やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

国産材でつくる「木造住宅のススメ」 後編です。

2008年08月24日 01時54分52秒 | レポート

国産材で造る「木造住宅のススメ」 後編です。


木材がつくる優れた環境とは健康・快適・安全です。

健康について
アレルギー性皮膚炎やぜんそくの原因ともなるダニ類。
木を床材として使用すると含有成分によりダニを寄せつけず、調湿効果により適度な乾燥状態を保てるため、繁殖を抑えることができます。
また冬の乾燥時は、木から湿気が放出されるため室内が乾燥し過ぎず、風邪やインフルエンザの予防にも効果的です。



快適について
現在、全国的に学校の校舎を木造、机や椅子、内装に木材を導入する動きが進んでいますが、木の持つあたたかさ、落ち着き、やさしさが生徒や先生の気持ちを安定させるという調査結果(日本住宅・木材技術センター)も出ています。


また、森林浴によるすがすがしさと癒し効果は、木に含まれているフィトンチッドという芳香物質の働きです。心と体をリフレッシュさせるだけでなく肝機能の改善や快適な睡眠をもたらすことも知られています。
木で造られた家は、森林の疑似体験空間としての役割のほか、機能的にも熱を通しにくく、寒さや暑さから室内環境を保護します。
冬の冷え込みが少なく、触れたときのぬくもりを感じるのは木材だけです。

安全について
木は燃えやすいというイメージがありますが、たとえ火にさらされても表面が炭化する事で芯まで火がとおりにくく、急激な強度の低下は防げます。
一方、一見燃えにくそうな鉄骨は、加熱されると強度が一気に低下し、崩壊に至ってしまいます。



内装材としては、木の階段や廊下は柔らかいので転倒してもケガが小さく済みます。
さらには木は適度に音を吸収するので疲れにくいという長所もあります。



         木造工事現場

以上長々木造建築の魅力と長所について述べてきましたが、もちろん弱点もありますし、木造に限らずどの建築工法についても一長一短はあります。
でも欠点を補っても余りあるくらいのよさが木造建築にあるのではないでしょうか。

最後に木造住宅が他の工法より圧倒的に優れているところを紹介させて下さい。
それは地方の活性化、日本の国土保全、ひいては地球環境保護にも貢献できるところです。

木材の生産過程や製造過程のエネルギー消費量は他の工法と比べても格段に低く、廃材となっても処分が容易です。



さらには地方の木材産地の豊富な国産材を使用することで、輸送にかかるエネルギーも省けますし、発展途上国における違法伐採を防止することにもつながります。
計画的な植林、伐採を繰り返すことで木は無限の材料となり、無限に二酸化炭素を吸収して、無限に酸素を生産し続け、永代にわたって国土を保全し続けます。

日本人と共に歩んできた木の文化を見直し、そして美しい国土を未来へつなげるためにも今一度、木を活用する方法を考えてみませんか。


・・・以上、長々と失礼致しました。
最後まで読んで頂けた方、ありがとうございます。

「国産材で造る木造住宅」私が今、携わっている家造りです。
自分が売っているものに誇りが持てるか?
住む人、建てる人だけでなく社会に対して何らかの役に立っているのか?

そんな疑問に自ら答えを出すため、そして迷わず自信をもって勧められるよう「木造住宅のススメ」、まとめてみました。

ご意見などありましたら投稿お願いします。

   


国産材で造る「木造住宅のススメ」前編。

2008年08月23日 02時20分47秒 | レポート

私が住宅営業の道に入ってから早10ヵ月となりました。
当時はまだフリーター。先行き不透明な身の上。

参考 http://blog.goo.ne.jp/ko-yama/c/a1284a7b8adee975fc1f1dc08bdbc747

「拾ってくれるところがあればどこでもええわ!」とばかりにまず練習がてら受けてみようと思った会社が今の会社。
資格も取ったので、なんとか設計職にもぐり込もうと無謀にも設計志望で受験。
ところが当時面接担当だった本部長に住宅営業の魅力とやりがいを熱く語られ、ついついその気になってしまった私はその場で「営業職でお願いします!!」。

そのせいかどうかはわかりませんが、無事内定をもらうことができ、今へと至っています。

入社したのは国産材を使った木造軸組工法を専門とする住宅メーカー。

衣食住。食料品については昨今、国産意識が高まってきていますが、衣類や住居についてはまだまだ多くが輸入品や輸入材で占められいます。

「何十年と住む住宅も国産材がいいのかも・・・」

入社当初は仕事を覚えることでてんてこ舞でしたが、やっぱり自分の売るものについては自信をもって売れるものじゃないとあきまへんなあ、と思って作ったのがこの資料。

長いので二回に分けてお届けします、お茶の間へ。

こんなの作っていたから肝心の売り上げが伸びていないのかもしれませんがね。




森をつくりませんか?
住みながら、生活しながら
街を森に変えていきませんか?

といっても普段の生活の一部となっている建物や公園を取り壊して木を植える訳ではありません。また敷地や道路に花壇を作って緑を増やそうという運動でもありません。

木をふんだんに使った家を建てることで街を森に変えていこう、そして地球環境を守っていきませんか? という提案です。

現在、世界規模のテーマになっている温暖化防止、地球環境保護のためには森林を増やすことが必須です。

ご存じのように森林は温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収して酸素を放出する働きがあります。 

国連食糧農業機関(FAO)の発表によると世界の森林は毎年、およそ
日本の面積の約2割に当たる730万haずつ減少しています。

これが地球温暖化の原因の一つであることは明らかです。

でも、木を使って家を建てるには木を伐採しなければなりません。環境保護どころか自然破壊ではないのか?と疑問に思われるかもしれません。

日本に着目すると国土の約7割が森林で覆われています。
そのうち人の手により植えられた人工林はおよそ40%。この人工林や荒れ放題の山林を計画的に植樹・伐採することは森林の機能の活性化につながります。
なぜなら、二酸化炭素を吸収して酸素を放出するという木の光合成の能力は樹齢40年までにピークを迎えます樹齢百年を過ぎるとこの能力はほとんど失われてしまいます。



えば光合成のピークを終えた木を伐採して、新しい木を植える。これを繰り返すと大気中の二酸化炭素の吸収量、酸素の生成量がどんどん増えていきます。

木が吸収した二酸化炭素は木に蓄えられていくので、伐採後、建築材料として使われている限りずっと二酸化炭素を溜めています。つまりは二酸化炭素のストック材です。



また、伐採した木は建築材料として販売することで、植林や山の手入れの資金となりますし、林業の需要が増えることで地方の活性化にもつながります。

森林は
1ha(1万㎡)当たり約50トン二酸化炭素を蓄えています



方、木で家を建てた場合、二酸化炭素の
蓄積量は一軒当たり約5トン


すなわち、10軒建てるだけで森林1haとほぼ同じストック量となります。


二酸化炭素をストックした木材で家を建てる、そして多くの家が木の家となった時、まさに街に森ができたのと同じ効果
が期待できます



木造建築は環境にやさしいだけでなく住む人にとってもやさしいもの
です。
古来から我々の祖先が住み続け育んできた木造住宅は日本の気候や風土、文化として最も国民性に合った住まいと言えます。
内閣府による世論調査では日本人の約8割が木造住宅を望んでいるとの結果が出ています。(平成19年調査結果より)



これは我々日本人が代々、国土の大部分を占める森林に囲まれて暮らしてきた事に加え、木材の作り出す快適環境を潜在的に感じているからではないでしょうか。


次回は木材がつくる優れた環境と安全性について述べていきます。
次号に続く・・・。