関西リーグを連覇した関学大が、関東対抗戦5位の明大に29―62で敗れ、初の4強進出を逃した。前半10分に大滝真史(4年)のトライで5―3と逆転したものの、同14分に守備のほころびを巧みに突かれて逆転されると防戦一方。後半もディフェンスの甘さを修正できず、対抗戦で4敗を喫したチームに、計8トライを奪われるショッキングな敗戦となった。また、天理大も、関東リーグ戦1位の東海大に12―53で大敗。関西勢が3年連続で4強入りを逃したのは、1974年度以来35年ぶりの屈辱となった。
関西王者が、2年連続で“関東の壁”にはね返された。「昨年より関東勢に近づけるのではないかと思っていたが、点差を見れば、逆に遠ざかってしまったというしかない…」。大崎隆夫監督(54)は、視線を落としたまま口を開いた。
初めて初戦を突破した昨年度、2回戦で法大に当たり負けて12―44の完敗。その反省から、各選手が10キロ近く体重を増やしてシーズンイン。FWのパワーアップが関西連覇につながった。ところが、そのFWが、前半3分のファーストスクラムで押し負けると、チームに動揺が広がり始めた。
関西リーグではなかった危機は、バックスにも生じていた。「ラインの裏に(ショートパントを)蹴られて、自分たちの“アップディフェンス”ができなくなってしまった」とウイング長野直樹(3年)。同14分、明大SO田村優(3年)の短いパントから逆転トライを許し、持ち味の、前に出るディフェンスが、できなくなった。そしてそれ以後、差は広がる一方だった。
「前半は自分たちのやりたいプレーをやらせてもらえなかった」とロック小原正主将(4年)は悔し涙を流した。逆境で萎縮(いしゅく)したことが関学大の甘さで、それがそのまま、有力校がしのぎを削る関東勢との差となった。
関学大の先発メンバーのうち、高校時代の花園経験者は11人。明大の8人を上回る。今や人材面で劣っているわけではない。「3年生以下は、この試合を冷静に分析できていた。来年につなげられるはず」と、長野は最上級生になる来年度を見据えた。肉体面では関東に近づいた。来年は“魂”の部分でも近づかなければならない。
【選手権敗退 涙の結末】
夢ついえる―。大学選手権2回戦で実現した念願の関東勢との対戦。しかし明大に大敗を喫する結果に。負ければ終わりの大舞台で、小原組の戦いが幕を閉じた。
▲ロッカールームは涙に暮れた
[今年の形貫く]
それはあまりにもあっけない結末だった。これに勝って国立へ、と息巻いて臨んだ2回戦。80分の戦いの末に、チームにふりかかったものは哀しみだった。
自分たちが信じたラグビーをどこまでも貫いた。出だしからFWで真正面からぶつかっていく。「FWは勝っとうやないかと思うくらい」と主将・小原(社4)。後半にはゴール前のセットプレーからFW陣で縦に押す、今年の形で連続トライを決めた。「モールはトライ取らせんかったし、逆にこっちは取ったし」。関学ラグビーを全国の舞台でも見せつけた。
関東勢と倒し、日本一になるために肉体改造を果たし構築したFWラグビー。けれども現実は、それだけでは勝てなかった。相手FWと繰り広げたブレイクダウンの激しさに手が出ず、かたやBK陣の精度の高いプレーに翻弄された。「FWもBKもすごいボールにからむのがうまい。ウチは出来なかった」。打倒関東として対戦を待ち望んでいた明大戦だったが完敗に終わり、その差をまざまざと痛感させられた。
[歴史的な1年]
夢はついえた。だがFWラグビーという今季の形で関西2連覇、対同志社大完全勝利と感動を起こしてきた小原組の闘姿は歴史に刻まれたことだろう。
【『朱紺スポーツ』vol.26】
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