切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

オウム真理教事件について ① ・・・・ 死刑囚の7名に死刑が執行された。事件の対する個人的な記憶と思い。

2018-07-09 23:40:01 | 社会


◆ 7名の死刑執行
オウム真理教の一連の事件について、13名の死刑囚のうち、教祖の麻原彰晃を含む7名が同日に一斉に処刑された。
死刑制度の是非についてはいろんな思いが複雑に絡んでいて、自分でも結論は出ていない。その事は置いておいて、オウム真理教による一連の事件について、同時進行の時代を生きて、報道を見てきた者として、様々な思いを抱えて過ごしてきたことを改めて思い出した。
今回はいくつかの場面に絞りつつ、自分にも大きな影響与えたこの事件について、改めて振り返ってみたい。



◆ オウムを知ったきっかけ
詳しい時期はよく覚えていないが、オウム真理教の名前をテレビか新聞か忘れたが、聞いたのは1980年代後半だったと思う。
当時わずかに報道されていたのは、オウムを名乗る新興宗教が大学生などを次々に信者に引き込んで、怪しげな販売活動をしており、保護者からの子供たちを取り返したいと言う訴えが報道されたのが、オウムを知るきっかけだったと思う。

これ以前に世界基督教統一神霊協会と言う怪しげな新興宗教団体が、韓国に本部があるのだが、日本でも若者を多く惹きつけていた。統一協会の名前を出さずに、壺や石などを何十万円、何百万円と言う高額で売りつけ、社会問題になっていた。
当時1980年代初頭だったと思うが、勤めていた中学校にも彼らがやってきてものを売りつけようと、職員室の中を回っていたのを覚えている。
当時は学校のセキュリティーも非常に甘く、外部から職員室でいろんな人が入ってきていた。中には放課後に職員室前にネクタイを並べて、その場で販売するようなことも行われていた。今からでは信じられないような杜撰な実態だった。



世界基督教統一神霊協会とはある日、京都市の繁華街である新京極で、若い大学生たちが統一教会の宣伝活動している場面に遭遇し見ていると、彼らがやってきて「あなたは神を信じますか」などとふっかけてきた。統一教会の似非宗教と言うのは知っていたので、彼らと激しい口論になった。周りの人々が立ち止まって見ている中で、自分は10人ぐらいの統一教会の学生に取り囲まれて1人で論理的に対抗していた。そのうち彼らも諦めて去っていったが、この統一教会に対しても保護者の会が作られ、子供たちを取り返す活動が報じられていた。

そのこともあってオウム真理教の表立ったやり方が同じような内容だったので、こういった似非宗教に多くの大学生たちが入信していくことが正直信じられなかった。

◆坂本弁護士一家殺人事件・・・報道の問題と神奈川県警の悪質で杜撰な捜査
今でも鮮明に覚えている。1989年の11月初頭、横浜法律事務所に所属する坂本弁護士一家が突然失踪した、と言うニュースが普通のニュースとして報道された。報道されたのは坂本弁護士がオウム真理教の被害者家族から子供を取り戻してほしい、と言う依頼を受けていたことから、ニュースとして扱われたのだと思う。



一連の流れの前後は詳細には覚えていないが、後からわかったことだが、TBSテレビが坂本弁護士のインタビュー映像を放送すると言うことを知ったオウム真理教のメンバーが押し掛けて、激しい抗議をして結局、放送中止にさせたと言う。しかもその映像を見せるように要求して、なんとTBSテレビは彼らに見せてしまったと言うことだ。



後にこのことが坂本弁護士の殺害につながることになった、と批判を受けることになる。実際にこの数日後に、坂本弁護士一家は殺害されることになった。
しかも各テレビ局は、このことを深刻な問題として扱わず、いわゆる午後のワイドショー番組などで各テレビ局は、何かの不都合があって坂本弁護士が失踪しただけの話だという論調も流されていた。
この時、操作にあたった神奈川県警は、報道メディアに対して、極めて意図的でいい加減な嘘をリークしていた。何の根拠もないのに、坂本弁護士一家は大きな借金を抱えて夜逃げした、とか不祥事を起こして失踪した、などと結論めいたことを無責任にも流したのだ。
この件については、絶対に許すことのできない、いわば裏話がある。それは後日記すことにする。



◆ 各テレビ局のいい加減な報道と、麻原彰晃らのタレント扱い。それに一線を画した「サンデー毎日」の姿勢。

坂本弁護士一家殺害事件の前に、サンデー毎日がオウム真理教の狂気集団の犯罪的内容を特集した記事を載せて発売した。これ以降、毎日新聞が中心となって追求していくことになる。



その一方、各テレビ局は当時、どの局も競って、「午後のワイドショー」に力を入れていた。このワイドショーと言うのは主に主婦層の視聴者に対して、芸能人のスキャンダルやゴシップを面白おかしく暴いて視聴率を稼いでいた。話題になるような人物が現れると、競ってゲストみたいな形で招いてインタビューし、本人の姿を面白おかしく見せていく。当時表に出始めていた麻原彰晃も注目を浴びていて、彼の部下たちとともに各テレビ局のワイドショーなどによく出ていた。もちろん自分は現職真っ盛りの中で、何かの機会があった時しか見ていないが、司会者やコメンテーター等は面白半分に、しかも麻原彰晃の言い分を肯定的な形で受け止めていたのを、はっきり印象として覚えている。




何かの番組で、ビートたけしが麻原彰晃と対談し、ビートたけしが肯定的に受け止めたと言うことが報じられていたし、時代の寵児として、いろんな番組に出演していた社会学者の栗本信一郎氏がやはり、麻原彰晃と対談をして、その主張を肯定すると言う有様だった。他にも宗教学者や社会学者らが麻原彰晃に対して好意的に見ていたと言われている。
マスコミなどに登場する連中の中に、麻原彰晃やオウム真理教などを否定的に批判するような論調はあまりなかったように記憶している。
後日オウム真理教の実態が明らかになると、上記の有名人たちは一斉に黙り込み、肯定的な発言をしたことを隠すようになった。これは有名人だけではなく、テレビ局も同様だ。



そんな中で毎日新聞系列の週刊誌や新聞、また一部のローカル新聞が独自に調査しながら、オウム真理教の危険性を記事にしていただけだった。
このようなテレビメディアと言う重要な役割を持っているはずのところが、面白おかしく興味本位の覗き見的な姿勢で接していたこと自体が、強く非難されるべきだ。
特にTBSテレビは上にも記したように、マスメディアの基本原則を無視してオウムメンバーに坂本弁護士のインタビュー映像を見せてしまった。しかもこのことが明らかになったのはずっと後のことで、日本テレビがスクープとして、このことを明らかにしたが、TBSテレビは社長以下、一切否定し続けた。日本テレビはさらに追求を続ける。それでもTBSテレビはただただ否定する一方で、嘘をつき続けたわけだ。
最後の最後には、オウム真理教の逮捕された信者の1人の証言から、これが事実であることが判明し、追い詰められたTBSテレビが謝罪せざるをえない状況となる。
各テレビ局、新聞は一斉にTBSテレビを激しく批判した。いわゆるバッシングだ。確かにTBSテレビは犯罪的なことをしたのに嘘も続けたし、バッシングされて当然だ。
しかし他のテレビ局や新聞は果たしてどうなのか。ライバルであるTBSテレビの失態に総攻撃をしたが、彼らもオウム真理教の、また麻原彰晃の扱いについて誇れるものがあるかと言えば全くないと思う。

TBSテレビはこれをきっかけに、お昼のワイドショーを廃止した。そして芸能人らのゴシップなどを報道しないと宣言した。しかし20年以上も経って今のTBSは、「ひるおび」と言う番組と、後は地方局の情報番組などが放映されている。他局に比べると確かにゴシップの話題は少ない方だが、少しずつそれが復活しているのも一方の事実だ。
TBSテレビは日曜日の朝に「サンデーモーニング」と言う番組を放送している。先日この番組で死刑執行のことが取り上げられたが、かつてTBSテレビが犯した間違いについては誰も一切触れようとしない。こういう姿勢こそが、日本のマスメディアの腐ったところである。自戒の念も何もなしに、都合の良いところだけを取り上げて放映していると言う、この無様さが我慢ならない。

続きは②で述べていく。

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