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天台宗勤行儀 その17 跋(6)

 なお、今回、“勤行”のあとに、
天台宗の教理を確立した中国 隋の時代の天台智者大師智顗禅師さま(高祖)の
一生を記した『天台大師和讃』(恵心僧都源信御作・p18)と

その天台宗の教えを日本に伝え、日本の風土に合った、現代に伝わる
新しい天台宗を作り上げた平安時代の伝教大師最澄さま(宗祖)の一生を記した
『伝教大師和讃』(伝 最深法印御作・p35)を

両大師さまへの報恩感謝の意味を込めて 載せさせていただきました。






最後になりますが、改めて、“勤行”って何でしょう?

それは 修行のひとつです。

では、なぜ修行をするんでしょう?

お悟りを開くためです。

では、お悟りって何でしょう?

日々 安らかに いい気持ちで過ごせるようになる事です。


つまり “勤行”は 幸せになるための修行です。


お釈迦さまや天台大師さまは、なぜ仏教を説かれ、
また 伝えてきたのでしょう?

自ら悟り、人々を悟りに導くためです。

既にお悟りを開かれたお釈迦さまや天台大師さま、伝教大師さまが
最も願っていた事は何でしょう?

人々が幸せになる事です。

人々とは 私です。

あなたです。


お釈迦さま、天台大師さま、伝教大師さまの御恩に報いるという事は、
私たちの ひとりひとりが 幸せになる事です。

他のみんなと一緒に。


この『天台宗勤行儀』が 少しでもその手助けになれれば、
これほどうれしい事はありません。


                           山主合掌





             
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天台宗勤行儀 その16 跋(5)

ところで、この『天台宗勤行儀』でお唱えする経文の順について 
確認しておきたいと思います。



三礼  最初に、仏さま(心理の姿)。仏さまの教え(心理の教え・
     仏教の仲間たち(真理の担い手)に、心からの礼拝をします。


懺悔文  次に、修行(勤行)を始めるに当たり、今まで犯してきた
      自分自身の罪悪をすべて仏さまに告白し、悔い改め、
      心を清浄に整えます。


四弘誓願  次に、“懺悔(さんげ)”した事で、澄み切って清らかになった心で、
       悟りに向かうための誓願を立てます。
       これを“発菩提心(ほつぼだいしん)”略して“発心(ほっしん)”と言います。
       菩提とは悟りの事で、発心とは「心を悟りに向けて始動させる」という事です。
       この“懺悔”と“発心”は、天台宗の修行の基本です。


開経偈  次に、お経を開いて読み始める前に、「今 自分が こうして
      お釈迦さまの教えを知る事ができ、学ぶ事ができる」という幸運を喜び、
      「この良縁を生かしてお釈迦さまの教えをしっかり体得するんだ」
      という決意をします。


般若心経  次に、いよいよ“勤行”の中心になる修行、“経典読誦”です。

       ここで取り上げた『般若心経』は、「こだわらない心」を悟るための教え
       (空の思想)が説かれたお経ですが、その他にも、先ほど「八万四千の法門」
       と記したように、仏教にはたくさんの教えがあります。

       例えば、天台宗では『般若心経』以外にも『観音経(法華経普門品二十五)』
       『自我偈(法華経寿量品十六偈)』 『阿弥陀経』 等の経典が読まれる事も
       よくあります。

       また、『仏頂尊勝陀羅尼』等の陀羅尼(だらに)、「南無阿弥陀仏」等のお念仏、
       『圓頓章(魔訶止観)』や 『山家学生式』等のお祖師さまの言葉(著述)、
       『天台大師和讃』『伝教大師和讃』等の和讃、
       さらには種々のご詠歌をお唱えする事もあります。

       ただし、お釈迦さまの直接の教えである“経典”を読誦した上で、
       その他の和讃や詠歌等を唱えるのが本義です。


回向文  最期に、“勤行”という修行を終えるに当たり、
      自分だけでなく、すべての命あるものたちが それぞれ悟りを開いて、
      皆が幸せになれる事を願います。







「三礼」から「般若心経読誦」までが 自分を高めるための修行(自行)、
「回向」が自分以外の生き物たちの幸せを願うための修行(化他業)、
この二つが揃って、“菩薩行”が完成されます。

“自行”の外に “化他業”がある事が 
「小乗仏教」と異なる「大乗仏教」の大きな特徴です。

また、自分以外の生き物たちの幸せを願うという事は、
実は自分自身の修行にもなっているという事も
忘れてはならない事ですね。






今日は、ここまで!     


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天台宗勤行儀 その15 跋(4)

さて、この『天台宗勤行儀』には、
経文の漢文 ・ 書き下し文(日本語読み) ・ 意味(日本語訳)
を記しました。

『天台宗勤行儀』を読誦する際は、
漢文読みか、書き下し文でお唱えするのが良いと思いますが、

本尊様や お位牌の前で日本語訳に目を通すことでも
“勤行”の実践にはなるでしょう。



そもそも、お経(勤行儀)による修行というのは、

 ① 受持(信仰する経典を いつも手許に置く事)

 ② 読(経典を読む事)

 ③ 誦(経典をそらんじ 口ずさむ事)

 ④ 解説(経典の内容をよく理解し、その素晴らしさを他の人にも知らせてあげて、
      皆を悟りに導く事)

 ⑤ 書写(お経を書く事、写経)

の五つがそろって 完成されるものです(法華経法師品~五種法師行)。





今日は、ここまで!     


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