切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《西村経済再生担当大臣の恫喝発言、もう一つの危険な内容》

2021-07-16 23:14:00 | 社会



◆ 周知のように先日の西村大臣によるコロナ感染対策に関わる発言が、全国的な大非難を呼んでいる。その内容は毎日のようにメディアで報道され、もう誰もが知っているが、次のようなものだ。

「コロナ対策において最も重要なのが、飲食店での飲酒問題だ。国や東京都の要請に応じない店が多々ある。これを徹底させるために各店の取引先金融機関からも働きかけをしてもらうことになる。」

 今まで要請だと言っていたものがなんと、純粋な経済活動の場所に踏み込んで、自治体や国の機関が口を出すと言う何の法的根拠もない、乱暴な「恫喝」とも言うべき発言をしたのだ。もちろん全国民からの非難が殺到。SNS上でも炎上。政権内からも批判。おまけに菅首相は「そんな発言内容があったのは知らなかった。」と言う。誰が考えたってまさかと思うような、こんな重要な内容を含んだ発言に対して、政府のトップやその周辺が何も知らなかった、なんて言う事は100%ありえない。どこかの場所で検討がなされたはずだ。それを西村大臣が直接口にして発表したと言う段取りだ。

 彼に対する非難の声に混じって、西村大臣本人の、普段からの動向に注目が集まっている。つまり日常的に高圧的で上から目線であり、自分に非があっても絶対に謝らない。そのような人間的に問題があるといったような声が、同僚の議員や管轄する省庁からの声として上がっていると言うのだ。おまけに彼は灘高校卒、東大法学部卒とまで報道され、私なんぞ世間で言うところの三流大学出の者にとってみれば、まさしくエリートそのものだ。そしてエリートを育てるような難関高校や難関大学では、このような人間が生まれてくるんだろうと思わざるを得なくなってしまう。もちろん決して、こんな人間失格的な者が全てではないと思うが、代表例の1つとして、そう感じてしまうのも無理がないのではないかと思うのだ。よくぞこんな発言ができるものだと言う裏には、自分自身がエリートで、何でもできると言う思い上がりと奢りとそして想像力の欠如と言うものがあるのだと思う。

 一応発言を撤回し謝罪らしきものをしたと言うが、なんと大臣の職は辞さないと言う。これがまた信じられない。こんなもの、一発アウトの内容だ。そしてこれを許す政権だけでなく、国民側もはっきりって情けないのではないかと思う。国民の大きな声で辞任に追い込むべきなのだ。


    さて西村大臣の今回の発言にはもう一つの内容がある。

「政府や東京都からの要請に応じない飲食店に対しては、ネット上のグルコミ・サイトなど、飲食店採点サイトなどに利用者から、身勝手な飲食店等といったコメントや、最低点の採点をしてもらうように働きかけたい。」というのがある。

 こちらのほうは最初の彼の発言の時にメディアでも取り上げられたが、その後は上記の方が中心になってしまって、こちらの問題は取り上げられず、国民の多くは忘れてしまったのかもしれない。が、実に危険な発想の内容なのだ。これを聞いたときに真っ先に思い出したのは、日本の戦前戦中の「隣組」制度だ。これはもともと江戸時代に町民たちが集まって暮らす町の中で、お互いに様々な面で助け合うために作られた「五人組」の仕組みを基にしている。

 まだ日本が比較的落ち着いている間は、お互いに助け合うと言う側面が強く、有益な面も見られたが、日本が20世紀に入って日露戦争や朝鮮併合など、そして日中戦争へと入っていくに従って次第に戦時色が強まっていく。そして日中戦争の激化はついに米英の怒りを買い、開戦が不可避になろうとしていた1940年、内務省の省令によって正式に「隣組」と言う組織が全国に作られた。表向きは各町内において、5から10軒の家庭がひとかたまりになって、班を作りその班が集まって、少し大きめの組を作る。ここではお互いに助け合うと言う名目を上辺にしながら、実のところ国家が全国民を統制するために都合の良い組織として作られたものだ。その事は戦時体制になって具体的に明らかになる。「戦争協力」「戦時供出」「思想統制」「戦争反対者への密告制度」などなどが定められ、義務化されていく。

 こうして戦争の邪魔になるものには特別高等警察が、一方的に逮捕し排除していく。圧倒的多数の人々はこうして、銃後の守りを受け持つ最底辺での戦争協力者となっていく。国民の戦争に対する意識を保っていく上で、大きな役割を果たした。

 戦後はこの制度はGHQによって廃止されたが、今でもほぼ全国的に別の形で残されている。いわゆる「町内会」だ。私の住んでいる住宅街でも約400軒に及ぶ町内会が構成され、それが約20余りの各班に分けられ、各班ごとに班長が定められ町内会の自治的な取り組みを進めていく。また同時に相互扶助の助け合いを進めていく。もちろん町内会費の集金も行う。ただ最近では新しく転居してきた人たちの中には、町内会に入らない、あるいは今まで会員であっても脱退すると言う人たちも増えている。いずれにしろ都道府県市町村単位で見るときに、様々な自治体の仕事の下請け機関として、この存在は都合の良いものなのだ。現在は戦争と言う状態にないだけに、普通の日常の中で下請け仕事が進められては行くが、ひとたび戦時下に置かれると、この町内会組織は軍事的に利用されるのは明らかだ。つまり今回の西村大臣の発言は、一般国民を利用して、特定の飲食店にランク付けをして、また批判をさせ最終的に政府や自治体の言うことを聞かせるといった内容を併せ持っている。

 これがいかに危険なものであることかと言うことを、改めて知っておく必要がある。もちろんこれも撤回されたが、こんなことが平然と政権から出されると言うこと自体が、今の日本の劣化した政治の実態を表している。西村大臣が発言したときに、東京都知事の小池氏もこれに賛同したと言う。法的根拠もなくこんなことをできるとでも思っているんだろうか。だとすれば政治家完全失格だ。辞めてもらうしかない。こんな有様だからこそ、私たち一般国民としては、常に政権や自治体トップが発する言葉を、常にしっかり注目していく必要があるのだ。

 菅総理も、このとんでもない西村大臣の発言に、何も責任を取らせようとしない実態と言うのは、何の事は無い。菅総理も同じ考え方と言うべきなのだ。なんと日本の政権の劣化、と言うべきか何と言うべきか・・・

       (画像データは毎日新聞より) 

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