私は、今、少々自慢にしてもいいような本が手に入ったので、ぱらぱら捲っております。天保年間に出版された藤原公任の「和漢朗詠集」です。
その中に「秋の終焉の日、九月盡」を歌った漢詩があります。今日は、その旧暦の「九月盡」の日です。今日の日にしか味わえない歌がありますので、どうぞ!!!!!!!!!!!!!
“縦以崤凾為固 難留將舎蕭瑟於雲衢 縦令孟賁而追 何遮爽籟於風境”
『今日は、秋と別れる日です。たとえ、周りを頑丈な関(崤凾こうかん)で固めようとも、秋の物悲しい景色(蕭瑟<ショウシツ>を雲間に留めることはできません。たとえ、孟賁のような力強い勇者に追わせても、秋風の通り過ぎる道を遮って通らせないようにはできない。』
その2番目の歌もついでに、
“頭目縦随禅客乞 以秋施与太応難”
<頭目をば たとへ 禅客の乞うに従うとも 秋を持って施代(せよ)することは太(はな)はだ 難(かたか)るべし>
平安の人達が、秋の終わりの今日と云う日を、如何に大切にして過ごしたかと云うことがよく分かる歌です。