Think Globally, Act Regionally:『言葉の背景、カルチャーからの解放、日本人はどこへ往く』

身のまわりに見受けられるようになった「グローバル化」と生きる上での大事な「こころの健康」。さまざまな観点から考えます。

◆◇第56回「メイドインジャパンが世界に貢献したこと、するべきこと」」(改訂2版)

2013-05-12 19:48:18 | ■日本人はどこへ往く?

第56回「メイドインジャパンが世界に貢献したこと、するべきこと」(改訂2版)

前回は、日本および日本人のアイデンティティを振り返り、未来を探ってみました。

そこで今回は、
オバマ大統領の2013年一般教書演説の中で、米国製造業の新革命 Made in Americaの言葉を聞きながら、
日本企業の成果物である「メイドインジャパン」とグローバル化のかかわりを考えてみたい。
    
ここでは、ノーベル賞の対象となっている、物理学、化学や医学生理学などの自然科学分野には触れず、
ビジネスや生活分野でのグローバル貢献を主に論じます。

メイドインジャパンは、

生活や芸術分野では、
1.快適な生活追求(食べ物)と2.美的センスによって、

ビジネス分野では、
3.工業技術開発と4.組織経営/生産管理手法で、
世界に貢献してきました。

1.快適な生活追求は、食べ物と芸術分野に分けられます。
ある意味では、戦後の日本人は、生活の質的向上、心地よい生活、安全で安心できる生活を追求してきたとも
言えます。

食べ物は、健康志向の日本料理のことで、代表的なSushi(寿司)とTofu(豆腐)が挙げられます。
Sushiはカリフォルニア・ロールやbrown rice(玄米)の巻き寿司など、海外では、食材やねたが変わっているにせよ、
基本は鮮魚と生野菜から造られており、外形は日本の寿司を踏襲しています。
全世界に、Sushi restaurantがあり、Nigiri(にぎり)などは、欧米人やアジアの富裕層の健康志向に合致しており、
人気の高い食べ物です。
ただ、惜しむらくは、高級日本料理店の一部の経営者を除いて、一般の市民が食べられるSushi店の経営者は、
韓国人(アフリカ)だったり、台湾人(米国)だったりしているのが現状です。

2.美的センスとは、芸術分野での世界貢献のことで、一つは、すぐれた演奏家による芸術表現を意味します。
これまで数々の国際コンクールで優れた日本人演奏家が輩出しており、私たちの感性に美的な喜びと幸福感を与えてくれます。
3大国際コンクールの一つ、チャイコフスキー国際コンクールでは、ピアニストの上原彩子(第1位2002年)をはじめ
ヴァイオリニストの神尾真由子(第1位2007年)、潮田益子(第2位1966年)や加藤知子(第2位)、
チェロの藤原真理(第2位1978年)がいました。ショパン国際ピアノコンクールでは、内田光子が1970年第2位に、
エリザベート王妃国際音楽コンクールでは、ヴァイオリニストの 堀米ゆず子と戸田弥生がともに第1位
(1980年と1983年)に、諏訪内晶子と成田達輝が第2位(1989年と2012年に)、ピアニストの若林顕が第2位(1987年)となっています。
欧米の正統クラシックの只中に、アジアの日本人の感性が認められたのは、驚きとしか言いようがありません。
音楽だけでなく、デザイン、Manga(漫画)やアニメは、アジアや欧米で影響力を発揮しています。
また、文学分野でのHaiku(俳句)の影響も、米国など英語圏を中心に根強い人気を保っています。
これら芸術分野では、日本人の感性、自然観などが色濃く反映されたもので、世界に通用するオリジナリティを備えています。

さて、ビジネス分野に移りましょう。

3.工業化社会での洗練された技術開発

Made in Japanが世界を席巻したのは、1950年代の繊維製品から始まり、1960年代後半に鉄鋼、カラーテレビなど
家電製品、そしてソニーのオーディオ製品(ウォークマン)の1979年から1990年代までと言えましょう。
1980年代では、自動車・半導体が世界を席巻しました。この間、製造業での「匠の技」といわれる、
洗練された、こだわりの技術が日本人技術者の気性と合致し、それにより生み出されたMade in Japanの製品が、
欧米先進国の消費者ニーズを満たしたのです。
1997年に開発されたトヨタ・プリウスは、世界初の量産ハイブリッド自動車となり、環境に優しい技術の最先端に位置しています。

4.組織経営/生産管理手法

1970年代から80年代にかけて、日米経済摩擦が生じると、欧米の経営学者は、競って日本的経営の謎に研究主体を移しました。
1979年には、社会学者でハーバード大学教授のエズラ・ヴォーゲル氏の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が執筆され、日本の競争優位の源泉(日本人の学習意欲の高さなど)が分析されました。日本独自の生産管理技術(ジャストインタイム)や統合的品質管理技術(TQC:トータル・クオリティー・コントロール)などが世界の製造業をリードし、これら日本発の経営手法は、米国製造業を中心に広がっていきました。
更に、長期的視点での経営手法は、欧米とは異なる経営文化のかたちとして、世界の企業へと影響を及ぼしたのでした。特に、日本の集団主義の経営は、欧米の個人の能力開発中心から、チームワークによる全社的な生産性(収益性)向上の研究へと結実し、学習する組織(ピーター・センゲ1994年)などの著作が欧米で人気を博しました。
また、国の産業界への関わりの深さ(強力な国の産業政策)は、米国など先進国だけでなく、
今日では、新興工業諸国の産業政策に多大の影響を与えています。

さて、ここでは、
ビジネスと生活・芸術分野での
Made in Japanの要素を、

1.食べ物
2.美的センス
3.工業化社会での技術開発
4.組織経営/生産管理手法

の4つに分けました。

これらのMade in Japanの有用性(今後どれだけグローバル世紀<21世紀>で役立つだろうか)という視点で
考えると、

1.食べ物は、世界の民が裕福になるにつれて、日本人並みの味覚能力に達するに違いないので、
  先進国だけでなく、新興諸国に対しても、十分に貢献できる。

2.美的センスも、世界の国々に、金と時間に余裕ができてくると、(贅沢な)美的観賞に注意を向ける傾向になるため、その存在理由はなくならない。

3.工業化社会での技術開発については、これこそ、工業化社会へ突入していくだろう、新興諸国予備軍(VISTA、NEXT11)への技術サポートというソフトで、貢献できる。

4.組織経営/生産管理手法については、3と同じく、Made in Japanのソフト・コンテンツの開発が重要となります。
  なにせ、新興諸国(予備軍)での英文テキストが不足しているのです。
  ある時、ガーナの技術高等専門学校の校長がボロボロのKaizen(1986年刊)の英文テキストを示してくれたのが記憶に残っています。必要としている所に、必要な知識が届いていないのが世界の現状なのです。
  日本独自の生産管理技術は、もはや日本だけの財産ではなく、グローバル(ユニバーサル)な知恵となっているからです。もしかすると、韓国か中国の学者やコンサルタントあたりから、現場で使える英文のノウハウ本が出版されるかもしれません。

日本は、グローバル化のどこに集中すればいいか。

第52回「グローバリゼーション(グローバル化)~文化面とドラッカーのとらえ方~」で触れた、アパデュライのテクノスケープ(technoscapes。工業技術や情報技術の拡散によって支配される世界)で貢献するしかないのかな、と思います。そのための、ソフト(教材)開発と人材開発が急がれます。(初版2013-02-12)

(4月15日+5月12日追加)
現在、筆者はテキサス大学(オースチン校)にいますが、大学院入学のために、英語を勉強している中東諸国からの留学生(注☆☆参照)が実に大勢います。ちなみに当大学の国際学部(大学院入学準備、特別研究員や上級英語者のためのクラス)の約半数が中近東からで、次に多いのが南米、そして韓国からの留学生となっています。サウジアラビアやクウェートなどアラブ諸国からの留学生は、政府派遣の留学生で、入学金・授業料だけでなく、生活費も極めて十分なscholarshipが支給されています。アラブ地域からの男子留学生の大多数が、civil engineeringなどエンジニア志望です。もし、日本の理工学系大学が英語で授業を実施するようになれば、これら中近東からの留学生のニーズを満たすことができ、これまでの日本の科学技術の成果を世界の若者に教えることができるのになあ、とつくづく思います。グローバル教育とは、日本の得意とする学問の成果を、世界の若者と分かち合うことでもあります。

※写真は、NHKテレビ60年記念ドラマ「メイドインジャパン」のHPから、
そして堀込ゆず子のCDジャケットは、burleskeのクラシックブログから転載した。

☆☆テキサス大学オースティン校2013年spring semester(1月-5月期)留学生数
◆国際学部総数355名
アラブ系学生 175名(49%)
南米系学生 64名(18%)
韓国系学生 46名(13%)
中国系学生 19名(5%)
その他*  51名(15%)
*その他とは、
東欧、中央アジア(タジキスタンを含む)、アフリカ地域、
タイ、日本人は6名(1.7%)。
地域別の人数は、著者による推定。

☆なお、
Times Higher Education世界大学ランキング(2012-2013年エンジニアリング・技術分野)では、

テキサス大学オースティン校 13位
東京大学   28位
京都大学   47位
となっている。

◇また、
イギリスの大学評価機関、
クアクアレリ・シモンズ社(QS Quacquarelli Symonds)の
「QS世界ランキング分野別2013年(Civil & Structure Engineering)」では、

1位 インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)
2位 カリフォルニア大学バークレイ校
3位 東京大学
7位 京都大学
10位テキサス大学オースチン校
となっている。

☆第55回「和心洋才(わしんようさい)のすすめ」★☆

2013-02-05 22:06:58 | ■カルチャからの解放
☆★☆第55回「和心洋才(わしんようさい)のすすめ」☆★☆

最近のスペシャル番組を見ると、バブル前の、日本の栄光時代の回想を基にした番組や懐古的な内容
(たとえば「メイドインジャパン」)が多く、日本の未来に向けての「励み」や「挑戦」となるメッセージが
見当たりません。
どうも、ここ10年~20年間は、「自国のアイデンティティ」喪失状態に陥っているようです。
アイデンティティ喪失とは、日本がなんぞやという存在を見失ったためらしい。 
そこで、日本のアイデンティティを見つめなおすために、日本しいては日本人の得意技(強み)を、その原点から考え直してみたい。

日本固有の精神あるいは日本人の魂と言えば、『大和魂』が有名です。
この言葉は、別に軍国主義時代の手垢にまみれた表現としてではなく、素直に原点に戻って解釈した言葉として、です。

紫式部の「才(当時は漢学による学識)を基本にしてこそ、実生活上の知恵・才能(大和魂)が世間で重んじられることも確実でしょう」(『源氏物語』第二十一帖「少女(乙女)」)と言っている意味で、です。

まず、「和心洋才」という言葉を提唱したい。

この場合の「和心」とは、式部の言う、「実生活上の知恵・才能」言い換えれば、実務処理能力(情緒を理解する能力を含む)という意味です。裏返して見れば、平安時代の頃から今日まで、日本人は、諸外国の学問を基にして、和を尊び、実務的に成功を収めてきた歴史があるということです。 

次に「洋才」に移りましょう。さて、式部の言う「才(ざえ=学問)」とは、今日、どんな学問を指すでしょう。
これこそ、漢学による学識でもなければ、米国流のMBAでもない。もっと古い、欧米の教育の原点にある、ギリシャ的な思考方法、
つまり、 critical thinking(クリティカル・シンキング)やdialogue(ダイアログ)を意味します。

実務処理能力(和心)を別の言葉に言い換えれば、
「勤勉さ、真面目さ、思いやり、美意識」となり、日本人の行動規範principleとなるものです。
和心については、蔡焜燦氏が、日本精神として「勤勉で正直で約束を守る」(台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい)を挙げていますが、現在の日本人には、「正直さ」がなくなってしまった。

また、洋才(現代の洋才は、critical thinkingやdialogue)を学ぶには、英語という武器で考えることも大事なことです。
大前研一氏は、実践ビジネス英語(上級)を習得する方法として、1.通常の英語学習(語彙増強など)->2.ロジカル・シンキング(クリティカル・シンキングの一部)による会話->3.EQを挙げています。特に日本人との兼ね合いで、ここで重視すべきは、EQです。

EQとは、「感情学習能力(EI)」のことで、日本人の得意(としている筈の)分野の一部です。
邦訳では、「心の知能指数」といった難解な訳語が当てられていて、逆に理解が難しくなっています。

さて、EQの具体的内容は何なのでしょう。
EQの提唱者ダニエル・ゴールマンによれば、1995年当初は、1.自己省察(自分自身を知ること、自覚)、2.自己統制(自己との対話、感情からの解放)、3.動機(モチベーション、仕事の達成感)、4.共感(エンパシー)と5.社会的スキル(良好な人間関係づくり、ネットワークづくり)となっていましたが、最近(2011年)では、3.の動機がなくなり、EQを次の4要素に整理しています。
1.自己省察、2.自己コントロール(特に感情コントロール)、3.社会性の自覚(共感、他人の感情を理解する)、そして4.良好な社会的関係づくり(思いやり、ポジィティブな感情づくりなど)です。日本人が肌で感じてきた、思いやりや他人への配慮などの感情管理が、ゴールマンの手にかかると、最新の脳心理学や神経科学の成果を基に解明されて行きます。

さて、日本人に不足しているEQの中で、気になる項目があります。
それは、1.の自己省察です。感情(情緒)を的確に把握するには、自分自身についてだけでなく、他人についての「正直さ」が重要だと述べています。正直さは、フランクな態度(率直さ)やオープンな(開放的な)姿勢と同意語です。どうも、昔の日本人にあった、この「正直さ」を取り戻すことで、過度に批判的にならず、非現実的な楽観さにもならない態度を保ちたいものです。

「和心洋才」。

つまり、本来日本に有った、「和心」(わごころ)=勤勉、真面目、思いやりと美意識を心に秘め、クリティカル・シンキングとダイアログ(次回に詳細を)といった「洋才」で武装した上で、グローバル時代に挑戦するのはいかがでしょうか。
もう、日本は、ユニーク(特殊)な国だという思い込みは捨てて、グローバルの荒波へ、危険を賭して乗り出しましょう。

【参 考】 
1.冷泉彰彦氏は、「和魂漢才」→「和魂洋才」のキーワードから、「洋魂和才」を提唱されている。
  from 911/USAレポートby 冷泉 彰彦 「第565回 洋魂和才の時代へ」

2.大前研一直伝、「無敵のビジネス英語」講座

3.Daniel Goleman(2004)What Makes a Leader? Harvard Business Review January 1,
  Daniel Goleman(2006) Emotional Intelligence: 10th Anniversary Edition; Why It Can Matter More Than I.
  ダニエル・ゴールマン(1998) EQこころの知能指数(講談社文庫)
  Daniel Goleman(2011)EQ Mastery, Leadership Excellence, June 2011
  ダニエル・ゴールマンが思いやりを語る(2007年)TED Talk
4.高校生のためのおもしろ歴史教室 32.大和魂について

※上記の写真は、Daniel Golemanの著作の表紙から、伝俵屋宗達「源氏物語図屏風残闕 葵」は、気まぐれ草子から


第54回「『毛遂自薦』と『出る杭』~世界のマインド、日本人のマインド」

2012-05-05 23:33:53 | ■ことばの背景(英語、中国語、日本語の備
第54回「『毛遂自薦』と『出る杭』~世界のマインド、日本人のマインド」☆◇

最近ビジネスの傍ら、中華系の人と話す機会が多く、故事成語に触れることがある。
今回特に感心したのは、毛遂自薦(マオスイズジエン)という成語です。

なぜこの成語に感心したのかと言えば、
メルボルンで、大学院入学への英語勉強に励んでいた当時、
担当の英語教師から、最初から何度もなんども、
「voluntary, voluntary!」と叫ばれた記憶があるからです。
voluntaryとは、ご存じのように、
「自ら進んで、もっと積極的に話しなさい」
ということです。

その後大学院でのクラスでも、欧米のビジネスでも、
このvoluntaryという言葉は、西洋の至極当たり前のマインドだと
知ることができました。

さて、
毛遂自薦(maosuizijian マオスイズジエン)とは、
「(困難な問題の解決を)自ら買って出る(自薦する)」(愛知大学中日大辭典)
という意味で、このような行為は、中華圏では高く評価されています。

毛遂自薦の故事は、戦国七雄時代(秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓)に、秦に攻め込まれ
た趙の王平原君が、楚に救いを求めに行った折り、趙の食客(特別な技術・才能をもち、
客として召し抱えられた人)の毛遂が自ら名乗り出て、楚王との交渉を成功させ、秦と
の戦いに勝利をおさめたという話です。(『史記』平原君虞卿列伝)

一方、日本では、
自薦という行為はマイナスイメージが強く、もし自己アピールをし過ぎると、「出る杭
は打たれる」ということになり、
そうならば、静かに、
「打たれないように目立たないようにしよう」という社会的態度が一般的になります。
また、「能ある鷹は爪を隠す」といった沈黙礼賛の文化となる訳です。

英語ではどうか?
「出る杭は打たれる」の英訳を調べると、

Great winds blow on high hills.(高い山の頂上は風が強い)
The highest branch is not the safest roost.
(最も高い所にある枝が、巣をかけるのに最も安全とは限らない)

というのがあります。
至極当然な諺で、日本人が抱くような特別な意味ではない。

そこで
Voluntaryの精神や毛遂自薦の評価を考えると、
欧米や中国などの社会では、
自ら進んでものごとを実行することが推奨される。

一方、
日本文化では、まだまだ、周りの空気を読むことに専心し、
積極的に自ら進んでものごとをやることには
プラスよりもマイナスのイメージがあり、社会的な評価も高くない。

グローバルな時代に、
この世界のマインドと
日本人のマインドの差が
ますます乖離していくならば、
未来に対して、楽観的な思いが少しずつ消えて行きそうな気がする日々です。

※「出る杭は打たれる」との新解釈として、terzoさんは、喜多川歌麿の『出る杭の打たるる事をさとりなば ふらふらもせず 後くひもせず』(「巴波川杭打ちの図」)から、「本来の意味は、『不正に対して、正義を貫く』ことを勧めること」だと述べています。

※※
「毛遂自薦」 は、阳光地帯 から、「巴波川杭打ちの図」は、とちぎの歌麿を追うから引用した。




◇★第53回「イノベーションと競争優位~ソフトテクノロジー戦略」★◇

2012-05-05 18:36:12 | ■日本人はどこへ往く?
◇★第53回「イノベーションと競争優位~ソフトテクノロジー戦略」★◇

 これまでグローバル化、競争優位とイノベーションを考え続けてきましたが、土曜日のテレビ番組
(4月28日NHKBS2のGlobal Debate Wisdom)を見ながら、メディアのグローバルな視点も
やっと出てきたのかな、と感じられました。
ここで言うグローバルな視点とは、海外と双方向で議論を進めるということです。
ただ、NHKの海外報道番組を見ていると、伝統的に情報輸入の素晴らしい仕組みはさすがだと
思います(ワールドWave Tonightなど)。
しかし、情報輸出(発信)の貧しさは昔と同じようです。

 さて今回は、隣の大国中国のイノベーション戦略です。

 知り合いのコンサルタントから勧められたのは、金周英(ジン・ジョウイン)教授著
の「グローバル技術変革~ハード・テクノロジーからソフト・テクノロジーへ」でした。

 彼女は、中国社会科学アカデミー(CASS)教授で、テクノロジーイノベーション戦略
研究所(CTISS)所長という肩書を持っています。
 技術というと、現在ではハード技術が中心に語られますが、彼女は、Technologyの歴史
から紐解き、Technologyの真の意味を、ハードとソフトの両面へと回帰させ、
『本来のTechnology』(ソフト技術+ハード技術)による統合的イノベーションを主張
されています。

 354ページの大著を私なりに掻いつまんで説明すると、
「競争優位」を確保するには、以下の三次元要素を同時に実施しなければならない。

1.『本来のTechnology』ソース、
2. イノベーションの手段、
3.イノベーションの環境。

 言いかえれば、
総合的な競争優位の核になるものは、
1.ハード技術+ソフト技術によるイノベーション(問題解決)の設計能力、
2.イノベーション(問題解決)を実現する能力
(ソフト技術分野のイノベーション能力)と
3.イノベーション(問題解決)の実施環境(組織内環境のイノベーション能力)
ということになります。
 
 ここで、ハード技術の定義とは、「自然科学の知識」であり、「物理世界で作用するもの」となり、
ソフト技術とは、「非自然科学、非伝統的科学の知識」で、
「人間の心理的行動や社会的態度に作用する」との定義がなされています。
従って、1のソフト技術のソースとなるものは、経済、社会、文化、人間、自然(エコや環境)、
生命・心理・身体、人工的なもの(ソフトウェア・ITなど)が含まれます。

 2のソフト技術分野のイノベーション能力に移りましょう。日本の視点からみると、
製造業(モノづくり)では、ハード技術のイノベーションを中心に議論がなされていますが、
そのハード技術のイノベーションを育むには、ハード技術以外のソフト技術
(設計・経営というソフト技術、生産分野のソフト技術(MOTを含む)、マーケット創造というソフト技術、組織変革のソフト技術など)が大事だということです。
日本は伝統的に、これらのソフト技術を米国からの輸入に頼ってきていました。
ですから、ソフト技術分野のイノベーションを実施する能力にはやや厳しい面があります。
しかし日本にも、生産分野のソフト技術としてトヨタのカンバン方式があり、暗黙知の共有・継承によるユニークな経営技術(野中郁次郎)があり、洞察力/直観力に富む企業・国家・グローバル経営戦略家としての大前研一の戦略設計技術などは世界に誇れるものでしょう。

 私が特に重要だと思ったのは、3.組織内環境のイノベーション能力という項目です。

 というのは、
第13回「イノベーションさもなければ死か~イノベーション競争力:日本、世界1位の中身」
で長い間疑問に思っていたことが、この項目3を考えた時に氷解したと思えたことです。
つまり、2007年5月14日付Economist Intelligence Unit (EIU)は、日本のイノベーション
競争力を世界一に位置づけた。

しかし、

イノベーション環境は先進国中、かなり低いレベルであった、ということです。
つまり、組織内環境のイノベーションに相当な怠りがあったゆえ、凋落が始まったのでは、
と考えています。
これは、組織内環境を変革するには、どうしても、伝統的な日本の企業文化(序列タテ社会、
和を尊ぶ風土、率直な意見の交換に不慣れなど)に縛られ、その組織変革は先送りにされが
ちだということです。グローバル化のスピードについていけず、イノベーションの機会損失
→競争優位の低下を齎したと言えるでしょう。

 さて話題を変えて、
中国の直近のソフト技術戦略に眼を向けてみましょう。
中国の伝統医学(中医)のグローバルスタンダード戦略が強力に進められています。
アジアの伝統医学では、日本独自に発展してきた「漢方」や韓国の伝統医学「韓医学(韓方)」
などがありますが、中医がISOで世界標準になれば、
先端的な生薬製造技術+西洋医学との併用による臨床面での優位性などで一日の長がある
日本の漢方もグローバリゼーションの芽がつまれるでしょう。
これまで日本は、電気通信/ITの分野では、グローバルスタンダードが取れず、
苦杯をなめてきましたが、将来性のある伝統医学分野での勝敗も目に見えてきそうです。
これも、ソフト技術分野(グローバル経済での戦略設計/立案)での認識不足や準備不足、
政府レベルでの組織環境のイノベーション欠如(そのための窓口がない!)が原因となっています。

 勿論、中医のソフト技術は、潜在的なソフト産業の一部で、同書の中でも、重要な競争優位戦略の
一分野と記されています。

 確かに、
インターネット以前には、日本というルール内での土俵で勝ち、その後海外へ出て、
そのソフト技術(日本的経営技術)で勝ち抜いた時期がありました。
けれども、現在のインターネットを通したグローバル経済の中では、
日本の土俵と世界の舞台での基盤の違いが色濃く現れることになります。

グローバル人材
(他文化に理解あり、他文化とコミュニケーションの取れる人財。
翻訳文化を通した知識の涵養ではスピードの差は歴然!)の養成と
イノベーションを孵化しやすい組織文化への脱皮が焦眉の急でしょう。

☆なお、「グローバル技術変革~ハード・テクノロジーからソフト・テクノロジーへ」
の目次は以下のようになってます。
1.技術とは何?(c ソフトテクノロジーって何?)
2.ソフトテクノロジーの歴史的前例
3.ソフトテクノロジーと技術的競争優位
4.ソフトテクノロジーとイノベーション
5.ソフト産業
6.ソフトテクノロジーと第4世代のテクノロジー展望

読む価値のある本です。

※金周英教授の写真(上中)は、
北京ソフトテクノロジー・アカデミーのHP
より、認知症に効果が実証されている「抑肝散」(右上)は、
ツムラのHP
より、NHKBS2のGlobal Debate Wisdom(右下)は、NHKのHPより拝借した。

[参考文献]

Zhouying Jin (2011):
"Global Technological Change -From Hard Technology to Soft Technology," Intellect Ltd.
 
Zhouying Jin (2005) "Globalization, technological competitiveness and the 'catch-up’challenge for developing countries:
some lessons of experience," International Journal of Technology Management and Susstainable Development Volume 4 Number 1
Zhouying Jin (2004) "Technological progress in history: a survey of evolution and shift of research emphasis from ‘hard-tech’to‘soft-tech’development," 
International Journal of Technology Management and Sustainable Development Volume 3 Number 2
Zhouying Jin (2003) "The Fourth Generation of Technology Forsight and Soft Technology," Futures Research Quarterly, Summer

<中医>
ISOのPaper on Traditional Chinese Medicine


ISO委員の中国訪問

★☆第52回「グローバル化(グローバリゼーション)~文化面とドラッカーのとらえ方~」☆★

2011-02-21 13:36:07 | ■カルチャからの解放
★☆★第52回「グローバル化(グローバリゼーション)~文化面とドラッカーのとらえ方~」★☆★

さて、グローバル化(グローバリゼーション)について違った角度から検討したい。

グローバリゼーションとは、

「世界の経済や社会の発展的統合」(世界銀行)との定義があるが、

文化人類学者アルジュン・アパデュライの文化次元でのグローバリゼーションの捉え方と、
P.F.ドラッカーの経済・経営面での着眼点をレビューする。

◆ドラッカーのグローバル・エコノミーの捉え方

ドラッカーは、グローバル・エコノミーと国際経済(インターナショナル・エコノミー)を区別して考えている。

「国際経済」のセグメントでは、外国貿易(商品=モノの貿易に着目して、貿易収支が大事)および海外直接投資(FDI)を重視せよという。
一方、
「グローバルエコノミー」では、「グローバルな資金と情報の供給(フロー)」と「貿易や投資」に着目せよと説く。

この場合の貿易は、モノの貿易ではなくて、「サービス収支」のことである。さらに、投資は、戦略的提携のことを指している。
グローバルな資金フローの例は、こちら(「第1-1-1-9図:主要地域間の資金の流れの変化」<通商白書2010年版>)。
情報の供給とは、情報(コンテンツ)製造業/供給会社/供給者とその伝達機器のことで、
実例としては、会合、ソフトウェア、雑誌・本、映画・ビデオ、インターネットなどが挙げられ、
現代の知識情報化社会では、これらで構成される情報(生産)供給が、お金の供給を超えているとされる。

彼は、工業化社会では、国際経済の指標(貿易収支やFDI)が重要で、現代の脱工業化社会(知識情報化社会)では、
グローバル・エコノミーの指標(サービス収支や戦略的提携)に着眼点を置くことを強調したものである。

サービス収支とは、輸送、旅行、通信、建設、保険、金融、情報、特許の使用料などのサービスについて、
「海外へのサービス提供(輸出)」から「サービス購入(輸入)」を引いたもの。
*国際収支=経常収支+資本収支+外貨準備増減
*経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支
*資本収支=投資収支+その他資本収支


そこで、
現在世界の国々の中で元気のある国々がどこかを、
ドラッカーの分析に基づいて検証してみた。

サービス収支が黒字の国々は、

【アジア地域】
台湾(2001年を除いて、1999年から2009年)
シンガポール(2005年以降)
インド(2002年以降)
タイ(2009年を除いて、2005年以降)
インドネシア(2007年を除いて、2004年以降)

【北米・中南米・大洋州】
カナダ(2002年以降)
メキシコ(2001年以降)
ブラジル(2000年以降)

【欧州】
ドイツ(2007年以降)
英国(2005年以降)
オランダ(2002年を除く、1998年以降)
ベルギー(2005年以降)
などとなっている。

もちろん、

日本と米国は、サービス収支はずっと赤字である。
日本(1996年6兆5311億円赤字、2010年1兆3897億円赤字)
米国(1996年2兆3457億円赤字、2009年5764億円赤字)
(日銀の1996年から2009年(日本は2010年)までの統計資料→国際収支の指標グラフによる)

ドラッカーの洞察力は、国の発展形態や盛衰が統計結果によって裏付けられているようだ。


◆グローバルな文化の5次元(フロー)(人類学者アルジュン・アパデュライ)

インド出身の人類学者アパデュライは、グローバリゼーションを以下の5つの次元(フロー)として捉えている。

1. エスノスケープ(ethnoscapes)
2. メディアスケープ(mediascapes)
3. テクノスケープ(technoscapes)
4. ファイナンススケープ(financescapes)
5. イデオスケープ(ideoscapes)

彼の-scapesは、造語であるが、ポスト国家社会の姿(ボーダレス国家とかトランスナショナル国家<国家を超越した国家>とも言う)を想像した世界として提示したもの。

エスノスケープ(ethnoscapes)は、難民から旅行者までを含む絶えず移動する民族(の世界)のことで、
メディアスケープ(mediascapes)とは、マスメディア的なシステムや商品(新聞、雑誌、映画など)によって生み出される世界で、グローバルレベルで情報配信がなされる。
テクノスケープ(technoscapes)とは、工業技術や情報技術の拡散によって支配される世界のことである。
一方、
ファイナンススケープ(financescapes)は、増加する金融資本によってもたらされる、国家を超越した経済関係を創りあげる世界のことで、
最後のイデオスケープとは、自由や民主主義、人権などの言説、政治的イデオロギーや社会運動の伝播に関連する世界(側面)を指す。

一市民の立場から観察すると、アパデュライのいう5次元文化の中では、エスノスケープとファイナンススケープが、文化のグローバリゼーション面で今後ますます注目されると思われる。
前者では、終身旅行者(PT: perpetual /permanent travelers)がすでに話題になったし、後者では、グローバル金融での個人資産の確保が必須事項となるためである。

日本の産業と言う観点から考えると、これまで培ってきた「テクノスケープ」による、新興国や先進国向けの工業技術のグローバル化などは、今後有力な競争優位になると思われる。

なお、現在北アフリカや中東での激しい民衆抗議行動は、イデオスケープとメディアスケープの世界が重なりあった、文化次元でのグローバリゼーションの一側面といえる。

ドラッカーの写真(右上)は、世界四季報から、
北アフリカ(リビア)の写真は、Live Blog - Lybia Feb 22 of Al Jazeera Englishから使用した。

【参考】

P.F. Drucker (1994) Trade Lessons from the World Economy, Foreign Affairs Vol 73, No 1, pp.99-108
P.F. Drucker (2005) Trading Places, The National Interest, Spring (Business & Economics) pp.101-107
Peter. F. ドラッカー(1995)「未来への決断-大転換期のサバイバル・マニュアル」pp.163-193 ダイヤモンド社
Appadurai, Arjun (1996) Modernity at Large: Cultural Dimensions of Globalization, Minneapolis and London: University of Minneapolis Press

☆★For Japan, 2010 was a year to forget (AP)★☆

2010-12-31 12:57:44 | Weblog
世界の反面教師として終える2010年、今は日本作り直しの時か(gooニュース・JAPANなニュース) - goo ニュース

>「second-tier power」とはつまり、日本が国際政治のスタメンではない、二番手の国になるということでしょう。

AP記者の文脈から判断すると、second-tier powerとは、(先頭グループでない)二番手の経済大国という訳語が適切ではないか、と考えます。
そもそも第2パラグラフでは、経済面のことに限定しており、翻訳者が理解されているように、外交、政治や軍事面での全体的なpowerの話ではないと考えられるからです。

◇◆第51回「(悪への)誘惑」と「試練」~日本人の理解の方法◆◇

2010-05-30 22:01:52 | ■ことばの背景(英語と日本語の備忘メモ)

◇◆第51回「(悪への)誘惑」と「試練」~日本人の理解の方法◆◇

TBSドラマ『JIN -仁-』の最終話を出張先のホテル(中華圏)で見た。
面白かったので、出張から戻り、日本からDVDを取寄せ12話すべてを見ました。

繰返し「神は乗り越えられる試練しか与えない」
との言葉が述べられ、
印象的だったので、ネットの反応を調べることにしました。

すると、
昨年大ヒットした番組であること、
この言葉が、ブログや知恵袋など、
日本人の間でさまざまな解釈が出ていることを知り、
これはもう、とても興味がそそられることになりました。

さて、
日本人的な解釈とは、

「神様を信じていなくとも、試練を乗り越える決意があれば、乗り越えられる」との解釈です。

試練とは、この場合、決心や実力の程度を試みること。または、そのための苦難ということでしょう。

一方、
神と言えば一般的には、キリスト教の神でしょうから、
早速、聖書の出典を確認した。

この言葉に近いことが言われているのは、
新約聖書の中で、使徒パウロがコリントの教会へ送った書簡だ。

コリント人への第一の手紙:10章13節には、

『あなたがたの会った試錬で、世の常でないものはない。
神は真実である。
あなたがたを耐えられないような試錬に会わせることはないばかりか、
試錬と同時に、それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである』
(日本聖書協会の訳)

となっている。

英語の文章を探したら、

1 Corinthians 10:13 (New International Version)

No temptation has seized you except what is common to man.
And God is faithful; he will not let you be tempted beyond what you can bear.
But when you are tempted, he will also provide a way out so that you can stand up under it.

No temptation has overtaken you that is not common to man.
God is faithful, and he will not let you be tempted beyond your ability, but with the temptation he will also provide the way of escape, that you may be able to endure it.

あるいは

But remember that the temptations that come into your life are no different from what others experience. And God is faithful. He will keep the temptation from becoming so strong that you can't stand up against it.
When you are tempted, he will show you a way out so that you will not give in to it.

が出てきた。

原文の意味を酌んで、私なりに訳すと、

『あなたたちが人生で出会った(悪に対する)誘惑は、ひとにはよく起きることです。
そして、神は真実で不変です。
神は、あなた方が耐えることのできない誘惑に会わせるようなことはなされません。
でも、あなたたちが(悪に)誘惑される時は、神は、それを逃れる道をお与えになり、
あなたたちはその誘惑に耐えることができる(かも知れません) 』

となり、
英文でのキーワードは、temptations 「(悪の)誘惑」となります。

日本聖書協会の訳で、temptations(trial)が「試錬」となっているのは、文脈から判断すると、
「神は、乗り越えられる(悪の)誘惑という試練(錬)しか与えない」ということでしょう。

日本人的な解釈では、
試練という言葉だけが取上げられ、
結局、宗教性が除去され、
善悪の意味がそがれ、
一般的な決心のかたさや実力などを厳しくためすことや、
その時にうける苦難の意味に変質してしまった、
ということです。

ここで気になったのは、

「神は」という、何か絶対的な存在が「そうした/そうしない」ということが、
道徳的な意味合いをもたず、
表面的な言葉だけで、
無条件、無批判に受け入れられることです。


【参考にしたのは】
コリント人への第一の手紙:10章13節
英語の文章
日本聖書協会の訳

※『JIN -仁-』の写真は、TBSのサイトから、右の聖パウロは、巨匠エル・グレコの描くパウロを使用しました。


★No.50 “Global Japanese-Their Role Models”

2010-03-25 23:47:35 | ■日本人はどこへ往く?

★☆No.50 “Global Japanese – The Role Models of Autonomous and Independent Japanese”☆★



This article deals with an appropriate image of a future Japanese.

From three viewpoints of knowledge, skill and attitude, five necessary conditions are required to discipline Japanese themselves who can work globally.

First is “Mastering knowledge is supposed to follow an information processing system.”
Second is “Be familiar with Critical Thinking/Writing.”
Third is “Enhancing English proficiency is critical, particularly speaking and debating.”
Fourth is “Be Assertive, not submissive.”
And
Last is “Ethnorelativism is one of the effective ways to commune with cross cultures and to prevail upon ethnocentric Japanese.”

Each explication is as follows:
1. An information processing system comprises three elements: input, process/analysis and output. Wrong inputs of information lead to tortuous results (outputs). Particularly, Japanese tend to receive imported information without criticism and examination. In case Japanese do not think critically, the stage of process and analysis is inappropriate to understand and analyze things.
Accordingly, collecting correct and appropriate information is critical through English writing not only via Japanese literature.

2. Critical Thinking/Writing is a Western standardized way to deal with things since Socrates. On the other hand, a traditional Japanese way of thinking including spiritualism with which materials can be controlled has not been effective in a real business society. At the same time, strategic viewpoints are expected to do better business.

3. According to IELTS, International English Language Testing System conducted by The Commonwealth of Nations encompassing the UK, Canada and Australia, Japan was ranked number 15 out of 20 non-English native countries in 2005. Besides evaluating humility higher, Japanese are in one of higher context societies where information is delivered worldwide and quite an implicit society. This was advocated by Edward T. Hall in 1955 and beneficial even now.

Western societies sympathize with explicit expression, not implicit words saying that “Silence is Gold”, the famous proverb in Japan.

Thus, Japanese are supposed to express clear, precise and understandable ideas by mastering debate and speaking globally.

4. Japanese are seemingly submissive and underline the image of modesty and humility, obeying Wa (harmony) both in a workplace and at home. Humility easily tends to submissiveness. To avoid this misunderstanding, such an attitude as assertive persons may be needed. Many Japanese behave with obsequious otherwise haughty manners.

Submissive attitude is one of the solutions to deviate from a servile and arrogant posture.

5. Learning Ethnorelativism will open Japanese eye to what cross cultural societies are. Ethnocentrism is based on the ideas and beliefs of one particular culture, race or group and using these to judge other cultures. On the other hand, Ethnorelativism that has been developed since Giambattista Vico is to accept other cultures by recognizing that one particular culture is one of many other ideas and beliefs in the world. With ethnorelativism, we can empathize with other cultures, being able to come in and go out of cross cultural societies.

Photos above who are global Japanese as a mentor :
from left above,
Inazo Nitobe (1862-1933), Educator, author of Bushido: The Soul of Japan(1900).
Daisetsu Suzuki (1870-1966), author of books and essays on Zen and Buddhism.
Kenichi Ohmae (1943-), business and corporate strategist, author of The Borderless World.
Jiro Shirasu (1902-1985), a brain truster of Prime Minister Shigeru Yoshida, bureaucrat and business person.
Tenshin Okakura (1862-1913), 1st Dean of the Tokyo Fine Arts School (now the Tokyo National University of Fine Arts and Music), author of The Book of Tea.

Japanese Ver.

★☆第50回目「グローバル・ジャパニーズ~自律型日本人のロールモデル(あるべき姿)」☆★

2010-03-25 15:18:33 | ■日本人はどこへ往く?

★☆第50回目「グローバル・ジャパニーズ~自律型日本人のロールモデル(あるべき姿)」☆★


さて、ブログ開設から50回目で、1084日目の今回は、日本を出て海外で働き暮らすための日本人(グローバル・ジャパニーズ)のあるべき姿を考えてみたい。

あるべき姿を実現するには、知識、スキルおよび態度の3種類の切り口から判断し、

5つのグローバル・ジャパニーズの条件が必要となる。
(といっても、十分条件ではないが)

これらすべては、学習によって習得できるものである。

★グローバル・ジャパニーズの条件1☆
「人間の知識習得は、情報処理システムに似ている」(知識1)

★グローバル・ジャパニーズの条件2☆
「Critical Thinking(クリティカル・シンキング。合理的な思考方法)に慣れること」(スキル1)

★グローバル・ジャパニーズの条件3☆
「語学、特に英語の運用能力(スピーキングおよびディベート)を高める」(スキル2)

★グローバル・ジャパニーズの条件4☆
「卑屈にならず、堂々たる態度をとる」(態度1)

★グローバル・ジャパニーズの条件5☆
「異文化(交り合う文化、多文化)に親しむためには、文化相対主義に目覚めること」(知識2)


それぞれ、解説してみよう。

◆条件の1:
「人間の知識習得は、情報処理システムに似ている」(知識1)

情報処理システムとは、「Output出力←Process処理+Storage蓄積←Input入力のシステム」のことである。
つまり、出力(=結果や成果)があるということは、まず第一に、「入力」(=的確な情報の収集)があり、その入力された情報を加工処理(脳の働き、2のCritical Thinkingを参考)し、蓄積(記憶)した上でなされるということである。

的確な情報とは、特に、海外発の情報には注意が必要となる。日本語に翻訳される時に、どうしても翻訳者のバイアスや思い込みが入り、原文との差異が出てくるからである。また、情報源の質の確認も重要となる。間違った情報を元にすると、その次の処理(分析や解釈など)や蓄積に齟齬をきたすことになる。英語の窓から知識を収集するひとと日本語だけの窓から知識を収集するひととの判断(出力)は、当然違ったものとなる。

参考:第31回「加速されるグローバリゼーションのモード(形)と情報の国籍」


◆条件の2:
「Critical Thinking(クリティカル・シンキング。合理的な思考方法)に慣れること」(スキル1)

Critical Thinking(クリティカル・シンキング)については、このブログで何回も触れているが、どうということはない。

というのは、ある分野では、日常的にやっていることなのだが、日本社会の中に身を置くと、つい伝統的な日本の文化慣習(空気)に流されて、和の精神、調和のこころが、正常な合理的な思考を停止(エポケー)してしまう。

ある分野とは、
自然科学分野の実験では、rationale(理論的根拠)を要請されるのは当たり前であり、スポーツでは、データ重視の野球が主流になり、産業界でも、POS(販売時点の情報管理)による販売管理などなど、西欧からの合理的な精神は日本社会の至るところにあります。一方で、「頑張れ、頑張る」といった、日本の伝統的精神主義的な思考(?)方法は、まだまだ、日本社会やビジネス社会には、根強く残っている。

社会に流されない、合理的思考を元にした判断および行動が求められている。

参考:第4回「批判するって、どういうこと?(健全なる批判精神のかたち)」


◆条件の3:
「語学、特に英語の運用能力(スピーキングおよびディベート)を高める」(スキル2)

「沈黙は金」、「男は黙って、、、」など、日本文化には「沈黙」は高く評価され、以心伝心のオリジナリティ(独自性)が長く言われてきた。これは、ホールの言う、周りの状況に左右されやすい「ハイ・コンテキスト社会」でのコミュニケーションの形であり、ほとんどの情報が既に人々に行き渡っているため、はっきりと表に出したり、メッセージとして明確に表現したりすることが、非常に少ない(苦手な)社会だ。一方、欧米社会に多い「ロー・コンテキスト社会」は、周りの状況に左右されにくい文化(ホール)であり、ロー・コンテキスト社会でのコミュニケーションは、大量の必要情報が、はっきりとした言葉で表現される。

欧米社会や欧米の言語(英語等)の思考方法に慣れたアジアやアフリカなどで生活、ビジネスを上手にやっていくには、あいまいでない、はっきりとした表現が必須となる。言いかえれば、話す能力や議論の技術を向上させていくことが求められている。

参考:第24回「クロスカルチャー・マネジメント理論と社会/ビジネスへの応用(その一)」


◆条件の4:
「卑屈にならず、堂々たる態度をとる」(態度1)

謙虚さは、欧米の文化でも、評価されることもある。英語では、humilityやmodesty(名詞)、humble(形容詞)などがあるが、謙虚さと卑屈さの境界があいまいなことや日本人の態度がともすると不可解なものととられ、市井では、プラスイメージというよりも、マイナスイメージになることが多い。

態度というと、極めて表面的なことだと思われがちだが、意外と、表面的なこと(例えば、身なりや自信に満ちた姿勢など)で他人を評価しているのは、海外の人々だけでなく、日本人自身の周りに見られることだ。卑屈さは、自信のなさに起因することが多く、自信のなさは、自己否定につながっていく。

この種の態度の分析は、第45回「Assertive(堂々と主張する)とSubmissive(従順な)のあいだで」を参照ください。


◆条件の5:
「異文化(交り合う文化、多文化)に親しむためには、文化相対主義に目覚めること」(知識2)

自文化絶対主義(エスノセントリック。一民族中心主義、自国中心主義、自グループ中心主義)とは、自分以外の他文化・異文化に対して、知識も興味もない状態のことを言う。言いかえれば、他文化・異文化への理解拒否あるいは否定の段階のことである。

一方、
文化相対主義(エスノレラティブ)とは、

自国文化を数多くの他の有効な世界観の正に一つであると感じることで、他の文化を容認することだ。世界は広い。アジアやアフリカなど、先進諸国とは違った貧困国でも、家庭生活はあり、人間としての感情はいずれも似たものがある。一度、その地に住めば、人間同じなんだなあと感じることが多い。つまり、多文化への共感の段階がくる。言いかえれば、他の異なる文化を理解し、それに相応しい方法で行動できるような段階がある。この経験を深めることが、2元文化あるいは多元文化理解の土台になっていく。そうなると、異なった文化の中に入ったり、出たりする、融合の境地に入ることが可能となる。

参考:「第21回「クロスカルチャー下でのチームワーク、そして朝青龍問題~それぞれの国の文化・習慣をどう乗り越えるか~」


この分野のメンター(師)となりうるような日本人(グローバル・ジャパニーズ)を写真としてあげた。


※上記の写真は以下のサイトから使用した。

・新渡戸稲造
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/denshi/g_works/gw07_nitobe.pdf
・岡倉天心
http://www.ibaraki.ac.jp/izura/data_item4.html
・鈴木大拙
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/denshi/g_works/gw14_suzuki.pdf
・白洲次郎
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4101288712/sr=1-3/qid=1269487166/ref=dp_image_text_0?ie=UTF8&n=465392&s=books&qid=1269487166&sr=1-3
・大前研一
http://www.microsoft.com/japan/business/enterprise/executivecircle_jp/new_industryrevolution01.mspx

English Ver

◆第49回「続 グローバル化のメリット/デメリットとは?」

2009-11-25 22:53:54 | ■日本人はどこへ往く?


 ◆第49回「続 グローバル化のメリット/デメリットとは?」 


前回第37回「グローバル化のメリットとは?」では、欧米側の経営的視点から、国際経営学のテキストを元に議論を進めた。欧米のテキストは、日本のこの種のテキストと違い、現実のグローバル企業の実証研究を調査し、それを体系化するものが一般的だ。

さて、
今回の「続 グローバル化のメリット/デメリットとは?」では、
日本の調査報告書を元に、グローバル化をどうとらえているかを考えてみたい。


◇経済産業省の見たグローバル化の実態◇

経済産業省は、2008年の通商白書(世界経済の動向および内外経済政策を分析した60回目の報告書)で、日本を取巻くグローバル化の現状をマクロ経済的に分析している。

企業の観点から見た「グローバル展開でのメリット(デメリット)」および家庭(労働者および市民)の観点から見たグローバル化のメリット/デメリットである。

企業の観点からは、

海外での証券投資の収益が増加していること、現地国への直接投資の収益が増加していることが示されている。これら海外への投資の収益を「所得収支」といい、これまで、日本の経常収支を黒字にしてきた「貿易収支」(クルマなどモノの輸出))は横ばいのままである。この所得収支の黒字の増加が、経常収支黒字の増加につながり、対外純資産の増加につながっている。これが、更なる海外投資へと好循環の輪になっている。

一方、
企業の観点でのデメリットとしては、

企業の海外進出に伴う「国内産業の空洞化」により、国内生産の低下→雇用の減少(所得格差)と連なっていく。

更に、グローバル展開をすることは、これまでの国内だけの競合企業との闘いだけでなく、全世界の競合企業との競争になるため、より過酷な状況になると言えよう。現地の商習慣、現地の社会制度・労働法などとの違い、他文化の顧客への対応など、これまでにない違った分野が出てくることになる。


次に、
労働者/市民から見た、グローバル化のメリットは何だろう。

金融サービスの面から見れば、インターネットを使って、これまでは、日本国内の金融機関のみに限られていた取引が、瞬時に、海外の金融資産に投資が可能になったことだ。海外の金利の高い金融商品に投資をして、利益を得ることが可能になった。

また、為替差益の面では、円高になればなるほど、海外旅行で日本円のメリットを享受できるばかりでなく、円高による輸入品の低下も市民の視点から見ればメリットとなる。

一方、デメリットについて
当白書では以下の指摘がなされている。

労働者の賃金が減少すること(グローバル化による労働者の交渉力の低下とITなどによる産業資本や技術の集約化が要因となる)。

また、外国人株主の保有比率が高い業種ほど、株主重視、従業員軽視で、賃金の低下が認められるとの分析もある。
さらに、国内では、スキルのある労働者とスキルのない労働者間の格差が拡大する。

海外へ行く日本人労働者や一般市民の場合、
世界語としての英語の活用が一般的であるため、現地の人たちとのコミュニケーションの取り方が至難となることが考えられる。

また、海外では、
現地の文化、社会への対応が求められるため、これまでのような国内での考え方や過ごし方では、現地社会への適応が難しくなる。
(カルチャーショックの回復法や海外でのアイデンティ・クライシスについては、第42回「日本人の自律心を育むには」を参照)

以上、白書を元に、個人の見解を加えて、
メリットおよびデメリットを考えてみた。

グローバル化と言うと、

まず、企業組織のグローバル化が頭に浮かぶが、
企業活動に伴う製品/商品のグローバル化や
技術のグローバル化は進んでいても、

ひと(労働者)のグローバル化、
金融サービスのグローバル化は、
これからの日本の大きな挑戦になる。


【参考】
経済産業省「通商白書<2008>新たな市場創造に向けた通商国家日本の挑戦」 
写真は、通商白書から使用した。


★☆第48回「自然、人間、挑戦/忍耐」~慰めから励ましへ☆★

2009-11-22 03:43:16 | ■日本人はどこへ往く?

★☆第48回「自然、人間、挑戦/忍耐」~慰めから励ましへ☆★

地震列島の日本では、古来から、自然への尊敬、畏怖や服従という感覚が一般的であった。これは、クルックホーン&シュトゥロットベックの「バリュー・オリエンテーション理論」トロンペナーズの「7次元文化モデル」に指摘されるまでもなく、日本人の間では共通認識となっている。

一方、欧米的考え方では、自然は征服すべきものとの信念があり、機械としての自然対象との感覚である。

日本的な考え方では、自然の驚異をそうやすやすと取り除くことは不可能であり、一度自然災害の猛威を経験すると、人間の無力感を感じる。その無力感を克服するには、「忍耐力」が最も大切な人間的対応であると考えられてきた。反対に欧米では、自然は征服すべき対象であるから、それに果敢な「挑戦」をして立ち向かうことが大事な人間的要素と考えられている。

この自然への忍耐、つまり自然への共生という習慣は、人間関係にも大きな影響を及ぼしている。人間関係でも、挑戦して相手を倒す、というよりも、耐えて、調和を持って、共生していくことが長年の日本人の知恵となっている。従って、耐えて耐える人を「慰める」ことが普通である。

欧米の文化では、どうか。自然に対しても立ち向かう。人間に対しても挑戦する。これが普通の感覚らしい。挑戦している人には、「励ます」ことが当たり前となるのだ。

さて、「第42回日本人の自律心を育むには?~エリクソンの人生8段階発達理論から」で触れたことだが、欧米人の励まし方の例をDr.Gary Chapmanのミリオンセラー(世界で300万部以上)の書物で検証してみよう。

彼は、結婚カウンセラーとして30年以上の経験をもち、まずい人間関係を克服し、より良い人間関係をつくるために「愛のコミュニケーション方法」を提唱している。愛のコミュニケーション方法とは、愛を表現するにはどうしたらいいか(愛の表現方法)というものだ。カップル向け、独身者向け、家族向けなど、いろいろな愛の方法集を刊行しているが、ここでは、カップル向けの有名な「5つの愛の伝えかた」を紹介する。

1.Words of Affirmation 「肯定的な言葉のやり取り<はい=イエス>」
2.Quality Time「二人で過ごすステキな時間をつくる」
3.Giving/Receiving Gifts「互いに贈り物を送ったり、受取ったりする」
4.Acts of Service, Acts of Help「奉仕やお手伝いをお互いに。家事育児などのシェアから自分たち以外の社会へのボランティア活動など」
5.Physical Touch「2人の触れ合いを大切に」

これら5つの基本的な愛の伝え方を、まずお互いに理解し合うことが必要。
つまり、相手はどの方法で、自分の愛を表現したがっているか、ということだ。
これは、相手の気持ちを忖度するのに長けている日本人には容易にマスターできるものだ。相手の愛の表現方法に気がついたら、それを素直に受け入れれば、自分自身の満足につながるだろう。もちろん、相手にも、自分の愛の表現を気づかせる努力も必要となる。そうすることで、お互いのコミュニケーションが良い方向へ発展し、2人の間の関係を克服できるんだ、ということになる。

こんなことを考えていたら、
たまたまNHK Worldで、「Hometowns in Focus/ハイビジョンふるさと発」 "Enduring Words ~Poet of Hiroyuki Tsutsui~"(2009年11月20日)で、歌人の笹井宏之(本名 筒井宏之)が取上げられていました。

日本人の家族(母やおばあさん)への愛の表現は

・シゲヨさん、むかしのことをはなすとき百合にならなくてもいいからね

(宏之さん本人のブログより:僕にはフィクションの歌が多いのですが、「シゲヨさん」は珍しくじっさいにいる人、祖母です。)

・冬ばってん「浜辺の唄」ば吹くけんね ばあちゃんいつもうたひよつたろ

(宏之さんの父のブログ:宏之が祖母のためにフルートで吹いてくれた「浜辺の唄」)

・葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある


笹井宏之の短歌より印象に残った句です。

・ひきがねをひけば小さな花束が飛びだすような明日をください

・ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす

・風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが

・えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください  (脚注を参照)


日本文化の優れた遺産のひとつ、短歌には、
これだけの(愛の)表現方法があるのになあ、と、
現実日本の家族や人間関係のつながりの希薄さに失望しながら、
この現代社会の有り様が、これまで耐えてきたことの代償だとしたら、
こんな不幸な国民はないでしょうに。

どうやら、
これからの人間関係では、
耐えることよりも、励ますことの方が、
なんだか得ることが多いような気がします。


◆上記の写真は、【些細】短歌というみじかい詩を書いています/笹井宏之とジェニファー・ロペス(JL)のアルバム「Brave」から。JLの歌詞や映画は、女性の強さや女性への励ましが中心コンセプトになっているものが多い。

◆(脚注)
「えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください」  
エーエンと口から、永遠と口から、永遠解く力を下さい
(エーエンは嘆き悲しみの声)との解釈も可能。

◆参考:
Dr. Gary ChapmanのWebサイト
彼の日本語訳の書物 「愛を伝える5つの方法」は、キリスト教文化を基盤とした2人への励ましの言葉になっている。

■□第47回「世界のリーダーに見るボディランゲージ」□■

2009-11-20 07:17:23 | ■ことばの背景(英語と日本語の備忘メモ)

■□第47回「世界のリーダーに見るボディランゲージ」オバマ大統領の聡明さ□■

上記の3枚の写真を見てみよう。
オバマ大統領の3種類の握手です。

中央のオバマ大統領の天皇陛下へのお辞儀については
米国内で議論が続いていますが、
日本人の私としては
ちっとも違和感は感じません。
よっぽど、
左の首脳の写真が気になりました。

みなさんは、
どういう感じがしますか?


クロスカルチャー(交じり合う文化)コミュニケーションの
視点から分析すると、こうなります。


左「先生と生徒」
中央「日本文化を敬う姿勢」
右「一般的な欧米のハグ」

首脳同士の握手という
ボディランゲージだけで、
その人の国際度
(どれだけグローバルな環境に慣れているか)や
聡明さ
がわかるようです。

右の李明博韓国大統領との握手は見ごたえがありました。
オバマ大統領は、李大統領に対して、
鳩山首相と同じように、左手で絡みます。
李大統領も、同じように左手で、オバマ大統領の
右手に絡みます。
すると、今度は、オバマ大統領は、
より近づき、ハグ(抱擁)となります。
それに答えて、
李大統領もハグを返します。(右写真)

ちょっとしたしぐさですが
一瞬の動作で
その人の心の中が透けて見える
よい例です。


写真は、左からトムソンロイター、中央は、読売新聞、 右は、APより

★☆第46回「国内のビジネスを、どうグローバルに展開するのか」☆★

2009-11-16 05:45:44 | ■日本人はどこへ往く?

★☆第46回「国内のビジネスを、どうグローバルに展開するのか」☆★


国内でのビジネスしか経験がない。
しかし、巷では、「グローバル化」が生き残りの戦略として議論になっている。
さて今回は、グローバル展開するには、何をどうしたらいいのか、を考えてみよう。

国内でのビジネスでは、人、もの、カネ、情報、技術などの経営資源(要素)が一般的によく知られている。

グローバルなビジネスでは、この国内版経営資源に加えて、グローバル展開のための6項目の経営要素が定番となる。

つまり、グローバルになりたい会社やグローバル・リーダーには、以下の知識が必要となる。

①地域貿易協定(FTA:自由貿易協定など)および貿易実務)[貿易関連知識]
②為替レートと利益の本国送金[国際財務管理]
③進出国の法律、政策、税金関連および知的財産のレギュレーション[進出国企業関連法および規定]
④本‐海外支店間の管理/統制[国際組織管理]
⑤多文化下での人的資源管理[国際人的資源管理、iHRM]
⑥異なる文化・商習慣の下での経営管理システム[国際経営管理]

経営者ならお分かりのように、国内だけの知識では、なんとも自社のグローバル化は足元がふらついてくるのである。言い換えれば、この6項目を看過して、国内と同じ経営要素だけでグローバルな経営展開を図ろうとすると、手痛い打撃を受け、挙句は失敗して、退却戦略の採用を余儀なくされることになる。

賢明な経営者であれば、
「ああ、そうなのか。これらグローバルな経営要素を勉強して(させて)、今までの国内での経営経験を活かしていけば、面白いグローバル展開になりそうだ。これは、自社の今後の世界発展への可能性となりそうだ」と、考えるだろう。

◆グローバル展開するための自社のビジネスモデルを確認する。

まず、世界へ船出するには、自社の足元を確認することから始めなければいけない。それは、自社のビジネスモデルが世界に通用するかどうかを見極めることに他ならない。

ビジネスモデルとは、儲けを生み出すビジネスの具体的な仕組みとか、競合する他社に対して、自社のもつ強みなどといわれている。後者の意味では、競争優位(コンペティティブ・アドバンテージ)をいかに確保していくかということが、企業の事業戦略および現代の経営学のメインテーマであり続けている。

競争優位については、古典的なM・ポーターの5フォーシズ(5つの競争要因)とジェネリック(一般基本)理論が、そしてポーターを乗り越えようとするRBV(リソースベース理論)などが激しい議論を展開し、これら両理論の前提ともなっているシュムペーターの創造的破壊・イノベーション理論などがある。海外での競合企業は、必ずと言っていいほど、この理論に基づいて、グローバル展開を検討している。
(参考 第32回「グローバルな競争優位を築くには~M・ポーター、RBVと両者の統合理論」および第38回「グローバル・ジャパンという方法

◆グローバル展開を行うプロセス

実証的な理論を基に戦略的に物事を考えるのが、欧米企業の常識となっている。日本の企業もグローバル展開を考えるに当たっては、戦略的に次のステップを取る方が成功への近道となる。

まず、グローバル展開をするかどうかのラフな意思決定の段階。
グローバル展開をしたいという希望から、するという意思決定の段階。
これには、自社の競争優位の確認がまず必要になる。ジェネリック理論に従えば、国内で自社の戦略的ポジションがどこにあるのか、なぜ国内で成功しているのかなどを確認する。

次に、それでは、どの地域、どの国へ展開したらよいか。

その後、いかに展開したらよいか。つまり、海外展開のモード(方法、様式)である。

ステップごとに説明をしよう。

1.展開するかどうかを決める(展開のタイミング)

自社の競争優位の源泉を確認する。低コストでの優位なのか、製品・サービスでの差別化なのか、はたまた、コスト集中か差別化集中か。更に、SWOT分析を進めてみる。とくに、S(自社の強み)の中のコア・コンピタンス(自社がもつ独自の能力)の抽出が大事となる。

つまり、自社の技術が世界を席巻する、世界を変えていく、革新的技術・サービスだとの自負がある場合や、自社の技術・サービスが想定国にまだ存在しないか、まだまだ適応できる余地があるという確認ができたら、グローバル展開を積極的に考えてみることだ。

2.進出先を選ぶ

● 国・地域の魅力度

進出先を選ぶには色々なアプローチがあるが、ここでは代表的な選定プロセスを紹介する。

まず、
「いろんな国・地域の魅力度」をおおまかに検討し、「事前選定」を考える。次に、「絞込み」の段階を経て、「本格選定」となる。

魅力度の要因として、自社製品・サービスの潜在マーケット度、そのマーケットの成長率、環境要因(気候・温度など物理的な要因、文化、政治・規制、経済、競合他社など)。

この基礎調査には、民間のコンサルティング会社、商社(貿易や総合商社)や政府系のJETRO(日本貿易振興機構)などへの相談が有効であらう。

民間のコンサルティングやリサーチ会社では、公開資料や有料のデータベースを駆使して、マクロおよびミクロ分析を経て、魅力度を推定する。マクロ分析とは、一国全体としての投資や消費などの考え方を用いて経済活動を分析することで、ミクロ分析とは、家計の消費活動や企業の生産活動など、個別の経済主体の活動を分析することにより、経済全体の分析に進む方法である。

国内の市場調査(マーケティング調査)では、コンサルティング会社、総合研究所、中小企業診断士などのコンサルタントが得意とする分野であるが、グローバル展開の場合、まだまだ、国内コンサルティング業界では経験不足があり、注意を要するところである。

グローバル展開する上で、現在魅力的なマーケットとして、一般的には、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やBEMs(新興市場:ASEAN諸国、中国・香港・台湾、インド、韓国、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ポーランド、トルコなど)、NEXT11(新興経済発展国家群のことで、イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ)が挙げられることが多い。

国の魅力度を調べる場合の情報源として、OECDやWTOなどの国際機関のWebサイトや、BERI、EIU(Economic Intelligent Unit)、Transparency International, World Bank Counrty Data, Euromonitor GMID (Global Marketing Information Database. この30年以上の歴史をもつ、強力な国別マーケティング・データベースは、欧米のコンサルティング会社の定番ソースとなっており、有用である)、Business International Market Reportなどが有効な情報源となる。

世界マーケットの中での魅力度のラフな測定の次は、ある地域・国に当たりをつけて、「事前選定」を行う。

(以降、「事前選定での検討事項」→「絞込み」→「本格選定」→「最終決定」へと進む)


※上記の写真は、零目的のブログ(上海・左)と、地球の歩き方「旅スケ」(インド・右上)およびEuromonitor GMID(ロゴ・右下)のウェブページより転載した。


【参 考】

★グローバル展開を行うプロセス

■事前選定
See Albaum, G., Duerr, E. and Strandskov, J. (2005), Market Entry Strategies, in International Marketing and Export Management, 5th Edition, Ch.6, pp.246-279, Prentice Hall

■本格選定の段階
See Pacek, N. and Thorniley, D. (2004), Market Entry Preparation, in Emerging Markets: Lessons for Business Success and the Outlook for Different Markets, Ch.3, pp.18-27, Profile Books

■財務面の税金関係では、財務省の「国際課税に関する資料」に詳しい

■日本と外国(地域)の自由貿易協定(FTA)
外務省の経済分野に詳述されている。
 
■JETRO(日本貿易振興機構)のホームページ(JETROの企業サポートについては、ドイツと同様に国際的な評価が高い)


☆★第41回(欧州追加版)☆オバマ大統領のエネルギー革命は本物か~グリーン・ニューディール構想の姿~

2009-11-05 01:11:21 | ■日本人はどこへ往く?

☆★第41回(欧州追加版)☆オバマ大統領のエネルギー革命は本物か?
~グリーン・ニューディール構想の姿~

(欧州追加版)
最下の参考「欧州スーパーグリッド構想」に関連して、
BBCは11月2日、
「デザートテック・インダストリアル・イニシアティブ」が
2050年までの欧州のエネルギー需要量の15%の供給を目的として、
4000億ドル(約40兆円)の新規開発事業にサインした、
ことを伝えている。
このコンソーシアムは、ミュンヘンに本拠地を置き、
太陽光発電により、2015年までに欧州へエネルギーの供給を開始する予定。
ドイツ銀行、ジーメンス、E.On(エーオン。ドイツの大手エネルギー会社)
が含まれている。
【参考】
BBC News
"Sahara Sun 'to help power Europe'"
2 November, 2009


☆ ☆ ☆
☆★第41回☆オバマ大統領のエネルギー革命は本物か?
~グリーン・ニューディール構想の姿~
(2009年3月1日オリジナル版)

世界の潮流として知られている
第3の波が「情報化社会」で、
その次の波は、「コンセプチュアル社会」
なのか、
「次世代エネルギー社会」なのか?

さて、その手がかりは、
オバマ政権のグリーン・ニューディール、
つまり、クリーン・エネルギー革命から読み取れる。
どこが、エネルギー革命なのか?
当分野の2大書物(パーニック/ワイルダーとT.L.フリードマン)を中心に、
あるべき姿と構想内容をひも解きたい。

エネルギー革命の柱は、
次の4つだ。

1.クリーンであること:
 ビルや家庭では、太陽や風力発電など自然エネルギー(再生可能エネルギー)を使い、
 従来の石油など化石燃料を使用せず、二酸化炭素を出さない(地球温暖化対策と石油エネルギーからの自立)。

2.自律・分散型のエネルギー・システムであること:
 従来の集中型から、地域や自宅でも、ネットワークを介しても、
 自由にエネルギーが使えること。
 「どこでもエネルギー」(停電対策、電力セキュリティの確保)

3.エネルギーの流れが双方向であること:
 Energy Internet (T.L.フリードマン)とも呼ばれているように、
 電気が電力会社からの一方向ではなくて、電力会社への双方向(電気の売買)であること。 
 電気だけでなく、電気使用情報も双方向化される。

4.スマートな電力・電気管理であること:
 送配電網でのロスを低減化。
 ビルや家庭の電気をIT活用で、省エネへ向けて効率的な電力管理。

言い換えれば、
エネルギー革命の核は、
19世紀後半から今まで続いている従来の電力システムから、
21世紀型の次世代電力ネットワーク(スマート・グリッド)システムを構築しようとすることで、
発電ー送配電ーユーザまでの、電力インフラ(電力基盤)と電気利用のシステムを、
革新的に変えようとする壮大な挑戦になっている。

発電はクリーンな自然エネルギーで、
送配電は超伝導高電圧直流送電で、
家庭/ビルの利用者はIT化された「スマートメータ」で、電力エネルギーをスマート(賢く)にマネージし、電気は蓄電され、エコカー(電気カー)にも利用しようというものだ。
送配電は、ウエスティングハウスにより標準化された従来の交流送電から、
当初エジソンが提案していた直流送電に転換し、長距離の送電ロスを大幅に低減する。
なお、この直流送電の構想は、米国だけでなく、欧州でも進められており、北アフリカのサハラ砂漠と欧州を結ぶ「欧州スーパーグリッド」のアイデアもある。

電力ネットワークシステム全体のビジネスモデルの一新を図るだけでなく、
利用者(米国民)のエネルギー(電気)まわりの意識からライフスタイルまでを大転換しようというものだ。

ここが、エネルギー革命と呼ばれる所以だ。

インターネット以前と以後のライフスタイルの変化を思い起こせば、
この来るべき革命についても想像できるかも知れない。

オバマ政権は、
グリーン・エネルギー(再生可能エネルギー)の開発体制として、
ホワイトハウスに新設した「エネルギー・気候変動担当補佐官」にキャロル・ ブラウナー女史(元環境保護局長官)を据え、関連の政府機関全体の調整役としてリーダーシップが取れる機能にしている。エネルギー関連省庁のヘッドには、エネルギー庁長官にスティーブン・チュー氏(元ローレンス・バークレー国立研究所所長、ノーベル物理学賞受賞者)、環境保護局長官にリサ・ ジャクソン氏(元ニュージャージー州環境保護局長)、商務長官にゲーリー・ロック氏(前ワシントン州知事)を指名、年間150億ドル(10年間で1500億ドル)の予算をつけることになる。
そして、IT革命に続くエネルギー革命も、プロトコルの標準化(デファクト・スタンダード)やクリーンエネルギー関連商品の開発を通じて、米国が世界を主導していきたいとの決意を示している。

新しいビジネスモデル(あるべきビジネスの姿)を基に開発を進めようとしている米国に対して、
日本はどのような体制、構想をもっているのか(いないのか)。

次回は、日本のグリーン・ニューディールの内容と日本企業の実力を見てみよう。


※スマートグリッドを視覚的に理解しやすいのは、GE(ゼネラルエレクトリック社)のWebページだ。
上図左は、GEのSmart Gridのイメージ。中央は、欧州スーパーグリッド構想(黄丸が太陽光、青色が風力、緑がバイオマス)。右図は、T.L. Friedman (2008), "Hot, Flat, and Crowded"の表紙カバーとなっている、ヒエロニムス・ボス作「快楽の園」(http://www.thebeckoning.com/art/bosch/bosch-garden.htmlより使用した)。

【参 考】

Ron Pernick, Clint Wilder (2007), "The Clean Tech Revolution: The Next Big Growth and Investment Opportunity," Collins Business
ロン・パーニック/クリント・ワイルダー(2008)「クリーンテック革命~第三の巨大ビジネスチャンス」ファーストプレス

T.L. Friedman (2008), "Hot, Flat, and Crowded: Why We Need a Green Revolution--and How It Can Renew America," Farrar Straus & Giroux

◆Smart Grid(スマートグリッド<スマートな送配電力ネットワーク>)の定義:米エネルギー省(英語)
Smart GridのIntroduction (スマートグリッド紹介):エネルギー省の冊子(英語)

欧州委員会共同研究センター・エネルギー研究所(IE of JRC)の欧州スーパーグリッド構想(英語)

畑良輔(2008年)「GENESIS 計画と高温超電導直流ケーブル~究極の持続可能な『新エネルギー』の活用について~」(日本語)

◆◇第45回「Assertive(堂々と主張する)とSubmissive(従順な)のあいだで」◇◆

2009-11-02 06:39:46 | ■ことばの背景(英語と日本語の備忘メモ)

◆◇第45回「Assertive(堂々と主張する)とSubmissive(従順な)のあいだで」◇◆


Global Japanese(グローバルに通用する日本人)の条件を、2つの英単語の間で考えてみた。

西欧での面接試験の資格要件に、Assertiveという評価項目があった。

日本の辞書には、
Assertive:
1.断言的な、断定的な 2.積極的な、強引な、有無を言わせない;独断的な (ランダムハウス英和大辞典)

断定的な、独断的な;自己主張の強い;自分に自信を持った;我の強い (ジーニアス英和大辞典)
と、

意味的には、マイナス・イメージの多い日本語訳になっている。


オックスフォード現代英英辞典(2005年第7版)を調べると、

Assertive: expressing opinions or desires strongly and with confidence, so that people take notice.
(「自信を持って、意見や望むことを強く主張する。そのことで人々の関心が集まる」)
となっている。

個性を大事にする西欧文化では、マイナスどころか、プラスのイメージである。

一方、Assertiveの反対語は、
Submissiveである。

Submissiveの日本語訳は、

1.(人が)(・・・に)服従する、従順な、おとなしい
2.(行為などが)服従的な、素直な(ランダムハウス英和大辞典)
-服従的な、従順な(ジーニアス英和大辞典)

同上のオックスフォード現代英英辞典では、
too willing to accept sb else's authority and willing to obey them without questioning anything they want you to do.
(「他人の権威をたやすく受け入れ、彼らがあなたにしてほしいことについて、疑問をもたず、たやすく従う」)

また、オックスフォード米語辞典(2005年第2版)では、
ready to conform to the authority or will of others; meekly obedient or passive.
(権威や他人の意思にたやすく従う;黙って、自己主張せずに、言われたことに従う)
となっている。

これは、西欧文化では、マイナス・イメージが強い。

海外で働くとき、
日本では価値の高い、
「謙虚さ」(Modesty, Humility)が
ややもすると(多くの場合)、
Submissiveとして理解されることが多い。

時には、この謙虚らしい態度が、
卑屈な(obsequious, servile)態度につながり、若い日本人でさえも、
『えへへ』と言った言葉や態度、笑いで、その場をとりつくろうことがある。
この態度は、Assertiveの対極に立つもので、西欧人からの評判はよくない。
また、卑屈さの正反対の「傲慢な、横柄な」(haughty, arrogant)態度になることも日本人にはよくあることだ。

グローバル日本人としては、
卑屈にならず、傲慢にもならない、
「堂々と主張する態度」の学習を進めることが必須になるでしょう。


さて、
大学院のクラスで、中国からのクラスメート(上海出身の政府機関の女性)に、日頃感心していることをぶつけてみた。

「中国人の報道官って、みなさん、堂々と意見を主張してますよね。なんだか、中国人って、アメリカ人と性格が似ている印象をもっていますよ」(わたし)
「ええ?あれは、外向きの訓練を受けているんですよ。海外へ報道するときは、はっきりと主張するのが彼らの役割なんです。ああいう態度を、国内で取ったら、みんなから嫌われますよ」(彼女)
「ええっ、ほんとですか~?てっきり、アメリカ人と同じ性格かと思っていました」(わたし)

日本の外務省は、内向きも外向きも同じようです。
クリティカル・シンキングや海外との交渉の訓練さえも、
受けていないようです。

というのは、NHK Worldで「ミャンマーの民主化」(Asian Voices 10月24日放送)を見た時に、日本人ゲストのプレゼンス(存在感)の希薄さに失望したものです。
NHKの伝統的な演出(国内、海外向け共に)は、司会者の隣に、(日本人)ゲストを据え、討論のまとめをするという構成になっています。

英語の討論能力以前に、海外ゲストの情報収集能力や多角的な分析とのギャップの大きさ、分析能力の貧弱さやプレゼンテーションのスキルのなさなど、
ああこれが日本で最高と言われている優秀な官僚の限界なんだなと、感心したのでした。


写真は、Asian Voicesと中国報道官の写真を使用した。


【参考】
Asian Voices (Oct. 24, Sat."MYANMAR: DEMOCRATIZATION")