やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

奈良県「東大寺編第一弾 南大門」です。

2009年07月16日 02時17分25秒 | 建築の歩き方

長いことサボっていました・・・。
オレ流建築の歩き方。
今回は奈良県奈良市の「東大寺 南大門」です。

大阪の実家に帰った時などにちょこちょこ行ってますが、写真は2006年8月15日に撮ったものです。

東大寺とはこの辺り一帯に建っている寺院群を指しますが、すぐに思い浮かぶのは、世界最大の建築物にして国宝の大仏さまを納めている「金堂」ではないでしょうか。
「金堂」とは、いわずと知れた通称「大仏殿」のこと。


          大仏殿(金堂)

教科書でもお馴染み、修学旅行や遠足で行かれた方も多いと思います。

でも東大寺は大仏さまや金堂だけではありません。
日本の歴史と至宝の数々がここにあります。

そのため何度かに分けてリポートします、東大寺特集
今回は東大寺の顔でもある「南大門」をお伝えします。

近鉄奈良駅下車、辺りはすでに奈良公園です。
そこかしこをかっ歩する鹿の群れ。


そんな鹿と戯れつつ、フンを踏まないよう気をつけて進んでいくと東大寺伽藍の入口、国宝「南大門」へ突き当たります。


         東大寺 南大門

見上げるほど大きなこの建築物は鎌倉時代 1199年の建造


          東大寺 南大門

工事の総責任者である東大寺勧進職を拝命したのは、仏教の僧であり建築技術者でもあった重源(ちょうげん)

        重源

設計、施工はもちろん、職人集め、資金集めまで全てを請負います。

ここは地震国ニッポン。
今まで大きな地震が来るたびに建物は大被害を受けていました。
そんな国に大きな建造物を建てるにはどうするべきか。
ただ柱を太くするだけでは効果は薄い。
地震は縦に揺れるだけでなく、横にも揺れる。
今までの建物構造に問題があるのは、過去の大地震から証明済み。
そこで中国帰りの重源考えた。
横揺れ時、建物にかかる水平力にどうやって抵抗させるか
考えた末の結果が、貫(ぬき)で柱と柱をつなぐ方法



これにより柱と柱の間が一つの面となり、横揺れ時の水平方向の力を面として支える事ができる。
この様式は「大仏様」という地震に強い新工法となり、以後の日本建築までも支えていくことになります。

800年の時を経た南大門、近くで見ると柱は割れてずたぼろです。


         南大門を支える柱

無垢材の場合、乾燥による割れは当たり前。
強度的には問題ないと言われてますが、ここまで割れていると、大丈夫かと心配になってきますが新築以来数百年、台風、地震、戦と天災人災に見舞われたことも数知れず。
幾多の困難を乗り越えて、今に残るのは丈夫な証拠。
乾燥による割れはあまり気にしなくてもいいのかもしれません。

見上げると平和な時代の今、心なしかさっぱりとした表情です。
時代を超えて残る。そこに建築のすごさを感じてしまいました。


       南大門(大仏殿方向から)


この南大門、すごいのは建築だけではありません。
門の中、両サイドからは日本最高の仏師と誉れ高い「運慶」総指揮のもと作られた国宝「金剛力士像」がにらみをきかしています。
通称「仁王像」ともいわれ、寺を守る守護神です。
左右の二体はそれぞれ表情とポージングが異なります。

向かって右が吽形(うんぎょう)といって口を閉じた像。

   吽形(うんぎょう)

向かって左が阿形(あぎょう)といって口を開いた像。

    阿形(あぎょう)

高さはどちらも8.4m。最新の解体調査の結果、運慶を筆頭とする仏師達はこの木像をわずか二ヶ月で完成させたとの事です。
おそらく昼夜を問わない突貫工事。
過労の怒りが像に乗り移ったのか!?それともチームの心が一つとなったことがなし得た業なのか。
怒り、強さ、正義を一言で表したような容姿。
筋骨隆々、今にも動き出すような躍動感と迫り来る迫力。
そばに立つと圧倒されます。

  
  夜の吽形(うんぎょう)      夜の阿形(あぎょう)

                
ここ東大寺だけでなく日本全国津々浦々、由緒ある寺に鎮座する金剛力士や四天王といった仏教の神々たち。
日本人の手で作られた木彫りの像は西洋のブロンズ像、石像に勝るとも劣らず芸術的で迫力もあります。

そんな芸術作品、寺にしまっておくのはもったいない!
日本でもこの伝統作品のレプリカを、ヨーロッパの街のように公園や建物にオブジェとして添えるのもいいかもしれないと思いました。


   サンタンジェロ城の天使像 in ローマ



   ナヴォーナ広場の噴水 in ローマ

どうでしょう?

    背景は地元の西荻窪駅北口です

次回は「東大寺 大仏殿」です。


  





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