切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

西念寺~来迎寺 京都府京田辺市・・・思いもよらぬ文化財が

2019-09-15 21:37:45 | 撮影
西念寺



 京田辺市の西念寺へ行く。
 JR片町線の京田辺駅から西へ数百メートル。山門をくぐるとすぐ正面に本堂がある。パッと見てすぐわかるほど。真新しい建物だと感じる。境内はよく整備されていて、適度に樹木等が緑のきれいな色を放っている。周りは住宅地だが、このお寺も含めて非常に静かで落ち着いた雰囲気だ。
 境内には画像にあるように、「浄願寺跡」と称する立て札みたいなものがあったが、これについては色々調べてもわからなかった。大阪府や奈良県には同名の浄願寺というお寺があって、それなりに有名なようだが、ここの浄願寺というのはどういったものだったんだろうか。とにかく様々なネット資料も含めて調べてみたが、結局はわからずじまい。
 ここ西念寺は、戦国時代の末期に創建されて、すぐに江戸時代となる。明治には他のお寺を合併する形で新たに発足しているが、そこにも浄願寺という名前はない。また画像のように手書きの説明文字があちこち色落ちしていて、きちっと読めない。非常に残念な状態だ。
 西念寺の本尊は、「阿弥陀如来立像。」最近これが京田辺市の指定文化財に登録された。以下は市の教育委員会のネットに公開されている指定に関わる記述だ。

『 名 称  木造阿弥陀如来立像
 像 高  97.6cm
 時 代  鎌倉時代(13世紀)
 所有者  宗教法人 西念寺
 概 要  
 明治年間に合併した信行寺あるいは念仏寺の本尊だったとみられる像。鎌倉時代になって浄土教諸派の浸透にともない数多く作られた、いわゆる三尺阿弥陀像の一例。やや面長の顔の表情や痩身の体つきは、建保元年(1213)良円作という銘のある平等寺(京都市)釈迦如来立像とよく似ているので、近い時期の作で作者として同系の円派仏師が考えられる。慶派以外の仏師の活躍が推定できる像は少なく、貴重な像である。
  (京田辺市教育委員会 HP より)

「西念寺と木造阿弥陀如来立像  *2024.8.10 加筆
   京田辺市田辺北里二九

西念寺は、浄土宗知恩院派、山号は向旭山と称する。寺伝によると、文禄四年(一五九五)歓誉牛公和尚の創建という。
文政四年(一八二一)に焼亡し、翌年観誉自戒和尚により再建された。明治一五年(一八八二)に信行寺(浄土真宗)と、同一七 年(一八八四)に念仏寺(浄土宗)と併合した。二軆の阿弥陀如来像(脇壇安置)は、これら二寺の旧本尊とみられる。本堂は、平成二八年(二〇一六)に改修している。年中行事の中で八月十 日には、広い地域から檀家以外の人々が参詣し、お盆の精霊迎いをする行事が行われている。
 本堂に安置されている木造阿弥陀如来立像は、鎌倉時代後期の作である。平成一二年(二〇一二)京田辺市指定文化財に指定されている。
 像は高さ九七・六センチメートルで、木造、寄木造である。 頭体根幹部を両耳後の位置で二材を前後に矧ぎ、内刳りされてい る。(像の内部を空洞にし、重量の軽減、ひび割れの防止をはかっている) 頭部面相部を割り放ちされ、玉眼がはめこまれている 。着衣部は漆箔(漆を塗った上に、金・銀箔を貼り付ける技法) 仕上げである。鎌倉時代になって浄土宗の浸透にともない、多く造られた三尺の来迎印阿弥陀如来立像の一例で、その後半期の作である。
 平成六年(一九九四)財団法人美術院(現在は、公益財団法人 美術院)により修理された。

 京 田 辺 市
 京田辺市文化財保護審議会」 (駒札より)

 訪ねた時にはこういう事は全く知らなかったので、ただ境内から色んな写真を撮って出てしまった。事前に連絡を入れておけば、ひょっとして見ることができたかもしれない。あるいはまた京田辺市の文化財公開という時期があるようなので、そのような機会も利用して再訪問したいと思う。
      



来迎寺  (松井里ケ市)



『来迎寺と木造聖観音坐像
   京田辺市松井里ヶ市1ー11

 来迎寺は、浄土宗知恩院派、山号は不動山と称する。寺伝によると、永禄八年(一五六五) 道誉上人の開基といい、江戸時代に京都・称名寺の浄西善廊の再興と伝えられている。本堂は平成九年(一九九七) に改築された。
 観音堂に安置されている木造聖観音坐像は、平安時代前期の作である。平成二六年(二〇一四年)京田辺市指定文化財に指定されている。
 像は高さ九三・二センチメートルで、針葉樹の一木造りである。両手腎先と両足部および持物が後補(後世の補作)であるため、本来の手の構えや足の組み方は不明である。頭部は八箇所の毛束からなる垂髻(結い上げた髪をいくつかにふりわけて垂らす髪型)を結い、類例のない大型の天冠台(宝冠を支える輸)を戴く。細かい毛束が耳を巻き先端が耳前に垂れ、また鼻孔が水滴形に彫られるなど、特徴的な表現がある。
 また、太い鼻梁、厚めの唇などの面相部は、唐招提寺大日如来像や地福寺十一面観音像など、奈良地方の平安時代前期 (九世紀)の彫刻に近く、太々として重量感のある体躯などからすると、同じころの製作と見られる。たっぷりと大振りの耳には細かい彫刻が施され、個々の造作が細かく丁寧であるなど、詳しく見ると逞しい体幹と繊細な細部が調和しており、古調な中にも品位のある作風がうかがえ、市内有数の古像である。
  京 田 辺 市 教 育 委 員 会
  京田辺市文化財保護委員会 (駒札より)


 京田辺市の来迎寺
 同じ名前のお寺がもう一か所あるが、こちらは松井里ヶ市地区。すぐ近くが第二京阪国道と新名神高速のインターチェンジになっている。と言っても、お寺との間には小山があって全く見えない。
 今回も例によって予備知識なしで訪れた。これが大きな後悔の元だった。現地近くに着くと前方に小山が見える。ここに来た記憶がある。2年ほど前に、来迎寺の近くにある神社の撮影に来ている。緩い上り坂を細い道なので慎重に運転して上っていく。直角の曲がり道。3ナンバーの車なので、ギリギリいっぱい。切り返しをして急坂を登り、ようやくお寺の前に到着。道の脇にスペースがあったので駐める。
 早速カメラを持って山門をくぐり境内へ入ると、目の前に立派な本堂が控えている。本堂は開けっぱなしで、小さな子供たちがワイワイと遊び回っていた。お母さんも一緒におられたので、賑やかですね、などと声をかける。若い住職の奥様だ。ここで遊び回っている男の子が将来の跡継ぎです、と言われていた。思わず笑ってしまった。

 本堂の奥に本尊らしき仏像が見えたので、そのまま撮影させていただく。後に調べるとこれが本尊の「阿弥陀如来坐像」鎌倉時代の作で、なんと文化財無指定だと言う。保存状態もかなり良いが、無指定というのは割とよくあるケースだ。文化財保存科の調査が及んでいないのか、あるいはお寺側か指定を辞退しているのか、そのあたりよくわからないが、このお寺には上の駒札にあるように、京田辺市指定の「聖観音坐像」があって、これは平安時代の作。このようなものだったら、少なくとも京都府の登録文化財であってもおかしくない。場合によっては国の重要文化財であっても納得できるのではないかと思う。
 だがしかし、予備知識なしで訪れたために、そんなこと全く知らず 建物の写真を中心に撮影していた。他にも多くの仏像を保有しており、その点ではかなり有名らしい。地蔵堂には金網が貼られていたものの、よく見える形で大きな地蔵尊が安置されていた。他にも多数の石造物などがあり、写真の撮りがいがある。
 境内はどちらかと言うと公園みたいな雰囲気で、周囲にに樹木が配置されており、庭園といった感じはない。建物は本堂以外にも鐘楼を含めて、様々な建物があり、観音堂もあってそこに指定文化財の、聖観音坐像が納められているということだ。

 撮影を終えて奥様に挨拶をして車に乗る。ところが来た道をUターンはできない。門前の直角の道を下っていくしかない。ところがこの直角がずいぶん狭く、一回では回ることができない。しかも随分急な下り坂で、かなりやばいなと感じた。
 1回目。車を前に進め、壁ギリギリで止めてバックギアに入れる。足ををアクセルに移そうとしたその瞬間、3ナンバー車は重いので、そのまま前に。即ガガガガというすごい音がして、おそらくバンパー辺りがかなり派手にぶつかったようだ。そのままアクセルを一気に踏んでバック。2回目の切り返しでなんとか曲がり切って坂の下まで降りた。車を止めてフロント部分を見てみる。
 やはりすごい音がした分だけ悲惨な状態になっていた。まさかバックギアに入れて車の重みで前進してしまうとは思ってもいなかった。後悔しても始まらない。その場ですぐ宇治市内のディーラーに電話して、今から持っていく旨伝えた。結果的に車は2週間余りの入院で、総額32万円の出費。これで、考えていた10年物のナビを交換する計画は遠のいてしまった。
 わざわざ寺の前まで行かずとも、安全な場所において後はたった100メートル余りだったので、歩いてお寺まで上がっていけばよかったのだ。自分のアホさ加減に呆れるよりも、情けないと言うか、自分で自分を嘲笑ってしまった。何十年もの運転歴があるのに、これも勉強だ、などとは言えない。
 次回改めて本尊などを正式に見せてもらえるよう、予約を入れて訪れたいと思っている。もちろん 車は安全な場所に止めて。

        

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