やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

ジェットコースターと非破壊検査 その二

2007年05月11日 02時26分51秒 | Weblog
さてさて昨日の続きです。
ここでちょっと私の経歴についてですが、大学卒業後はテレビ番組の制作スタッフをしていました。
俗にいう業界人だったわけです。
仕事にも自信がついてきたころ、フリーのディレクターとして独立しました。
しかし最初は仕事も不安定だったので何か副業としてできるものはないかと探していたところ非破壊検査の仕事を見つけました。
テレビと掛け持ちでやっていたのですが、違った世界が見れて大変勉強になったなあと思ってます。

そんな非破壊検査の業務は多岐にわたります。
私のかかわったものを紹介すると・・・
●石油タンクの検査
 一度は写真などで見たことあると思いますが円柱型の大きなタンクの中に入って 亀裂の有無を調べます。
 検査の方法は磁石の性質を利用した磁粉探傷試験。
 当然中は空っぽにして、清掃もしてありますがかなりきつい臭いがするし夏場な んかはもうサウナ状態。
 しかも学校の体育館の何倍もの大きさです。
 つなぎを着てゴーグルとマスクを付けた完全防備で入ります。
 酸欠で死亡事故もよく起こってるのでまさに命がけ!!
 2週間ほどで5キロやせる荒行でした。

●水力発電所の検査
 落差を利用した水の力で発電するので発電機には相当な力がかかります。
 金属疲労で壊れてしまうと事故や停電の可能性大。
 そんな事が起きないよう、発電機のシャフトやプロペラ、水道管を調べます。
 部品は全部ばらばらにしてあるので、塗料を使った深透探傷、磁粉探傷、超音波 探傷で調べていきます。
 水力発電所は作られてからかなり長い年月が経っている場合が多いので機材もレ トロ。
 また山奥にあるので仕事が終わると毎日宴会そして温泉三昧でした。

●核燃料再処理工場建設の検査
 いわずとしれた青森県六ケ所村にある施設。
 全国の原発で出た使用済み核燃料のリサイクルが目的なのです。
 町にあるリサイクル工場とは訳が違う。総工費2兆円超!!人類史上一番お金を かけた建造物らしいです。
 ここでは検査の仕事というよりは専門の検査官に検査してもらうための段取りが 主な仕事でした。
 建物内部に張り巡らされた配管の検査ですがその数のすごさと見た目は圧巻!! まるで映画のセット!科学の結晶!!
 でもあまり詳しく書くとまずそうなのでこれはここまで。

●遊園地のアトラクションの検査
 やっと出てきました。今回のテーマとなった題材です。
 この仕事では一週間ほど富士山の見える遊園地の近くに陣取ってました。
 絶叫系と言われる乗り物や観覧車そしてデパートの屋上にあるようなちょっとし た乗り物に至るまで車軸やピン接合の部分の検査を行いました。
 毎年欠かさず検査をやっていてしかもそんなに危険性のなさそうなものにまで気 を配っているのはさすがだなあと今にして思います。

などなどちょっと長くなってしまいました。
でも今回の事故がキッカケで定期検査の重要性を思い知らされました。
まだ大丈夫だろうといった思い込みが大事故へとつながります。
非破壊検査なんてなかなか表舞台に立つことはないですが、安心という主役を影で支える大事な役目を担っていることを知って欲しいですね。

ま、もうやめてしまった私がいうのもなんですけどね・・・


 
 
 

 


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