ストラバイトSOS!

愛犬・愛猫の尿の中にキラキラ光る粒々(ストラバイト)が見えたらSOSです。尿のpHチェックに特許pHスティックをどうぞ!

尿線カットによるpHチェックのタイミング

2008年10月27日 08時11分32秒 | 犬・猫

 ヒトもイヌもネコも、尿のpHは絶えず目まぐるしく上昇下降を繰り返し、pH約4~10の範囲内で変動しています。変動範囲全域をチェックできるpH試験紙もあることはあるのですが、反応精度が粗くて0.5や1.0刻みでしか判定できません。
 そのため、尿のpHのチェックには昔から㈱東洋濾紙(現在はアドバンテック社)の製品No.20(測定可能範囲:pH5.0~8.0)が賞用されてます。したがって、特許pHスティックの先端部に貼ってあるpH試験紙にもNo.20(0.2刻みで判定)が採用されてます。
 このpH試験紙を使用して尿のpHをチェックすると、pH5.0とかpH8.0の数値が測定されることは珍しく、たいていの場合、上図の黄色に示した弱酸性域(pH6.2~6.8)の数値が得られる場合が多いようです。
 そのため、尿のpHの正常値が弱酸性であるかのように誤解されてしまったようです。誤解されるに至った原因は、pHチェックのタイミングにあるのではなかろうかと思われます。
 すなわち、頻尿爺の私は夜間でさえ3~4時間ごとに尿意を感じて目覚めさせられるし、アルカリ性食品を食べた後には良くて2時間ごとに、不調なときは30分間隔くらいで少量の尿が出続けてしまうのです。
 それに連れ頻繁に尿線カットをすることになりますので、必然的に尿のpHの変動カーブの谷間(酸性)や頂上(アルカリ性)付近の尿のpHをチェックする機会が増えます。
 いっぽう、犬や猫の排尿回数は1日にせいぜい数回にすぎず、特に♀猫では1日1回あるかないかです。そうすると、どうなるのか?

(1)中和:腎臓で濾過されたばかりの「源泉尿」は、体内の事情によって酸性だったり、アルカリ性だったり様々です。それらが膀胱に流れ込むたびに、すでに溜まっていた古い尿と混合し、酸性-アルカリ性の尿が化学的に中和する。そのため、尿道口から排出された尿は弱酸性の場合が多くなるのではなかろうか。たまたま源泉の酸性尿が少なかったときには、膀胱からアルカリ性の尿が出てくるのではなかろうか。

(2)チャンスは2倍:上図の尿pH変動カーブをご覧ください。カーブの頂上(アルカリ性)や谷間(酸性)よりも、中腹の中性付近のときに尿pHをチェックする機会の方が単純計算で2倍も多いことになります。頻尿爺に比べ、犬や猫や常人の皆さんは、ただでさえ排尿回数が少ないのに、尿線をカットする機会は中性付近のときが多いのです。だから、尿のpHの正常値は弱酸性だなどと誤解してしまうのも無理からぬことかもしれません。しかし、地球が太陽の周りを回っているのと同様、尿のpHは約5~10の範囲で変動しているのが真実です。故に、pH測定値の個々のデータに一喜一憂するのでなく、続けて数回チェックして測定値が上下変動していることを確認してください。変動していれば、ストラバイトが溶けて消える弱酸性を通過しているはずです。


排尿中の新鮮な尿の尿線カット(11)

2008年10月18日 07時27分04秒 | 犬・猫

出てますか?弱酸性尿 コトバの使い方は非常に難しいことを痛感させられました。拙著『出てますか?弱酸性尿』という書名が、思いがけず犬・猫の尿のpHを常に弱酸性に維持しなければイケナイのだ、という想定外の変な誤解を招いてしまったようです。
 とんでもない誤解です。こんな誤解を招く失敗は二度と繰り返したくありません。それなのに、少々気になることがあります。杞憂であれば良いのですが…。
 何が気になるのかというと、それは「ストラバイト運動療法」の『運動』です。もしかして、運動をさせればさせるほどストラバイトの予防効果が向上するに違いないなどと勝手に解釈する飼い主さんがいて、来る日も来る日も不必要な過剰運動を我が子(犬・猫)に無理強いしていることがあるのではないだろうか?
 そんなことがあったら大変です。若いとき猛烈な運動で肉体を鍛えあげたスポーツマンほど、短命に終わる傾向があるそうです。同じように、運動オーバーは愛犬・愛猫の寿命を縮めてしまうかもしれない。
 何卒、過剰な運動は厳に慎んでいただきたい。運動中や運動後の尿のpHが一過性に弱酸性~酸性に低下してくれて、休憩すればたちまちpHが上昇してアルカリ性の尿となり、肉食オンリーの食後に尿が酸性となる。という具合に、絶えず目まぐるしく上昇下降の変化を繰り返すのが健康の証拠です。
 そうなるように運動するのが適正運動量というものです。いつチェックしても常に酸性の尿が出続けるなら、それは運動のさせすぎです。とっても危険ですから、直ちに我が子の運動を止めてください。
 何が適正運動量なのか。それは個体によって著しく差があります。年齢・性別・去勢避妊手術の有無・体格・栄養状態(肥満)・食餌・血統・遺伝などによって大きく影響されます。
 適正運動量の見当を付けるためには、面倒臭がらず、こまめに我が子の尿のpHをチェックしてあげましょう。飼い主さんサイドの勝手な都合でpHチェックをするのではなく、数日間、排尿のたびごとに連続してチェックしてあげてください。
 私のような頻尿老人が2時間おきくらいにチェックできるのに比べ、犬や猫は1日数回、♂猫だと1回あるかないかです。そのため、多量の尿が膀胱に溜まり、酸性尿とアルカリ性の尿が混合し中和し、弱酸性~弱アルカリ性を呈する場合が多いようです。
 また、頻尿老人に比べてチェック頻度が極端に少ないため、pH変動曲線の頂上(アルカリ性)や谷底(酸性)に当たる機会が少なく、一見すると、あたかも常に弱酸性~弱アルカリ性の尿しか出ていないように思われてしまいがちです。
 そうならないように、飼い主さんは面倒くさくて厄介でしょうけれど、排尿の都度、こまめに我が子の尿pHをチェックしてあげていただきたいのです。すると、尿のpHが上下変動を繰り返していることが実感していただけます。
 尿pHの変化していることが分かれば、もう安心。ご愛犬・ご愛猫は健康です。何を食べさせたってストラバイトに襲われる心配はありません。
 我が子の尿のpHチェックには、ピンセットを使わなくても簡単に「尿線カット」のできる世界唯一の発明品特許pHスティックを、是非お試しになってみてください。
 併せて、新サイト「ストラバイトSOS!」も、是非ご参考になさっていただきたく、お勧め申し上げます。<完>


排尿中の新鮮な尿の尿線カット(10)

2008年10月17日 07時28分15秒 | 犬・猫

 小便小僧の尿線カット
尿pHの正常値は? 私が獣医学生だった50年ほど昔、長いピンセットの先に挟んだpH試験紙を、排尿中の牛や馬の尿線に突っ込んでpHをチェックする光景が大学構内で普通に見られました。
 だから、新鮮な尿のpHを簡単にチェックすることのできる「尿線カット」は、私の発明した手技ではありません。
 でも、もしかしたら、「尿線カット」というコトバは、私の造語かもしれません。
 「尿線カット」というコトバの商標登録をしていませんので、飼い主の皆さんがお使いになるのは全く自由です。しかし、誰かが『尿線カット』という書名の本を出すことは許されません。
 何故なら、拙著『出てますか?弱酸性尿』(文芸社、2005)の本文小見出しに、「pHスティックで排尿中の尿線カット」というふうに使われているからです(p.188~192)。
 自著の文中に書かれているという実績により、「尿線カット」というコトバには著作権が発生しております。したがって、書名や論文の題名などに『尿線カット』を使用することは、著作権侵害になるのです。法律でそうなっているのだから、違法行為なきようお願いします。<続>


排尿中の新鮮な尿の尿線カット(9)

2008年10月16日 07時58分59秒 | 犬・猫

 

 私が父の死んだ55歳で隠居する前、社会人としての後半の人生で最も熱中したのが、臨床獣医師と獣医学生へのパテント教育でした。
 教育効果をあげるため、率先垂範、私自身が特許を取り、その特許が人々の役に立ち、しかもロイヤリティ(特許収入)の実益が得られることを実際に見せてあげねばなりません。
 隣と同じ作物を耕作していれば無難安泰と信じる農民たちによって、忌まわしき保守的国民性が形成されたと言われる日本では、旧態突破の革新的発明が嫌悪排斥され、発明者は変人視され、見くびられがちです。
 その国民性が天才たちの足を引っ張り、原子爆弾の開発に遅れをとらせてしまった。間に合っていれば、広島・長崎の惨劇を防ぎ、東京大空襲を抑止し、CSS・MT・iPodなど訳のわからない横文字に支配されることもなかったであろう。
 身近な実例をテレビで見ることができます。発明品を紹介する番組の多くで、出場した発明者は暇多伸介とかいうお笑い芸人たちのフザケ半分・カラカイ半分の惨めな扱いに曝されています。不愉快で、腹が立ってなりません。
 私のところにも、ペット用電動歯ブラシや卵殻カッターをテレビで紹介して欲しいと電話がかかってきたことがありますが、すべて拒否しました。イヤ、思い出すと1件だけ赤坂のテレビ局までノコノコ出かけたことがあったのですが、無礼な対応に悲しくなりました。真面目に発明品を取り上げてくれるのは、東京サテライトだけのようです。
 事情は獣医業界でも同じです。獣医師が発明品を商品化すると、「獣医師のくせに仲間から特許で儲けるなんてケシカラン。獣医師の風上に置けない恥さらしだ」、などと声高に誹謗する院長が必ず居るものです。
 そんな連中は、犬の心臓移植やら猫の腎臓透析などを誉めそやしますが、何十年も昔に医学領域でやられていたことのマネにすぎない。獣医師自身の手になる発明を無視・軽視し、医学のマネが尊重される。だから、「従医」だなんてバカにされてしまうんだ。
 それらの弊風を打破せんとして「動物医療発明研究会」を組織しました。どんなことをして、どんな効果があったか。いずれ改めて詳しく書いておきたいと思います。
 私の場合、マグロ遊牧漁業、クジラ淡水養殖、去勢手術時に陰嚢へ挿入するマイクロチップなど私としては秀作だと思う発明はさっぱり注目してもらえず、唯一、かろうじて、どうにかこうにか特許pHスティックだけが細々と命脈を保っております。<続>

 


排尿中の新鮮な尿の尿線カット(8)

2008年10月15日 07時29分29秒 | 犬・猫

 

 せっかく取ったアメリカ特許を捨て、日本の特許庁へ新たに特許を出願したのが上図のアイデアです。
 空気の乾燥している冬、寒風吹きすさぶ公園で排尿中の犬の尿線にpH試験紙を接触させると、尿に濡れて発色したpH試験紙はアッと言う間に乾燥し始め、みるみる色が変わって比色判定ができなくなる。
 このような致命的な欠点を解決するためには、どうしたら良いだろう?
 ピカッ! 頭の中に水溜りの光景が浮かび、上図のような屁理屈が閃きました。風に吹かれて空に舞い上がった紙が池など水たまりに落ちて、水面に漂い浮かんでいる光景です。水に濡れた紙を空中に干せば、ヒラヒラと風に吹かれて急速に乾燥します。それに対し、水面に浮かぶ紙は絶対に乾燥しっこない。これだっ、 と閃きました。
 でも、ただの水溜りではいけません。pH試験紙を水溜りの水面に浮かべたら、たちまち濾紙に染み込ませたpH指示薬が溶け出してしまい、pH試験紙は白っぽくなって発色しなくなります。これでは紙の乾燥を防げても何にもなりません。
 そこで思いついたアイデアは、溶出したpH指示薬が拡散しないように、水溜りをウンと小さくすることでした。具体的な手段はかくの如し。すなわち、
 上図1は、水を弾く撥水性で中性の白紙です。2は糊代(のりしろ)で、2の上にpH試験紙3を部分的に貼り付けています。この部分的というところが特許になったアイデアで、pH試験紙全体をベタッと貼るのとは訳が違います。
 こうすることにより、排尿中の尿線をpHスティックの先端部でカット(横切る)したとき、尿4は撥水性中性白紙1とpH試験紙3との隙間に溜まり、小さな水溜りを形成します。
 溜まった尿の中にpH指示薬が溶け出しますが、他に行き場がないので尿が鮮やかに呈色します。ということは、pH試験紙全体が染斑(むら)なくきれいに発色したことになるわけです。
 その結果、液体が浸みたpH試験紙は急激に乾燥して色が褪めてしまうのに対し、pH試験紙の下に形成された尿の水溜り4は、なかなか干上がりません。
 私が自宅で実験したところ、無風の室内では1時間以上も褪色開始を遅延させられることが確認されています。しかし、湿度の低い乾燥した寒風が吹きすさぶ屋外で犬の尿pHをチェックなさるときは、なるべく数分間以内に比色判定を済ませるようにしてください。
 こんなささいなアイデアですが、乾燥遅延を特徴とするpHスティックは2001/10/10に特許庁への出願が受理され、世界で最初の独創的な技術思想であると審査官が認定してくれて、2002/09/20に特許されました(特許3351518号)。
 特許出願後20年間、すなわち2021/10/09まで特許権の独占が国家によって保証されたのです。乾燥遅延型pHスティックの製造販売をマネする者は、特許侵害の犯罪者として警察力が発動されます。また、抜け目なく要所要所の著作権を登録し、2021年の特許切れに備えてあります。<続>

 


排尿中の新鮮な尿の尿線カット(7)

2008年10月14日 08時38分55秒 | 犬・猫

http://www4.ocn.ne.jp/~ken2 

 懐かしやpH試験紙 「我が家の老犬が便所にしている近所の公園で、ある朝、しゃがんだダルメシアン♀の尻下にピンセットを入れる主婦の姿を見かけた。新型の採糞具かと思いきや、なんと膀胱結石のためpH試験紙で尿のpHを検査するのだという。
 そういえば昔、牧場実習で、ピンセットにpH試験紙を挟み、ホルスタインの尿線に突っ込むのを見た記憶がある。卒業して魚病診療に携わるや、pHメーターが必需品になった。養魚業者はpH試験紙で水質検査をしているから、プロらしく見せるミエもあって、重いpHメーターを肩にかついで養魚場に出かけたものである。
 そんなわけで、pH試験紙を見るのは久し振りのこと。ヘーッ、犬の検尿に使うとは!
 新鮮な驚きであった。感心しながら眺めていると、引き綱と糞袋を持つ左手にpH試験紙のケース(比色表貼付)を握り、右手にピンセットを握り締めて発色を見比べる。尿で汚れたピンセットを公園の水呑み場で洗う。ちょっと大変そうだなぁ…。
 ピカッ! 思い付きはホンの一瞬 ピンセットの代わりに細長い板紙を使えばよい。板紙の先端にpH試験紙を貼り、後端に比色表は貼っておけば、かさばるケースを携帯しないで犬の散歩に出かけることができる。使用済みの板紙は、糞袋に入れて家に持ち帰り、生ゴミとして捨てればよい。いや待てよ、長い板紙が糞袋を突き破るかもしれない。それなら半分に折ればよい。
 半分に折る…。そうだ、比色表を板紙の後端の裏側に貼れば、V字状に折り曲げたとき、pH試験紙の横に比色表が並ぶ。そうすれば、両方の色を一目で見比べることができる。と、ほぼ一瞬で思い付く。その日のうちにイメージを絵にし、パソコンで特許出願を完了する。平成11年(1999)3月19日のことでした。
   後日、動物医療発明研究会の例会で院長たちから評価され、気を良くして米国出願に踏み切る。やれ嬉しや、すんなり米国特許確定。万歳!(ひょっとして、世界商品になるかも?)」〈olds-2(newsではない)から抜粋〉
 しかし、期待に反して実用化が容易でなく、如何でしょうかと探りを入れたアメリカからの反応ゼロ。私が日本人だからなのか、無名の獣医師だからなのか、全くハナも引っ掛けてくれません。そんなこんなで安くはなかった米国特許出願料をドブに捨てたような気がし、すっかりヤル気をなくしてしまいました。
 ところが、この残念な経験はムダでなかった。世の中は味方千人敵千人、捨てる神あれば拾う神あり。この苦々しい失敗体験がきっかけになり、「乾燥遅延を特徴」とする新しいアイデアを思いついたのです。それが、現在の特許pHスティックです。<続>


排尿中の新鮮な尿の尿線カット(6)

2008年10月13日 06時51分49秒 | 犬・猫

  

 

 容器に採り置いた尿には雑菌がどんどん繁殖するため、アルカリ性に傾きがちです。それ故、尿のpHをチェックするときは新鮮な尿を使わなければなりません。
 新鮮と言えば、排尿中の尿ほど新鮮なものはありません。水鉄砲のように勢いよく排尿されているとき、尿は筋状になります。これを尿線と呼びます。そして、pH試験紙を尿で濡らして発色させるため、尿線にサッと素早くpH試験紙を横切らせる手法を尿線カットと言います。
 pH試験紙の種類はいろいろあって、水質検査などには1分間以上も水に浸し続けないと発色しないものも市販されています。でも、この特許pHスティックに採用されているアドバンテック(旧東洋濾紙)社製のpH試験紙は、尿に濡れたとたん、ほぼ瞬間的に化学反応が完了して発色するという優れた特徴があります。
 そのため、尿の中に漬けっ放しにしておくと、濾紙に染み込ませたpH指示薬が溶出してしまい、染むらができたり、発色せずに白っぽく変色したりして使い物にならなくなります。だから、素早くサッと尿線をカット(切る)する必要があるのです。
 この尿線カットという簡単で便利な手法は、私が発明したのではありません。昔から牛や馬の尿検査でやられていたことだし、たまたま拙宅の近所の公園で犬の飼い主さんがやっていることを目撃したことが、私の閃きを触発してくれました。<続>
 


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(11)

2008年10月11日 17時01分46秒 | 犬・猫


学窓社(1999)発行

 横浜動物臨床研究会の会員を中心とする19名の臨床獣医師によって詳細に書かれた臨床獣医師のための実技書「尿検査」に、尿結晶について次の記述があります。

「結晶があれば必ず結石が生ずるというわけではない。結晶には、通常、多く出現するものと、そうでないものについて知っておくことが必要である。結晶の析出は、次のような事項の影響による。
 (1)体温(検査室の温度)
 (2)尿pH
 (3)物質の溶解度(濃度)
 (4)投与された薬剤
 結晶は余剰物質が生体(生きている動物のこと:中島註)の恒常性(ホメオスタシス)を保つために尿中に排出されて生じたもので臨床的意義は大きくないという考え方と、排出された状態を重く見る考え方とがあり、一概にはいえないが(猫の)下部尿路疾患FLUTDの要因の一つとして十分な役割を担っている」(p.32)

「一般論でいえば、結晶は血中の余剰物質を生体が恒常性を保つために放出(腎臓から尿へ:中島註)したものと考えられる。その観点に立てば、その放出により生体は恒常状態に戻った、あるいは戻ろうとしている状態であって、診断的意義は大きいものとはいえない。しかし、他方では病的状態で産出される結晶もあって、生体内の情報として受けとることもできる。出現した結晶について、どのように理解するかは観察者(臨床獣医師のこと:中島註)の考え方、経験などにかかっている」(p.48)

 私が獣医学生だった昭和35年頃、教科書「臨床獣医宝典」(養賢堂、昭和27年発行)に尿結晶は無害と明記されていました(詳しくは執筆中の拙著3次原稿『ストラバイトは「?」で溶ける!』p028を読んでください)。
 したがって、私のように微細な尿結晶は無害だと主張する獣医師がいる一方、三重燐酸結晶をストラバイト結晶などと称して診療収入アップに勤しむ獣医師がいるのも仕方がないことなのかもしれません。これも良くある群盲撫象です。
  このたび、急激に進行しつつある老人ボケを顧みず、一念発起して立ち上げた新サイト「ストラバイトSOS」が大勢の飼い主さんたちに広く読まれ、理解され、実践されるようになれば、ストラバイト関連のブログの内容も格段の進化を遂げるでありましょう。
 そうなれば、私の目指す「ストラバイトは死語になる」が実現する日も遠くはありますまい。くれぐれもキラキラを見落とさないでね!<完>


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(10)

2008年10月10日 06時50分18秒 | 犬・猫

動物診療に無縁だった獣医師から見てヘンだと思われること
(8)結石は溶かせません。蓚酸カルシウム結石はもちろん、「ストラバイトに由来する結石」も溶かせません。結石は骨組織由来のカルシウムに包まれているからです。
 もしも、結石が溶けるものであるなら、カルシウムが溶けるということであって、当然、固い歯も骨も溶けてしまいます。そんな危険なものは、厚生省薬事課(?)も農水省畜産局衛生課も医薬品として認可するわけがありません。
 一方、ストラバイト(尿晶)ならば酸で溶けます。骨組織から流出した燐酸塩類(燐酸+アンモニウム+マグネシウム)は、中性(pH7.0)以上のアルカリ尿の中で析出(結晶化)し、出現した微細な三重燐酸結晶は塩や砂糖の結晶と同様にどんどん大きくなり、肉眼で見える粒々のストラバイト(尿晶)になります。
 三重燐酸結晶もストラバイト(尿晶)も、尿がpH6.6以下の弱酸性~酸性状態になれば溶けて消えてしまう結晶です。この辺の知識が曖昧杜撰になったらしく、「ストラバイト結石は〇〇で溶ける」などという大ウソが広まったようです。
 カルシウムに包まれていないストラバイトは、水晶と同じようにX線を透過するのでレントゲンフィルムに写りません。レントゲン写真で膀胱内の異物の影が薄っすらと写るなら、それはカルシウムの層に包まれた結石です。
 結石になってしまえば、いくら運動に励もうとも、尿を酸性にしようとも、もはや溶けっこないのです。切開手術で結石を摘出するしかありません。結石摘出後の再発防止に飼い主さんは、全力を傾注なさってください。
 もしかして、「あそこの動物病院で《ストラバイト結石》を切らずに溶かしてくれた、名医だ」という評判があったとしても、それは恐らくエビフライだったのだと推察されます。
 カキフライのようにストラバイト全体がくまなくカルシウムに包まれている結石は、絶対に溶かせません。でも、エビフライのシッポのようにストラバイトの表面の一部が露出していれば、大部分がカルシウムに包まれていてレントゲンフィルムに写る結石であってもストラバイト部分が酸で溶かされるので、カサカサの脆い鞘みたいなカルシウムが溶け残るだけです。こんな脆いカルシウムは膀胱や尿道の動きによって粉々に崩れてしまい、あたかも《ストラバイト結石》が溶けたかのように錯覚誤解されるのではないだろうか。
 レントゲンフィルムにボンヤリと写った影が、エビフライなのかカキフライなのか、誰も判別できません。それなのに、エビフライであることを期待し、闇夜の鉄砲みたいな僥倖・偶然を願うしかない療法であり、とうていお勧めできません。<続>


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(9)

2008年10月09日 07時24分10秒 | 犬・猫

動物診療に無縁だった獣医師から見てヘンだと思われること
(7)犬や猫に〇〇を常食させていると、膀胱内の尿のpHがいつも弱酸性状態のままのままになってしまいます。それではいけません。
 尿のpHは絶えず目まぐるしく上下変動を繰り返すのが正常で健康な姿です。常に酸性の尿が出続けるのは、ニンゲンなら痛風や糖尿病患者の特徴です。
 犬や猫の尿を常に弱酸性状態にさせたまま茹で野菜を食べさせていると、何故なのかメカニズムは不明ながら、突然、pH6以下の酸性尿が出てきます。それは、膀胱に大きな蓚酸カルシウム結石ができたことのシグナルだそうです。豆腐や納豆、ペット缶詰に含まれている野菜や豆類なども、立派な茹で野菜です。ご注意ください。<続>


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(8)

2008年10月08日 08時04分55秒 | 犬・猫

動物診療に無縁だった獣医師から見てヘンだと思われること
(6)犬や猫において、運動の次に効果があるのは肉・魚・穀物などの酸性食品を食べさせることです。
 食べれば尿が酸性になる酸性食品や、食べれば尿がアルカリ性になるアルカリ性食品が存在することは、80年以上も昔に出版された医学専門書(「内科診療の実際」、東京・南山堂)に明記されています。
 この本から引用させてもらった食品一覧表を私のホームページに紹介しておきました。松茸・松露は手の届かない高級食品になってしまいましたが、他のものはどれも国内で簡単に安価に買えるものばかりです。だから、わざわざ高価で不味い〇〇やフマール酸やラズベリージュース(いずれも開発に獣医師が関与)などは必要ありません。診療の名において、本当にヘンなことが横行しているらしく、唖然とさせられます。<続>


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(7)

2008年10月07日 10時14分20秒 | 犬・猫

動物診療に無縁だった獣医師から見てヘンだと思われること
(5)犬や猫の尿を一時的に酸性化させるのは簡単です。一番手っとり早くてタダで済むのは毎日の運動励行です。
 運動して筋肉が疲労すれば、筋肉で生産された乳酸などの疲労物質が腎臓で濾過され、必ず酸性の尿が出てきます。四の五のムダな議論は止めましょう。
 ウソだと思うなら、あなたが走ってみてください。運動後、あなたの尿のpHは必ず弱酸性~酸性に低下しているはずです。運動前にご自身の尿のpHをチェックしておけば、確実に比較できて、運動効果を確認していただけます。
 そう! そうなんです! 今は自分で自分のオシッコのpHを簡単にチェックできるんです!
 私が発明した世界唯一の特許pHスティックをご使用いただけば、排尿中の尿線カットという新手法で、どなたも新鮮な尿のpHを簡単に検査できるようになったのです。<続>


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(6)

2008年10月05日 07時05分19秒 | 犬・猫

動物診療に無縁だった獣医師から見てヘンだと思われること
(4)「キラキラ光る結晶を見せてもらった」というブログを目にしました。 が、それは動物病院の顕微鏡に連結したテレビスクリーンでのこと。肉眼で見える粒々状のストラバイト(尿晶)ではありませんでした。
 尿中の微小な三重燐酸結晶は肉眼で見えません。光線にかざして乱反射で光ろうが光るまいが、数ミクロンの微粒子を肉眼で見ることはできません。
 顕微鏡でなければ見えない微小な尿結晶は、ストラバイト(尿晶)ではありません。医学領域で言うところの三重燐酸結晶です。
 私の言う「キラキラ」とは、犬や猫の尿の中に光って見える粒々のストラバイト(尿晶)のことです。地面や舗装道路の上に撒かれた尿でもキラキラが見えるし、トイレ砂の表面に付着したキラキラも目立ちます。気付かなかったら、あなたの目は節穴ということになります。
 いずれにせよ、尿結晶は尿と一緒に体外へ捨てられてしまうのだから無害です。全く気にする必要のないものです。それなのに、無害な尿結晶を恰好の脅し材料に仕立て、何も知らない素人の飼い主さんたちに余計な買い物を強いるのは詐欺です。騙す方も悪いけれど、騙される方もバカなんではないかしら?<続>


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(5)

2008年10月04日 18時42分22秒 | 犬・猫

動物診療に無縁だった獣医師から見てヘンだと思われること
(3)犬や猫の尿を採取してから室温に放置しておくと、尿中の雑菌がみるみる増殖し、酸性だった尿でもアルカリ性になりがちです。そのため、尿成分の一つである燐酸塩類が化学反応を起こし、顕微鏡でなければ見えない微細な三重燐酸結晶(燐酸アンモニウムマグネシウム)の析出(結晶化)を促進します。
 でも、こういう極微小な尿結晶は無害です。たとえば、サラサラのガラス粉を手の平に刷り込んだって傷はつかないし、目に入れても異物感はなく痛くありません。故に、大きさが数ミクロンにすぎない微小な尿結晶によって、膀胱粘膜や尿道粘膜を傷つけられるはずがありません。
 だから、顕微鏡でなければ見えない微小な尿結晶なんかが血尿の原因にはなりっこないのです。
 どうか、飼い主さんたちは賢明であれかし。カモネギ(ネギを背負った鴨=オレオレ詐欺にかかる老人)みたいに侮られ、ナメラレないようにシャンとなさってください。微細な尿結晶は無害なんです。さしあたって今すぐ尿を酸性化する必要はないのです。
 ただし、獣医師だって普通の人間です。ちゃんとした大人の飼い主様をナメたりしません。出産・育児・老親介護・臨終看取・亡骸火葬などを経験してきた大人は、一目で分かります。生意気な小娘や社会的練度の低いバカ女が自分は未熟で幼稚であることを弁えず、金さへ払えば獣医師がヘイコラするかのような言動態度を示すから侮られ、カモにされるのです。
 もしも、動物病院で尿結晶を口実に高い買い物をさせられたら、あなたは獣医師の目に立派な大人とは見えなかったのかもしれませんね。〈続〉


新サイト「ストラバイトSOS!」の発行にちなみ(4)

2008年10月04日 08時24分44秒 | 犬・猫

(2)犬や猫の尿の中には、通常の尿成分の一つとして種々の結晶が存在しています。それが当り前の普通の正常な生理現象であるというのに、あたかも危険な疾病であるかのごとく飼い主さんを脅し騙し、無用な〇〇が売りつけられているようです。
 でも、目に見えない微小な尿結晶なんて無害なんですよ。枝豆を食べた翌朝、誰にも例外なく尿に微小な蓚酸カルシウムの結晶が出てきます。ホーレン草を食べてもタケノコを食べても、必ず蓚酸カルシウムの結晶が出てきます。
 だからと言って、枝豆やホーレン草やタケノコが蓚酸カルシウム結石の原因になるから危険だ、食べてはいけない、などと言う医師や栄養士は一人もおりません。そんな尿結晶なんか、オシッコと一緒にトイレへ流れてしまうものだからです。
 医学用語の三重燐酸結晶は、骨から流出した燐酸塩類がアルカリ尿の中で化学的に結合(燐酸+アンモニウム+マグネシウム)し、結晶化(析出)したもので、ごく普通の正常な生理現象にすぎません。それなのに、無害な三重燐酸結晶を悪者に仕立てて、素人の飼い主さんたちに尿を酸性化する薬品などを売りつけるのは詐欺です。
 愛犬・愛猫を運動させるだけで必ず尿が酸性化するし、肉や魚、穀物などの酸性食品を食べさせても弱酸性~酸性の尿が出てくるのです。わざわざ不味くて高価な薬品などを買い与える必要はありません。
 ほんの数10年前まで、小型の愛玩犬を除き、日本の犬の大半は屋外で寝るのが当たり前のことだったし、猫たちも家の外へ外出自由で、憎い犬に追いかけられて死に物狂いで木の上に逃げたり、ネズミや雀などの生肉を常食にしていたので、ストラバイトなんかとは全く無縁だったのです。
 だから、愛犬や愛猫を室内に閉じ込めるからには、それなりの代償的努力が不可欠です。毎日の運動励行を怠りませぬよう。<続>