私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

通盛の一目ぼれ以来3年が立ちます。

2017-10-23 08:06:45 | 日記

  その間、ただ空しく通盛の玉章(たまずさ)が増えるだけです。相手小宰相からは、梨の飛礫(つぶて)です。それでも、これでもか、これでもかとばかりにラブレターを毎日のように送り続けます。それも3年の間に彼女一人にせっせとですよ。此の通盛の執念に近い思いをあなたは如何に思われますか???。殆どの男なら、
 「もうええかげんにせいや。これだけ誠意を尽くしてもまだ何にも返答すらしない女性って、あれはなんだ。自分の美貌を笠に着て、つんと澄ましている京人形のような血の通っていない木偶の坊ではないか。もう諦めた・・・・・。」
 とばかりに、他の女性に秋波を送るのではないでしょうか???でも、通盛は、3年間、ただ一人のこの女性に思いを投げ続けたのです。それでも一向に埒が明きません。とうとう。「これで、彼女から返事がもらえないなら諦めるより仕方ない。これを最後にしよう。」と思い、最後のラブレターを書いて使いの物をして彼女の家に届けさせるのです。まんの悪い時には悪いものです、生憎と、何時も手渡している小間使いの女性が居ず、手紙を手渡すことができません。、使いの者は致し方なく、
 「これで総て主人の3年間の恋は終わりだなあ・・・・・・」
 と、独り言をつぶやきながら帰路に着きます。するとどうでしょう、。大通りにさしかかった所で、小宰相の乗った牛車が目の前を通っているではありませんか。それを目ざとく見つけた使いの者は、してやったりとばかりに、その車の傍を通り抜けるような格好をして近ずき、主人通盛からの恋の手紙を、その車の御簾の間から差し込むように投げ入れます。それから暫らくして車が上西門院の御殿に到着します。降りようとすると、白い紙きれが御簾の傍に落ちているではありませんか。

 「おや??何だろう」

 と小宰相は思いながら拾い上げます。供の者に尋ねますが、分かりません。そこで、その紙きれを開き、目を通すと、例のいつもの通りの通盛卿からの玉章です。「またこんなものを。・・・」と思いながら、大路に捨ておくことも出来ず、仕方なく、ご自分の袴の腰にはさんで女院のお側に上がります。そして、何時ものように女院の前で宮仕えをしておりました。

 さてこの結末は???また