goo blog サービス終了のお知らせ 

イチョウの下のよもやま話

埼玉県深谷市にある
吉祥寺の住職のブログ

あかるいほうへ

2017年01月02日 | 謹賀新年
平成29年の新春に當たり、謹んで至心に三宝を誦し、
併せて 檀信徒の皆様の御清栄を心よりお祈り申し上げます





一休宗純の名前を知っている方は多いと思います。

風狂の禅僧一休・とんちの一休さん なとども呼ばれ、
乱世の室町時代をひょうひょうと生きた、
とてもポジティブなお坊さんです。

この時代では 驚異的に長生きをした人で、
なんと87歳で、
「死にたくないよ!」と言いながら、
晩年出会った愛する伴侶 盲目の森女(おしんさん)に見守られて
亡くなられたお坊さんです。



一休さんの逸話は枚挙にいとまが無いのですが、
お正月というと思い浮かべるのが、
或る消化に招かれた一休さんが
主人に頼まれて揮毫した

門松は 冥土の旅の 一里塚
 めでたくもあり めでたくもなし


ですね。

実はこの時、
この句に続けて

この家から葬式千代

とも書かれていたそうです。

この揮毫を見た主人は 最初怒ったそうですが、
よくよく考えると

人は誰でも定められた一生を生きた後、
 等しく死を迎えなければならない。

 これは当たり前。

 今年もお正月を迎える事が出来た。

 めでたい事だ。

 浮かれたばかりいないで、
 ご先祖の恩に報い、
 子孫繁栄を願い、
 しっかりと自分の人生を生き抜き、

 この家が これからも幾久しく、
 十代、百代よりさらに、
 千代も続いていくように頑張れ


という一休さんのエールなんだと解ったそうですよ。






この一休さんを囲んで、お弟子さんや信者さんが
こんな話をしていたそうです。


「一休さま、極楽って どの方向にあるんですか?」


「私は、夕日が沈むときの美しさが、
 この世が一番輝いている時だと思います。

 あれは、西にある極楽世界が 
 太陽に照らされて輝いているに違いありません。

 極楽は西にあるんだと思います」


「いやいや、私は早起きで、
 毎日 陽の出を見ていますが、
 朝焼けの清々しさは 
 これから始まる一日の活力を 私たちに感じさせてくれます。

 極楽は東にあるはずです」


「ちょっと待って下さい。

 お釈迦様は 北に頭を向けて涅槃に入られたんですよ。

 北は人を目覚めさせる方角なんです。

 北にこそ 極楽があるに違いありません」


「一休さま、極楽って どの方向にあるんですか!?」


「ん? 極楽か? みなみにある!」



極楽世界は どこにあるというものではなく、
 「皆 身に有る」という頓智です




人の「幸 不幸」「喜び 哀しみ」「慈しみ 憎しみ」「楽しみ 苦労」、
喜怒哀楽 すべてを感じるのは、
その人自身の心にほかなりません。

お正月ですね。

冥途の旅の一里塚です。

世間の理屈にしばられないで、
自分自身をしっかり保って、
本音でのびのび人生を歩んでいきましょうよ。

未来に向かって!

あかるいほうへ!

檀信徒の皆さんが、
幸せな一年を過ごせますよう、
心からお祈り申し上げます。


                             山主合掌






新年祈祷札について

◎戸守り ~ 火防(ひぶせ)・盗賊除(とうぞくよけ)のための
       当山独特の御守護札です。
       玄関などにお祀りして下さい。

◎本山札 ~ 天台宗の総本山 比叡山延暦寺から取り寄せた、
       唐山檀信徒各家の一年間の無事を祈念するためのお札です。
       仏壇や神棚(無い方は 茶の間や客間)等にお祀りして下さい。

◎吉祥寺・西泉寺 勤行儀 ~ なるべく短く、なるべく優しいお経の本を作りました。
       住職の還暦記念です。
       天台大師(60歳で遷化されました)和讃と 伝教大師和讃も
       校訂して載せました。
       お仏壇の奥に仕舞いこむ前に、一度だけでも目を通していただければ
       ありがたいです。
  


当山のものであるなしにかかわらず、古いお札、お塔婆等はお焚き上げ供養をします。
 お申し出下さい。