切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

「引きこもり」「拡大自殺」「無差別殺人」「誰でもよかった」・・・全く気が滅入る。

2019-06-02 23:59:52 | 社会



 先日の川崎市での無差別大量殺傷事件。容疑者は自殺したので、本人の口から動機などを聴取することができない。当然捜査については、容疑者の生活実態や置かれていた状況から類推するほかない。そういった意味では事件の根本的な解決は難しいだろう。もちろんここで言う解決とは、動機の解明等一連の容疑者の考えていた事、行動形態等であり、そういったことが事件とどのように関わってきたのかということが、一定合理的に解明できればと言うレベルになるだろう。

 この事件についてはもちろん大きく取り上げられた。マスメディアはこの中で「引きこもり」や「拡大殺人」といった表現を使用。一気に注目を浴びるようになった。またSNS上では「死にたいんだったら自分ひとりで死ね」といった趣旨の発言があふれたと言う。
 私はそういったSNSはほとんど見ないに等しいので、ネットニュースやマスメディアのニュース、あるいは情報番組を通して知ることになる。一方で、そのような発言は慎むべきだと言う反論も出ていると言う。このことが次の類似の事件を誘発する可能性がある、あるいは似たような環境にある者がさらに精神的に追い詰められる、と言うような趣旨から出る反論のようだ。
 様々な発言やメディア報道の意見を見聞きすると、どれもこれも私自身の心情にすんなりと入ってくる。確かに絶望して、この世に生きててもしょうがない、消えてしまいたい、と思っているんなら、自分の責任で自分1人で死ね、と言う主張は、世間一般的にはごく普通に受け入れられるだろうと思う。
 世間のかなり多くの人々は家庭というものがあって、何人かで暮らし、あるいは一人暮らし、であっても会社などの組織に所属し、多種多様な人間関係の中で生活を送っている。そこにはこれまたごくごく普通に、喜怒哀楽がお互いにあり、艱難辛苦を一緒に乗り越えていくと言う、苦しさ、達成感、嬉しさなどがある。
 そういった点から見ると、あまりにも自分勝手で、見ず知らずの人たちを突然おそいかかって殺傷すると言うのは、極めて理不尽なことだと言う他は無い。世間の怒りはもっともだ。
 この事件をきっかけに急浮上した言葉がある。「8050問題。」この言葉は一応以前から知ってはいた。簡単に言うと、80歳代の親元で50歳代の独身息子(娘)が生活していて、80歳代の親は体力低下の状況下で、50歳代の息子の面倒を見ることができない状態になって、その家庭内は深刻な状況に陥っていると言うものだ。
 その時にほとんどのケースで、息子や娘と言うのはいわゆる「引きこもり状態」になっているケースが多いと言う。そしてこの状況が続けば10年後には「9060問題」になっていくと考えられている。背景にあるのが「引きこもり問題。」
 引きこもりといえば、一般的には学校在学中に何らかの形で不登校となり、それをきっかけに引きこもり状態に入る。あるいは学校卒業したものの、就職の失敗や入社した会社での失望感から退職し、それをきっかけに引きこもりになってしまう。つまり比較的若い世代に多いもの、と一般には考えられていた。
 しかし最近の様々な調査によって、若者以上に深刻なのは、中高年齢層の引きこもりが極めて多いと言う事実。40歳になっても50歳代になっても、引きこもりから脱することができないと言う深刻な状況があると言うことが明らかにされた。
 私自身はこの中高年層の引きこもり問題については、何がきっかけであったかは忘れたが以前から知ってはいた。時折ニュースで引きこもりの息子が、老夫婦の親を殺傷すると言う事件が報道されたりして、類似の事件が予想以上に多いことが気になったりしてもいた。そういうところから類推すると、世間には本来ならば生産年齢人口に該当するはずの中高年層の引きこもりというのが、かなりあるんだろうなと言う事は思っていた。
 多分引きこもりのまま歳を重ねていくと、経済的には親の年金に頼り、部屋の中で自分の趣味やあるいは何もせずに過ごすか、ということに慣れきってしまって親が一層高齢化することによって、食事も作れなくなってくると、自分の置かれた立場の厳しさがわかってきて、絶望感のようなものが次第に強くなっていくんではないかと思う。
 もちろん引きこもりだからといって、このような人たちがみんな、あれこれの事件を起こすと言うわけでは無いだろう。しかしたまに起こる事件の内容を見聞きするとすると、引きこもりから精神的に絶望感を抱き、それが卑劣な犯行につながる要因になっている事は間違いなくあると思う。
 
 今回の川崎市での事件は、働き盛りの外務省職員と小学6年生の女児が包丁で切られ死亡。あと20人近くがやはり包丁で切られて重軽傷だ。そして容疑者は自分で首を切って自殺と言う形で亡くなった。
 本人の年齢は51歳。しかも典型的な年老いた親に集っている引きこもり状態の人物だ。だからこそ世間の怒りは激しかったんだろう。中高年以上の大半の人はこの事件が起こったときに、20年近く前の大阪教育大学附属池田小学校での無差別大量殺人事件を連想しただろう。犯人は比較的若く、ここの中学校を受験したことがある。エリート学校の児童らに勝手な恨みを抱いて、同時に社会への絶望感を覚えながら8人を殺害した。この犯人はもちろん後に死刑を執行される。この場合は「誰でもよかった」ではなく、一種の復讐であり、その意味では殺害対象は決めていたんだろう。
 しかし一方では、これだけの殺人を犯したのであれば死刑になる事は100%理解しているはず。その意味では「拡大自殺」と言う表現が当てはまるのかもしれない。この事件以降も、東京秋葉原で無差別大量殺人事件が起こったりしたが、やはり犯人は死刑執行されている。この場合には社会に絶望した犯人が、「誰でもよかった」との思いで、本来ならば社会に絶望して「死にたい」願望があったんだろうが、1人では死ぬこともできない弱さも一方ではあり、「社会への復讐」と言う理由をこじつけか何かわからないが、そのように自分を信じさせて犯行に及んだものだとも言えるのではないかと思う。

 今回の事件を通して被疑者の行ったことに対して、「自分ひとりで死ね」が大きな論争になっていて、このような論争はある意味必要なことであるかもしれない。単に感情的ではなく、理論的な可否を相互に発信すべきだろうと思う。おそらくこれからも類似の事件は起こるのではないかと思う。
 いわゆる先進諸国の中で、日本の「引きこもり問題」と言うのは突出して多いらしい。なぜこんなことになるのか。社会の歪みが生んだ結果なのではないのか。経済的な格差社会、様々なハラスメント、不当な差別主義、こういったものが社会からはじき出された人たちを生じさせてしまう。そういった点からは、個別的な問題だけで捉えるのではなく、もう少し幅広い、地域社会の問題、あるいは政策的な問題も含めて考えるべき問題ではないかと思う。

 引きこもり問題や社会的に孤立した人々への支援活動をしている団体や個人も多い。それによって気持ちが救われた人もたくさんいるんだろうと思う。そういった意味では、国や政権と違って、弱い立場の人に寄り添うとても貴重な存在であり、活動だ。政権はこういったところにどれだけのバックアップをしていると言うのか。地方自治体は興味関心を持っているのか。そういったところも気になるところだ。

 この事件によって亡くなられた方々に、遠いところからではあるが哀悼の意を示したいと思う。
 本当にこんな理不尽な事は無い。小学生であれ大人であれ、なぜこんな殺され方をされなければならないのか。この「なぜ」に対する対応策を、全国レベルでもぜひ取っていかなければならないと切に思う。

 今の自分の思いをダラダラ述べたが、じゃぁお前の考えはどっちなのか、と問われそうだ。「どっちなのか」と言う二者択一で片付く問題ではないが、あえて言うならば、「そんなに死にたいなら自分ひとりで死ね」と言う感情の方が強い。少なくとも今の段階では。
 なお「引きこもりの定義」についてだが、私はてっきり年齢に関係なく、家の1室に閉じこもって誰とも顔合わせず、生活の面倒を親に見てもらって、家族ともコミニケーションをとらないと言うものだと思っていた。
 ところがマスメディアの情報によれば、それだけではなく、「自分の興味のあることやしたい事については、外出もして実際に行動している。しかし特徴的なのは、家庭内同様、他の人との触れ合いやコミニケーションを取ろうとしない。」と言うのも含まれると言う。
 であるならば、今の私も引きこもりにあたるのかもしれない。普段は独居老人が一戸建ての家に住んでいるだけ。自分のことは自分でやるが、一日のうちに声を発するのはほんのわずか。家でごろごろしていると引きこもりじいさんになってしまうかもしれないと言うことで、毎日必ず最低1回は外出するようにしている。車で出かけ、晴れた日には写真撮影をし、それをブログにアップする作業をしている。雨で撮影のない日は、コンビニやスーパーに行ってぶらぶらしたり、彷徨っている。
 この状況は国が定義している「引きこもり」にあたるのではないか、などと思ってしまった。一応機会は少ないものの、月一回、友人達とカラオケやってるし、1年に1回程度は大学時代の友人と会って会話してしたりしている。でも1年365日のうち、そのような機会があるのはごくわずかだ。やっぱり既に「引きこもり独居爺いさん」なのかもしれない。

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