やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

建築の歩き方、今回は「国宝 松本城」です。

2009年02月12日 02時06分22秒 | 建築の歩き方

オレ流建築の歩き方。今回は国宝「松本城」です。
2008年12月16日に行ってきました。

日本には国宝指定の城郭が4箇所あります。
兵庫県姫路市の姫路城、滋賀県彦根市の彦根城、愛知県犬山市の犬山城、そして長野県松本市にある松本城です。


そのうち姫路城、彦根城は「オレ流建築の歩き方」でも取り上げてます。
ご参考に
姫路城の巻 http://blog.goo.ne.jp/ko-yama/e/61b2064e2bfb8759f178609d8c721871
彦根城の巻 http://blog.goo.ne.jp/ko-yama/e/b76ff947def4419c11954c7d495d8e0e

さてこの日はいい天気。空には雲ひとつありません。
澄んだ青空は冬の特権。素人写真ですがいいショットが撮れそうです。
ここ信州はそばや野沢菜だけでなく、空気がきれいな為、精密機械の産地でもあります。

       遠くの山は日本アルプス

でも寒い!さすが雪国の12月。雪が無いだけましですね。

そんな青空の下、城へと向かいました。
外堀を渡るとすぐに黒光りする大きな建物が見えてきます。

         国宝 松本城

これが国宝「松本城」。
遠目から見ると大きな甲冑、いや軍艦のオブジェか!?
そんな戦いのため要塞といったイメージです。
とは言っても背後に日本アルプスの山々が連なる風景を借景に画的にもカメラ写りもいいレイアウトです。

ここでちと建築豆知識!!
城は建つ場所により山城、平山城、平城に分けられます。

山城・・・標高の高い山の上に建てられた城。
例えば大阪の千早赤坂村にある千早城。歴史も古いものが多く、今に残る遺跡はどこも石積しか残ってません。

平山城・・・平野の中にある小さな山や丘の上にたつ城。
例えば姫路城や彦根城、犬山城など。

平城・・・平地に建つ城。
例えば大阪城、江戸城など。

守備に優れた山城は国盗合戦さなかの戦国時代はならまだしも、世の中が安定してくると不便この上ない。
守りより利便性。近世になるにしたがって平城が増えてきます。
平野に城を中心とした街を作って国を豊かにする。城下町はそんな考えから発展してきました。

ここ松本城は典型的な平城です。
築城は1593年頃、城主 石川数正・康長親子によって築かれました。
時は安土・桃山時代。秀吉が天下を統一したとはいえ、まだ戦乱のきな臭さがさめやらぬ時期。
戦国真盛りの世は過ぎても、いざという時の守りのため、二重三重の堀をめぐらしています。
一番外側の「惣堀」はすでに埋められていますが「外堀」と「中堀」は当時のまま。
立派な石垣と水をたたえた堀が城の品格を保っています。

     手前が外堀、奥が内堀

城と言えば白。ダジャレじゃありませんがそんな先入感をもっていました。
城の中では日本で一番有名といっても過言ではない国宝「姫路城」。
白く優雅な形から付けられた呼び名は「白鷺城」
対して黒く戦闘的な松本城は「烏城」(烏とはカラスのこと)と呼ばれています。

      烏城           白鷺城

とは言っても全身黒と言うわけではありません。
どの階も下部は板張りにうるし塗り、そして上部は漆喰と上下に色分けされたツートンカラー。
モノトーン調の外観は現代にも通じるスタイリッシュなデザインです。
   
 黒の部分は漆塗、白の部分は漆喰

一番高く、一番最初に建てられたのが天守閣。高さは29.4m。

           天守閣

その後、向かって左の乾小天守、向かって右の辰巳附櫓、さらに右の月見櫓といった順番に増築され、現在のL字型の配置になりました。

この平面形状、「複合連結式天守群」とも言われています。

            正面

「建築は周囲の環境により引き立つ」
逆に言えば何か比較するものがなければ物足りなく映ってしまう、というのは私の持論です。
その目線で見みると付き従うように並ぶ小天守、櫓群が天守閣の威厳と大きさの引き立て役でもあり、どっしりとした安定感を出す脇役でもあると感じました。

東側にある月見櫓。他のいかつい表情の建物と違ってこじゃれたカラフルな容姿です。
赤い欄干がアクセント。江戸時代に入ってしばらく後、一番最後に増築されたのは要塞ではなく宴会や接待のための遊びの間。
さぞかし眺めがよさそうです。

            月見櫓

入場料大人600円。
薄暗い城内。在来工法ならではの柱が林立しています。

       乾小天守 一階部分

材料はツガ、モミ、アスヒ(別名アスナロ、ヒバ)。
角柱、丸柱が混在。2、3本メジャーで測ってみましたが、柱はすべて太さ30cm以上はありそうです。
外から見ると五階建。でも実際は六階建ての五層六階の天守閣。
登っていくと各階ごとにそれぞれ特徴が違います。
簡単にまとめると・・・

一階は構造上なのか防御上なのかわかりませんが窓が少ないため暗く、ところどころに空けられた狭間(鉄砲や矢を射るための窓)からの光が幻想的に感じられます。

           狭間

斜めになった壁は石落。ここから石を落として石垣を登ってくる敵を防ぎます。

  石落(中)          石落(外)

二階
に登ると雰囲気はがらっと変わり、横長の窓が多く割と明るい空間です。

          二階の横長窓

三階は外からはわからない秘密の階。
戦の時、武士が隠れるための場所でした。
窓も少なくかなり暗いです。

            三階

四階は戦時、城主の居場所となる部屋。
天井も高く、窓も多く柱も檜。
殿様仕様です。

             四階

五階は作戦会議の間。
ここでは千鳥破風の裏側を見ることができます。


最上階である六階はまさに展望台。
天井は迫力ある木組み。四方が窓の明るい部屋。

          最上階 六階

本来の目的は城攻めされた場合、敵の様子を見るための物見櫓ですが、平時は松本城下町、遠くは日本アルプスを眺めることが出来る特等席。
京都の南禅寺じゃありませんが、「絶景かな、絶景かな」。

         六階からの眺め

下ると赤い欄干が特徴の月見櫓に行き当たります。
三方向が吹き抜きで見晴らし、風通しも抜群。でも真冬の今、抜群過ぎてかなり寒かったです。
夏の月見にはこの上ない環境でしょうな。

            月見櫓


    月見櫓 ベランダが赤いのが特徴

戦うことを第一に考えて造られたとは言っても城は一国の象徴、見栄もあります。
デザインにもかなり気を使ったことでしょう。
しかも背景にそびえるアルプス山脈。
ぐるっとひと回りしましたが、どこから撮っても画になります。

          南東側から


          北西側から


           東側から

最強の木造建築。
建築好き、写真好き、旅好き、野沢菜好き、信州そば好き。
どれか一つでも当てはまる人は是非行ってみて下さい。

        闇に染まる松本城

    
















映画「マンマ・ミーア!」を観てきました。

2009年02月11日 00時41分53秒 | Weblog
明日水曜日は祝日。
いつもは水曜日が定休日ですが、サービス業は世間の休日がかきいれどき。
私ももちろん出勤です。
代わりに今日が振り替え定休日でした。

夕方から映画「マンマ・ミーア!」を観てきました。
劇団四季で上演されているミュージカルの映画版です。
洋楽に疎い私でも知っているABBAの歌が盛りだくさん。
思わず体が動いてしまいそうなリズム感。
感動や泣きはありませんでしたが、観ててなんだか楽しくなるひと時でした。

これから春にかけては観たい映画がたくさんあります。
来週は「三国志」ですな。