Tedのつゆ草の旅

母校関西学院ラグビー部とアメリカンフットボール部の試合を中心に書いているブログです。

関学ラグビー部選手外伝(OB)

2020-06-22 22:50:15 | スポーツ

神戸製鋼コベルコスティーラーズ, 関西学院大学, 中孝祐
神戸製鋼ルーキー中孝祐が振り返る「カンガクの自主性」の中身

 昨季のラグビー大学選手権でインパクトを残したチームにはカンガクこと関西学院大が挙げられる。

 12月21日の準々決勝では、ディフェンディングチャンピオンだった明大と激突。東京・秩父宮ラグビー場で魚雷のタックルを繰り返し、14ー22と惜敗も爪痕を残した。他の上位校がフルタイムの指導者を揃えるなか、学生主体でクラブを運営する。

「4回生からやっていこうと話してきた。それを貫き通せた」

 こう振り返るのは中孝祐。鋭いランを繰り出した身長177センチ、体重90キロのWTBは当時4年生だった。

 クラブでは、昨季まで指揮を執った牟田至監督が2度目の登板を果たした一昨季から練習量が増加。「平日も朝グラウンドに出て、授業の合間にウェイトをして、午後にまた…と3部練があったりもした」と話す。

 もっとも、「練習内容など細かなところは、自分たちで決めていた」。セッションの内容に加え、ミーティングのタイミングをはじめとしたグラウンド外のスケジューリングも4年生が中心に策定。自分たちで組織を作り上げたという自負に背中を押されたことで、強豪校を相手にも持ち味を発揮できたのだろう。

「コーチ陣に与えられたミーティングより、自分たちでやるミーティングの方が意思統一がしやすいというか、皆の意識を共有しやすいというところはあると思います。でも、負けは負け。3回生以下には、『いい勝負したなぁ』ではなく『次は本当に勝つ』という気持ちでやって欲しいです」

 春から神戸製鋼に加入。一昨季の国内トップリーグで15季ぶりの王座に立った同部は、新型コロナウイルスの感染拡大により不成立となった2020年大会も消化した試合は6戦全勝と好調を維持している。競争は激しい。しかし中は、主体的にチーム作りに加わる感覚を維持して存在感を示す。


関学ラグビー部OB選手外伝

2020-05-03 19:34:16 | ラグビー
サンゴリアスで見た世界。芦田一顕、挑み続けた8年を終える! 2018-2019年シーズンの第7節、日野レッドドルフィンズ戦で最後のサンゴリアスキャップを得た まるでワールドカップだ。 芦田一顕(あしだ・かずたか)が入社した2012年当時、サントリーの府中グラウンドにはスターがうじゃうじゃいた。  FLのジョージ・スミスは豪州代表キャップ110を持っていた(最終的に111)。 LOのダニー・ロッソウは南アフリカ代表で63キャップ。日本代表は各ポジションに散らばっていた。   自分と同じSHには、2007年大会を制した南アフリカ代表のフーリー・デュプレア(当時62キャップ/最終的に76キャップ)がいた。 2011年大会で日本代表として活躍した日和佐篤も。   関西学院大を卒業したばかりの若者は、そんなところに飛び込んだ。   入社前の2月、チームの練習に加わる機会があった。 「フィットネスとコンタクトを混ぜた練習でした。 そのとき眼窩底を骨折したのですが、そのまま最後までやりました。 厳しいのは分かっていたのですが、これがサントリーかあ、と、あらためてびっくりしました」  覚悟を決めて飛び込み8シーズン。この春から社業に専念することになった。   入社4年目の2015年には、2年目から主将に就き、のちに日本代表にもなった流大も加わった。 つまり、いつも強大なライバルたちに囲まれていた。   結果、8年で得たサンゴリアスキャップ(トップリーグ/カップ戦は除く+日本選手権)は14。 本人は、「なかなか試合に出られなかったのは悔しかった。 でも、トップレベルの選手たちにチャレンジできたのは、本当にいい経験になった」と振り返る。   大学時代から見ていた憧れの人とともにプレーできる喜び。   一級品の後輩の力を認め、切磋琢磨する。すべてが自分を成長させた。   本人は「日和佐さんがジャパンで抜けたり、フーリーが腰痛になったり。 そんな理由もあって出番が回ってきた」と話すものの、入社以来、2試合、4試合、6試合と増えていった出場機会は、2015年以降の5シーズンで2試合だけに減った。 「(出場の)可能性が減っていくのは感じていました。 いつ引退となってもおかしくない。早くからそう感じていました」  でも、意欲だけは失わなかったからここまでやれた。 「試合に出るメンバーとの(攻防の)練習では、抜いてやろうとか、そういう気持ちはいつも持っていました」  大阪・交野第一中でラグビーを始め、同校の3年時からSHになった。  東海大仰星高校時代に先輩のスキルに衝撃を受け、朝練などでの基礎練習で技術を磨く。土井崇司監督(当時)の理論、厳しさと出会ったのも大きかった。  関西学院大を経てトップチームへ。サントリーではトッププレーヤーだけでなく、一流の指導者とも出会ったから学びは大きい。  今後の人生に活かせることは多い。  デュプレアや、スポットコーチとしてたびたび指導を受けたジョージ・グレーガン(豪州代表139キャップ)からは、準備の大切さを教わり、そのときにルーティーンを持つようにアドバイスを受けた。 「大好きです」というチームから得たものもたくさんある。 「チームカルチャーを持つことは大事ですね。サンゴリアスなら、アタッキングラグビーという軸があるから、何かあっても、そこに立ち返られる」  リーグ9位と沈んだ翌年から2連覇。その過程の中にいて、全員で同じ方向を見ることが生む力も知り、「これからの仕事でも活かせること」と話す。  思うように出場を重ねることはできなかったけれど、意識の高い集団の中にいたからこそ成長した自分を感じた試合がある。  14試合あるサンゴリアスキャップに含まれるものではないが、2018年11月24日におこなわれたトップリーグのカップ戦、ベストメンバーのNTTコムに33-26と勝った試合は会心のゲームだ。 「こちらは日本人選手が多く出ていました(23人中外国人選手は2人)。すごく一体感のある時間でした。ヒカル(SO田村熙)とのコミュニケーションもよく取れて、あとで振り返ってみても判断ミスなどなかった。SHは間違いがなくて当たり前のポジションなので、そういう意味でもよく覚えています。レベルの高いSHに囲まれた中で得たものを出せたのだと思います」  その試合では「好き」と言うディフェンスでも強みを見せた。 「前半に(NO8の)アマナキ(レレィ・マフィ)に当たられ、飛ばされました。でも後半は早めに間合いを詰め、止めた」  公式戦に出られても途中出場がほとんどだった。勝負の行方がおおかた決まった中でピッチに入るとき、複雑な気持ちだったこともある。接戦時、出番のないままベンチに座ったままのこともあった。   そんなとき、「足りないものは何か」と自問自答した時間も自身を成長させた。 前述のタックルも、その一部だ。   新しい生活の中で、サンゴリアスを全力で応援していく。   頭と体に詰め込んだラグビーの知識とスピリットを伝えることもしていきたい。 大学時代の同期、小樋山樹さんがこの春から母校、関西学院大の監督に就いた。 「時間があるときに足を運び、(後輩たちに)伝えられることを伝えていければ、と思います」と話す。 「大学のチームは人数も多い。その中で、モチベーションの差も大きい。 トップリーグのチームとは違うところも多いのですが、誰もがラグビーを好きなままでいてほしい。 その手助けができたらいいですね」  パスには自信がある。府中で知った「世界」を多くの人につないでいく。

関学アメフト部 選手外伝

2020-03-26 14:08:44 | アメリカンフットボール

関学アメフトのエースRB三宅昂輝 飛躍の一年を経て、大爆発のラストイヤーへ

左サイドを抜け、社会人最強の富士通を相手で独走タッチダウン

関西学院大アメフト部ファイターズは1月3日のライスボウルで富士通フロンティアーズに14-38で敗れ、2019-20年シーズンを終えた。4連覇を果たした富士通に完敗したが、東京ドームを埋めた3万人の観衆の度肝を抜いた走りがあった。関学のエースRB(ランニングバック)三宅昂輝(3年、関西学院)が64ydを駆け抜けたタッチダウン(TD)ランだ。 

最強の富士通を相手に独走タッチダウン

0-21で迎えた第2クオーター(Q)11分すぎ。自陣36ydからの第2ダウン8ydで、関学は早稲田との甲子園ボウルで2点コンバージョンに使った「左カウンターピッチ」をコールした。QB、FB(フルバック)、TB(テールバック)の3人がタテに並ぶIフォーメーションから、FBに入った鶴留輝斗(きらと、3年、啓明学院)が右のオフガードあたりに突っ込む。OL(オフェンスライン)の左ガードに入った高木慶太(3年、関西学院)も右へプルアウト。ボールを持ったQB奥野耕世(3年、関西学院)は軽く右へ展開するふりをして、左へ弧を描くように駆け出したTBの三宅へピッチした。 

三宅が左オープンに出る。その視線の先でWR鈴木海斗(3年、横浜南陵)が富士通のLBにナイスブロック。LBを外へ追いやり、三宅が縦に切れ上がる走路ができていた。さらにその前に、OLの森田陸斗(4年、関西学院)がセンターの位置から巨体を揺らしながらリードブロッカーとして参戦。富士通の最後尾を守るDBは、森田が邪魔で三宅をタックルしにいけない。森田がそのDBとぶつかる瞬間、三宅はその塊の左を駆け抜けた。左のサイドライン際を決死の形相で駆け上がり、追ってきた2016年度の関学主将である富士通LB山岸明生のタックルにも倒れず、エンドゾーンへ走り込んだ。 

このシーズン、学生相手に独走TDを重ねた力は本物だった。「個人的に技術の面で自信がついた1年でした。西日本代表決定戦の立命戦やライスボウルで自分のスピードが通用したのは、今年やっていく上で自信になりましたね」。4月25日の明治大との定期戦(神戸・王子スタジアム)から、春のシーズンが始まる予定だ。三宅が2020年の関学のキーマンであるのは間違いない。 

小学校まではラグビー、関学中学部からアメフト

スピードには絶対的な自信を持っている三宅は、関学の中学部から青ひとすじで10年目を迎える。小学校のころはクラブチームでラグビーをしていた。「ウィングでボールを持って外を走って、スピードが自慢でした」。運動会のリレーでもアンカーを何度も任された。とにかく走ることには自信があった。

関学中学部入学を機にアメフトの道へ。最初からRBで、ほかのポジションの経験はない。「昔は体重がなくて、とにかくスピードで相手を抜き去る感じでした」と話す。高等部に上がってOLの動きが分かってくると、もっとうまく走れるようになった。ラグビーをやめてから10年が経つが、ラグビー愛も冷めていない。いまもトップリーグや大学選手権の試合を見るし、ラグビーの動画もしょっちゅう見ている。「瞬間的な加速や跳ぶ動き、一歩の踏み出し方なんかが、僕がやってることと似てます」 

3回生の1年間で、相手を見て走れるようになった

1回生でぶつかった壁、走りの強弱を覚えた

アメフトで最初に大きな壁にぶつかったのは、大学1回生のときだ。上回生のLBやDBにスピード負けし、思うようにゲインできなかった。ルーキーイヤーから甲子園ボウルにも出たが、走れない。もどかしさを感じた。「(当時3回生だった)山口(祐介)さんたちがいる中で出させてもらったのに……」。いまのままの実力では通用しないと痛感した。常にフルスピードで走っていたのを、走りに強弱をつけるようにした。「基本的に8割のスピードです。相手のディフェンスやこっちのオフェンスの動きを判断した瞬間に、フルスピードになるようにしました。ほかの人がやると結構難しいみたいなんですけど、僕はスピードを持ち味にしてるから、できます」 

立命との西日本代表決定戦で先制の71yd独走タッチダウンを決めた

さらに、昨シーズンは視野を広く持つようにした。OLの5人がいない状態で走り方の練習を繰り返し、ディフェンス第三列の動きをつかもうとした。そして相手をブロックしてくれるWRの動きと、最後尾を守るセーフティーの動きを見る目を養った。それが生きたのが、昨年12月1日、西日本代表決定戦の立命戦だ。第1Qに2本の独走TDを決めたが、いずれも密集から抜け出す瞬間に空いているスペースを見つけ、フルスピードで走り抜けた。2本目は、右サイドを縦に上がってから左へカットバック。TDにした。「全体の状況を把握するのが速くなりました。(相手の)後ろの方までちゃんと見て走るようにしてます。下級生のときは目の前しか見られなくて足が止まってましたが、いまでは広い視野を持って走れるようになりましたね」。スピードとカットバックを武器とするランナーに変貌(へんぼう)した。 

西日本代表決定戦での2本目の独走タッチダウン。まずは右サイドを駆け上がった味方のレシーバーのブロックをよく見て、左へカットバックしてタッチダウン

日大フェニックスのRB川上をライバル視

挫折を味わった1回生の甲子園ボウルの相手は日大フェニックスだった。相手のルーキーRB川上理宇(みちたか、現3年、佼成学園)は、中央突破でTDを決めた。「1年目から活躍してる同期で、タイプも似てるところがあります。会ったことはないんですけど、ライバル視はしてます。高校の最後もクリスマスボウルで川上がいた佼成学園に負けたんで」と、闘志を燃やす。日大はこの秋、2年ぶりに関東1部TOP8で戦う。「また甲子園ボウルで対戦できるチャンスがあるんで、リベンジしたい気持ちはあります」 

4回生としての覚悟も十分だ。「自分だけでなく、後輩の長所を伸ばしてあげたいと思います。僕が教えられることはできるだけ教えて、バック全体でうまくなっていきたいですね」。関学の21番のラストイヤーにどんな輝きを見せるのか。早くも楽しみになってきた。

甲子園ボウル出場を決め、喜ぶ三宅(21番)


社業に還る。 牟田至(関西学院大学前監督)

2020-02-25 17:54:54 | ラグビー
<figure class="eyecatch">【ラグリパWest】社業に還る。 牟田至(関西学院大学前監督) <figcaption>関西学院大で2期目の監督を3年やって、退任した牟田至さん。写真は勤務するサントリー酒類のテストキッチンの前で</figcaption> </figure>


 牟田至は社業に還った。

 籍はサントリー酒類。肩書はグルメ開発部の営業担当部長だ。
「お酒のご提案や提供などを含め、新規開店のサポートが主な仕事ですね」
 日焼けした顔は指導者の名残りだ。

 この3年間、母校の関西学院を率いた。監督とビジネスマンを兼ねた。

 最後の2019年度はチームを5年ぶりの大学選手権出場に導く。
 56回大会の8強戦では準優勝する明治に14−22。東京・秩父宮での8点差敗退は、関西の名門復活を印象づけた。

「よくやってくれました。100点ゲームになるかと思ったけど、これまでと違う力を見せてくれた。学生はすごいと思います」

 先発15人を比べると、明治は高校やU20など世代の日本代表経験者が10人。関西学院は3人。肩書通りの結果にさせないため、伝統である「学生主体」、言い換えれば自主性が発揮された。負けたくない思いで結束する。

「正直に言えば、逃げの論法という部分はあります。ウチは経済的にフルタイムのコーチを置けません。それがやれない以上、学生主体でいくしかありません」
 牟田は与えられた環境で戦った。

 関西学院の創部は1928年(昭和3)。90年超の歴史を誇る。戦後の昭和20年代は関西大学対抗戦(関西リーグの前身)で6回の優勝。しかし、スポーツ推薦入試の廃止や入学難が重なり、1957年の頂点を最後に低迷する。

 再び覇権を奪回するのは2008年。実に51年ぶりだった。監督は同じ牟田。第1期の2年目。1年目は5位だった。

 沈んでいた半世紀はOBの結束も弱くなる。予算獲得や環境改善のため、大学側に部の声を届けるOB職員の数は今でも2人。看板クラブのアメリカンフットボールは10人以上。この差は戦績に現れている。

 牟田が2期目の監督に就任したのは2017年度。1期目から10年近くが経過していた。どの学校も宣伝・広告の意図もあり、資本などを投下。簡単には勝てなくなっていた。

 再登板の理由は立て直しだった。前年度、監督と学生がもめる。同率3校間の得失点差で6位。さらにその前は8位で入替戦。2年連続して最下位に等しかった。

「カオスのようの状況でOB会から突然、行ってくれないかと言われました」
 牟田はOBの切り札だった。軸に据えたのは対話。「学生主体」のスタイルは変えない。できるだけ声をかけ、一方的に意見を押し付けるのではなく、学生の思いを聞いた。

「学生主体は絶対に大事。それがウチのアイデンティティーということもありますが、こちらが手取り足取りやっても身につかない。自分たちで何が足りないかを考え、取り組む。それは社会に出てからも生きるはずです」

 土日は自宅から車で15分ほどの上ヶ原のグラウンドに通った。12時間の滞在は当たり前だった。有給休暇は合宿などに充てる。

初年度は4位。最終戦で立命館にサヨナラPGを決められ、選手権出場を逃す。
「あと1年早く、牟田さんに会いたかった。厳しさも、優しさもある牟田さんがいれば、チームはもっと強くなっていたはずです」
 試合後、CTB金淳英(きむ・すにょん=現東京ガス)は涙声で語っている。

 次年度も4位。2年の成績からセットプレーの安定が不可欠と学生が実感する。そのため、春はスクラムを4000本組んだ。春季トーナメントは7位も、秋のリーグ戦は3位に食い込んだ。明治の善戦の源でもある。

 学生主体の尊重と同時に「チーム方針」を明確に打ち出す。
「タックルしないやつは使わない」
 3年目にそれを具現化したのがSH橋詰学やCTB福本泰平だった。2年生の橋詰は天理高時代、控え選手。4年生の福本は御影高出身。公式戦出場は0だった。有名校2軍でも無名校から来ても、努力すればレギュラーになれる。チームには公平感が漂った。

 牟田は48。練れる年齢になる。
 全国舞台を最初に知ったのは大阪・北野高。チームは1年時、42年ぶりに全国大会(67回=1987年度)に出場した。
「すごく人が入ったのを覚えています」
 3回戦で12−16と伏見工(現京都工学院)に敗れるが、観衆は2万超。2代前の花園ラグビー場はタッチライン際まで人であふれた。

 一浪後、関西学院に入学する。高校を同じくする双子の兄・誠は同志社を選び、同じFBとして活躍。卒業後は広告業界で生き、現在は台湾博報堂の社長をつとめる。

 当時の関西学院はBリーグ。強豪ではなかったため、サントリーへは一般試験で入った。その後、ラグビー部から召集がかかる。

 サンゴリアスと呼ばれるチームでは速さを武器に2年目から公式戦出場。日本代表キャップ8の今泉清を押しのけた。コーチ時代のエディー・ジョーンズからも指導を受ける。イングランド代表監督は今でも「ムタ」と気軽に声をかける。

 全国社会人大会(トップリーグの前身)では1回(48回=1995年度)、日本選手権では2回(33、38回=1995、2000年度)の優勝を経験する。ケガもあったため、2001年3月に現役引退。在籍は6年だった。その6年後、関西学院の監督になる。

「牟田さんはすごいですね」
 定期戦を行う立命館の監督・中林正一は言った。牟田の2期5年の成績は5、1、4、4、3位。5位以下のBクラスは1度のみ。元日本代表HOは6学年上の牟田に尊敬がある。

「いやー、しんどかった。大変でした」
 牟田は総括の言葉を吐き出した。
 家庭に帰れば、中1と小2の2児の父である。ようやく男親としての務めが果たせる。
 チームの後事は小樋山樹に託した。

 当初、2年で退任する予定だった。しかし、学生側から懇願され、1年延長をした。5年に及んだ監督生活は社業に影響を与えた可能性もある。ただ、強豪チームで若い人や組織を動かした日々はこれからに生きる。
 牟田は得難い経験をしたことになる。


ライスボウル2020年

2020-01-17 00:35:19 | アメリカンフットボール

富士通が史上2チーム目の4連覇 ライスボウル

 アメリカンフットボールの日本選手権・プルデンシャル生命杯第73回ライスボウル(朝日新聞社など主催)は3日、東京ドームであり、社会人王者の富士通(Xリーグ)が学生王者の関西学院大(関西学生リーグ)を38―14で破り、4年連続5度目の優勝を果たした。5度目の優勝は、7度の優勝のオービックに次ぐ史上2位の優勝回数。4連覇は2011年から4年連続優勝のオービックに続いて2チーム目。社会人王者が11連勝となり、日本選手権となった1984年以降の通算成績は社会人の25勝12敗。観衆は3万1752人だった。

 富士通は第1クオーター(Q)に、WRの強、中村の2TDなどで14点を先行。その後も多彩な攻撃で得点を重ね、関学大を突き放した。最優秀選手(MVP)にはQB高木翼が選ばれた。

富士通、助っ人に頼らず戦えるチームに

 9戦全勝で社会人を勝ち上がってきただけある。富士通は、いとも簡単に学生代表をはね返した。

 開始早々から圧倒した。第1Q、怪物と評されるRBグラントが厳しいマークにあった。すると、QB高木はパスで崩す。まずはWR強がTD。続いて、エースWR中村だ。エンドゾーン手前で中距離のパスを受けると、右腕一本をぐっと伸ばして、TDを奪った。試合の流れを決めた。

 中村は誇る。「闘志あふれるプレーで勢いをつけたいと思っていたんで。外国人に依存せずに勝ちきったのは良かった」

 アメフトの本場である米国から選手を補強して初優勝した2015年とは違う。助っ人に頼らなくても、戦えるチームに仕上がった。昨季までヘッドコーチを務めた藤田シニアアドバイザーは「年々強くなっていますね。外国人が入ってきて、日本の選手も強くなった。目の前に競争相手がいるんですから」。

 学生も憧れ、生きのいい若手が入ってくる。先発した新人WR松井は「関学史上ナンバーワンのレシーバー」と呼ばれていた。「仕事もあるけど、意識の高さは学生以上。僕も来季はもっと成長したい」。競い合う環境が、4連覇の源だ。

退任の鳥内監督「僕自身が成長できた」

 関学大は28年間チームを率いてきた鳥内秀晃監督の最後を勝利で飾ることはできなかった。第1Qから2TDパスを決められるなど、格の違いを見せつけられた。追いかける関学大にミスや反則が頻発し、「こっちが(ミスや反則を)やっとったらあかんわな」。監督生活を終え、「ホッとした。終わってみたら、早かった。学生から毎年パワーをもらって、僕自身が成長できた」と笑顔で振り返った。


大学ラグビー選手権

2020-01-01 16:42:21 | ラグビー

ワールドカップの感動冷めやらぬラグビーブームの真っ只中で迎えた聖地・花園での大学選手権3回戦。対戦カードは関西大学Aリーグ3位の関西学院大学と1~2回戦を勝ち抜いた東海学生Aリーグの覇者朝日大学。

試合は関学のキックオフではじまり、開始早々に関学がトライ・ゴールも成功して先制する。

朝日は敵陣ゴール前で攻め続けるもスクラムで反則を犯し、関学にFKを与える。関学のCTB12番山本悠大が朝日のDFラインを突破するも、反則から朝日がトライにつなげ、さらにゴールも決まり7-7の同点。

関学はスクラムで朝日を圧倒し、朝日はコラプシングの反則を繰り返すなど劣勢を強いられる。その後、関学は敵陣ゴール前のラインアウトからモールでも押し込んでトライ。さらに関学SH9番橋詰学からWTB11番本山泰地へのパスがとおり中央へトライ、ゴールも決まって21-7でハーフタイムとなった。

後半開始早々にも関学がトライ・ゴールを決め突き放したかに見えたが、その後朝日も2トライ1ゴールを返し一時は28-19と9点差にまで追い上げた。

その後関学は33分、PGが決まり12点差に広げ、得点を重ね結局38-19のダブルスコアでノーサイド。進境著しい朝日の挑戦は終わり、その夢は後輩に託された。関学は明治への挑戦権を手にした。

 


アメリカン フットボール 

2019-12-17 15:57:22 | アメリカンフットボール

関西学院大学が令和初のアメフト学生王者に! 1月3日の『ライスボウル』へ出場

 


12月15日(日)に行われた『三菱電機杯 第74回毎日甲子園ボウル』で、関西学院大学ファイターズが早稲田大学ビッグベアーズを38-28で下し、令和初の学生王者となった

全日本大学アメリカンフットボール選手権 決勝『三菱電機杯 第74回毎日甲子園ボウル』が12月15日(日)、阪神甲子園球場で行われた。

この試合では関西学院大学ファイターズが、早稲田大学ビッグベアーズを38-28で下した。

試合は逆転に次ぐ逆転の展開に。前半は20-14と関西学院大学のリードで折り返したものの、後半に入ると早稲田大学のブレナン翼が75ヤードのビッグリターンを見せるなど反撃。2連続タッチダウンを決めるなどして、第3Q終了時には早稲田大学が27-28とリードした。

そして迎えた第4Qでは、残り1ヤードをRB前田公昭がダイブし、関西学院大学が再逆転。2ポイントコンバージョンも成功して35-28の7点差となった。さらに、22ヤードのフィールドゴールで3点を追加し、38-28で早稲田大学を振り切っている。

関西学院大学は1月3日(金)に東京ドームで開催される『第73回ライスボウル』に出場。社会人王者と日本一を懸けて対戦する

2020年1月3日(金)に開催されるアメリカンフットボール日本選手権『プルデンシャル生命杯 第73回ライスボウル』には、関西学院大学が学生王者として出場する。今季限りで勇退する関西学院大学・鳥内秀晃監督のラストゲームとなる同大会。学生たちの勝利への執念が観られることだろう。


関西大学ラグビー 入れ替え戦

2019-12-09 10:24:25 | ラグビー

関大、A昇格。大体大に完勝

 

関大、A昇格。大体大に完勝

 

 12月8日、京都・宝が池球技場で関西大学ABリーグの入替戦が行われ、A8位とB1位の対戦となった試合で関大が勝ち、来季のAリーグ昇格を決めた。敗れた大体大は2シーズンをAリーグで戦ったが、AからBへの降格はこれで2度目となった。

 A7位の摂南大は、B2位・龍谷大を66-21(前半33-7)で破って残留を決めた。

 関大が43-21で大体大を破った。前半は、17-14と僅差リードで終えた関大は、後半開始から再度アクセルを踏み込む。後半2分にハイパント、15分にチャージ、23分にはキックパスを起点にトライを重ねて突き放した。

運動量、キック攻防での安定感がスコア差につながった(撮影:早浪章弘)
 

 後半2分のトライは、キックオフ間もなくのキックラリーから。WTB勝又佑介が中盤のハイパントを絶妙の高いキャッチで抑えると、一気に逆タッチまで順目展開。やはりWTBの大西俊一郎が大体大デイフェンスの裏に中フライを上げて、自らインゴールで押さえてトライ(G成功)、後半早々に24-14と差を広げた。

 後半15分のトライも、キックで相手をゴール前に押し込んだラックから。ラック横から相手SH目掛けて狙い澄ましたチャージを決めたHO淡野徳蔵の殊勲だった。31-14とさらにプレッシャーをかけた。

 23分のキックパスはSO小松原柚貴主将から、WTB末廣賢三へ糸を引くようにつながった。38-14として大きく勝利に踏み寄った。その後は1トライを返されるも、危なげない試合運びで終盤へ。最後に1トライを加えての完勝だった。

 関大が、昨年の入れ替え戦で摂南大に敗れ降格してから1年、最速でのA復帰を果たした。

圧勝した摂南大。ヴィリアミ・ツイドラキはFBで躍動(撮影:早浪章弘)
 

関西学院 復活

2019-12-07 13:57:28 | ラグビー

関西学院、復活す。5年ぶりの全国舞台へ

 【ラグリパWest】関西学院、復活す。5年ぶりの全国舞台へ

5年ぶりに大学選手権出場を決めた関西学院大。ブレザー姿は牟田至監督、ガッツポーズをするのは原口浩明主将

関西学院が復活した。
 西の名門。通り名「カンガク」は5年ぶりに大学選手権出場を決める。「経験したことのない緊張感を味わうと思いますが、それを楽しみたいと思います」

 主将の原口浩明は声を弾ませる。
 167センチと小柄な左プロップは、最前線からチームを引っ張ってきた。

 11月30日、関西リーグの最終戦で大体大に42−14と勝利する。4勝3敗で京産大と並んだが、直接対決を28−21で制しており、天理大、同志社大に続く3位を確定させた。

 春季トーナメント7位からの躍進。理由はセットプレーの安定、とりわけスクラムの強化にある。ラグビーの根本に戻った。

 組み合いは4000本を設定した。コーチの張泰堉(ちゃん・てゆ)は振り返る。
「4月中旬から始めて、7月の第1週に終わりました。週に4日、100本以上組んだこともあります。よくやってくれました」
 30歳の元プロップはほおを緩めた。NTTドコモで現役を引退した張は総務部に勤務。週末に後輩たちの面倒を見ている。

 張と監督の牟田至の2人は春先、天理大学コーチの岡田明久に個人的に会ってもらった。
「まず物理的な数を組まないと」
 天理大のコーチから助言を得る。
 岡田の鍛えた漆黒のスクラムは昨年度、他を圧倒。第55回大学選手権決勝では、明大に17−22と5点差にまで詰め寄った。

 朱紺のスクラムは最終戦でも威力を発揮する。開始2分、大体大からコラプシングを奪った。前半、この手の反則は2つ。後半に入ればスクラムは走る。前半は14−7、後半は28−7。前への出方の変化が点数に表れる。

関西学院がリーグ戦を最後に制したのは2014年。それから5年間、苦闘する。

 翌年、ボールを動かすラグビーに固執するあまり、キックによるエリア獲りの意識が薄れた。首位から最下位の8位に一気に沈みこんだ。優勝監督だった野中孝介は辞任した。

 2016年、新任監督の大賀宏輝と部員たちが指導をめぐって懸絶する。大学職員でもある大賀は現場を離れた。1勝6敗で連続最下位の危機だったが、並んだ3校間の得失点差でかろうじて6位におさまった。

 

 関西学院は伝統として「学生主体」を掲げている。監督は基本的に強制をしない。話し合いで方向性が決まる。学生たちがラグビーで自主自立を学び、社会に出てほしい、という願いがある。ただ、時として両者に摩擦が起こってしまうこともある。

 翌年、OB会が中心になって白羽の矢を立てたのが現監督の牟田である。

 卒業後、サントリーでフルバックとして活躍し、現在はサントリー酒類につとめるビジネスマンである。

  牟田は再登板だった。2007年、2008年の2年間、指揮を執った。1年目は5位、2年目は51年ぶりとなる関西制覇を果たしている。

 

 牟田は学生たちとの対話を重視する。
「主体はいいけれど、主導はよくない」 ミーティングを重ね、意思疎通を図る。
 主将は赤壁尚志。牟田は絶賛する。
「赤壁は『しんどい』と一切言いませんでした。大した男でした」
 自分たちの主張も大切だが、勝てなければチームは崩壊する。防ぐには協調しかない。お互いがその思いを強くする。

 2017年は3勝4敗で4位。最終戦の立命大は終了寸前に犯した反則をペナルティーゴールに変えられ、19−22で惜敗する。引き分けなら得失点差で選手権に出場していた。

 フッカーだった赤壁は現在、大阪の「はつしば学園小学校」で教員の道を歩んでいる。

「僕の周りには昔から子供がたくさんいて、一緒に遊ぶことが好きでした」
 大学を出てすぐに天職につける。

  2018年は4勝3敗で同じく4位。2年連続で選手権を逃す。開幕3連勝も勢いが続かなかった。主将はフランカーの勝川耀。卒業後の進路は、自分の地元・伊丹にも事業所がある住友電工に定めた。

「就職活動で『君と一緒に働きたい』と言ってもらえた会社でした」
 大学の4年で人物により磨きがかかる。

 2019年。牟田の3年目は同時に最終年でもあった。このシーズンで監督を退任する。

「それぞれの代にそれぞれ特徴がありました。僕の中で、いい、悪いはありません。でも、ひとつ言えるのは学生にめぐまれていた、ということでしょうね」
 48歳の指導者には感謝が残る。

  チームにとっては牟田の3年間だけではない。それ以前の迷走や闘争すら復活には必要だった。根幹をなす「学生主体」を在籍した部員たちはもちろんOBや関係者が再考するよい契機になった。

 

 2期5年目を総括して牟田は話す。
「学生主体というオリジナリティーがないと、ウチの存在意義はありません」
 2児の父ながら、週末は家族サービスを放棄。12時間、グラウンドに立っていた。

  主将の原口は、勝因を問われる。

「ブレないと言うか、やってきたことを信じた、ということですかね」
 4000本のスクラムに寄り、それにかけた。結果は出る。今後の人生の指針は定まる。

  就職先は大手ゼネコンの安藤ハザマ。実家は北九州・若松で「原口建設」を営む。父・和也が3代目の社長だ。従業員は10人に満たない、いわゆるファミリー・ビジネスだ。いずれは帰郷も視野に入れている。

 四角い体、顔全体の笑み崩しなど原口は、いい「親方」になる雰囲気を漂わせる。学生たちが主将を決める時、ほぼ満場一致だった。その人望が学生主体と溶け合った。

 スタンドオフの房本泰治(たいち)は副将としてナンバーエイトの杉原立樹(りき)と原口を支えた。

 右足からのハイパント、エリア取りのキック。正確なパスでバックスをまとめ上げた。

 「中学から10年間、同じグラウンドで過ごしました。色々なことがありましたが、最後にここまで来られて素直にうれしいです」

 父・英利も同じ位置で大体大や大阪府警で活躍した。その道を追い、中学部からこの一貫校で楕円球を追った。

  関西学院が5年間の思いをぶつける大学選手権は56回目を迎える。初戦は朝日大と九州共立大の勝者と戦う。12月15日(日)、大阪・花園で正午にキックオフされる。

  勝てば準々決勝でシード校の明大と激突する。関東対抗戦1位は前年度の優勝校でもある。監督の田中澄憲(きよのり)はサントリーにおける牟田の年少者。先輩後輩の対決が実現する。

 全国舞台を心待ちにする房本は、損保国内最大手の東京海上日動に、転勤が関西限定の地域職として入社する。

「卒業してもなんらかの形でラグビーに関わっていければいいなあ、と思っています」
 10年の日々は母校愛を運んでくる。

  練習場の第2フィールドの西には、こんもりとした甲山がある。その奥には六甲山系が広がる。季節によって色彩は緑から赤や黄、グレーと鮮やかに変化する。

 その山並みは、1928年(昭和3)の創部のはるか以前、太古からこの地にある。
 その美しい風景はこれからも変わらない。

 

 


関西大学ラグビーAリーグ 7節

2019-12-05 12:54:23 | ラグビー

前節まで1勝5敗で入替戦は決まっているが一つでも順位を上げたい大阪体育大学と3勝3敗の大学選手権出場に望みをつなぐ関西学院大学とどちらも必勝の一戦。

大体大のキックオフで始まった試合、先制したのは9分の大体大。ゴール直前右中間ラックからSO⑩石本康二のキックをFB⑮森本星也がキャッチし中央へトライ、ゴールも成功し7-0と先行した。

一方の関学大は序盤からFWを中心に接点に拘り大体大にプレッシャーをかけて反則を導き、優位に試合を運んだ。その関学大が28分ゴール前5MスクラムからNo.8⑧杉原立樹がサイドアタックでトライを奪いゴールも決まる(7-7)と、さらに38分、ゴール前5M左ラインアウトからモールを押し込みHO②竹内海斗がトライ、ゴールも成功し7-14と関学大リードで前半を終える。後半は大体大も強力FWを中心に前に出て、ミスが勝敗につながらないゲームを期待したい。

後半も先制したのは大体大。8分にゴール前5M左中間ラックからSH⑨三浦裕次郎のパスをHO②河野圭太郎が左中間にトライ、ゴール成功(14-14)。

しかし関学大も12分にゴール前5M左ラインアウトからモールを押し込みHO②竹内がこの日2本目のトライ、ゴール成功(14-21)。14分に関学大はゴール前5M中央ラックより右展開しHBのパスをWTB⑭中孝祐が右中間トライ、ゴール成功(14-28)。

さらに関学大は21分、ゴール前30M右中間ラックよりSH⑨橋詰学からのパスをCTB⑫山本悠大が中央にトライ、ゴール成功(14-35)。また26分には22ML左中間ラックよりNo.8⑧杉原が走り込み中央トライ、ゴール成功し14-42のスコアで終了した。

最終順位で大阪体育大学は1勝6敗で8位入替戦へ、関西学院大学は4勝3敗で3位となり大学選手権出場を決めた。

 


関西大学ラグビーAリーグ 6節

2019-11-26 13:32:24 | ラグビー

ここまで2勝3敗の近畿大学、3勝2敗の関西学院大学、大学選手権出場の当確ラインが4勝3敗になりそうなだけにどちらもどうしても負けられない戦いは、11月末とは思えない暖かさの滋賀県東近江市の布引グリーンスタジアムで行われた。

先制は近大、3分に関学陣10m付近のモールからのこぼれ球に9番宇都宮佑介が反応してキャッチし右隅にトライ、12番福山竜斗のゴールも決まり、7-0とする。

近大は良い感じのゲームの入り方でその後も短いバックスラインで攻撃を仕掛けるが、関学はそれにしっかり対応し攻撃を寸断する。
10分に関学は相手陣ラックから左へ展開し14番中孝祐が右隅にトライ、15番奥谷友規がゴールを決め7-7と追いつくと、その後15番奥谷がトライ、前半終了間際には奥谷がPGを決め7-17とリードして終える。

後半も先制したのは近大、3分に12番福山がPGを決め、10-17と点差を詰めると、8分には相手陣ゴール前スクラムを押し込みターンオーバーし4番坂上知志が押さえて17-17と振り出しにもどすと勢いに乗った近大は18分に12番福山がトライ、22-17と逆転に成功。

関学は何度か相手陣で攻撃を仕掛けるが、ミスで攻めきれない。一方の近大はその後14番川井太貴がゴール前左隅に上げられたキックパスをキャッチしトライを重ねて27-17と突き放した。後半に入ってデフェンスを修正した近大が関学をノートライに押さえての勝利であった。

後半のキックでの陣取り合戦や近大陣での残り10分間の攻防など緊張感ある引き締まった一戦であった。


関西大学ラグビーAリーグ 5節

2019-11-13 18:49:01 | ラグビー

快晴で穏やかな風が吹く中、関西大学ラグビーAリーグ第5節、関西学院大学vs摂南大学は関学キックオフで試合開始。

 


開始直後3分、先制したのは関学。ラインアウトからモールで押し込み2番(竹内)のトライ。15(奥谷)のゴールも決まり7-0。
8分、摂南が敵陣5M中央のラックから左サイドへパスを回し11(岡田)トライ。10(ツイドラキ)がキックを外すも7-5と追い上げる。
17分、摂南陣ゴール前に攻め込む関学。摂南も力強いDFで守るが中央ラックから6(柴﨑)がポール下へトライ。センターからのキックは15(奥谷)が決め14-5。

 

22分、関学の素早い攻めに摂南は追いつけず、右サイドへ2(竹内)がトライ、15キック成功で21-5と突き放す。
32分、関学が粘りながらも少しずつ攻め込み4(渡邊)がラックから抜けトライ、15キック成功で28-5で前半を折り返す。

晴れているが後半になり風が強く、肌寒くなってきた後半。摂南キックオフで試合開始。
後半2分、自陣10Mで摂南ターンオーバーで20(タリフォロフォラ)から11(岡田)へパスが通りそのまま独走しトライ。10キックを決め28-12
このトライで勢いに乗ったかと思った摂南だが、パスミスなどのイージーミスが増え、なかなか攻め切れない時間が続く。


16分、関学9(橋詰)-10(房本)-13(福本)-15と左へ綺麗にパスを展開し最後は11(本山)がトライ。15キック成功で35-12。
19分、関学は敵陣10M相手のパスを見切ってインターセプトで14(中)トライ、15キック成功42-12後半30分、勢いに乗ったのは関学。またも敵陣10Mで関学インターセプト、そのままセンターへ8(杉原)トライ、15キック成功49-12。

34分、敵陣22M中央ラックから摂南10がキックパス、両者追いかけるも競り勝ったのは摂南14(嶋本)がトライ、10キック成功で49-19。
40分、関学は、敵陣ゴール前から外側にいた14へ大きなパスが通りトライ、15キック成功で56-19。
45分、ロスタイム2分を終えても粘った摂南だったが最後は摂南がキャッチミスしたボールを関学ターンオーバーし17(田畑)トライ、15キック成功で63-19
後半怒涛の攻めで突き放し、最後まで集中を切らさなかった関学の快勝となった。
MOMは関西学院大学FL6柴﨑 健。

 


ラグビーWC 

2019-11-06 16:28:21 | アメリカンフットボール

ラグビーW杯から教わった、日本人が忘れていたこと

桜のジャージーで街があふれかえった日本列島。担当記者として、ここまでの盛り上がりは想像していなかった。南アフリカの優勝で幕を閉じたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の人気に火を付けたのは、史上初の8強入りを果たした日本だ。新たな「国民的行事」となったラグビーW杯。なぜここまでファンを増やしたのか。

大会前に熱っぽく語っていたリーチ・マイケル主将の言葉が頭に浮かぶ。「外国人も日本人も一緒になって結果を出す。ダイバーシティー(多様性)がすごいチームと思ってほしい。これからの日本(社会)はどんどんグローバルになる。いろいろ感じてほしい」

日本のメンバー31人のうち15人が海外6カ国の出身・国籍。父が元韓国代表の具智元選手はスクラムで雄たけびを上げてチームを鼓舞し、南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニ選手はローマ字で覚えた君が代を歌い、母国に立ち向かった。

海外出身勢の多さを批判する声は広がらなかった。人気競技に比べても厳しい待遇の中、あらゆる犠牲のもとで過酷な練習に耐え、チームのために大柄な選手へのタックルを繰り返す「ワンチーム」。チームや競技の普及に対する献身的な姿が報道を通して伝わったからだろう。一丸となり困難を乗り切る日本の戦いぶりは、人口減で外国人労働者が増えるであろうこれからの日本社会の縮図であり、理想像だ。排他的な空気が漂い始めた社会で、絆やつながりといった日本人が大切にしてきた価値観を見つめ直し、国籍を超えて分かり合える可能性を感じ取ったからこそ共感が広がった。

試合が終われば敵味方は関係ないというノーサイドの精神。試合後に花道をつくってたたえ合い、日本文化を尊重した外国チームの選手同士が一列になって観客席にお辞儀もした。ラグビー憲章にうたわれた「品位、情熱、結束、規律、尊重」を具現化する姿に、忘れていた何かを思い出して感動した人も多かったはずだ。スポーツの枠を超え、心にレガシー(遺産)を残した歴史的大会だった。


関西大学ラグビーAリーグ 4節

2019-11-06 16:03:14 | ラグビー

関西大学ラグビーAリーグ、第4節は天候にも恵まれワールドカップ効果もあり、多くのファンを集めた天理親里ラグビー場で2試合が開催された。
第1試合は、戦前の予想では上位校にランクされていた京産大、立命大に勝利し勢いに乗る関西学院大学と、粘り強く接戦を制して勢いに乗る同志社大学。50日間のワールドカップ期間中に修正点を克服したかを問われる注目の好カード。

風上から攻める関学大SO10番房本のキックでゲーム開始、関学大のペースでゲームは進行した、
開始6分に中央20m付近から攻める関学大SO10番房本のキックパスを難しいワンバウンドで受けたWTB11番坂原が中央に回り込み中央に先制トライ、GKもFB15番奥谷が成功し、7-0。
反撃に出る同志社大は27分にペナルティから中央ゴール前5mスクラムからNO8斉藤が右に出て右中間にトライ、GKもFB15番原田が成功し、7-7とする。

33分には中央付近から攻め続ける同志社大のパスをインターセプトした関学大WTB14番中がそのまま走り込み中央にトライ、GKもFB15番奥谷が成功し14-7と再びリードする。

ロスタイムまで攻め込む同志社大だったが、得点に結び付かず前半が終了。

後半に入っても勢いがある関学大は5分に22m内ラックから左に展開し、HO2番竹内からのオフロードパスを受けたWTB14番中がそのまま走り込み左中間にトライ、GKもFB15番奥谷が成功し21-7とリードを広げる。

選手交代を積極的に行った同志社大は25分に20m付近のラックからせ攻め込みFL7番堀部からFB15番原田に渡り、再びパスを受けたFL7番堀部が右中間にトライ、GKもFB15番原田が成功し21-14と追い上げる。
勢いに乗る同志社大は35分にゴール前10m付近のスクラムからSH9番人羅からパスを受けた途中出場の21番桑山のキックパスをWTB14番山口が左中間にトライ、GKも難しい角度からFB15番原田が成功し、21-21とする。

予想通りの白熱した戦いとなったが、攻撃の勢いに乗る同志社大は39分自陣から走り込んだWTB14番山口がペナルティを得て、中央30mからのペナルティキックをFB15番原田が成功し、21-24と逆転。

ロスタイムになると関学大も粘り、ゴール前10mでペナルティを得た関学大はスクラムから逆転を目指すが一歩及ばず無得点、反撃及ばずノーサイドで同志社大が勝利した。


ラグビーWC 外伝

2019-11-06 14:06:19 | ラグビー

 

多くのファンに愛され、ラグビーW杯日本大会は大盛り上がりを見せた【写真:荒川祐史】

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 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は、決勝で南アフリカが32-12でイングランドを破り、史上最多タイとなる3度目の優勝を飾った。9月20日の開幕から続いた44日間の熱戦は幕を下ろした。今大会ではホスト国の日本が躍進。攻撃ラグビーでアイルランド、スコットランドというティア1の強敵を次々に倒し、史上初の8強進出を成し遂げた。また試合以外でも、日本人らしいおもてなしで世界のラグビーファン、メディア、選手たちの心をつかみ、多方面から絶賛を浴びた。

 大会は大成功に終わったのか。元日本代表主将で、4年前の日本の躍進を“影のリーダー”として支えた廣瀬俊朗氏が今大会を総括。「THE ANSWER」に語ってもらった。

 ◇ ◇ ◇

 南アフリカの優勝は見事でした。自分たちの強みの部分を出してやり切って勝ったと、改めて感じました。相手どうこうよりも、その点を出すことに集中しての勝利でした。準々決勝で日本を破った南アフリカですから、周りでも南アを応援する声もたくさん聞きました。イングランドはエディさんが監督でしたし、日本のファンにとってもいい決勝だったのではないでしょうか。

 日本の快進撃にも改めて触れましょう。4連勝での史上初の8強入りという結果はすごかったです。3年間、サンウルブズとして経験を積めた。そしてテストマッチで強い国と対戦できた。そうしてチーム力が高まり、戦術も固まった。やることが明確になりました。

 選手たちが長い時間を過ごすことで、結束が強くなっていったと感じました。多国籍の選手たちが一つになった。またジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は主体性という言葉を重視し、試合中に修正できるようなチームになった。ジェイミーHCが個々を尊重し、選手もそれに応えました。エディーさん(現イングランドHC)が率いた前回のW杯は規律を高め、当時としてはベストを尽くしましたが、そこからまた上のステージに到達したと思います。

 次のヘッドコーチが誰になってくるのか。HCだけでなく、コーチ陣も含めて大事ですが、個人的にはジェイミーが継続して指揮を執り、さらに積み重ねて、強くしていってほしいと願います。

ラグビー熱を継続させるために必要なこととは

 次へ向けて日本代表の強化ポイントは選手層でしょう。プール戦を突破して、決勝トーナメントで戦うには選手層がやや薄かった。プール戦で全力を出し切るチームと、準々決勝以降にコンディションを上げてくるチームの差が出たのではないか。選手層が厚くなれば、もう一つ上に行けるのではないでしょうか。

 このラグビー熱を継続させるために、選手がやれることはまずは自分のパフォーマンスを発揮し続けることだけです。プレーの面では自分を磨き、グラウンドの外ではボランティアだったり、普及活動だったり、対外的な活動でも積極的に表現の場を増やしていってほしいですね。

 あとは協会、まわりの人間がどうサポートしていくのか。プロ化という流れに向けて、どう事業化していくのかを考えていくことはマストだと思います。僕自身はトップレベルのキャプテンのサポートとグラスルーツ(草の根)のサポート、ラグビーだけじゃなくてスポーツに触れる機会を増やしていきたい。スポーツへの熱は確実に高まっています。

 今大会で得たレガシーをどう残し、どう次に生かしていくべきか。日本ラグビー全体としては、この8年間の積み重ねを振り返ることが大事。この実績がなくなることはない。どうやって勝ち、どういう風にして強くなったのか――。辿ってきた足跡を、受け継いでいくことです。強くなるためには理由がある。そこの価値観を共有し、理解することで、日本ラグビー全体はさらに強くなれると思います。

 来年は東京五輪もあります。オリンピックでは7人制ラグビーも注目を集めることでしょう。すでに福岡選手が転向して目指すことを表明していますが、15人制と比べてもアスリート(タイプの選手)により適正があります。よりスピードを生かせるようなフィットネス、ハンドリングスキルも大事。1対1に強いような選手が重要になります。福岡意外では、松島選手や姫野選手、レメキ選手は7人制でも間違いなく活躍できる。パラリンピックの車いすラグビーもあります。僕はアンバサダーを務めていますが、色々なラグビーにも注目してほしいです。

他国のアンセムを歌う初めての大会に「すごく嬉しいこと」

 日本大会は大成功でしょう。プレー以外でも、様々な形での日本の“おもてなし”が話題となりました。もともと日本人がもっているいいところだと思います。そこがよりフィーチャーされた。個人的にもスクラムユニゾンという活動を通じて、他国の国歌・アンセムを歌って歓迎しようと呼びかけていました。今までのW杯では他国の国歌を歌って歓迎するという姿勢はありませんでした。それが初めて、日本で起きた。すごく嬉しいですね。

 日本人がイングランドや、スコットランドの国歌を歌う。こんなシーンは日本だからこそでしょう。ラグビーにはもともと、違いを認め、いいところを受け止めるという文化がある。そうしたところが、日本人の気質、相手を労り、リスペクトするような姿勢とうまくミックスしたのだと思います。成績はもちろん、運営の面も含めて、素晴らしい大会になりました。

 最後にこの大会でラグビーに興味を持ってくださったファンの方に伝えたいことがあります。大学ラグビーも始まりましたし、高校生では花園もある。来年1月には今大会で活躍した選手が多数出場するトップリーグも開幕しますラグビーへの熱を国内の選手に向けてみてください。