やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

早く人間に、いや一人前になりた~い!! オレ建は「旧小山家住宅」です。

2008年02月27日 23時41分28秒 | 建築の歩き方

久しぶりの更新です。
毎日日付が変わっての帰宅。
帰ってすぐ寝る日々です。
でも仕事を覚えるまではこのサイクルでやっていこうと思ってます。
今の会社に入って早3ヶ月目。住宅営業は覚えることが多くて四苦八苦です。
一人前になるのはいつのことやら。
もうすぐ私が入ってからいろいろ教えてくれた先輩がやめることになりました。
丁寧に教えてくれただけでなく、営業所にはなくてはならない人でした。
残念ですがこれからも頑張って欲しいです。


去年のことですが、オレ流建築の歩き方は墨田区にある「旧小山家住宅」に行ってきました。
平成19年12月20日です。

場所はというと旧中川沿いの低地。地盤が弱く、洪水が起こりやすい土地だと一見して見受けられます。

         小山家立地


 正門 (旧中川堤防より下がった位置にある)

でも1917(大正6年)の創建から、関東大震災、東京大空襲そして幾多の水害といった試練にも耐えて、かれこれ90年以上建ち続けています。

建物の丈夫さだけでなく天運まで味方です。


           正面玄関



            縁側

入場料は無料です。管理人のおじいさんがいて、見学者も私一人だったので付きっきりでガイドしてくれました。
見ただけではわからない建物の裏側まで説明してくれました。
ありがたや、ありがたや。

間取りは昔の民家のスタンダードでもある田の字型プラン。


        居室(田の字プラン)


       奥座敷(田の字プラン)

室内の建具を外すと大広間として、大人数が集まる催しごとが開けます。
ホームパーティーから冠婚葬祭まで多目的な利用にもってこい。

建物中央にそびえる二本の大黒柱。
ケヤキの心材で、重厚な存在感を放っています。


        建物の中心に大黒柱

通常、柱を無垢材で使用すると割れやゆがみといった暴れが生じますが、伐採してから乾燥期間に50年をかけているとのこと。なのでほとんど暴れの兆候がみられません。


   ケヤキの大黒柱

木造住宅は時間が経つと建物の重さや木の歪みにより、引戸などの建具が開閉しにくくなったりしますが、管理人のおじいさんの話によるとこの建物ではほとんどそういった症状が起きてないそうです。
手間ひまかけた部材をおしげなく使った上、全体的に柱が太く、ケヤキの大黒柱に支えられた頑丈な構造がその事実を物語っています。


            天井梁
    
さらには当時の地盤改良により、地中には何本もの松杭が埋められているそうです。

また室内の装飾で特筆すべきことは奥座敷の客間。
天井や欄間の材料は、今や天然記念物となった屋久杉です。


          奥座敷の欄間

大名屋敷のようなりっぱな床の間。使われている木材もりっぱです。
「落とし掛」には鉄刀木(たがやさん)。
鉄の刀のように重くて硬い木なのでこんな名前がついたそうです。
床柱には黒檀(こくたん)、床框には紫檀(したん)を使用。


            床の間

この三つは唐木三大銘木といって、当時は高級の外材でした。

当時の囲炉裏跡からは、床板を剥して床下を見ることができます。
基礎構造は独立基礎。束石のうえに床束がのって支えられているのがわかります。


   囲炉裏跡から床下をのぞいたところ


また、外周部にはねこ土台が設けられ、土台を基礎から浮かせることで通風を確保しているため、土台が腐りにくいだけでなく床下全体の換気に効果があります。


           ねこ土台

水害が多いこの地域。こういったつくりが、土台や床束を腐朽から守った訳ですね。

木造も自給自足が主流だったこの時代、国産材で建てられている事も長持ちの一因ではないでしょうか。



90年経った今にものこる大正時代の生証人。
世代を超えて何人もの記憶に残った家、そして時代の記憶がつまった家。

まさに住宅とはこうあるべきといったお手本ですね。







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2 コメント

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ご無沙汰です (m.n.)
2008-03-04 09:21:54
随分ご無沙汰しております。忙しいみたいだね。何よりです(^-^)きっとこれからの人生の土台になる仕事だから頑張ってね。

そして、私事ながら報告が…

実は…今月一杯で退職します。


そして結婚しました。

報告が遅くなったけどごめんね。これからはアタシも新たな人生を歩みます☆

皆それぞれ違う世界ですが一緒に過ごした時間をこれからも大事に機会があれば同窓会みたいにまた会えるといいね♪


頑張っていきまっしょい(^O^)
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おめでと~ (やま所長)
2008-03-06 01:36:17
それはおめでとう。
きっと今までの泣いて笑って悩んで、精一杯生きてきた日々があったからこそ今の幸せがつかめたんだと思います。
楽しかったことつらかったことも今となってはいい思い出。
お互いに新しい人生、悔いがないよう歩んでいきましょう。
応援してます。
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