが果たして全部まわれることはできるのでしょうか。

報告が楽しみです。

上野公園にある「奏楽堂」に行ってきました

2007年08月27日 02時05分23秒 | 建築の歩き方

まだまだ暑いですが、今日は日曜日。週に一度の休み
家にこもって涼んでる訳にはいきません。

という訳で、今日は上野にある「奏楽堂」へ行ってきました。
この建物は東京音楽学校(現 東京芸術大学)の校舎であった建物で明治23年に建てられました。
その後老朽化が進み、愛知県の明治村へ移築される予定でしたが方々の嘆願が実り、上野公園内に規模を小さくして移築されました。
創建時は、両翼がもっと長かったようです。


         奏楽堂外観

この建物、ただの古い建物だけでなく2階中央には音楽ホールがあります。
かつては滝廉太郎、山田耕筰を始め、日本の音楽史を飾る蒼々たる先生方が演奏を行った場でもあります。


           ホール内部

音楽学校らしく、舞台正面にはイギリス製のパイプオルガンが楽器でもあり、装飾でもあるように存在してます。


         パイプオルガン

そんな由緒正しきホールで、第二、第四日曜日にはパイプオルガンの演奏があると聞いて今日はやってきました。
このパイプオルガンは日本最古、しかも1379本のパイプを使って音をだしているそうです。
やさしいやわらかい音でありながらもズッシリとした重厚さがありますな。

コンサート用のホールということで音響効果についても配慮がなされてます。
特に印象的だったのは、創建当時は音を吸収させるため、壁の内側にワラやおがくずを詰めていたそうです。今はどうなっているのかはわかりませんが・・・

         当時の壁の模型
柱の間にワラやおがくずが詰められ壁板でふさがれている

この奏楽堂に限りませんが、古い建物の階段を踏む時の「ミシッ、ミシッ」という木のきしむ音。なんか好きですね。


フランスリポート4日目はまだ作成中です。




夏はやっぱりビール!!やま建はフランスリポート3日目。ロンシャンの巻

2007年08月22日 01時56分29秒 | フランスリポート

昨日の話ですが仕事終わりにミキティといく姫とで飲みに行きました。
酒の肴はもっぱら思い出話。
なぜなら以前書いたとおり、いく姫は8月いっぱいで退職なんです。しかも出社は今週の水曜日まで。
さびしくなりますな。
いく姫と私はほぼ同じ時期に入りました。今年で5年目です
ミキティはずっと先輩ですが、何度かの電撃退社そして奇跡の復活をとげて今はお局いや女帝!?といったところでしょうか。
五年のうちには、もうやめてしまった人もいますが風の便りで聞くところ、みんなそれぞれ別の生活を精一杯過ごしているようです。
笑いあり、怒りありといろいろありましたが、人生の中の一時期を一緒に過ごせてよかったなと思ってます。
特にミキティ、いく姫とは最も長く、最も親しく時を共有できました。
なので、最後の挨拶は「さようなら」ではなく「ありがとう、また今度」ですね


さてさて、やま建 フランスリポート3日目です。(2007年7月5日)

今日はパリから離れ、建築界の巨匠ル・コルビュジエ氏設計の「ロンシャンの礼拝堂」を訪れました。
建築を学んだ人や、そうでなくても写真で見たことがあるという人も多いと思います。
場所はフランス東部のブルゴーニュ地方、スイスとの国境に程近い所です。



パリ東駅から急行に乗って約4時間。長い旅ですが車窓もまた見るべき観光スポットです。

パリ市内から一時間も走ると広大な畑や牧場、草原が広がります。まるで北海道のような光景です。


        列車からの車窓  

牛がたわむれ、石造りの民家や教会がある風景が流れていきます。
都心からそんなに離れてないのに自然が豊富にあることに驚きでした。
前日訪れたヴェルサイユ宮殿に代表されるフランス式庭園は、整いすぎて自然を作り変えるような横柄さがありましたが、一般的には自然と共存する生活を大切にしているように感じました。


     列車からの車窓 その2

日本と比べると国土は約1.5倍、人口は約半分。人口密度は約3/10と低い上、平野が多く土地が利用しやすいこともこのような風景を作り出している一因ではないでしょうか。
フランスは先進国でありながらも農業大国。まさに実感しました。

乗り換えのため、ルール駅で下車。各駅停車でロンシャンという最寄の駅へ向かいます。

           ロンシャン駅

ちなみに車窓から一瞬、山の上に建つ礼拝堂が見えます。

ロンシャン駅からは、約2km。
羊飼いのおじさんや庭を手入れ中のおばあさんに道を聞き、本当にこの道で合っているのか不安をおぼえつつ、雨のなか道なき道を登っていくとなんとか頂上の広場にたどり着くことができました。

      こんな山道を登っていくのだ

受付を済ませ、階段を登っていくと雑誌や本でしか見ることのできなかたロンシャンの礼拝堂がついに姿を現しました。


        ロンシャンの礼拝堂

初めて目にする印象は「これが建築?これが教会?」でした。
なぜなら曲線や曲面でできている粘土細工のようだからです。

大きな彫刻作品という事で、岡本太郎の「太陽の塔」を思い出しましたが、目の前のこの建物は彫刻作品でありながら、教会という用途を兼ねています。

屋根はカニの甲羅をイメージしたものだと本で読んだことがあったのですが、私には来る途中の山道でみた大きな「ナメクジ」、はたまたエスカルゴの「かたつむり」のように見えました。


     正面はナメクジ?カタツムリ??

外壁はでこぼこの表面に白の塗装。不規則な並びと不統一な大きさの窓が表面を穿ってます。


    左面      正面      右面

この窓こそ幾多の建築書を飾る写真となった、幻想的な採光を室内にもたらす仕掛けです。
室内からみると窓の奥行きが深いので光が弱められて入ってきます。
壁と天井の間にはすき間があり、外からの光がもれてくるので天井が浮いているように見えます。


            内部の窓


     壁と天井の間にはすきまがある   


           後ろの部分

例えになるかわかりませんが、沈没寸前の船の窓やドアから水がもれてくるイメージ。
しかも暗い室内に勢いよく光が流れこんできています。
水を光に置き換えるとタイタニックの映画さながらです!?


使われているガラスも部分的に色がつけられていたり、コルビュジエ直筆のイラストが描かれていたりと、伝統的な教会のステンドグラスとは一味違います。


       手作り感ただよう窓 


    独特のオリジナルステンドグラス

この建物の窓は
光を取り入れるものでなく、光をもらすことを目的にしているのではないでしょうか。

山の上に建っているので、雨なのにいい眺めです。

来るときはなんとかたどり着けたのですが帰りが心配です。
山道を戻ることもなんだか憂鬱です。
ロンシャン駅に止まる列車は少ないので、時刻表はないかと受付のおばさんに聞いたところ、どのように通じたのか配達で来ていた業者さんや車で来ている観光客に駅まで乗せていってくれる人がいないか探しまわってくれました。
ところが同じ方面の人がいなかったようで、代わりにタクシーを手配してくれました。

とてもいい人でフランスにきて初めて感じた人のあたたかさでした。


パリに戻ったのは8時頃。そのまま凱旋門まで行きました。

凱旋門といってもパリには何個かあります。
そのなかで訪れたのは、誰もが思い浮かべる一番有名な凱旋門。シャンゼリゼ通りの始点に位置しているエトワールの凱旋門です。

       エトワールの凱旋門

近くでみるとなかなかでかいです。それもそのはず高さ50mで世界最大。
中の階段を登って屋上まで行くことができます。

屋上から見ると凱旋門を中心として放射状に道路が広がり、道路を軸として街並みも幾何学模様に配置されています。
個々の建物も高さ、壁面もそろっている徹底さ。


        凱旋門屋上からの眺め

シャンゼリゼ通りは凱旋門を貫き、ラ・デファンスの新凱旋門まで一直線に伸びています。


   中央の白く光っているのが新凱旋門

まさにスッキリ明解!!
ヴェルサイユ宮殿の庭もそうでしたが、フランスは整然と形造られたある意味強引な風景を目標においている気がします。

あいにくの天気だったのですが、雨にかすむ夜景はとても幻想的でした。


        エッフェル塔を望む

次は4日目です。







帰省してました。金閣寺にも行ってきました。

2007年08月16日 01時00分41秒 | 建築の歩き方

ご無沙汰してます。
8/9~13まで大阪の実家へ帰省してました。
いつもは新幹線で帰ることが多いのですが、この間のフランス遠征で貯金を使い果たしてしまったので久しぶりに夜行バスでの帰省となりました。
行き帰り共、夜12時頃に出発して朝8時頃に到着です。寝苦しいですが、欧州行きのエコノミーよりかましですね。

行きは経由地の京都で下車、金閣へ向かいました。
何年か前にも訪れたのですが今回訪れた訳は、この間読み終えた三島由紀夫の小説「金閣寺」の影響です。
金閣のある鹿苑寺に籍を置く僧が、放火を決心するに至るまでの半生を描いた物語ですが、話の端々に作者や登場人物による金閣の表現方法が書かれているので前回とは違った見方で見れるのではないかと思って再び訪れました。


                    鹿苑寺金閣

1階は寝殿造り、2階は書院造、3階は禅宗様と異なった様式で組み合わされている金閣は「不安が建てた建築」「不安を結晶させる様式」と小説では表現されています。

そのあたりを見極めれるのではないかと意気揚々と見ていたのですが、庭園にとけ込む金閣は不安どころか「華麗なる調和」を感じさせられました。
実によく日本的な風景をつくっています。



他の観光客からは「悪趣味の極み」「カッコいいからいいじゃん」といった声も聞こえてきましたが・・・
ま、鋭い感覚を持つ作家の感性には凡人はなかなかたどり着けませんね。

さてさて、今回京都では大徳寺、修学院離宮も訪れたのですがその報告はまた今度にします。

建築とは離れますが、今回の帰省では久々に大学時代の友人、伯爵氏と鬼氏に会いました。

少し変わった名ですがそれもそのはず芸名なんです。
私は学生時代、落語研究会に入ってました。
そこでは一年生のときに先輩から芸名をもらい、以後はその名前で呼び合います。
○○亭△△、○○屋△△などなどプロの落語家さながらです。

伯爵氏はサラリーマン。現在中国語を勉強中で明日から中国に旅行に行くとのことでした。
かれこれ訪中は10回以上、中国語も達者で日常会話には事欠かないそうです。
忙しい仕事の合間を縫っての自己研磨。
なかなか刺激になりますな。

鬼氏は司法書士を目指しての浪人中。
山あり谷ありの人生ですが、今は谷底!?
酒を飲み飲み語り合いましたが話の結論、やはり女は怖いですな。


そんなこんなの夏季休暇。京都も暑かったが東京も暑い。
明日からは仕事が始まります。
ではでは




磯崎 新 先生の講演会に行ってきたぞーい!!

2007年08月03日 08時14分05秒 | Weblog

最近夜、眠たくなるのでブログの更新もさぼりがちです。
そんな訳でちょっと前の話になりますが・・・

7/29の日曜日、建築家 磯崎 新 氏による講演会「ル・コルビュジェとは誰か」に参加するため六本木ヒルズへ行ってきました。
実際に見る磯崎先生の印象は、年を召されていて声や見た目からも「おじいちゃん」といった感じです。
自著にのっている顔写真は若々しいですけどね。

内容は磯崎先生独特の解釈でコルビュジェを分析、作品誕生の裏に迫る!といったもです。
そのなかで、印象深かった話といえば・・・

●コルビュジェはパルテノン神殿を立方体として見ている。パルテノン神殿は建築物ではなく絶対的な支配者(王)とみなしている。


コルビジェは絵画を数多く描いてきました。ビンや果物といった静物からピカソのような抽象画などもあります。
●その絵画をとおしてコルビュジェは空間の流れ方、モノの重なりといった重層性を学んでいった。


コルビュジェは「ラ・トゥーレットの修道院」の設計を依頼されたとき、依頼主の神父から「ル・トロネ」の修道院を見てくるよう指示されたそうです。見た時の感想がメモとして残っています。その内容の核心は・・・
●10%の光。
わずかに差し込む光をこのように表現してラ・トゥーレットの設計に取り入れた。

などなどです。

公演後、同じ六本木ヒルズで開催中のコルビュジェ展に行ってみると建築だけでなく生涯にわたって絵画や彫刻にも打ち込んだ創作活動の範囲の広さに驚かされました。
都市計画などスケールの大きいものから家具や車のデザインまで手がけたコルビュジェは建築家という枠ではなく、アートディレクターといった表現の方が適しているかもしれません。
今でいうところの佐藤可士和さんですかね?

フランスリポート3日目はまだ作成中です。