原題: THE READER
監督: スティーヴン・ダルドリー
製作: アンソニー・ミンゲラ / シドニー・ポラック / ドナ・ジグリオッティ / レッドモンド・モリス
原作: ベルンハルト・シュリンク
脚本: デヴィッド・ヘア
撮影: クリス・メンゲス
衣装デザイン: アン・ロス
編集: クレア・シンプソン
音楽: アルベルト・イグレシアス
ケイト・ウィンスレット
レイフ・ファインズ
デヴィッド・クロス
レナ・オリン
アレクサンドラ・マリア・ララ
ブルーノ・ガンツ
★★★★★
原作を読んだ後に観る映画は、自分のイメージにこだわりすぎて、厳しくなりがちだが、これは裏切ってくれた。最初から原作の匂いが・・・うれしい。
デヴィッド・クロスの雰囲気のある表情に魅せられ、マイケル目線の映画鑑賞となってしまった。(そういえば、原作もマイケル側から語られていたので、正解かな?)このときは17・8歳。恐るべしデヴィッド・クロス。役と同様、将来はレイフのような実力俳優に。(羽ばたいて欲しいが、機内ではお静かに・・・)
ハンナに魅せられセックスを体験し、はしゃぐ少年マイケル、戦犯である過去に衝撃を受け、秘密を知っても救うこともできず悩む大学生。
初々しい姿は、本来 興味本位にもとられる二人の関係を、美しく貴重な出会いに映しだす。もはや円熟さえ感じる堂々とした女デニーロ、ケイト・ウィンスレット 。彼女が引き立ったのも デヴィッド・クロスの貢献あってこそと思われる。
役同様、影響を受けるデヴィッド・クロス。これからはあの相手役の?と注目されつづけるでしょう。楽しみな人です。
ハンナへの何かしらの罪悪感から、悶々と暗い時間を過ごし、朗読者になることで自分と向かい合い、贖罪しようとする大人のマイケル役 レイフ・ファインズ。その存在は、ともすれば回想シーンという感じになりがちな若い頃も、抑制のきいた演技により マイケルその人が浮き出ていた。 二人のつなぎは自然でよかった。
テープの朗読シーンはこのドラマの大切なところ、迫力で感動。さすがレイフ・ファインズの見せ場でした。
ドイツだけではない。戦争や特にナチやホロコーストなど悲惨な体験は、起こした世代その次の世代にも、重い問題や悲劇をもたらす。そしてそれは当事者だけでなく、その時代に生きた人みんなが犠牲者になるということ。有罪と無罪の境界、加害者と被害者。ラブストーリーに浸る他にも、角度を変えてみる必要のある作品なのでしょう。
ハンナの人生の選択を狭めてしまったもの。背景にあるものなどなど・・・・
レナ・オリンが重要なホロコーストの生き残りの(親子?)役で登場する。やはり特別が似合う。そして原作よりも はっきり希望がみえるラスト。
ドイツ語の映画にすると、生々しすぎて暗いものになる、なまった英語劇の方がかえって普遍的な話にもなり 観やすくなったのかも。私的には「スラムドッグ$ミリオネア」より断然こちらの方がよかったなあ。アカデミー賞には内容が深刻で暗く足かせかな?
アンソニー・ミンゲラとシドニーポラックのエンドレジットが切ない。恋愛物としての金字塔「追憶」。私が最初に買ったDVDです。
原作も映画も もう一度見返してみたい。