こんな便りを例のお人から頂戴仕りました。
「おめえはなあ、 昨日、和漢朗詠集に、「楊貴妃」についての白居易の歌が有るかのように書いているが、そりゃあまちげえとる。そげえなものはありゃあせんど。そうじゃけえど、王昭君のこたあ、出ているど、よう調べてみいよう」
と。
私は、「楊貴妃の話も朗詠集にある」と、以前、どこかで聞いたことがあるような気がして、あまりその辺りのことは詮索せずに書いたのです。この有難い御忠告で、改めて、和漢朗詠集を久しぶりに開いてみました。すると、確かに「王昭君」のことは載っておりました。更に調べてみると、楊貴妃ではないのですが、彼女を失った後の玄宗皇帝の一人で過ごす長き秋の夜明けを読んだ歌が1つだけですが???有りました。
“遅々たる鐘漏の初めて長き夜 耿々たる星河の曙けなんとする天”
という歌です。
明日から師走です。此の歌に触発されて、天空に横たわる最晩秋の天の川を、今朝方、久しぶりに眺めてみました。そこには、玄宗の長恨の代わりに、ただ、寒風だけが身にしみ、ゆく秋の随分と短かったことを今更のように感じ、大急ぎで布団にもぐりこみました。