銀の匙かげん

後味よい 究極ハッピーエンドをめざす
これまで観た好みの映画のことなど 
ぼちぼちと 備忘メモとして

恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

2009-07-30 | 映画
「アイアンマン」での変貌にはびっくり!!
若い頃からずーっと眺めているジェフ・ブリッジス。もっと脚光を浴びても?と思うが、そこが、気負わず自然なこの人の魅力でもある。美形の二枚目ではないが、甲高くしゃがれた声のまま、渋く年をとっている。活き活きとしたユーモラスなイラストを見るのも楽しみ。これからも、いろいろな方面で活躍してほしいMy Funny Valentine。そんなジェフ・ブリッジスの魅力が光ってる「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」。

1989年
原題「the fabulous baker boys」
監督・脚本 スティーブ・クローヴス
製作総指揮 シドニー・ポラック
音楽 デイブ・グルーシン

ジェフ・ブリッジス
ミッシェル・ファイファー
ボー・ブリッジス

1989 - Los Fabulosos Baker Boys - Trailer


ホテルのラウンジを専門に回る兄弟ピアニスト、フランク(ボー・ブリッジス)とジャック(ジェフ・ブリッジス)。ちょっとすれた感じの美人ヴォーカリスト、スージー(ミシェル・ファイファー)。三人が絡む恋愛と兄弟の葛藤、夢と挫折の物語。
原題は「the fabulous baker boys」だから、兄弟の物語が中心なのでしょうが、やはりスージーとジャックの恋のゆくえが気になる。はすっぱで、小悪魔的、自分をもってはいるが、どことなく男に頼っているセクシーなスージー。才能はあるが、いつもタバコをくわえ、怠惰な生活をおくるジャック。たまに、馴染みの店で演奏することで自分を紛らしている屈折した一匹狼。ある意味似た者同士の二人。

年末のリゾートホテルのジャックとスージー二人のステージ。赤いドレスを着たスージーが、ピアノの上に乗って唄うシーン、まさに悩殺。(このシーン、誰かがマネしてたっけ?)ミシェル・ファイファーの魅力爆発で、はまり役です。
「エイジ・オブ・イノセンス」では、あまりにもミスキャスト。やっぱり、庶民的でセクシーがこの人の持ち味だ。
そんな二人の大人なラブシーン。クールなジェフ・ブリッジスの素敵なこと。男くさくて、優しい、屈折してるけど純粋、そんな二面性が格好よく映る。こんな役を続ければ脚光浴びるはずだけど・・・定まらない役選びがジェフ・ブリッジスの良さでもあります。

家族との安定した生活を楽しむ兄と、夢を捨てきれずもがいている弟との葛藤も、二人の自然な(勿論)やりとりで、余分な説明がいらなく温かく伝わる。和解の即興演奏の場面なんかは、納得。お兄ちゃん全編通して、いい味出してます。the fabulous baker boysでした。

そして、エンド・ロールで流れるミシェル・ファイファーの「My Funny Valentine」。
時に、古いレコードを取り出してかけたくなるような、ジャズの雰囲気を映像で味わえる、そんな一本なのです。

キレイ系のジェフを観たくなる時は、「マンハッタン・ラプソディ 」。バーブラ・ストライザンドはやっぱり目が高い。玄人好みなのでしょうか?ローレン・バコールも出ていて、バーブラ・ストライザンド物にしては、肩の凝らない楽しいラブコメ。ウィリアムハートとサムシェパード、クリントイーストウッドを混ぜ合わせたようなジェフ・ブリッジス。欲張りでないところが魅力的。

トニー・レオン = チャウ 「花様年華」 「2046」

2009-07-23 | 映画
トニー・レオンのチャウ、これはもう切り離せないキャラクター。
他の作品でも、スーツ姿で歩く場面を見ると、どうしても重ねてしまう。役者にとって、固定したイメージはマイナスなのでしょうが、やはり意識してしまうのです。

花様年華 2000年
監督・脚本・製作 ウォン・カーウァイ
製作総指揮 チャン・イーチェン
撮影 クリストファー・ドイル / リー・ピンビン
美術・編集・衣裳 ウイリアム・チャン
美術 マン・リンチャン / アルフレッド・ヤウ
音楽 マイケル・ガラッツ
トニー・レオン
マギー・チャン
レベッカ・パン
ライ・チン
スー・ピンラン

In the Mood for Love (unofficial trailer)


『女は顔を伏せ近づく機会を男に与えるが 男には勇気がなく女は去る』話は冒頭のこの言葉に尽きる。

偶然同じ日にアパートに引っ越してきた、新聞記者のチャウ(トニー・レオン)と商社で働くチャン(マギー・チャン)。二人は、互いの妻と夫が浮気をしていることに気づき戸惑うが、それをきっかけに惹かれあっていく。言ってみればW不倫の話です。(確認しあう事柄は、そんなことする?と突っ込みたくなるが・・・昔だから)

画面全体に漂う60年代の香港の匂い(色香)。
バックに流れる「夢二のテーマ」(梅林茂) ナットキングコールの「キサス・キサス・キサス」などラテンの音楽、中国楽曲など、『ここはどこ?』『いまは?』っていう気分です。いろんな人種や文化が混在してる香港そのものなのでしょうか?不思議にいいムードで溶け合っている。
ウォン・カーウァイ 自身「夢二のテーマ」がお気に入りなのか、他の作品にもよく使っている。この曲が流れると、画面はスローモーションになり、ブンチャッチャのリズムとともに、官能的な映像が頭に残って消えなくなる。
鈴木清順の大正ロマンの世界、色彩感覚、退廃的な雰囲気とウォン・カーウァイの世界、呼び合うものがあるのでしょうか。(かなり昔、鈴木清順が映画界から追放?されていた頃。活動を応援する「自主映画会」という形でしか鑑賞できなかったので、わざわざK市まで出かけて観たりした。ビデオ・DVDがない時代の懐かしい思い出の一つ)


「花様年華」とは、女性を形容する言葉らしい。女性の最も美しい時期、花の盛りを意味するとか。マギー・チャンの、襟が高く体にピッタリのチャイナドレス、その姿の美しさ。子犬のようなトニーレオンの濡れた目。すっかり魅了される。

それぞれの相手は、後ろ姿や声だけで、思わせぶり。話の内容から関係を知るとか、お芝居ごっことか、こちらも画面の二人と同様、考えてしまう状況に陥る。スローモーションの映像がまた誘ってくれるのです。クリストファー・ドイルにひきづられて。

日本製の炊飯器、屋台に持っていくポットや食べ物、喫茶店、スリッパ、香港のお部屋事情、マギーの箸とペンの持ち方、上海と広東など、身近な興味とあいまって何度も観てしまう。すりガラス越しで覗いてるような自分が居たりする。何てこと!

主演の二人は勿論だが、鋭い家主レベッカ・パン 、浮気者社長のライ・チン、全身エロいスー・ピンラン、脇がいい。
アンコールワットで秘密を封印するトニーのラストシーン。あの世界が優柔不断男を、清め生き返らせますね。「ブエノスアイレス」では、チャン・チェン に南米最南端の岬で、代わりに悩みを捨ててもらってたっけ?確認しなければ・・・

「欲望の翼」の続編がこの作品で、この続編が「2046」。抜け出せなくなる、ウォン・カーウァイ の『時間』なのです。

2046 2004年
製作・監督・脚本 ウォン・カーウァイ
美術・編集 ウィリアム・チョン
撮影 クリストファー・ドイル / クワン・プンリョン / ライ・イウファイ
音楽 ペール・ラーベン / 梅林茂
トニー・レオン
木村拓哉
コン・リー
フェイ・ウォン
チャン・ツィイー
カリーナ・ラウ
チャン・チェン

ちらっと出てくるだけのチャン・チェン とコン・リー 、二人が印象的。
キムタクの曖昧な語り、映画に合っているのかも。美味しい役どころでは?

善き人のためのソナタ

2009-07-20 | 映画
今年はベルリンの壁が崩壊してから20年。その一部が、彦根の製薬会社にあり、東京に移して展示されるという。
東西冷戦時代の象徴も、今は平和の象徴としての役割をはたしている。
当時の、ベルリンの壁崩壊のニュース映像は、今でも鮮明に覚えている。それまでに壁を越えようとして射殺された人々の話など、現実の映像と重なり衝撃を覚えたことも。

監督・脚本
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
音楽 ガブリエル・ヤレド

ウルリッヒ・ミューエ
マルティナ・ゲデック
セバスチャン・コッホ

1984年、ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツ。国家保安省(シュタージ)の職員ヴィースラー大尉、彼に監視・盗聴される劇作家ドライマンと恋人の女優クリスタ。
盗聴する毎日を送るうちに、愛し合う人間性あふれる二人や、芸術・文学にしだいに惹かれ、自分の中の忠誠心と葛藤するヴィースラー。密かに憧れの女優だった、クリスタに対する思いも重なり、心は静かに、激しく揺れ動き変化していく。

中でも自殺した友人を想って、ドライマンが演奏するピアノ曲(この曲を本気で聴いた者は、悪人になれないという)「善き人のためのソナタ」を聴くヴィスラー。
邦題にもなっているこの曲は、ガブリエル・ヤレドがこの映画のために書いたオリジナル曲だとか。昔の有名な曲かと思っていた。ミンゲラ作品やラ・マンなど、作品への影響力がある、才能あふれる人です。盗いや『試聴』お勧め。

画面全体から漂う灰色の世界、日々息をひそめて暮らしている時代。誰もが密告者にみえる。それが30年もたっていない時であることや、ヴィースラー役ウルリッヒ・ミューエ本人も、十数年も密告され続けていた事実など、寒い思いがする。
映画を製作したのが、西ドイツ出身の若者だというのも、まだまだ根深い深刻な問題がありそうだ。そして、似たような国が今も存在することも。

自分の資料を読み秘密を知るドライマンは、解放後もまだ昔を引きずっているかに思えるジャンパー姿の男・ヴィスラーをみつける。当時の資料の保管の様子や、それを個人で閲覧できることなど、日本ではどうなのかな?と思ってしまう。
ラスト、ヴィースラーがドライマンの本を手に取るシーン。救われ、感動します。
善き人のためのソナタ・・・そなたで在りたいものだ。

A Vida dos Outros - Trailer

何処の踊り子 筋肉痛なのだ

2009-07-11 | 旅行
美しい夕日をみたくて西伊豆へ。連日の雨、さてお天気は?
朝まで降ってた雨が止んでる~ やったね!
西から登ったお日さまが東しず~む
      逆バカボンだから、西伊豆、ここでいいのだ。
沼津で合流、旅慣れてるの愛車で出発
道案内も運転もお任せしちゃったね。

湯本館 川端康成が『伊豆の踊子』を執筆した旅館。
「日本秘湯を守る会」の宿で、貸切で利用できるとか。話好きな青年、そっかぁ~、彼女と一緒でそわそわ、私達とのお喋りで落ち着いたかな?
福田屋 昭和の雰囲気がしっくりくる時間がとまり落ち着くのでした。
 
浄蓮の滝 河津七滝 滝めぐり
連日の雨で水量が増し迫力あり。久しぶりの自然散歩。マイナスイオンで若返り?・・・してるはず。

天城トンネルまで往復1時間のハイキング、渓流は緑が雨で洗われ、風も気持ち良い、登りより下りの方が傾斜がはっきり体に感じる。車でも通り抜けできるけど、お喋りしながら、ゆったり気分で歩く方が断然楽しい。

トンネル内は自然のクーラー、中から見る外の景色は、一幅の絵画だ、
当時としては破格なお金を使っての工事だったらしい。今は『旧トンネル』


開港の町、下田によってペリーと会う。下田道の駅は夕方4時まで、残念。漁港だから、朝は早いのかも。
お腹もすいたので、宿泊地、ナマコ壁の町 松崎温泉へ
道中、川沿いの桜並木。花の時期はさぞかし素晴らしいだろうなあと、全てお任せで、のんきに妄想をめぐらすなのです。
ホテルの部屋は、ばっちりオーシャンビュー。さすがキャリアを生かしたの交渉、あっぱれ!
さて、さて   ああ~雲が・・・・
晴れると 

雨が降らないだけでもありがたい梅雨の旅。また「おいで」と言うことかな?
それにしても足が痛い。ゆったりお風呂で癒そう。
山と海と川、静岡の奥深さを知った一日だった。

明日は石廊崎 堂が島 洞窟めぐり 
4年に一度は会いたいねと始まった旅。そんな会にぴったりな、『トンポロ現象』も明日は見れるね。


ジェイン・オースティンの読書会

2009-07-07 | 映画
ジェイン・オースティンというだけでときめく もうこの時点で、字幕をおいかけながらの「読書会」メンバーに・・・舞台裏の参加者なのです。
オースティン好きの女性5人と、偶然誘われたSFマニアの男性の、月に一度の読書会。6冊の小説と、それぞれが抱えるトラブルが、面白いようにリンクする。いちいち引っかかるセリフ、先を読む快感、それを見つける楽しみなど、強力なカードを持ってる気分です。
 2007年
原題:The Jane Austen Book Club
監督・脚本:ロビン・スウィコード
原作:カレン・ジョイ
撮影:ジョン・トゥーン
音楽:アーロン・ジグマン
美術:ラスティ・スミス
★★★★★

読書会メンバー
2月「エマ」→ ジョスリン(マリア・ベロ )
 ブリーダーで独身、友人に恋人を譲った世話やき
3月「マンスフィールド・パーク」→ シルヴィア(エイミー・ブレネマン)
 ジョスリンの友人、夫に突然離婚を言い出される
4月「ノーサンガー僧院」→ グリッグ(ヒュー・ダンシー)
 ジョスリンに誘われて参加したSF愛好家
5月「自負と偏見」→ バーナデット(キャシー・ベイカー)
 結婚6回、豪華な人生をおくる読書会の発案者
6月 「分別と多感」→ アレグラ(マギー・グレイス)
 シルヴィアの娘、レズビアン
7月 「説得」→ プルーディー(エミリー・ブラント)
 フランス語教師で夫に不満あり。ピッピーの家庭で育つ

ジェイン・オースティンの読書会


200年前の小説だけど、人の悩みは、今も昔もそう変わらない。かえって便利でない、シンプルな昔の方がお手本になったり。物語はそれぞれの人生を豊かに幸せな方向に導いて、トラブルを解決していく。常温で解凍するような解決の速度が心地よい。そして納得のいくラスト。最後に登場する現代のダーシー。ちゃんと読者をくすぐってくれます。フレーズフレーズも面白く、ファッションやカジュアルな生活スタイルも楽しめ、幸せな気分にさせてくれる掘り出し物でした。
ヒュー・ダンシー、お姉さまに好まれる役ぴったりです。


アルバムにあった父の『読書会』仲間との写真。ジェイン・オースティン作品とは無縁な面々、でも今は同じ処に・・・。
『読書会』    懐かしい響きだった。


愛と追憶の日々   夕べの星

2009-07-02 | 映画
ちょっと渇き気味な時には、激情ものでなく、じんわり遠赤効果があるドラマがよい。そんなサイズの話がお得意な ジェームズ・L・ブルックス。身近な台詞や、後になって「ふふふっ」とくる笑い、チャーミングな登場人物など、良質なビタミン剤なのです。


愛と追憶の日々  1983年
原題 TERMS OF ENDEARMENT XXX
監督・製作・脚本:ジェームズ・L・ブルックス
原作:ラリー・マクマートリー
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
音楽:マイケル・ゴア
編集:リチャード・マークス

デブラ・ウィンガー
シャーリー・マクレーン
ジャック・ニコルソン
ジェフ・ダニエルズ
ジョン・リスゴ
★★★★☆
ジェームズ・L・ブルックスの初監督作品。
未亡人のオーロラ(シャーリー・マクレーン )と娘エマ(デブラ・ウィンガー)、二人は互いに反発しながらも、深い絆で結ばれている友達のような親子。
過干渉で気取り屋、それでいてお堅いオーロラ。母親の反対を押し切り結婚し、三人の子供を産み育てるエマ。隣人の元宇宙飛行士ギャレット(ジャック・ニコルソン)との交流。そしてエマの病気・・・

癖のあるキャラクターを演じると、がぜん持ち味を発揮するシャーリー・マクレーンとジャック・ニコルソン。
ウイットに富んだ二人のやりとりは、気持ちを柔らかくしてくれる。

澄ましてて寂しがり、そして天真爛漫なオーロラは、シャーリー・マクレーンそのもの?
ユーモアのセンスと覚悟のある人。
何より役を楽しんでますから、観てるこちらも弾んでくる。

ジャック・ニコルソン
自分の中に未だ残ってるイメージは「イージー・ライダー」「ファイブ・イージー・ピーセス」「カッコーの巣の上で」など、ニューシネマとかニューウェーブ(ニューという死語)などと呼ばれてた?ころの気味悪系の異端児。
それが、ジェームズ・L・ブルックスの手にかかると、愛すべき叔父様になり、いつも話題をさらっていく、おいしいキャラクターにしてもらえる。
異端児がいまだ生き残っているのですから、存在たるや(おなかの出っ張りも、額の広がりも)格好よく重要なのです。役も役者本人も。

かわいそうなのは、エマの夫役のジェフ・ダニエルズ。役でも演技でも損ばかり。
得難い個性なのに陽が当たらない。それでもこのデビューの印象が強く評価が高かったのか?「イカとクジラ」「めぐりあう時間たち」でも晴れ晴れしない作家や教授役で活躍。

身近な話ではあるが ちょっと夢のある設定。しかも悪人が出てこないのが、ジェームズ・L・ブルックスの魅力。
「ブロードキャスト・ニュース」「恋愛小説家」「スパングリッシュ」など。積み重ねて楽しみたい映画です。

続編の「夕べの星」1996年
原題: THE EVENING STAR

監督・脚本 ロバート・ハーリング
シャーリー・マクレーン
ビル・パクストン
ジュリエット・ルイス
ミランダ・リチャードソン
★★★★★
オーロラと孫、彼女を取り巻く友人たちのその後を描いた作品。
シャーリー・マクレーンおばさん健在。
ここでも、ジャック・ニコルソンがいいとこどりです。
前作にもましてよく出来てる、気持のよい2作品です。