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Tedのつゆ草の旅

母校関西学院ラグビー部とアメリカンフットボール部の試合を中心に書いているブログです。

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2012-08-17 11:46:36 | ブログ

1回生特集『疾走するニューカマーたち』

シーズンを迎え、リーグ戦へ焦点を定めるとともに、激化するレギュラー争い。総勢125人を数えるプレーヤーたちによって繰り広げられるその争いは、もはや学年など関係なし。そのなかで、若獅子たちは朱紺のジャージを目指しアピールを見せている。

 

■1回生特集『疾走するニューカマーたち』

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<笹井宏太郎>

 4月22日、朱紺の闘士たちが新しく誕生した。関学スポーツセンターで行なわれた入部式。新加入した44人の部員たちは朱紺のネクタイを首に締め、決意表明の場へ。皆がこれから始まるラグビー生活にむけ思いを語る。なかには涙する部員の姿もあった。

 それから1ヶ月後、大体大との1回生マッチを経て、Aチーム入りを果たす面々が現れた。5月20日の立命大戦、スターターの『10』番に名を載せたのは宇都宮慎矢(社1)だった。

 1年生のなかで一番のりでスタメン出場を果たした宇都宮にとってデビュー戦は熱いものだった。それはゲームが終わるや否や帰宅を命じられるほどの発熱のせいでもあったが。試合では自身が心に決めている「強く突き刺さるようなタックル」を決める場面が見られた。終わりしなには「フラフラだった」が、上々のスタメン初出場となった。アピールは続く。Aチームの次なる試合となった6月10日の天理大戦では勝利を導くトライを決めたのだ。

 「いつも狙っているとこ。相手の裏が空いているかどうかを見て、自分でいくか味方に渡すかを」

 その判断を迫られたのは後半24分のこと。ボールを持つと相手のディフェンスラインを前に、そこでは自ら切り込んでいくプレーを選択した。そうして奪った決勝トライ。それは高校の先輩であるSH湯浅航平(人福3)が、「自身で抜くプレーも得意」と後輩の特徴を述べた、〝宇都宮慎矢らしい〟ワンプレーであった。

 出場に際しては「緊張する」方と話す宇都宮。立命館大戦も、天理大戦も然り。だが、それも試合が進むにつれ湧き出るアドレナリンがかき消していくという。加えてチャンスをものにせんとする気概が彼にはある。「常に挑戦、でいきたいと」。

 京都成章高時代は後輩SOに座を譲り、FBとしてプレーの場を求めた。現在はSOとして、しかし大学でもレギュラー取りは容易くない。まだ1回生とあって体格差の問題もある。

 「大学はみんな体が大きい。コンタクトの面が高校とは違う。筋トレとかで体重を増やして。練習でも試合でも通用するよう強くしていきたい」。

 タックルとラインブレイクを武器に、キックは「ミス多い」と反省するが、それでも宇都宮の挑戦はまだまだ始まったばかり。後輩の台頭に先輩・湯浅もエールを送る。「いまAチームで出ても恥ずかしくないプレーヤーになってくれてるんで。負けないように頑張って欲しいです」。


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<宇都宮慎矢>

 その同期の、SOとしてのAチーム選出に「びっくりした」と話すのは同じく京都成章高から入学してきたPR安福明俊(教1)。彼も同じく天理大戦でリザーブとしてAチームのベンチ入りを果たした。けれども、宇都宮とは対照的に、こちらはホロ苦いデビュー戦となった。

 出番は後半25分、そこからチームにとってトライシーンを目前にしたビックチャンスが訪れた。ボールを持った味方が倒れラックに転じる。安福はオーバーに入ろうとする。だが、ここで相手に押し返される失態。結局、トライには至らずチャンスを逃す形となった。「オーバー出来ていればトライ取れてました」と悔やんだ。

 悔い残る初出場だったが、その後ははAチームの『1』番に定着している。その理由は、「走れる」ことにあるだろう。「走れる方なので」と自負するフィットネスは、いまチームのメンバー選考で重きを置いているもの。「一番走れるPRになりたい」と意気込む。

 もともと高校時代はCTBだったという経歴の持ち主だ。ずっとベンチでくすぶっているなか、2年生次にFWコーチに誘われた。そうしてPRにコンバート、そこから3年生次にはスタメンへと抜擢された。15キロの増量を余儀なくされたが、適性を見出された形。現在「走れる」こともBK時代の財産と思えばうなずける。いたずらに「逆にいまCTBをやれと言われたら?」と質問をぶつけると、「無理です」と苦笑いを浮かべた。

 そんな彼も、まだまだ課題として肉体面を挙げる。スタメンで起用された7月1日の同志社大戦。「最初から気合入るんでリザーブとは全然気持ちの入れ様が違う。(試合は)走り切れず。もっとフィットネスを頑張らないといけないと」。

 さらなる増量も。95キロの壁が立ちはだかっていると話すが(現在は92~94キロ)、最終的には「100キロで走れる」体を目指しているという。部内でのスクラム練習では対面するPR幸田雄浩(経4)らに圧される場面もあり、肉体増強は必須だ。

 「体重軽いぶん、セットプレー、スクラムが課題。経験積んで強くなっていく」

 夏合宿でのある日、チームの練習が終わってからも一人黙々とグラウンドで体を動かす彼の姿があった。「監督・コーチがいはるけど、大学は選手主体。自分たちで考えてサボるのも自分次第なんで。自分がもっと頑張らないと」。FWの最前列で生きていくストイックな姿勢はその決意の表れではと感じた。


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<安福明俊>

 安福がフィットネスを嘆いた同志社大戦。雨も相まってタイトな試合展開のなか、先発完投を遂げた選手がいた。SH徳田健太(商1)である。春シーズン最終戦を控え、1週間前にAチーム入りを果たした。初スタメンにも「あまり緊張しないタイプ」と物怖じけることなく試合に臨んだ。

 ゲームが終わってから目の上が腫れあがっていることに気づいたが、プレー中は気にならないほどのハッスルぶり。「自分の持ち味はディフェンス」と話すように、DFラグビーを掲げた関学高等部で身につけたプレースタイルを今年のチームにおいても発揮している。ともすれば、まぶたの腫れも殊勝の傷ということか。

 一方で、攻撃の起点としては納得のいかない様子。スリッピーなコンディションだったせいもあるだろう。だが自らのミスが目立ったこともあって反省の弁がこぼれた。

 「自分のミスを他の人がカバーしてくれて助かりました。今日は捕まり過ぎ。うまくさばけるように、ボールをうまく供給できるように」

 ミスの要因の一つ。それはルーキーたちが必ず通るもの。高校と大学の一番の違いともいえる、『接点』だ。体格差はもとい、そこから生まれる激しさに、打ちのめされる。徳田は言う。「さばき易さが違う。そこでミスが生まれる。改善していきたいと」

 皆が通ってきた道。慣れること、大学用の体を作り上げることで攻略できる。その課題は前提として、レベル高き関学SH陣に名乗りを挙げたことは特筆すべき点だ。なにせ今シーズン序盤から君臨し続けた湯浅とのスタメン争いを制したのだから。これには湯浅も落ち込んでいたとのことだが、主将・藤原慎介(商4)も「湯浅にとっても成長できる、良い経験になる」と期待を寄せる。そう、ルーキーの台頭はチームにとっても刺激となるのだ。

 「うまい人がSHには、いっぱいいる。(スタメンのときは)そのぶん精一杯やろうと。出る機会があれば、精一杯やっていきたい」

 6月17日の関大B戦では独走トライを決めるなど攻撃的な一面ものぞかせた徳田。中西健太(経4)も怪我からの復帰が見込まれるなかで、『9』番をめぐるバトルは彼の存在によって激しさを増しそうだ。


<徳田健太>

 徳田と同じくして、高等部時代に花園ベスト4の一員であったFL笹井宏太郎(教1)もAチームでアピールを続けている。立命館大戦では控えとして途中出場を果たすと、6月24日の関東学大との定期戦で憧れだった朱紺のジャージに袖に腕を通す。「重みが違うな」と実感した。

 体型が細く小さいことを認識しているからこそ、自らのアピールポイントは豊富な運動量だと話す。「チームのなかで、走り続ける運動量を。フィットネスもFWで1番を目指して」日々取り組んでいる。これまでリザーブでの出場が多いが、「流れを変えるのは、自分が走ることで。他の選手が疲れて動けないところをフレッシュに走っていきたい」と目を光らせる。むしろ効果的な起用方法になりうるか。

 その運動量に加え、笹井にはもう一つの武器がある。それは体をなげうってでも繰り出す闘争心あふれるプレーだ。春シーズンで最後の出番となった同志社大戦では試合のラストワンプレー、相手に抜かれそうになったところを必死に食らいついた。ひきずられた際に負傷することになるのだが、そこで流れを切ったことで勝利を告げるノーサイドの笛へと導いた。振り返れば花園のピッチに立ったときも、トンガ人留学生と対峙した際に胸部を骨折した。それでも痛み止めを打ち、準決勝の舞台までグラウンドに立ち続けた。

 FLとして常にボールあるところに働きかけなければならない。タックルに、ブレイクダウン。「高等部はディフェンスを大事にしていた。いまもタックルにいく回数は意識している」。自慢の運動量は存分に発揮される。一方で、それだけでは通用しないことも自覚している。同志社大戦でインゴール目前で捕まえられた場面を引き合いに笹井は語る。「タックルされても倒れない強さが必要だと。コンタクトが通用していない。フィジカルがまだまだ。体を鍛えていかないと」。

 前出の徳田同様に、明確な課題と向き合っている。それを攻略することは、心技体において関学〝大〟のラガーマンになることにつながる。「フィットネスを落とさず、フィジカルの強さを出していきたいと思います」。答えは出ている。それに至るまでの数式を解いていく作業が、すなわち笹井の成長曲線だ。

 2012年、日本一を目指しひた走る藤原組に加わったラガーマンたち。対戦する敵とも、そして部内競争にも彼らは猛然と立ち向かっている。その姿はどこか爽やかにも感じられる。新戦力、もとい〝新鮮〟力がチームにとって爽快な追い風となることは、期待するに堪えないだろう。


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2012-07-18 11:46:16 | ブログ

かつて、リーグ戦を目前にただ一人冷徹な眼差しでチームの状況を口にした男がいた。「勝ち切れる自信も無ければ負ける不安もない」そうとまで言い放ったFL安田尚矢(人福4)はラストイヤーを迎え、そして副将として、藤原組をどう捉えているのか。彼自身の勝利哲学を交え、チームの現状をひも解く。

 

■安田尚矢『ヤスの勝利哲学』

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 1回生次の彼の目に映っていたのは、理想とも言える姿だった。当時の4年生たち、小原組が見せたラグビーへの取り組み方、目標に向かって突き進む姿勢。

 

 「4回生が本気だったから。このままでいいのかと必死で、目標に向かって常に考えていた。下の僕らも、この人らの為に出来ることが無いかな、と。最後の方は、自分が4年生ちゃうかなと思えるぐらいの気持ちでいたんで(笑)」

 誰しもやる限りは、本気でかつ楽しくラグビーに興じたいと思う。そのためにも白星という結果は一番欲するものである。

 「(ラグビーは)中途半端じゃ勝てない。どれだけやったかが点差に出てくる。

 やっぱり試合に勝ったら嬉しいですから」

 春シーズン、関西の大学相手に負けることがなかった小原組。それに倣うように、今年の藤原組はこの上半期、上々の結果を挙げた。それもあってか、安田は満面の表情を浮かべる。「ラグビー、楽しいですよ!」

 その充実感の傍らで、安田は自身の勝利哲学を持ってしてチームの現状を辛く話す。全ては勝利の為に、だ。成長過程にある藤原組の上半期を振り返るなかで、外せない一戦がある。喫した唯一の黒星、6月16日の関大戦。それは金星の翌週の出来事だった。

 「なんぼ強いとこに勝っても、格下に負けたらそれが実力。天理に勝って慢心したのが、関大戦の負けの理由。浮ついてたビックゲームに勝ったあとが大事やと思ってたのに。自分が怪我したのも、浮ついてたのかなと」

 天理大を相手に挙げた3年ぶりの白星、それはチームに自信を植え付け同時に過信にも至らしめた。連勝街道の功罪ともいえる、その上調子を引き締めることを、分かっていながらも出来なかったことを安田は悔やむ。その後悔も仇に、チームは黒星を喫した。雨中の一戦、怪我で離脱しスタンドから観戦した彼の目にはどのように映っていたのか。

 「持てる力を出せんと負けた。なめてかかったトコもあるやろうし、雨も降って、点が取れないのも焦りを生んで。

 それに声を出すやつがいなかった。グラウンドの中が静かで、外のスタンドの方がうるさかったくらい。ゲームでは、相手がPG狙ってくるとか想定出来ず、準備不足もあってそういうときに声を出して修正する奴が大事になってくるのに、慎ちゃん(藤原=商4=)と悠太(春山=文4=)くらいしか声出してなかった」

 ここに安田が考える勝利哲学がある。キーワードは『準備』と『修正』の2つ。それはチームに訴えるものを意味している。

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 試合中、安田がチームに対して声を上げ、意見を口にする姿がよく見られる。レギュラー入りした1年生次から最高学年になった現在も変わらない。「1年のときからうるさかったです」と笑いながらも、断言する。

 「何を思われてもいいんで。僕の言うことが勝利につながるのなら。1回生やからって関係なく。これでイケるなら行こうと言うし、負けるなヤバいなと思ったら口うるさく言う」

 意見をぶつけることで気づくものもある。軌道修正につながる点も出てくる。それは、勝利への『修正』のための発言なのだ。関大戦を踏まえて「強い相手になればなるほど、想定外の場面も多くなってくるやろうし」、そのときこそ声を出せる存在が必要なのだと安田は話す。

 「(そのような存在の)FWがいない。僕とマル(丸山=社3=)がずっとしゃべっている。フロントローは返事するくらいで、バックローはしっかりと仕事するタイプなんですけど

 ゲーム中に好展開へと『修正』する為にも、発言力がチーム内に浸透して欲しいところだ。

 そして、もう一つは『準備』の必要性。『修正』にも通ずるもので、勝利へのイメージをいかに具現化するかを指す。安田自身のなかで、それが培われたのは高校時代。京都成章高で『準備』の大切さを身につけたのだと言う。

 「分析とか、勝つ為のことを考えて具体的な準備をすれば勝てることを知った。勝つ為のイメージを持って、それだけでは勝てないので、その為の準備をする、一番大事っスね。

 準備することで、試合中に予想外の展開がきても、違う修正が出来る。修正できなかったら切り替えられないけど、対処できる引き出しを持っておくことが勝つ為に大事なんかなと。

 どうすればいいかを常に考えてて、練習でも受身でやってて負けたときの後悔を考えたら、勝つ為の準備を、と。とことん負けず嫌いが高校に集まってました(笑)」

 貪欲なまでに勝利を追い続ける、その意欲が安田尚矢というラガーマンを構築している。その彼の勝利哲学ただひたすら勝つ為の『準備』をし、それをもってして『修正』が図れ、勝利という結果が生み出すことが出来る、ということ。

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 自身の考えを持ってしてラグビーと向き合っている。だからこそ、自分の意見を口にすることも厭わない。2年生次、緑川組としてリーグ戦を目前にしてのこと。チームの現状について「『勝てる根拠』をつけるために準備を」と訴えた。勝てる自信も無ければ、負ける不安もない。確信たるものが当時のチームにはまだ無かったのだ。果たしてFWのセットプレーの強さが『勝てる根拠』となった。

 それでは今年はどうか。磨かれたディフェンスは『根拠』になるか?

 「勝つイメージはまだ無いですね、まだ無い。自信がつくほど、まだ結果出てないし。天理大も勝ったけど、相手はフルメンバーじゃなかったし、日本一目指しているのに慢心している部分もあるだろうし。日本一を目指せる立ち位置にいない。結果出れば『根拠』も出てくると思うけどまだまだ不安ですね。

 秋に天理大に勝てるかと聞かれたら、もちろん勝てると言うけど正直五分五分だと。

 『根拠』がついたら、あとはやるだけ! 楽しむだけ、その一本だと」

 安田が話す『根拠』がはっきりしていた代、それが小原組だった。FW陣の攻撃力を絶対的なまでに磨き、遺憾なく発揮するだけ。あの代が、どこか楽しげにプレーしていたのは確固たる根拠があったからなのだろう。攻めれば勝てる、という。

 「接戦に持ち込める自信はある。アタック力あるチームに対しても3トライ以内には。ただディフェンス力あるチームに対して3トライ取れるかは自信無いので。これからアンガスさん(マコーミックHC)に教えてもらいます」

 上半期の結果も、頂への過程に過ぎない。さらなる成長が必要と、チームに期待する部分は期待し、足らぬ部分は辛く口にする。

 「関学は優しくて、おとなしい子が多い。毎試合ケンカするくらいの気持ちでやってたら、関大戦の負けも関東学院大戦の出だしも無かったかなと。

 もっと危機感が欲しいっス。春勝ったし、成長の実感もある。けど、まだまだこんなんじゃ足りないと」

 かつて1年生ながら、最高学年の気概で臨んでいた。これが最後という思いが増幅させる勝利への渇望、あの頃の感覚が今の彼の胸には再び宿っているという。

 「一日一日を大事にせなアカン。勝ったときの喜びを味わったのもあるし、やっぱり結果残したら鳥肌立つくらい嬉しい。あの為に勝利を目指している。ただ、日本一になったことが無いぶん、日本一になりたい!」

 勝利を欲する理由。積み重ねた先にチームの目指す頂があることは言うまでもない。けれども、その発端をたどれば、一人のラガーマンの純粋な思いに行き着く。

 「負けるのだけが一番嫌なんです」

 だから、安田は次の試合でも厳しくチームに説くのだ。勝利への提言を。


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2012-07-05 12:06:25 | ブログ

春シーズン最終戦となった宿敵同大との一戦。関学はディフェンスから試合を作り、19―14で同大を下した。藤原組は白星で今季を終え、夏を迎える。まだまだ藤原組から目が離せない!

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【宿敵】
 春シーズン最終戦の相手は同大。昨リーグ戦では後半ロスタイムでの追い上げも虚しく、1点差で敗北を喫していた。「その借りを返す。やってきたことを出し切るだけ」。春から徹底してきたディフェンスを信じ、同大に挑んだ。
 先制点を挙げたのは関学だった。開始早々、マイボールラインアウトからモールを形成。LO丸山(社3)がそのまま押し込みゴールラインを割った。その直後、同大に逆転を許し5―7に。なんとしてでも取り返したい関学は果敢に敵陣へ。前半終了間際、ラックから持ち出したLO藤原(商4)がトライをねじ込み、逆転に成功。12―7で前半を折り返した。
 後半、CTB吉原(人4)がトライを挙げ、19―7と点差を広げた関学。後半10分、同大にトライを許すも、粘り強いディフェンスで守り切り、19―14で試合終了。同大を下し、白星で春シーズンを終えた。

【夏へ】
 「勝って終われたことは大きいが、今日のようなきん差では関東の大学に勝っていけない」と主将・藤原。もっと走らないと、と今後の課題を語った。春シーズンの試合結果は7勝1敗。シーズンを通して強化してきたディフェンスの成果は表れている。夏合宿では関東の大学と試合が組まれており、夏にかけてさらに磨きをかける。徐々に形になりつつある藤原組のラグビー。この夏の成長が日本一への鍵となる。


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2012-07-04 12:15:57 | ブログ

文字通り『センター』に君臨している。フィールドの中段、チームの中核。CTB春山悠太(文4)が見せるパフォーマンスにせまった。

 

春山悠太『4年目のオフロードパス』

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 時間にして、ほんのわずか。だが、その瞬間を目にしていると、ふと時が止まったかのような錯覚に陥る。バスケットボールのダンク、それも滞空時間の長いシュートを見ているときと同じ感覚。

 一連の流れのなかで、〝それ〟は繰り出される。ボールが渡され、スピードに乗りDFライン突破を図る場面。そこに相手DFが低いタックルで仕留めにくる。捉えられ、足が止まる。体勢が崩れる-

 その刹那、時は止まる。捕まったはずのボールキャリアーが、ときに上半身を反転させ、ときに片手でボールを操り、周囲とは違った時間軸にいるかのようなゆったりとした、かつスムーズな動作を持ってして、側に寄る仲間にパスを放つのだ。〝それ〟を『オフロードパス』と呼ぶ。今シーズン、大学ラグビー生活4年目を迎えたCTB春山がフィールドで繰り出す姿が目立つ。好機を生み出す、そのパスを。

 「やろうと思ってやってないいや、自分はスペースに走って、けど、そこで行き切ることが出来ないとき、無理な状態になってからの判断です。ある程度ゲインして、止められたらパス、その形」

 春山は自らの『オフロードパス』について、そう話す。大仰な書き始めになったが、プレーする本人にとっては至ってシンプルなもの。突っ走って、止められたらパスに切り替える、そのスイッチ。しかし、そのプレーは以前の彼にはそれほど見られなかったように思える。春山の特徴といえば、パスにラン、コンタクトプレーも全てひっくるめてハイレベルな(グラフにするなら整形になる)ものだった。果たして、いまのパフォーマンスは2012年度の関学ラグビーの方針に即した、彼のニュースタイルなのか? 答えは違う。これは彼の進化した姿なのだ。

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 もとより、どれを取ってもレベルの高いプレーを見せてきた。それゆえに就くポジションはCTB。春山が話す、その役割とは。「SOが司令塔で、そこからWTB・FBへのつなぎ役がCTB。コンタクトプレーが必要で、ランもパスも全てのプレーが要求されるポジション」

 12、13番と2人を揃えるチームのCTB陣で彼が着けるのは『12』番が多い。俗にインサイドセンターと言われるその方は、春山曰くゲームメイクの役も担っているという。「激しい状況のなかで、冷静になってゲームを作っていく。そこにやりがいが。あと、一番タックルにいけるのも」

 かつて彼がU20日本代表に選ばれたとき、そして国際大会という大舞台での経験を得た2年生次のこと。当時の彼はU20日本代表が掲げた『4H=低さ、速さ、激しさ、そして走り勝つ』を取り込み、プレーに反映させていた。まもなくチームのレギュラーにもなるのだが、それでも春山はさらに上のレベルを目指すべく、こう話していた。

 「(足りないのは)コンタクトの部分、それと人を動かすことスかね。『12』番というポジションから人を動かして。そこを磨いていきます」

 相手との接点、周囲との連動。不足と実感していた2つのピースを埋めること、その結実として4年目のオフロードパスが生み出されたのである。

 それはコンタクトプレーから始まる。ラン突破に襲い掛かってくる相手のタックル。そこで倒れない、たとえバランスが崩されようともパスを放つ為の体勢は一瞬だけでも整っている。

 「去年から体幹を鍛えるコアトレーニングを太朗(吉原=人福4=)と継続してやって。それ自体はそれほど疲れたりはしないんスけど、練習後となると。それでも、どれだけしんどくてもやり続けてきた成果が出てきている。(1対1で)相手をずらしやすくもなっているし。フィットネスは落ちてないし、フィジカルの面でも4年目で一番、身体は良い状態です」

 体幹の強さが、オフロードパスのあの瞬間を作り出す。しかし、放つパスがつながらなければ、ラインブレイク失敗と見られてしまう。ボールがつながってこそ、成立するプレー。それにはパスを受ける側の周囲のサポートが不可欠である。

 「ずっと去年もシーズン通して太朗と組んできて、信頼厚いし、僕のこと分かってくれてるんで助けてくれる。俊輝(水野=人福2=)もアタック力あるし、良いプレーしてるし」

 CTBは春山を軸に、大半を吉原との成熟コンビが担い、一方で終盤は2年生・水野の台頭が著しかった。意思疎通の成せる技、オフロードを起点に加速する勢い。どちらもチームにとって大きなファクターとなった。

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 春山の進化の証は、この春シーズン存分に発揮されたように思える。だが、当人は納得など微塵も見せず、上半期を振り返った。

 「満足できたのは無いです。

 バックスリーに、ものすごい3人がいて、加えて太朗も俊輝もアタック力あるなかで、あいつらを活かすことを重点的に、もっと意識すればプレーも変わってたと思う」

 自らのドライブで火中に飛び込む、いや表現を借りるならば「行き切れない」が為にオフロードパスを投じるに至る場面。そこでサポートしてくれる仲間への感謝と信頼は感じている。次は自分が周囲を活かす番。自身が的確な判断力を持ってすれば、周囲をより上手く動かすことが出来ると考えている。

 「突っ込んでオフロードの場面か、広くパスを振るか。縦と横のバランスが偏っている。全く出来てないまだまだです。

 そのときそのときの判断をして、ゲームメイクをしながら。BKラインがほんと揃っているので、それを動かす原動力、アクセントになりたい。選手を活かす存在になりたいです」

 ゲーム中の激しさのなか、ほんの一瞬だけ冷静さが極限までプレーに昇華される。オフロードパス、それは春山が口にしたCTB『12』番の魅力がそのまま映し出されたワンプレーに思える。だからだろう、春山がこのパスを繰り出すシーンは違和感なく写る。けれども、これは一端に過ぎない。チームを勝利に導く、絶対的『センター』の。

 周りを活かすプレー、これが春山悠太ステップアップの次なるピースである。


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2012-06-26 23:54:41 | ブログ

両者トライなしと均衡状態で迎えた前半30分。試合を動かしたのはCTB水野俊輝(人2)だ。流れを引き寄せる先制トライを決め、その後も積極的なタックルで関学を勝利へと導いた。

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【再出発】
  「自分たちは強くない」。先週の関関戦で今春チーム初黒星を喫した藤原組。挑戦者の気持ちを再燃させ、今試合に臨んだ。前半は自陣深くまで攻め込まれるも、粘り強いディフェンスで相手の攻撃を封じる。そして前半30分、試合が動いた。ディフェンスからターンオーバーに成功した関学。パスを受けた水野がゴール右隅に飛び込みトライ。待望の先制点を奪った。「ここでチームの流れが良くなったら、と思っていたので。起点になれて良かったです」と振り返った。
 5―0で前半を折り返した関学。後半も勢いに乗るかと思われたが、2トライを返され、5―10とリードを許す。だが敵陣ゴール前でFWが強さを発揮。モールを押し込み、HO南(人3)のトライで12―10と逆転に成功した。その直後、WTB松延(商4)が相手を引き離す決定弾を挙げ、17―10でノーサイド。リードを守り抜き、関東学院大を下した。

 

【集大成】
 「個人のディフェンスは評価できる部分もあった。アタックのミスが目立ったので、そこからしっかり詰めたい」とナンバー8藤原(商4)。おごることなく、気持ちは次へと向いている。次戦の相手は、昨リーグ戦で惜敗を喫している同大。春シーズン最終戦となる。「やってきたことをしっかりやるだけ」。春の集大成を白星で飾りたいところだ


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2012-06-26 23:38:00 | ブログ

緊迫感が頂点に達しようかといわん時、勝負を決めたのは今やチームの絶対的存在となったエースWTBの一撃だった。今年、副将を務める松延泰樹(商4)のレベルアップをここに記す。

 

松延泰樹『エースWTBは、上昇気流に乗って加速する

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 視界が悪かったことは覚えている。それは、スコールのように降り注ぐ大雨のせい。そのなかを、朱紺のジャージが駆け上がってくる。写る被写体は一つ。雨中の独走シーン。もはや目の前に誰もいない、インゴールだけを捉えたそのときの彼の視界は晴れ渡っていただろう。

 それは〝WTB〟松延泰樹の出発点といえる2010年6月13日の六甲ファイティングブル戦のこと。この日決めた独走での1トライから、彼は徐々に存在感を放ち始めた。その2年生次はトップチームに長野・松野尾の不動の両WTBがいた為、アピールも敵わずシーズンを終えたが、ブレイクしたのは去年の3年生次。関学BKのなかでも抜き出る体格の良さを武器にプレーヤーたちの密集もお構いなし、チーム内でも「3、4番手」と自負するスピードも相まってフィールドを縦横無尽に駆け回った。その活躍ぶりが松延泰樹のWTBとしての評価を不動のものにした。それはラストイヤーとなった今年も揺るがない。ブレイクして2年目、当時を振り返るとともに今の胸の内を彼はこう明かす。

 「WTBのミスって責任がある。取り切れるときにノックオンしたり1コ1コのミスがデカい。色んな面でプレッシャー感じてて。(失敗して)4年生に迷惑かけてしまうというプレッシャーもあった。

 今も変わらずWTBとしてのプレッシャーには不安スけどビビってても一緒なんで。ミスしたらプレーで取り返そう、4年生として引っ張ろう。そう思っています」

 プレー1つ1つが勝利をたぐり寄せる使命を帯びているポジションだからこその責任と重圧。それらを自身のなかでモノにしている、それこそが松延の強さなのだろう。デカい。体躯もさることながら、その存在感が。

 最上回生として就いた副将の役目も、彼自身をさらに助長させるものになっている。リーダーの経験などこれまで無かったのに、と照れながら松延は話す。

 「全く無い。今まで3年間、練習中もちょけたりで(笑)。

 そんな奴だったんで、口で言っても。それより行動で! 声出したり、足使って引っ張ったり。人から見て、変わったなと思われるような」

 上昇カーブを描き続ける背番号14の姿がピッチで光る。ボールを持てばトライへつなげる、その決定力はもはや折り紙つき。だが今シーズン5月13日の青学大戦で決めたトライからしばらく、得点シーンを飾ることはなかった。エースWTBが音沙汰なし、そのなかでチームも今季初黒星を喫した(6月16日関関戦)。そうして藤原組は強豪・関東学大戦を迎えた。120625nobup2_3

 6月24日の関学第2フィールドは、異質な重苦しさが漂った。それはこれまでの経験したどのゲームとも異なるもの。天理大戦の緊迫感とも違う。なぜならゲーム開始から、藤原組はほとんどボールを触ることなく、ただひたすら自陣で耐えるだけだったからだ。パスの乱れから一気に攻めたくられ招いたピンチ。それでも、チームの見せ場に変えてしまう強みが今のチームにはあった。テーマの『ディフェンス』はこのときに発揮される。人員総動員のモールもゴールラインを割らすことはない。前半も半分を消化したところでピンチを脱出、ハーフウェイラインあたりまでボールは動き、ウォーターブレクに入った。このとき主将・藤原慎介(商4)は集合をかけ、ポジティブな声がけでチームを鼓舞した。「ディフェンスから心折ったろう」。防戦一方なのは確かな事実であるが、得点を許していないのも事実。耐えしのぎながらも、相手が「攻め疲れている」(藤原)のを感じるまでに強固な意志を持ってゴールラインを守り切った。

 ワンチャンスを手中に収めた者が勝つ。一つのミスが命取り、一つのトライが勝利に直結する。試合は両チームが2トライずつを奪い、その差はコンバージョンの2点のみという状態で終盤へと突入する。残すは10分ほど。

 一瞬の隙だったか、積極的な姿勢が生みだしたチャンスだったか。後半74分、敵陣深くでの相手スクラムから陣地挽回で相手が蹴り出したボールはハーフラインまで戻るが、キャッチするや否やクイックスローで関学はプレーを続ける。ここからテンポよくパスをつなげ、ボールは最後、もっとも端で構えていたWTB松延に渡った。

 「自分の前がFWやったんで。勝負してみよう、と」

 楕円球を手に加速し、詰め寄った相手ディフェンダーをさらりとかわすと、そこからギアを上げさらに加速。無人のインゴールへ飛び込んだ。

 試合を見つめていた関学全部員がエースそしてリーダーに寄せた、期待に応えた1トライ。試合を決定づけるに十分な一撃だった。

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 試合後、松延は安堵の表情を見せた。

 「関大に負けて、一からのスタートで(シーズン当初からの)連勝のプレッシャーも無くなったし自分らはチャレンジャーだということで。勝てたことは良かった」

 前節敗戦から一転し、勝利を収めたことへの喜び。そしてチームとして練習の成果が出せたことへの納得。試合を通じて見せた必死のディフェンスはBKも同じだった。昨年からさほどメンバー変更されることなく成熟極めるBKも強固な防御網を敷く。「セットプレーから抜かれたことは無くて。その点でBKのディフェンスは悪くないと」と自信を強める。そのなか、相手が展開しても、最後の1対1、〝大外〟松延がタックルで仕留め、サイドラインへ押し出したシーンもこの日の関東学大戦では見られた。

 攻守両方の場面で存在感を増す松延。BK陣とともに、さらなる上昇気流に乗る。

 「アタック面ではコーチ陣からもBKは中盤からどんどんいくように言われてて。今のBKはデカさもあるので、ボールに触っていけと。そこから展開もキックも、サインプレーも。

 アンガスさん(マコーミックHC)が、テンポでつないでつないでの形が合っていると仰ってて、オフロードでつなぐ意識を。練習で出たことが出せている。

 自分は、端っこにおらず走り回って常にボールを触れと言われているので。SHから直接もらったり、とどんなとこでもボールもらっていくことを心がけていきます」

 個と組織。双方のレベルアップが、相乗効果を織り成している。藤原組の成長曲線の要因はそこにある。その最たる例が、背番号14、ポジションはWTB、松延泰樹、この男なのである


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2012-06-19 02:10:20 | ブログ

 前主将・松岡正樹(経4)が選ぶ、来シーズンの注目選手とは?ファイターズの主将を引退したばかりの松岡に直撃し、来シーズンの注目選手を挙げてもらった。第1回は松岡が4年間務めたポジションであるRB。最も時間を共にしてきたRBパートだけに思い入れは強い。「俺に一番似てるんかな」と悩んだ末松岡が選んだのはチーム1、2のスピードを持つ野々垣祐輝(人2)だった。
 野々垣の最大の武器は何といってもその俊足だ。「スピードを落とさないことを忘れないでほしい」と松岡は語る。「スピードは欲しくても簡単に手に入れることのできないもの。最大の武器にしてほしい」。松岡自身、ラストイヤーで当たりに強くなるために体重を増やした。チームの勝利を第一に考えた末の選択だったが、自分の持ち味であるスピードに満足いかないこともあった。「野々垣にはその俊足は大事にしてほしい」自らの経験を元に松岡は後輩に期待をかけた。
 松岡がさらに野々垣に求めるのは戦術理解だ。「アイツ頭悪いからなぁ」とニヤリ。しかし、アメフトに取り組む素直さ、真摯さは評価している。「戦術理解もそうだけどもっともっと考え抜いてほしい。そうすれば周りの度肝を抜く存在になるはずだから」。松岡の後を継ぐ快足スターにこれからも目が離せない。


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2012-06-15 17:21:07 | ブログ

SH湯浅航平(人3)、大健闘!関学は7点ビハインドから、湯浅の2本連続トライで逆転に成功。素早い球さばき、そして積極的な攻めの姿勢で、3年ぶりに天理大を破る立役者となった。
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【好機逃さず2弾】
 昨リーグ戦では出場機会のなかった湯浅。1年ぶりに立った大勢の観客が見守る大舞台に気持ちは高まっていた。
開始早々、関学は天理大に先制点を許す。だが前半15分、湯浅が敵陣ゴール前スクラムからボールを持ち出し、右隅にトライ。5―7と2点差に詰め寄った。その直後、またしても湯浅が動く。ラックからボールを持ち出しインゴールへと駆け込み、2本目のトライをねじこんだ。湯浅の2トライで関学は10―7と逆転に成功した。「2本ともうまくスペースが空いていたので。久しぶりに決められてうれしいです」とコメント。その後も素早い配球でチームを勢いづけた。
  「スクラムハーフは安定感が命。安定したプレーで、チームに安心されるような存在になりたい」。背番号9を背負ってスタメン出場し、チームに貢献することが目標だという。し裂なSHのレギュラー争いに名乗りを上げた湯浅。得意のキックとことん攻め、スタメンの座をつかみにいく。

  期待の新戦力が試合を決めた。17―14ときん差で迎えた後半23分、関学は敵陣22㍍付近でラックを形成。ボールを拾ったSH湯浅がSO宇都宮慎矢(社1)へとパスをつなぐ。絶好の位置でボールを得た宇都宮。迫りくる天理大のディフェンスをかわし、試合を決めるトライを奪った。
 値千金のトライに「言葉にできないくらいうれしい」と喜びを語った宇都宮。公式戦デビュー戦となった試合で存在感を猛アピールした。「修正点はたくさんあるが、常に挑戦の気持ちでミスを恐れずにやっていきたいです」。即戦力ルーキーとして、今後の活躍に期待がかかる。 


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2012-06-15 17:18:54 | ブログ

会場に歓喜の叫びがこだました。春シーズンここまで無敗の関学が挑んだ春大一番。昨年の関西リーグ覇者であり選手権準Vの天理大を相手に接戦を繰り広げ、勝利をつかんだ。

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【勝った!】
 「やるだけのことはやった。自信を持って試合に臨んだ」。春は走りに走り抜いた。今年のチームのテーマであるディフェンスにも重点的に取り組んだ。昨年のアタック重視のラグビーから一転し、新たなスタイルを切り開いた春。つらい練習に耐えた成果が実を結んだ。
 立ち上がり天理大に先制点を許したものの、前半14分にSH湯浅(人3)がゴール前スクラムから抜け出しトライ。さらに20分には密集から抜け出した湯浅が連続トライを奪い、10―7と逆転に成功する。さらに主将・藤原(商4)も湯浅に続き得点し、天理大を引き離す。終了間際にトライを許し、17―14で前半を終えた。
 3点リードで迎えた後半戦。立ち上がり天理大に自陣深くまで持ち込まれてしまう。自陣でのプレーが余儀なくされるなか、我慢のタックルで相手のトライチャンスを防いでいく。チャンスが訪れたのは23分。敵陣22㍍ラックから湯浅がSO宇都宮(社1)へパスをつなぐと、宇都宮が値千金のトライをたたき込む。この一発が天理大を引き離し、そのまま試合終了。2009年のリーグ戦ぶりに天理大を打ち破った。
「春にやってきたことが出せた。小さいミスはあったがそれを補うディフェンスができた」。そう試合を振り返った藤原。また徳永(商2)や井之上(社2)金(人2)といった、主力として活躍しうる選手がU―20日本代表に選出され欠けるなかでの勝利に「層の厚さを感じている。多くの選手がAで経験を積むことができているので、いい感じで秋につなげていけるのでは」と満足げだった。
 春シーズンの残り試合もあとわずか。次戦は昨年8年ぶりに敗北を喫した関大との関関戦だ。「もっと上を目指さなければならない。ここまで負けなしできているし、昨年の屈辱も晴らすべく必ず勝つ」と藤原は力強く意気込んだ。全勝で春シーズンを終えることを目指す関学。この勢いはもう誰にも止められない。


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2012-06-12 23:22:29 | ブログ


 兵庫フェニックスラグビーカーニバルで行なわれた大学対抗戦の主役は、いまや関西のトップに君臨する黒衣のジャージではなく、その強敵から3年ぶりの白星を飾った朱紺のジャージだった。藤原組の真価が発揮された一戦。これが、今年の関学だ。

 

『自信から確信へ ~vs天理大戦~』

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 熱が覚めやらぬなか、チームに号令がかかる。試合を終え、ユニバー記念競技場のメイン入口から出て集まる部員たち。ヘッドコーチ、監督、そして主将が試合の総括を話し、締めくくられる。

 それから主将・藤原慎介(商4)に声をかけインタビューを願い出た。

 「座ってもいいですか?」。もはや疲労困ぱい。近くのベンチへ促し取材を始める。つい先ほどまで身を投じていた80分間を振り返ってもらった。

 「むちゃくちゃキツかったっス。スクラム、ラインアウトでプレッシャーかけていこうと。セットプレーで一本一本を大事にしてやっていって。やってきたことが出来て良いゲームやったと、素直に嬉しいです」

 勝利の味をかみ締める。それはタイトで、それゆえにチームの力が存分に出たゲームだった。

 キーワードは、「セットプレーでのプレッシャー」。ゲームのなかで打たれる一区切りの間は、互いの力量が推し量れる要所である。試合開始早々のスクラム。そこで相手と組み合ったとき、PR幸田雄浩(経2)は一つの自信を覚えていた。「勝てる」。

 そう感じていたからこそ、スクラムが解かれたときには許してしまっていた先制点も意に介さなかった。むろん選手たちが口を揃える、立ち上がりの悪さは改善の余地があるが取られた以上は「切り替えてやるしかない」(藤原)。その直後、ゴールラインまで迫ったFW陣はこん身のパワープレーを見せる。

 相手ボールのスクラムで、強烈な押し上げ。そのプレッシャーは、相手をペナルティに至らしめるほどのもの。笛が鳴り関学側のボール獲得が告げられると歓声が沸きあがった。そのなかで誰よりも興奮を隠し切れなかったのは、最前列の男たち。幸田と、同じくPR石川裕基(社4)がハイタッチを交わし喜びを現した。

 「今年1番のスクラムでした!けっこう流れ変わったかなと」(幸田)。

 セットプレーの醍醐味、FW陣の見せ場。モメンタムは一気に関学へ。それは、肌を合わせて感じ取った自身と、「スクラムから盛り上げていけたら」と常に心に留めているリーダー率いるFW陣の意地が爆発した一撃だった。120611p2_4

 そうしてゴールライン目前でのマイボールスクラム。勢いそのままに、SH湯浅航平(人福3)がボールを持ち出し、トライを奪う。実は、このとき目論んでいたのはスクラムトライ。ナンバー8中村圭佑(社2)が別のサインと勘違いして動きが変わった、それを冷静に判断、上手くカバーしたプレーだった。

 「自分の伝達ミスもあるけど。スペースがあるのを見てて良かった。ラッキーなプレーでした」と苦笑いの湯浅。

 プレーのなかで、FW陣のすぐ後ろに位置取る彼もゲームを通じて確かな手応えを感じていた。「FWのセットプレーが安定していて、やりやすさが全然違う。むっちゃ助かりました」。悠々とボールを操ることの出来る状態にあった。それに加えて。自身も基点の一つとなるパスワークも、この日は的確に展開された。「つながる意識を持って、チーム全体としてのサポートプレーが出来ていた」結果、逆転となるトライを湯浅自身が挙げた。

 得点シーンは続く。後半31分、敵陣深くでのマイボール・ラインアウト。ここでも安定したプレーを見せ、ボールを前へ運ぶ。一つ一つ丁寧にフェイズを重ね、ゴールラインは目前。「FWで最初攻めてて、ラックから一旦パスを入れたときに、そんなに圧力感じなくて。テンポ良くいったらトライ取れました」。そう語ったのは主将・藤原。ラックからボールを持ち出し、足を刈られながらも豪快に楕円球をインゴールに叩きつけた。

 奪った3つのトライ。天理大を相手に、リードしたのも記憶に久しい。好ムードが漂うが前半最後、天理大WTBがスルスルと関学のディフェンスの間を縫ってトライを決める。ムードは一転、やはり一筋縄ではいかぬ3点差で前半を終えた。

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 となると、後半の立ち上がりが重要になってくる。前半は開始早々に失点を許した。終了間際の弾みもある。試合の行方を左右する時間帯、そこで発揮されたのは藤原組の強み、ディフェンス力だった。やはりどこか受身の局面が続き、天理大の攻撃が迫るが必死に食い止める。決してゴールを割らせることはなかった。

 そうして10分近くが立ったとき、相手がこぼしたボールをPR石川が俊敏な動きで奪い取る。そこからボールをつなぎ一気に敵陣へ。ようやく鬼門であった後半の立ち上がりから抜け出したことを意味するワンプレーだった。

 そのまま一進一退の攻防が続き、後半24分、試合を決定づける1発が生まれる。決めたのは、SO宇都宮慎矢(1)。1年生のなかで一番初めに朱紺のジャージに腕を通した男。「チャンスだと。挑戦の気持ちで」臨んだビックゲームで決勝トライを見舞った。それは彼が得意とするプレーだった。パスの流れに沿って、相手の動きも視野に入れ、そのままパスを回すか、相手ディフェンダーの裏を取るかを判断する。

 この場面で選んだ答えは「裏を取る」だった。背後にいた藤原もその気配に感づいていた。「前が見えてて、裏が抜けてるシチュエーション。抜くなと思ってたし、フォローしてボールもらえたらとも思っていた」。そうして詰め寄るも、宇都宮は狙い通りのラインブレイクでインゴールへ。主将は走り込んだ勢いのまま、ルーキーSOを抱きかかえた。

 5月20日の立命大戦からAチームに抜擢された宇都宮。この日も「緊張していた」と話すが、その緊張もプレー中に湧き出るアドレナリンが打ち消した。その堂々としたプレーぶりに、出身校・京都成章高校の先輩である湯浅も「いまAチームで出てても、恥ずかしくないプレーをやってくれてるんで。心強いです」と誉めた。

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 安定したセットプレーに屈強なスクラム、乱れぬパスワークと強みのディフェンス。そしてルーキーの台頭というトピックもついて、結果は24-14。実に3年ぶりとなる天理大からの勝利を得た。

 「すごいチームを相手にプラン通りに進められたことは自信につながる。勝ちが続いているなかでの天理大戦の勝利は大きかったと」

 主将が話すように、この白星で自信は深まっただろう。それは、連勝ひた走る自分たちの実力を過信するものではなく、さらなる高みを目指せるという確信。

 今年1番と出来を評した幸田は「もっと。関西一のスクラムを目指して」とにらんだ。湯浅は「レベル高い相手でもトライ数少なかったんで。今年は上を狙える」と断言した。

 藤原も意気込む。「まだまだ伸びると思っている。上のグレードにしていけたら。

 今日は相手がフルメンバーじゃなかったのもあるので。秋にもう1回、ロースコアで勝てたらと思います!」

 ライバルからの白星で、自信は確信に変わった。

 試合が終わり、チームの全体集合。萩井監督は説いた。「あとはウチと向こうが、どれだけ伸びるか」。現状の力関係をさらに突き放すか、それとも覆されるのか。確信を得た以上、求めるものは一つ。その答えは、数ヶ月後、関西大学Aリーグ開幕戦で明らかになる


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2012-06-12 00:38:51 | ブログ

大量得点を挙げ勝利したこの日。4年生中心のメンバー構成で臨み、各選手が活躍を見せた。そのなかでもWTBの秋重(社4)、 公文(社4)は合わせて7トライを決め、チームの大勝に貢献した。

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【秋重真人】
 京大との伝統の定期戦で右WTBを務めた秋重(社4)。「流れを生み出せたらと思った」。開始2分、味方のパスから先制トライを奪った。持ち味であるランニングを生かし、この日4トライを挙げた秋重。「WTBはトライをとるポジション。トライは常に意識してやっている」。その言葉通りの活躍で秋重はチームを盛り立てた。
 関学の14番は昨年からレギュラーに君臨する松延。「少しでも上で出られるように頑張りたい」。ラストイヤーに熱い思いをぶつける。

【公文千浩】
 今試合、初めてファーストジャージに袖を通した、WTB公文(社4)。試合前は緊張を感じながらも、3トライをあげる活躍を見せチームに貢献した。だが「前半は試合の入りを含め、悪かった部分も。もっと堅実なプレーができていたらもっと決めるチャンスがあった」と辛口なコメント。公文はさらなる高みを目指す。「Aチーム入りを目指して頑張りたい。まずはジュニアに出ること」と今後への抱負を語った。自身の強みであるサポートプレーで、レギュラーの座を狙う。


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2012-06-12 00:36:02 | ブログ
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京大との伝統の定期戦が今年も開催された。創部90周年の節目を迎え、勝利を目指した京大。そんな京大を4年生主体のチームが一蹴し勝利を手にした。



【安部都兼】
 5月に肘に靱帯損傷のけがを負って以来、実戦から遠のいていた安部。けがから復帰し今春初スタメンを飾った。
 「キックはまだ良かったけど、まだまだなところもある」。この日キッカーを務めた安部。13本中12本のゴールキックを成功させた。また、安部の絶妙なキックは80分間相手ディフェンスを脅かし続けた。
 吉住(経3)や宇都宮(社1)などの台頭で激化するSOのポジション争い。「大変ですけどラストイヤーなんでプライド、覚悟を持って取り組みたい」。そう決意を語る安部に関学の未来を託したい。

【芳村直忠】
 4年生主体で挑んだ今試合。ゲームキャプテンとしてチームを率いたのはナンバー8芳村(経4)だ。持ち前の明るさでチームを鼓舞し、体を張ったプレーで後半には一気に流れを引き寄せた。また自身も2トライをあげる大活躍。「自分の中でも気合いが入っていた。同期からパスをもらって決めたときはとても嬉しかった」と振り返った。「関学は本当に層が厚い。またファーストを着て試合に出られた時は、自分が成長した時。部内で刺激し合って全体でレベルアップしていきたい」と意気込んだ。芳村の今後の躍進に期待が高まる。       

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2012-05-23 11:15:54 | ブログ

2012年の関学ラグビー部を率いるのはこの男だ。シーズン序盤から自分たちのラグビーをグラウンドで発揮し、結果を出す『藤原組』。その先頭に立つ闘将・藤原慎介(商4)が見つめるものとは。

 

■藤原慎介『闘士から闘将へ』

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 高ぶる気持ちと、形容するならば不安か。それらのせいか、リーグ開幕戦を控え彼の目はどこか定まっていないようにも見えた。「まだ実感が沸いてなくて花園のピッチが始めてで、観客が多いなかでプレーするのも始めて。そんな緊張するタイプやないんでまだ。(試合)前日にすごくなるかも」。それは、その年にレギュラーに抜擢され、自身初となる聖地での戦いに繰り出そうとしていた一人のラガーマンが2年前に口にした心境。藤原慎介、その人。2012年現在、関学ラグビー部の主将を務める男である。


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 気がつけば、チームのなかで不動たる存在になっていた。いまやスタメン表の上からその名が外れることはない。藤原がレギュラーに選ばれたのは2年生次だ。

 もとはPRとして大学の門をくぐった。決して強いとは言えない高校の出身。Aリーグへの思いを胸に、「頑張ればレギュラー入れる」と自らに期待を込めて、当時は関西4、5位の位置にいた関学ラグビー部を選んだ。だが、スポーツ推薦が決まったその年、関学は躍進を遂げ関西の王者となった。進学してから藤原は気づいた、すごいメンバーばっかり、だと。

 入学から半年、Eチームを経験するなど彼はチームの下位にいた。転機となったのは秋。ナンバー8へのコンバートが成功しBチーム入りを果たす。2年目からはガタイの良さに加え、アタック力、セットプレーの強さを買われ2列目に選出された。「スクラムやったら、どこを押して欲しいとかが分かると思うんで。PRを10月までやっていたという経験が活きてる。PRしてエイトやって、いまはLO。すごい良い経験をさせてもらっている」。当時の藤原はこう話していた。翌3年生次は、抜けた絶対的2番の穴を埋める策として、HOをも務めた。リーグ戦では定位置へと戻ったが。

 これまでの過去3年間の生き様。それこそが、藤原が主将になりえた所以。彼ならではの「色んなポジションを経験している」ことは、どんな形でもスタメンに定着しようとしたレギュラーへの執着心であり、そしてまた仲間・コーチ陣ら周囲からの期待に他ならない。キャプテンを務めるにあたっても自身のなかで不安はあった。けれども、寄せられる期待を感じているからこそ、主将でいる。

 シーズン前、チームの目標を決める話し合い。色々な意見が飛び交ったが、最終的には「主将のお前が決めろ」と促された。藤原の気持ちは一つだった。全員が納得のうえ、チームの目標は決まった。藤原組が目指すのは、日本一。120522fujiwarap3_3

藤原組が実現させているのは防御主体のラグビー。チームが発足してからというものの「練習ではディフェンスしかやっていないと言っても過言ではない!」と主将は語気を強める。数多の強豪校に勝つためを考えた結果、出てきた答えがディフェンスの徹底だったのだ。

 そうして迎えた4月15日の京産大とのシーズン初戦は、62-7で初陣を飾る。特筆すべきは被トライ1という数字。それ自体はアンラッキーなインターセプトで喫したものであり、ゲーム全体では終始、タックルを炸裂させ相手の動きを封じ込めた。

 続く5月5日の大体大戦。ファーストジャージを着ての初の試合は、前半を無失点に抑える。後半早々に先制点を許したが、取られたのはその1本のみだった。

 自らの手で繰り広げる、自分たちの目指すラグビー。その戦いぶりは、さらに翌週の試合でも発揮された。

 5月12日の青学大との定期戦。この日は試合前の空気が違った。1年前の同カードで喫した大敗(10-69)の「借りを返したい」という気持ちが選手たちの胸中で燃えていた。前週と同じくファーストジャージを着用してのゲームだったが、試合直前、サイドラインからピッチへ繰り出そうとする選手たちの表情を見て部員の一人がつぶやいた。「今日何かかっこいい」。

 兄弟校へのリベンジマッチでは「やってきたことをやるだけ」と2人がかりのタックルを徹底し、攻撃に転じては副将を務めるFL安田尚矢(人福4)とWTB松延泰樹(商4)の2人が持ち前の決定力を見せつけた。終わってみれば62-5の大勝。昨年のスコアを丸々ひっくり返す形で雪辱を果たした。

 開幕から3連勝。それも1試合平均の被トライは1本。自分たちのラグビーが出来ている実感で毎試合満たされているのでは? 青学大戦後の主将に聞いてみた。返ってきた答えは意外なものだった。

 「ディフェンスが出来てる実感は最近まで無かった。昨日ですね。BチームとCチームを見て実感した。しっかりディフェンスしてると。

 ディフェンスになると目の色変わって、がつがつタックルにいっている。チーム全体として出来ているなと思う」

 トップチームの選手だけではなく、チーム全体としての意識統一が成されている。その実感が主将の胸にはある。

 例年、大所帯のラグビー部とあって部員全員のベクトルを同じ方向へ向けることが難題となってきた。ときに挫折が、ときに不信感が、部内で蔓延した過去は幾つもあった。それらはシーズンが深まるにつれ、やがて解消されてきた。けれども今年は違う。シーズン序盤にして、この結集。堅固な防御とともに藤原組の凄みとなりうる。




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 そもそもディフェンスをチームのスタイルとして打ち出したのは、関学ラグビー部のなかで久しい。振り返るは4年前、室屋雅史(社卒)が率いたチームが、「ディフェンスの出来ない選手は試合に出さない」とまでの意識づけのもと防御の構築を図ったとき以来だ。その年のリーグ戦では被トライが10本(全7試合)であり、半世紀ぶり関西制覇の最たる要因にその強固なディフェンスが挙げられたことに誰もがうなずく。「室屋さんたちの代みたいになれたら良いなと。ああいう代を目指していけたら」と藤原は語る。

 憧れを抱いた先輩たちの姿がある。それらを意識しながら、自分たちに投影させている。室屋組からはスタイルを。そしてもう一つ、藤原始め現4年生たちが直接目にしてきた存在からは、部を統率する姿勢を倣っている。3年前に関西連覇を遂げた小原組を思い浮かべて主将は話す。

 「常に日本一という目標と、スローガンの『ALL-OUT』を口にしてて。4回生全体が声に出して体で見せていた。

 今こうして3試合勝たせてもらえたが、まだ下の学年が日本一という目標に対してどれだけ思っているかは分からないしそれでも4回生が口に出して引っ張っていかなと思っている」

 先輩たちの存在を心に留め、掲げた今年のスローガンは『OVER』。ただ憧れるだけではない、越えていこうとする意欲。「これまでの関学を」〝超える〟1年を見せてくれるか。

 青学大戦のインタビュー、最後に主将へ質問を投げかけてみた。

 目標の日本一は見えている?

 「はい!!」間髪入れず返事をし、藤原は続けた。

 「この勢いで強い相手と試合して自信をつけていきたい。やるのも楽しみ。どれだけ良いプレーが出来るのかな、とも」

 リーグ戦を目前にしていた2年前のあのときとはまるで違う、ぎらぎらと闘志をたぎらせたその瞳は目指す頂をしっかりと見据えていた。


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2012-05-18 02:10:57 | ブログ

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 これが今年の関学だ!昨年はなすすべなく完敗だった青学大を相手に、終始攻守にわたって圧倒。62―5での勝利をつかんだ。


【青学大撃破!】
 借りは返した!昨年の青学大との定期戦大敗から1年。試合開始1分にトライを取ると、勢いそのままにトライを量産。62‐5と大差で勝利し、雪辱を果たした。
 昨年は青学大のアタッキングラグビーに翻弄(ほんろう)され、手も足も出ず10―69で敗北を喫した。胸を借りる立場で挑んだが、強さを見せつけたのは関学だった。開始早々にWTB松延(商4)が得点すると、立て続けに4連続でトライを奪取。前半終了間際に得点を許すも、27―5と相手を引き離して前半を終えた。
 後半戦、序盤は相手に流れを持っていかれたが、前に出るディフェンスで攻撃の芽を摘んでいく。FWも攻守にわたって圧力をかけ続け、青学大の反則を誘った。逆に関学はセットプレーをものにしトライにつなぐ。「春からやってきたディフェンスができた。ボールをとめずに攻めるという意思統一ができたことが勝因」と主将・藤原(商4)。後半は1本のトライも許さず、5トライ5ゴールを奪い62―5で勝利した。
 「前半最後に点を取られたことと、後半最初にペースを持って行かれたことは反省点。軽いプレーをせずに基本に忠実にやっていきたい」と今後への意欲を語った藤原。日本一を狙う藤原組に余念はない。


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2012-05-11 23:24:04 | ブログ

今年も開催された関学ラグビーカーニバル。関学ファミリーが揃いに揃ったこの日。ひと際注目を浴びながら大体大との一戦が行われ、関学は19―5で勝利した。

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【接戦制す】
 前試合をけがのため出場を見送っていた主将・藤原(商4)も復帰し、現段階のベストメンバーで挑んだ関学。試合開始早々、WTB金(総2)が俊足を生かし敵陣へ乗り組む。そこから関学はパスを回して果敢にトライを狙った。だが大体大の堅いディフェンスを前に苦戦。幾度となくあったトライチャンスをものにすることができず、0―0で前半を折り返した。
 「前半は相手のテンポに合わせすぎた。今までやってきたことを確認し、テンポをあげていこうと話した」。ハーフタイムで切り替えを図った関学フィフティーンだったが、後半3分モールから押し込まれ大体大に先制トライを許してしまう。しかし直後、ナンバー8中村(社2)がラックからボールを持ち出し同点トライを奪うと、そこから再び勢いを取り戻した関学。FL丸山(社3)、途中出場のSH中西(経4)が追加点を奪い、19―5で勝利を飾った。
 「とりあえず勝って良かった。0点に抑えるディフェンスをし、アタックではしっかりトライを取りきらないと」。そう反省した副将・松延(商4)。勝利したとはいえ、課題が見えた試合となった。次戦の相手は昨春10―69で大敗した青学大。「昨年負けた分の借りを返したい」と藤原は意気込んだ。