イチョウの下のよもやま話

埼玉県深谷市にある
吉祥寺の住職のブログ

ヤマアラシのジレンマ(その2)

2012年07月30日 | 謹賀新年

平成5年の 年頭のご挨拶の続きです。

 

 

 

昨年十二月から 天気予報で有名になったパスカルは

「人間は 一茎の葦にすぎない。

 

 自然の中で 最も弱いものである。

 

 だが、それは 考える葦である。」

 

と言っています。

 

肉体的に ヤマアラシよりもっと弱い人間は、

一生懸命 知恵を出して 

農耕や牧畜を始めました。

 

これは 一人では できないことです。

 

つまり、チームワークを武器にしました。

 

人間を『社会的動物』というゆえんです。

 

この武器によって、

 

人間は 地球上を支配し、

 

宇宙へも その行動半径を広げつつあります。

 

 

 

 

 

社会性を武器とした人間は、

本能的に孤独になることを恐れ、

他者に近寄ります。

 

そして 傷つきます。

 

対人関係のもつれによって 会社や学校を辞めたり、

病気になったり、

犯罪さえ 起こります。

 

対人関係によるフラストレーションやストレスは、

現代社会がかかえる問題の すべてに当て嵌まる

根本的要因なのではないでしょうか。

 

孤独を恐れ、社会のしがらみに傷を負う、

まさに『ヤマアラシのジレンマ』です。

 

 

 

この悩みを解決するには どうしたらよいか?

 

簡単です。

 

他人を他人として認め、

自分と他人の距離を 適当に保っていればいいのです。

 

あたりまえのことですが、

人は 生れた時も 死ぬ時も 一人なのです。

 

仏教では、

これを明らかに認識し、

納得しなさいと教えます。

 

死して後は 

必ず仏様の世界に行けるのだから、

それまでの間、

この娑婆世界で 一生懸命 善業を積みなさい 

というのです。

 

また、自分をめぐる人々に対して、

それがどんなに好きな相手でも、

親でも 子でも 親友でも 恋人でも、

ぴったりと一体になることは できないのです。

 

顔かたち・考え方はもちろん、

性別、年令、仕事、趣味、

各々の立場 等々

何一つ 同じものは ないのです。

 

これを明らかに認識し、

納得しなさい と教えてくれています。

 

 

 

続きは次回に!

 

今日はここまで!

 

 

 


ヤマアラシのジレンマ(その1)

2012年07月23日 | 謹賀新年

肇年の喜慶  四海一般なり              

 

平成5年の年頭のご挨拶です。

 

 

 

~平成五年の新春に當たり、至心に三寶を誦し、

併せて 檀信徒の皆様の ご平安を祈念申し上げます。~

 

 

 

平成4年という歳は、社会的には バブルの崩壊や 政治不信を始め、

環境破壊、国際協力、教育・老人問題等

様々な問題提起を 私達にしました。

 

一方、科学やスポーツ界には 明るい話題も二、三 聞かれ、

多少なりとも『平成』の面目を保てたようです。

 

総じて、大船「日本丸」の運行は 

おぼつかない面もありますが、

その乗組員には 優秀な人材もいるということでしょうか。

 

この平成の時代も五年目、

ぜひとも 良い一年にしたいものです。

 

 

 

さて、『ヤマアラシのジレンマ』と言う言葉をご存知でしょうか。

 

ヤマアラシは、敵に遭うと 全身の鋭い針を立て、

尾を鳴らしながら 後ろ向きに突進して 

これを撃退します。

 

しかし、

本来は とても臆病な動物で、

昼は森の中に隠れていて、

夜になると 木の実や根などを 食べに 這い出して来ます。

 

このヤマアラシ、

冬になって 数匹が共に寄り添って

体を温めようとすると、

鋭い針が邪魔をして 互いに近寄れません。

 

離れると寒い、寄り添うと傷つけ合ってしまう。

 

自衛の武器が 愛の妨げになってしまう。

 

これが、『ヤマアラシのジレンマ』です。

 

かわいそうなヤマアラシですが、

それでは 私達 人間は どうでしょうか。

 

 

 

 

 

続きは次回に!

 

今日はここまで!

 

 

 


象香炉

2012年07月17日 | 坊主の日記

本堂の入り口に こんなものが置かれました。

 

 

 

 

 

 

象の形をした、香炉です。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな顔をしていますよ。

 

 

 

 

 

 

上の穴から お香の煙が立ち上ります。

 

その煙をまたいで、身体まるごと清めてから

本堂にお入りいただきます。

 

「またぐ」という事に 抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、

またいでください。

 

そのための、象さんなのですから。

 

 

 

 

 

 

「象香炉」と言います。 (まんま、です。)

 

HP ができたのと同じく、

7月7日が 遣い初めでした。

 

吉祥寺の本堂に上がる時には

ぜひ またいでください。

 

 

 


ホームページが出来ました!

2012年07月07日 | お知らせ

ようやく ご報告できます。

 

吉祥寺のホームページができました!

 

http://kichijoji.or.jp/index.html

 

まだ「工事中」の部分もありますが、

頑張って 作業を続けなくては!

 

ぜひ 皆さんにもご協力いただいて

ご一緒に 作り上げていけたら、と思っています。

 

ご意見をいお聞かせいただければ幸いです。

 

よろしくお願いします。

 


光壽無量(その2)

2012年07月02日 | 謹賀新年

先週の続きです。

 

平成4年の年頭のご挨拶です。

 

 

 

年回法事の方法は、菩提寺(ぼだいじ)の住職を招いて読経してもらったり、

墓回向(はかえこう)、塔婆(とうば)建立の外、

事情によっては 家族そろって墓参りをし、

仏壇のお位牌に香華を手向け、

先祖に感謝にながらお斎をいただくだけでも 供養(くよう)になるでしょう。

 

又、年回は 百回忌以降も 五十年ごとに 永久に続きますが、

ご家族の年長者がおぼえている範囲でのご先祖の法事は

行いたいものです。

 

更に、年回でなくとも 毎年の命日には、

是非 花を新しくし、お仏飯(ぶっぱん)をお供えして、

ご先祖に感謝する気持ちを 忘れないようにしましょう。

 

 

 

日本の民族行事の大半は

ご先祖を祭るためのものです。

 

私達が今日あるのは、

言うまでもなく ご先祖のおかげです。

 

このことは、血統の意味ばかりでなく、

今日の社会の繁栄や 豊かな文化も含めて、

過去からの一つ一つの積み重ねだと 考えるべきでしょう。

 

先祖(神)不在の御輿が存在するとすれば、

それは 現代人の甘えであり、錯覚(堕落)なのです。

 

さあ、二十一世紀まで もうあまり時間がありません。

 

今を生きる皆さんは、未来を生きる子供達に 何を残してあげますか。

 

仏教は、

ご先祖に感謝し、同時に 子孫にすばらしい遺産を残してあげる方法は、

私達一人一人がいっしょうけんめい生きて行くことだと教えています。

 

まず 「しっかりと自分を見つめ」、

次に 「正しい努力を怠らない」 

と この歳の初めに改めて誓いたいと思います。

 

 

 

志密行亦密    功深悟亦深

 

(こころざし みつなれば ぎょうも また みつなり。

 こう ふかければ ごも また ふかし。)

 

皆様のご健壽と ご繁栄を 重ねて心から 祈念申し上げます。

 

 

 

 

 

 

最後に 申年の守護として 大日如来の絵を載せてあります。

平成4年は申年で、 私は年男だったのですね。

 

21世紀になって すでに10年あまり。

 

「しっかりと自分を見つめ、正しい努力を怠らない」、

私は 日々 できているのでしょうか?

 

今日はここまで!