ストラバイトSOS!

愛犬・愛猫の尿の中にキラキラ光る粒々(ストラバイト)が見えたらSOSです。尿のpHチェックに特許pHスティックをどうぞ!

60 運動療法を発明

2007年02月28日 08時09分11秒 | 犬・猫

走れば溶けるストラバイト(3)。
 運動すれば尿のpHが低下する。こんな些細な発見でも、新療法の発明につながります。運動不足気味の犬や猫に運動を強制し、尿を酸性化することによってストラバイト(尿晶)の出現を防ぐ。それによって膀胱結石や尿閉を予防する。獣医療の分野で、たいへん役に立つ新療法だと思います。
 この新療法の発明者は誰か。獣医療先進国の欧米から、いち早く新知見や新療法を日本に紹介するのが役目の学者先生たちは、どなたも私の言動を咎めていません。ということは、どうやら私が世界初の発明者になるようです(間違っていたらスミマセン)。よしんば、運動=尿pH低下の現象が既知であったとしても、その現象に着目してストラバイト防止のための運動療法を創始したのは、Dr.中島健次であること間違いなし。この発明のきっかけとなった些細な発見は、以下のようにして得られました。

・・前略(2002/11/21実験開始)・・「5日目、今日もダメかと半ばあきらめつつ、朝食後に3カプセル、昼食後に3カプセル、夕食後に4カプセル、合計10グラムのクエン酸を服用したところ、午後7時4分、突然、猛烈な下痢に襲われながらpH6.2の弱酸性尿が出てきました。続けて9時15分にも、激しいピーピー下痢に伴って、何とpH6.8の弱酸性尿が出てくれました」
 「万歳! 毎朝毎晩、来る日も来る日もpH5.6以下の赤く染まったpH試験紙しか見てこなかった私にとって、自分の尿がpH試験紙を黄色っぽく発色させたのは初めての体験です。感激、感動、大興奮。ああまだオレの肝臓や腎臓は壊れがかっていないらしい。今まで経験したことがないほどの激しい下痢と腹痛に苦しみながらも、ホッと安心の溜息が漏れました」
 「ところが、6日目の朝一番尿がpH6.8だったのです(pH5.8前後が望ましい)。怠けて夜間の尿pHを測定しなかったのですが、恐らく一晩中pH6.8の状態が持続したのではないかと思われます。そこで、この日はクエン酸の摂取を中止したのですが、どうしてなのか尿pHの上昇が止まりません。そして、午後7時半に、pH7.8という私にとっては驚天動地の凄まじいアルカリ性の尿が出てしまいました」
 「全く予想もしなかった異常事態に慌ておののくのみ。豚カツ(肉が酸性食品)やアンパン(小麦粉と砂糖が酸性食品)を食べても、アルカリ状態の尿pHに変化なし。このままでは室内暮らしの犬や猫たちと同じに、ストラバイトが出て尿閉になってしまうかもしれない。どうしよう。どうしよう。心配でなかなか寝付けなかったのですが、いつのまにか眠ってしまいました」
 「7日目の朝、丸一日クエン酸を摂取していなかったにもかかわらず、朝一番尿はpH7.0の中性でした。これではストラバイト形成の危険ラインです。一刻も早くpH6.6以下の安全圏内に下げなければならない。どうしよう。どうしたら良いのだろう?」
 「良案が思い浮かばないまま、夜明けを待たずに日課の早朝ジョギングに出発。往復8Kmを快調にゆっくりと完走し、帰宅後いつものようにシャワーに入る前、トイレで尿pHを測定したところ、何とまあ見事にpH5.4の酸性に下がっていてくれたのです。万歳バンザーイ!」
 「一時期、尿pHアップの有効手段として本気でクエン酸を推奨していたこともありましたが、以上のような実体験がありますので、前言撤回。今は、クエン酸の大量摂取が危険だから、お止めになられた方が無難です、と申し上げている次第です。もっとも、失敗は失敗として、私の方は転んでもタダでは起きません。ピカッとひらめきました」
 『そうだっ! 尿のアルカリ状態が持続している犬や猫も、走らせれば効くに違いない! 乳酸などの疲労物質が筋肉に溜まるほど運動させれば、それらが腎臓で濾過されて 尿に入る。だから必ず、オレと同じように酸性の尿が出てくるようになるはずだっ!』
 「コロンブスの卵みたいな話で、言われてみれば当たり前のこと。ごくごく普通の陳腐な運動療法にすぎません。でも、たちまちpHスティックご利用の飼い主様たちに実験され、効果を認証され、今や知る人ぞ知る。ストラバイト対策の最有力手段として定着しつつあります」

(Dr.中島健次著『出てますか?弱酸性尿』文芸社、2005年12月出版、p70~72から転載)

 歩く・走るなどの運動をすれば、必ず尿pHが低下する。この事実に気付いたことが発見です。そして、発見は発明に変換する。すなわち、アルカリ性の尿が出続けている犬を走らせたり、猫をジャンプさせたりして四肢を活発に動かすことにより、骨組織からカルシウムや燐酸塩類などが流出しないようにすると共に、尿pHを一時的に酸性化することによって、
 〔第1段階〕 尿中に燐酸塩類が含まれていても、三重燐酸結晶になるのを防止する。
 〔第2段階〕 三重燐酸結晶が析出しても、ストラバイト(尿晶)に発達するのを防止する。
 〔第3段階〕 ストラバイト(尿晶)になっても、これを溶かして尿閉が起こるのを防止する。
という三つの大きな効果をもたらす「ナカジマ式運動療法」は立派な発明となります。
 この新療法を特許庁に方法特許として出願すれば、間違いなく特許されたことでしょう。そうなれば、ストラバイト対策として犬や猫を運動させるたんびに、何がしかの特許使用料を私に払っていただかねばなりません。でも、それでは余りにも非現実的すぎます。それ故、私の発明した運動療法は特許を出願しませんでした。
 したがって、誰でも自由に運動療法を実施することができます。走らせればストラバイトが消えるのだから治療費ゼロ。こんな都合の良い新療法が普及しない訳はありますまい。
 これによって、ストラバイト由来の尿閉や尿路結石に苦しむ犬や猫が減少し皆無になれば、隠居した老獣医師にとって、こんな嬉しいことはございません。製造技術の進歩で缶詰のストラバイトが過去のものになったのと同様、いずれ近い将来(私の死後?)、ペットのストラバイト(尿晶)なんてコトバは死語と化し、獣医学の教科書から削除されることでしょう。
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
特許pHスティック
http://www4.ocn.ne.jp/~ken2/
携帯サイトhttp://ktai.at/phstick/ ご利用ください
拙著『出てますか?弱酸性尿』、ご参考にどうぞ!


59 尿にキラキラ光る粒

2007年02月27日 07時36分39秒 | 犬・猫
走れば溶けるストラバイト(2)。
 安全で快適な室内に暮らしている犬や猫たちが、“幸せ”であることは間違いありません。でも、禍福あざなえる縄の如し。幸せすぎる生活が原因で、オシッコの出なくなる尿閉に苦しめられがちです。処置が遅れれば、尿毒症で数日以内に死んでしまいます。特に再発しやすいのが♂猫で、再発防止のためペニス切断に至る場合が少なくありません。
 尿閉(尿道閉鎖)を起こす原因の中で、圧倒的に多いのが尿晶(ストラバイト)です。尿閉の前兆現象として、オシッコの中にキラキラ光る砂粒状の小さな固形物が見えるようになるはずなんですが、気付かずに見過ごしてしまった飼い主さんが多いのではないでしょうか?(見逃したからとて、誰も責められません。そんなものが出るなんて、知らなくて当然です)。
 今の小学校教育がどうなっているのか知りませんが、昔、私が子供の頃、「肥料三要素」として窒素・燐酸・カリウムを、また燐酸肥料として最良のものが骨粉であると教わりました。骨組織の中には、燐酸カルシウムや燐酸マグネシウムなどの燐酸塩類が豊富に含まれているからです。
 その骨成分が何かの拍子に溶け出すと、血管を通って腎臓で濾過され、尿と一緒に排泄されてしまいます。そのとき膀胱内の尿がpH7.0以上の中性~アルカリ性になっていると、尿に含まれていた燐酸塩類(燐酸アンモニウム・マグネシウム)が結合し、顕微鏡でなければ見えない微小な三重燐酸結晶が析出してきます。でも、尿の中に結晶が出るのは一過性の生理現象にすぎず、やがて尿と一緒に体外へ排泄されてしまうので実害はありません。
 しかも、三重燐酸結晶は尿pHが6.6以下の酸性になれば溶けてなくなります。健康なヒトも犬も猫も、尿のpHは目まぐるしく変化(pH5~8)するのが正常な姿ですので、たとえ尿中に三重燐酸結晶が析出しても、膀胱内で溶けてしまうのが通常です。ところが、何かの拍子に尿pHがアルカリ性のまま長時間持続することがあります。すると、尿中に析出した微小な三重燐酸結晶が、みるみるうちに肉眼で見えるくらい大きな結晶になってしまいます。それが尿晶(ストラバイト)であり、キラキラ光る砂粒状の固形物の正体です。
 ペットの尿閉の原因として、尿に出てくる肉眼可視大の固形物を最初に気付いたのが誰なのか、不勉強な私は知りません。たぶん、ヨーロッパの獣医師だったのではなかろうかと私は推察しています。彼(彼女?)は一目見て、当時のカニ缶やサケ缶などの中に出てくるガラス状の結晶(struvite)と形がそっくりだ、成分も同じ燐酸アンモニウム・マグネシウムだ。というわけで、砂粒状の固形物は微小な三重燐酸結晶が尿中で巨大化したもの。だから、結石ではなく、尿晶(ストラバイト)と呼ぶことにしよう、と言い出したのだと思われます。
 缶詰のストラバイトは胃酸で溶けることが分かり、現在はカニ缶やサケ缶の中にクエン酸などを加えて弱酸性にすることにより、ストラバイト形成が防がれているそうです。それと同様、犬や猫の尿道を塞ぐ尿晶(ストラバイト)も間違いなく酸に溶けます。もしも、地面やシートの上に流れた我が子のオシッコの中にキラキラ光る固形物が見つかったら、お酢を固形物の上にかけてみましょう。固形物の大きさや気温などによって影響されますが、2時間くらいで跡形もなく溶けて消えているはずです。もしも、固形物が爪先やピンセットで摘まめるほど大きければ、皿などの容器に入れて酢に漬けてくださいずっと早く溶けてなくなるはずです。
 酢で溶けず、X線写真に写れば、もはや尿晶でなく結石です。尿晶の周りにカルシウムなど他の尿成分が結合してしまったか、あるいは蓚酸カルシウムなど別の成分に由来する結石ですので、もはや素人の手に負えません。動物病院を頼ってください。尿道結石は超音波で砕いて洗い流し、膀胱結石は切開して摘出することになります。
 我が子の尿の中にキラキラ光る固形物があった。ヤバイ。でも。それらは酢に溶けた!
酢に溶けることが確認できたら、もう安心です。あれこれ慌てふためく必要はありません。
①緊急処置として、とりあえず尿pHを弱酸性以下に低下させること。
②根本対策として、尿pHが目まぐるしく変化するように生活習慣を改善すること。
 尿pHの低下なんて実に簡単、1に運動、2に肉食オンリー(酸性食品)です。走ると尿が酸性化する。これを最初に発見したのは誰か? もしかして私かもしれません。
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
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58 アルカリ性のままはダメ

2007年02月26日 19時01分07秒 | 犬・猫

走れば溶けるストラバイト(1)。
 ホームページに掲載してある「ストラバイトが室内暮らしのペットに多発する理由」
http://www4.ocn.ne.jp/~ken2/room-in.htmと重複するところが多く、いささか気が引けるものの、もう一度、しつこく私見を述べさせていただきます。
 いつの時代にも「大本営発表」を盲信する人々が多いようですが、咎める資格など私にはありゃしりません。私だって、神州不滅・鬼畜米英を盲信させられていた一人だからです。
 しかし、ヒトもイヌもネコも、健康ならば尿pHは絶えず目まぐるしく変化するのが正常です。権威ある専門書などに「尿pHの正常値は弱酸性」と書いてあったとしても、どうか我が子の尿pHを弱酸性に維持しようと努力するのが正しいのだ、などと思い込まないでください。
 もう一つ大きな誤解が尿の結晶です。体内の不要な成分が腎臓で濾過され、尿中で析出して微小な結晶になっただけのこと。尿として体外に排泄されてしまうのだから、無害です。そのうち三重燐酸結晶(燐酸アンモニウムマグネシウム)は、尿pHがアルカリ性になると析出し、アルカリ状態が持続すると肉眼で見える砂粒状の結晶に巨大化してしまいます。
 それを尿晶(ストラバイト)と呼びますが、やがて膀胱や尿道内でカルシウムなど他の尿成分と結合し、X線写真に写る本物の結石になります。そうなると、もはや酸では溶けません。それ故、まだ酸で溶けるストラバイトの段階で尿のpHを6.6以下にする必要があるのです。
 つまり、我が子の尿pHがアルカリ性になっても心配無用。そうではなく、アルカリ性のまま長時間持続するのがイケナイのだ、ということをキチンと知っていただく必要があります。大本営発表とは異なりますが、尿の酸性化なんて簡単至極。1に運動、2に野菜禁止です。
 ストラバイトが出た我が子(犬・猫)の尿閉や尿路結石を防ぐ。それが最優先! 理屈は二の次でよし。 尿のpH(ペーハー、ピーエッチ)検査には、何卒、特許pHスティック
を、ご利用願います。安価なリトマス試験紙が酸性・アルカリ性の区別しかできないのに比べ、このスティックに使用のpH試験紙はpH5.0~8.0の範囲を0.2段階ずつ16色で判定できます。
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
特許pHスティック
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57 もしや尿路感染症?

2007年02月26日 15時08分27秒 | 糖尿病

 クランベリー(部録56)を書いている最中に思い出したのですが、私も尿路感染症かと疑われる不快な症状を2回ほど経験しました。もっとたくさん体験例を重ねてから公表しよう。そう考えて待機しているうち、3例目が途絶えたまま時が過ぎ、忘れるともなく忘れておりました。今回せっかく思い出したのを好機とし、僅か2例ながら自覚症状や尿pHなどについて自分なりに考察し、私見をまとめておきます。
 なお、ホームページ
http://www4.ocn.ne.jp/~ken2/や拙著『出てますか?弱酸性尿』に書いておいたように、私は3年前から排尿のたびに自分で自分の尿pHを測定し記録に残しています。そのため、下表のとおり、2回の不快な体験(初発2006/08/01、再発2006/10/13)と尿pHのデータとを照らし合わせて考察することができました。
 〔自覚症状〕2006/08/01の夜、生まれて初めて陰茎と膀胱あたりにシクシクと沁みるような不快な違和感に襲われる。排尿するとき焼けるほどではないものの嫌な痛みを感じ、それが21:50(pH6.8)~翌朝05:28(pH6.4)まで排尿7回にわたって続きました。
 〔経過〕私は虫垂炎で入院して以来、歯科は別として30数年間も病院に行っていないので、身体の異常⇒病院という習慣がありません。そのため、尿路感染症かどうか定かではないものの、とにかく抗生物質を飲まねばならない…、今度ばかりは病院に行かねばなるまい…(獣医師は動物用抗生物質しか入手できない)。そんな不安を抱えつつ、日課の早朝ウォーキングに出発したところ、2Kmを過ぎたあたりでフッと気付いたのです。いつのまにやら、下腹部のシクシク感が消えていたのです。帰宅後、08:26(pH5.6)、トイレで排尿したところ全く痛みがありませんでした。ああ良かった、助かった。
 当初の感想は、そんな程度のものでした。ところが2ヶ月後の10/13、またもや下腹部のシクシク感と排尿痛が再発したのです。下表に示すとおり、21:19(pH7.2)~翌朝05:14(pH6.2)まで排尿6回も痛みが続きました。
 そこで、下腹部の不快な違和感や排尿痛が歩くだけで本当に消えるのかどうか?、今度は意識して歩きました。そして確認できました。見事に消えてくれたのです。初回同様、歩き始めて約20分、距離にして2Kmほどで下腹部の不快感がなくなりました。帰宅後、07:31(pH5.6)、やっぱり排尿痛も消えていることが確認されました。
 〔考察〕下表に示した初発・再発の尿pHデータに注目すると、両方に共通する異常な現象が一目瞭然。就寝前から尿pHが上昇したまま睡眠中にも余り低下せず、朝一番尿が弱酸性にとどまっています(pH6以下に低下するのが望ましい。表下の〈註6〉ご参照)。
 尿pHが中性~アルカリ性になると、排尿間隔が縮まって頻尿になりがちです。長年、pH5.6以下の酸性尿を出し続けていた私にとって、アルカリ性の尿は唐辛子みたいに膀胱粘膜や尿道粘膜をピリピリと刺激するためではなかろうか。それで、早く体外に排出しようと身体が求めた結果、ときには20数分間ごとの激しい頻尿になるのではないかと考えていました。
 もしもそれが正しいとしたら、夜間、尿pHがアルカリ性のまま持続し、明け方になっても弱酸性にしか低下しない状態は身体にとって何らかの異常事態なんだと思われます。それを私に気付かせるために、下腹部の不快な違和感と排尿痛というシグナルを私に送ってきたのだと考えられます。 しからば、そうまでして私に気付かせたかった異常事態とは何か?
 2回の体験で共通しているのは、不精して毎朝の日課のウォーキングを怠ったこと。でも、埋め合わせに昼間ちゃんと歩いているのだから、どうも正直なところ私にも釈然としません。
 それともう一つ、食いすぎがいけなかった。消化能力の衰弱しつつある老体にとって飽食・満腹が耐え切れず、そんなに食ってはダメだと警告してくれたのかもしれない。少なくとも夕食に、スイカやら里芋やらのアルカリ性食品を食べ過ぎるのはイケナイようです。
 そこんところは例数が少なくてアイマイなものの、とにかく歩けば尿pHが低下し、下腹部の違和感も嫌な排尿痛もピタッと治る。僅か2回の経験で断言するのは間違いかもしれませんが、私は運動による尿pH低下が奏功したんだと確信しております。
〔結論〕歩けば治ったのだから、私が体験した下腹部の不快な違和感や排尿痛は、細菌に起因する尿路感染症ではなかった。もしかしたら、膀胱炎やら尿道炎やら尿路感染症のすべてが細菌感染による炎症ではなく、尿pHが上昇したまま低下しないことが原因の炎症も一部にあるのではかろうか。
 健康なヒトもイヌもネコも、尿pHは絶えず目まぐるしく変化するのが正常です(上記HPまたは拙著ご参照)。故に、アルカリ性の尿が長時間滞留することによって膀胱粘膜や尿道粘膜が刺激され、炎症らしき症状を呈する可能性もあるのではなかろうか。もしも抗生物質が奏功しないときは、試しに運動を心掛け、尿を酸性化してみられましては如何でしょうか(ただし、手遅れになっては大変。何卒、自己責任でお願い申し上げます)。
 それにつけても、100歳まで生きられるとの囃子文句に釣られ、寝たきり病人や車椅子生活者などが毎日大量のクエン酸を飲み続け、四六時中、アルカリ性の尿を出し続けているとしたら、はたして無事でいられるのかどうか。憂慮されてなりません(部録55ご参照)。もしもアルカリ性の尿が長引いても無害であるなら、人間と犬・猫はどこかが違うんでしょうね。そうなると、私の培ってきた疾病観を根底から改めなければなりますまい。
 ついでに申せば、室内で暮らす犬や猫の場合、オシッコ・ウンコを屋外でするようにしつけられていると、飼い主さんが帰宅して窓を開けたり散歩に出るまで我慢ガマン。尿がアルカリ性になって早く排出しなければいけないというのに、我慢ガマンでストラバイト(尿晶)が出来てしまう。それらがジャリジャリと粘膜を擦って傷つけ、血尿が出て、慌てて動物病院に駆け込む。もの言わぬ動物の悲しさ。人間だったら、そうなる前に下腹部の違和感や排尿痛を訴えられるだろうに…。痛みは故障のシグナル、とは正に名言。我が子(幼児・犬・猫)の肉体の痛みに素早く気付いてこそ、親であり飼い主なんだと思います。

 
初発  2006/08/01(火)    ⇒   08/02(水)
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排尿   時 分(pH) 備 考   時 分(pH) 備 考
―― ――――――――――  ―――――――――――
 00 23:53(6.2)前夜就寝前  23:37(7.0)排尿痛(前夜)
 01  02:57(5.8)睡眠中    01:40(7.0) 〃 睡眠中
 02  06:27(5.4)寝坊・不歩   03:35(6.8) 〃 睡眠中
 03  07:42(5.4)朝食なし     05:28(6.4) 〃 歩前
 04  08:25(5.4)フロ前     08:26(5.6)歩後(10962歩)
 05  12:14(5.2)昼食中      11:10(5.4)フロ後70.6Kg    
 06  13:37(5.2)             12:16(5.4)昼食中
 07  14:05(5.6)       14:35(6.2)昼食後に昼寝
 08  14:47(5.2)歩前       15:49(6.8)フロ前
 09  15:01(6.8)歩後(5323歩) 17:44(6.4)夕食中
 10  16:09(5.8)フロ前     20:46(7.4)食後にスイカ
 11  17:50(6.2)夕食後     22:22(7.8)排尿痛なし
 12  18:35(6.2)             23:42(8.0) 〃 就寝前
 13  19:49(5.6)             03:05(5.8) 〃 睡眠中
 14  20:51(5.6)             06:32(5.6) 〃 歩前
 15  21:50(6.8)排尿痛       08:30(6.0)歩後(11761歩)
 16  22:39(7.2) 〃         0:48(5.4)朝食なし
 17  23:37(7.0) 〃就寝前   12:38(5.4)昼食後

再発  2006/10/13(金)    ⇒    10/14(土)
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排尿   時 分(pH) 備 考   時 分(pH) 備 考
―― ――――――――――   ―――――――――――
 00  23:03(6.4)前夜就寝前  22:40(7.6)排尿痛(前夜)
 01  01:18(6.2)睡眠中    00:26(7.2) 〃 睡眠中
 02  04:53(5.6)眠くて不歩   03:42(6.8) 〃 睡眠中
 03  07:37(6.8)朝食なし     05:14(6.2) 〃 歩前
 04  08:50(6.8)歩前      07:31(5.6)歩後(11643歩)
 05  10:54(5.8)歩中       08:35(6.0)フロ前    
 06  12:05(5.4)  〃         11:50(6.0)
 07  14:07(5.8)歩後(17216歩)12:46(5.6)昼食中
 08  15:24(6.4)昼寝後       14:58(7.4)昼寝後
 09  16:15(5.8)フロ前     15:42(8.0)歩前
 10  18:17(6.4)夕食後     16:34(6.4)歩後(4650歩)
 11  20:05(7.4)里芋効果?  18:42(6.2)フロ・夕食後
 12  21:19(7.2)排尿痛       20:48(6.0)排尿痛なし
 13  22:40(7.6) 〃 就寝前  22:52(6.4) 〃
 14         ―             23:55(6.0) 〃 就寝前
 15         ―         02:39(6.0) 〃 睡眠中
 16         ―              05:20(5.6) 〃 歩前
 17         ―              07:52(5.4)歩後(13112歩)

〈註1〉健康な老人の正常な排尿回数は夜間の睡眠中1回ないし2回、昼間6~8回とされています。したがって、上表8月1日の排尿回数が17回というのは、明らかに異常な頻尿です(夕食にアルカリ性食品を大量に食べないように意識している現在は、排尿回数が減少し9~12回/日)。
〈註2〉私の頻尿の原因は老化+糖尿病(?)のせいかと思われますが、それだけではない。尿意を覚えるや数秒以内に噴出してしまう切迫性なんとか(いわゆるオモラシ)を警戒するあまり、ウォーキングや買い物などで外出する前、入浴する前、就寝前には必ずトイレに行く習慣が身に付いているためでもあります。
〈註3〉因みに、「尿意を感じて直ちに排尿すると、膀胱内の許容尿量がどんどん減ってしまい、ますます頻尿になる。だから、尿意が兆しても排尿をできるだけガマンせよ」、と頻尿関係の本やテレビなどで盛んに奨励されています。でも、提唱者の多くは頻尿未体験なのではないかしら。急いでトイレに駆け込もうとしても、数歩で尿が噴出してしまう老人たちにとって、排尿ガマンをしたくても出来やしません。やるなら失敗に備えてオムツが不可欠です。しかしながら、プライド高き老人にとってオムツ装着は人生終焉の一線を跨ぐような気がして、おいそれとは踏み切れないものです。勲章欲しさに名誉職にしがみついてる老人が少なくないけれど、ある獣医師会長みたいにオムツを履いて壇上に上がる姿は老醜そのもの。オムツ即、いさぎよく引退すべし(高齢者定年の指標)。
〈註4〉食事中や食後(特に食後の歯磨き中)に、突然、尿意を感じる場合が多い。原因が塩のせいであることに気付いたのはラーメンです。ツケメンだと大丈夫なのに、ラーメンだと店を出て数分くらいで猛烈な尿意に襲われる。ラーメンのスープを残すのがもったいなく、半ライスを入れて完食してしまう。それがツケメンに比べて塩分過剰摂取になることを思い知らされました。ちょっと前までは何でもなかったのに、どんどん腎臓機能が衰弱していることの証拠だと思います。これに気付いて以来、ラーメンもソバもウドンも、うまい汁を飲み干さないように心掛けております。また、過剰なNa(ナトリウム)を排出するため、Ka(カリウム)が多く含まれる食品(リンゴ、プルーンなど)を食後に食べるように心掛けております。歯磨き中に尿意を覚えがちなのは、蛇口から流れる水が排尿を連想させるからだと思います(フロ場でのシャワーも同じ?)。
〈註5〉歩いたり走ったりすれば筋肉中に乳酸などの疲労物質が産生され、腎臓で濾過されて尿に出て来る。だから、運動後の尿pHは必ず低下します(たまに上昇することもあるが…)。いっぽう、10数分~1時間ほど昼寝をすると、アルカリ性食品を摂取していない空腹状態であっても必ず尿pHが上昇します。たぶん、交感神経が弛緩し、副交感神経が作動して血管が拡がる(=血流順調)ためではないかと推察されます。
〈註6〉同じ睡眠でも、昼寝と違って夜間、睡眠中に尿pHが低下するのは何故か? かの有名な納豆事件で廃絶した『あるある大事典』に、ナルホドと納得できる回答が出されています。すなわち、「昼間の労働や運動によって体内に溜まった不要の老廃物(乳酸、ケトン体、燐酸、尿酸など)が寝ている間に腎臓で順調に濾過される結果、朝一番の尿がpH5.8前後の酸性になる」とのこと(2002/02/09フジテレビ放映)。私は起床後、排尿・脱糞・洗面を済ませてから数分以内にウォーキング(往復約8Km)へ出かけますので、上表の歩前=朝一番尿ということになります。
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
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拙著『出てますか?弱酸性尿』、ご参考にどうぞ!


56 尿pHの良書の見本

2007年02月21日 10時49分36秒 | 根拠なき体質説

 …ポリフェノールたっぷりの健康果実…『クランベリー』(中嶋康彦著、保健同人社、2003)。アア、こういう本をオレも書いてみたい。たまたま本屋で目に止まった真っ赤な表紙の本に発奮し、拙著『出てますか?弱酸性尿』を自費出版する踏ん切りがつきました(内容・出来栄え・売れ行きとも不本意な結果に終わりましたが…)。
 特に感服させられたのが、第3章「尿路感染症に効くクランベリージュース」です。恐らく、著者の学位論文を基にしたのだろうと推察されますが、尿pHのデータの揃え方や説明など理路整然、実に見事な書き方です。本来、健康書とはこうでなくてはならない。ぜひ、模範とし参考にすべき好著と存じます。
 でも、完璧とか完全無欠とか、瑕疵なき仕事なんて滅多にありません。この本にも瑕疵があり、68ページの「尿路感染症では尿のpHのコントロールが必要です。しかし、残念ながら尿のpHを下げる薬はありません」と断言したのは不勉強でした。
 フマール酸が尿pHを低下させます。とっくの昔に獣医師が発見し、T製薬が特許を取ってZ社から発売されました。動物病院では、ストラバイト(尿晶)で尿閉になった犬や猫にフマール酸を使用しています(運動の方がフマール酸よりも効果テキメン、というのが私の持論)。
 それともう一つ。同じ68ページに「尿のpHは食事の影響を受けやすいのですが、健康な人であればpH6.0付近が正常なpHになります。一方、尿路感染症にかかっている場合には、pH8.0以上のアルカリ性になることもあります」という記述の中で、pH6.0前後が尿pHの正常値というのは誤りです。
 それが当時も現在も常識であり、常識にしたがって仕事をするのが無難であるのは百も承知。だが、常識にとらわれすぎると、せっかくのデータを読み違えることがあります。得られたデータをあるがままに眺めていれば、たぶん、尿のpHは絶えず目まぐるしく変化するのが正常な姿であることに気付いたはずです。せっかく尿pHの測定データを集めながら、それに気付かなかったのは惜しい。お蔭で、どうやら私が世界最初の発見者になれたようです。
 尿pHは上昇・下降の変化を繰り返すのが正常である。いずれ医学辞典や教科書などの記述が書き換えられ、これが常識となりましょう。真実は権威に勝る。2007/02/20 Dr.中島健次記


55 クエン酸は要注意

2007年02月17日 20時43分38秒 | 根拠なき体質説

 No.53・54に続けて嫌われついでに、もう一つ。ここ6・7年ほど、本屋の健康書コーナーに立ち寄るたんび目につくのが『クエン酸健康法で100歳まで生きる』(メタモル出版)です。買う人が絶えないから版を重ねることができるんでしょうが、かなり腹立たしくてなりません。
 この本の98ページに、先人A教授が雑誌『食生活』(昭和29年8月号)に寄稿した論文『疲労とクエン酸をめぐって』から引用したとして、「昔から、体液(=血液、リンパ液、唾液など)が酸性に傾くにしたがって 肉体的疲労があらわれるといわれている。体液は、普通なら中性か弱アルカリ性であるのが正常だが、体液が酸性に傾くというのは、体内で酸が過剰に産生され、蓄積された結果と考えられる。この場合に体液を酸性に傾ける物質とは、乳酸、リン酸、硫酸の三つであり、中でも乳酸が主として体液を酸性に傾ける物質であるといわれている」、と旧来の体質論が受け入れられています。
 そして、『尿で分かる健康状態』と題し(p100~101)、「私(A教授)は数年来、人間の健康と疾病の間に、簡単に判別できるメドがあるのではないかと考え、尿のpHを種々の生活環境の下で観察してきた。その結果、尿のpHは食べている食物の種類によって変化するだけでなく、労働や運動の影響できわめて大きな変化を 受けることが分かった。健康な状態にあって、しかも激しい運動をしていない場合は、尿のpHは必ず7.0±0.2 程度(弱アルカリ性)の範囲であり、これは健康状態のよいときの血液のpHとも一致する。これに対して疲労時の尿のpHは5.8~6.4という酸性状態を示す。極度の酸過多状態にある糖尿病患者の尿も、同様にpH5.8~6.0の範囲の酸性状態を示す。このように、健康時なら弱アルカリ性の尿も、激しい運動や労働の後や、油分、 テンプラ、肉類、甘い菓子類などの酸性食品を食べた後では、pH7.0以下の酸性方向に傾く。この尿のpHは、 市販されているBTB試験紙を使えば、誰にでもすぐに検査できる(後略)」という具合に先人の記述が引用されているのですが、先ずここに異議あり!

 異議①:健康な人間の正常な尿はpH7.0±0.2とのことですが、大間違い。絶えず目まぐるしく変動している のが尿pHの本当の姿です(詳しくは拙著『出てますか?弱酸性尿』p32~47、または私のホームページの http://www4.ocn.ne.jp/~ken2/urine-ph.htm ご参照願います)。
 異議②:pH7.0±0.2は中性であって弱アルカリ性ではありません。
 異議③:ホメオスタシス(恒常性維持機能)の働きによって、血液のpHは常に7.4±0.5の範囲内に守られているのが正常な姿です。したがって、尿pH7.0±0.2が「健康状態のよいときの血液のpHと一致する」という のは大間違いです。
 異議④:糖尿病患者の尿がpH5.8~6.0とされていますが、とんでもない。糖尿病でも痛風でも、年がら年中いつもpH5.6以下の酸性尿を出し続けています(pH4くらいにまで低下するのかもしれない)。
 異議⑤:pH指示薬としてBTB(ブロムチモールブルー)を使用したpH試験紙の測定可能範囲はpH6.2~7.8 です。酸性域を測定するためにはMR(メチルレッド、測定可能範囲pH5.4~7.0)などを使用した別のpH試験紙が必要となります。したがって、「BTB試験紙を使えば誰にでもすぐに尿pHを検査できる」というのはウソ です。
 異議⑥:以上はA教授への異議申し立てですが、以下は出版社への異議です。昭和29年当時はもちろん、獣医学校を卒業した私が研究施設で働いていた昭和40年代でも、たちまち乾燥して褪色し始めるpH試験紙による比色 判定は困難を極め、使いこなせるベテランは滅多におりませんでした。だから、前記「BTB試験紙を使えば誰にでもすぐに検査できる」なんてことは大ウソのウソッパチです。
 
異議⑤⑥の二つのウソを真に受けて、自分で尿のpH測定を試みようとした読者が少なくないのではないでしょうか。ウソの情報を数年間も撒き散らし続けている出 版社の責任は決して小さくありますまい。
 私の申すことが信用できなければ、提案があります。片や、BTBとMRを混合したpH試験紙No.20というプロ向 けの製品(アドバンテック社)が市販されてます。いっぽう、それを使って褪色遅延を工夫した私の特許 pHスティックが6年前から通販で普及しつつあります。どっちが便利で素人さんにも簡単に判定できるか、ど うぞ貴社内で性能比較実験をなさってみてください。プロ向けpH試験紙の難しさを実感していただけます。

 第2の異議は、先人B博士の論文『クエン酸ソーダ注射の臨床』を引用した箇所(p109~112)です。「実験方法-唾液を体液の正常体液とみなし、尿を排泄物の体液とみ、クエン酸ソーダの静脈注射に先だって 両者のpHを確かめ、注射後のそれと比較することで、pHの変動によって疾病がどう変わるかを観察した。… (中略)…結論-各疾病に注射してその結果、唾液のpH、尿のpH値がどう変わるかを臨床的に観察したと ころ、注射により唾液および尿のpH値が酸よりアルカリに以降(中島註:移行?)することを認めた。これと 共に疾病が好転した」との引用中、どうして唾液が「体液の正常体液」なのか私は納得できません。虫歯があるだけでも唾液のpHに敏感に影響します(私のHP「唾液のpH検査http://www4.ocb.ne.jp/~ken2/saliva.htmご参 照)。
 もちろん尿は体内の不要物質を体外に排出するための汚水であり、断じて体液などではございません。
 このように前提条件が間違っている論文を引用したことの是非はともかく、クエン酸ソーダを注射された子宮ガン、月経困難症、胃潰瘍、高血圧症などの患者さん18名の唾液と尿のpH値がどうなったのか、非常に興味 のもたれるところです。
 ところがpH値のデータはそっくり省略され、「酸よりアルカリに移行することを認めた 」という結論だけの引用で済ませています。こういう手抜きをしてはいけません。たいせつなデータを隠したまま「結論」なるものを根拠とし、クエン酸の健康効果を世間に喧伝するのは非常に危険です。

  第3の異議は、クエン酸の安全性が必ずしも確かではなさそうなことです。厚生省のまとめた『食品添加物公定書解説B』に、イヌへの経口投与実験で安全性が認められている。そのデータを体重60Kgの人間に換算するなら、1日80gの大量摂取でも無害ということになる。よって、毎日小サジ半量(約1.5g)ほどを食後と食間に6回、合計15g/日を服用するのが良いと奨励されています(p142~144)。
 しかしながら、私自身の体験では、15gどころか10gを飲んだだけで凄まじい下痢に襲われました。それに伴い、それまでpH5.6以下の酸性尿しか出なかったのが一挙にpH7.8まで上昇し、アルカリ性の状態のまま翌朝 まで下降しませんでした(詳しくは拙著『出てますか?弱酸性尿』p70~72、またはHP「走れば溶けるスト ラバイトhttp://www4.ocn.ne.jp/~ken2/run-run-run.htm ご参照)。
 室内で暮らす運動不足の犬や猫だと、使われなくなった四肢の骨組織から燐酸塩類が流出し、腎臓で濾過さ れて尿に混ざります。そのとき尿pHがアルカリ性のまま長時間持続していると、燐酸塩類が析出してガラス状 の結晶(ストラバイト)となり尿道を詰まらせます。
 人間の場合、クエン酸摂取によって尿がアルカリ性になったまま低下しなくても、自分の意志で家事や歩いたりするなどの運動ができるので、犬や猫みたいに尿道閉鎖で苦しむ危険性は少ないのかもしれません。
 でも、寝たきり患者や車椅子生活など慢性的に運動不足の状態におかれた人々の場合、尿がアルカリ性のまま持続したらどうなるでしょう。もしかしたら、室内暮らしのペットと同様、尿中に燐酸塩類の結晶が析出 し、その周囲にカルシウムなどの尿成分が結合して大きな結石になる可能性がなきにしもあらず。
 人間の尿路結石で一番多いのが蓚酸カルシウム結石と燐酸カルシウム結石(約75%)で、次が燐酸塩類の結合した燐酸アンモニウムマグネシウム結石(約15%)とされています。後者は腎臓内や腎盂内いっぱいに鋳型 のような結石が形成されるので、樹枝状結石とかサンゴ状結石とも呼ばれています。もしも樹枝状結石が、毎日、真面目 にクエン酸15gを連用した結果だったとしたら、いったい誰が責任を取り、摘出費用を補償してくれるんでしょ うか?
 そんな悲劇を未然に回避するため、信頼できる医療機関での臨床実験が不可欠です。15gの長期連用が安全だと保証されない限り、クエン酸の奨励は自重されてしかるべきだと思います。そもそも、書名からしておかしい。100歳まで生きられなかったら、サギなんでは?
 ただし、私はクエン酸摂取に反対するものではありません。痛風や高尿酸血症の皆様が、医師の処方する健康保険対象のクエン酸含有錠剤を常用しているのは非常にもったいない。ドラッグストアなどで買える安価なクエン酸結晶で済むのです。医療費削減! 少なからぬ寄与が期待できましょう。
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
特許pHスティック
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拙著『出てますか?弱酸性尿』、ご参考にどうぞ!


54 またも出た体質改善本

2007年02月14日 19時03分01秒 | 根拠なき体質説
 新鮮な食品を食べることが『病気にならない生き方』(新谷弘実著、サンマーク出版)だとする健康本が2年近くになんなんとする超ロングセラーとなり、いつ行っても本屋の一番目立つところに山積みされています。それにあやかろうとしているのでしょうか。昨年の暮れ頃から、『病気にならない人は知っている』(幻冬舎)という似たような書名の本が隣に並んでいるのを見かけるようになりました。なんと、「全米900万部突破!記録的ベストセラー」の翻訳書なんだそうです。
 医療・健康分野のプロとして、医師も歯科医師も獣医師も薬剤師も看護師・介護士たちも、死ぬまでに一つくらいは独自の新しい診療方法や健康方法などを発明・発見し、本に残して逝ってほしい。
 でも、言うは易く行うは難し。遺業を実現できた幸運なプロなんて、はたして1万人に一人か二人か?
 それに比べ、他人の仕事をかき集めて紹介するだけの、いわゆる「学者本」を書くのは実に簡単。時間をかけさえすれば仕上がる手作業にすぎません。上記幻冬舎の翻訳本も、著者自身の発明に基づく健康法を伝授するものではなく、車の元セールスマン氏がたくさんの本から集めた知識を羅列したものです。巻末に列挙されている「参考資料」の中に、気に入らない書名が散見されました。
★ストレスが体を酸性にする(1冊)
★体のpHがアルカリ性ならば、ほとんど絶対に病気にならない(4冊)
★テレビを見過ぎると体が酸性になり、病気の原因となる(1冊)
 これらの参考資料を鵜呑みにし、丸写しにしたと推察される記述の一部を転載しておきます。「モーター医師は、健康レベルの測定法について、ここ百年で最も偉大な発見をした。それはノーベル賞に値するほどの発見でありながら、医薬品産業の利益には貢献しないため、あまり見向かれもせず放っておかれている。モーター医師の発見とは『人間の体のpHバランスが酸性のとき、ガンや糖尿病、多発性硬化症が進行し、アルカリ性であれば、ガンのような病気は体内に存在できない』というものだ。つまり手っ取り早く確実に病気になる可能性を知るには、体のpH値を調べれば良い。pH値を知ることに、なぜそれほど意味があるのだろうか。病気が発症するまでには長い時間がかかる。定期的にpHバランスをチェックしてそのつど対応しておけば、病気は本格的に悪化する時間を与えられない。pHチェックはガンをはじめとする病気に絶対ならないようにするための、最もシンプルな方法だ。www.naturalcures.comでは、会員向けに尿や唾液を用いる検査方法を紹介している」(幻冬舎発行『病気にならない人は知っている』p88より転載)
 この文章を読んで初めて事情を知りました。拙著『出てますか?弱酸性尿』の第1章第9節「尿のpH検査で体質がわかるわけがない」(文芸社、p28)に書いておいたのですが、米国から輸入したサプリメントの宣伝文に書かれていた奇怪な誤解(酸性体質をアルカリ性体質に改善できた証拠として、尿のpHが酸性からアルカリ性に変わる)は、どうやら米国が発祥の地だったようです。
 それはともかく、ザッと目を通した結果、「体内に毒素があると体のpHは酸性になる。酸性の体は病気になりやすい。アルカリ性ならば決して病気にならないので、体はアルカリ性に保つべきだ」などという間違った記述がp41、46、68、71、76、77、83、84、88、92、124、127、136、137、140、141、142、145、計18ヶ所も目につきました。
 「体内のpHが酸性のときガンになる」、「ストレス解消CDを聴くと、ほんの数分の内に体のpHが一変する」、「笑いは免疫系全体を刺激し、ゆううつな気分を解消して体をアルカリ性に変える」……等々、これら記述の正当性を主張するには、体内pHの代表として最も測定しやすい血液pHのデータを揃えておく必要があります。
 もちろんそんなことは著者が執筆前に調べて確認すべき事柄であり、発行者サイドに責任はないのかもしれません。かといって、人々に迷妄をもたらしかねない不都合な翻訳書を、このまま販売し続けることが許されるものかどうか。発行者殿の勇気あるご英断を願って止みません。
 なかなか決断がつかないときは、論より証拠。貴社員の中から志願者を募り、尿pHと血液pHの実験をなされては如何でしょうか。社員の中には痛風(高尿酸血症)や糖尿病の方もおられるはずです。彼らに特許pHスティックを配給し、トイレで尿pHを測ってもらってください。たぶん全員がpH5.6以下の酸性尿を出し続けているはずです(ただし、動脈硬化が始っていない青年の場合は外れることもある)。
 そこで、常に酸性尿が出ている社員を選び、医療施設で採血し、血液のpH値を測定してもらってください。ホメオスタシス(生体の恒常性維持機能)によって、被験者全員の血液がpH7.35~7.45の弱アルカリ性に保たれているはずです。何かの事情で中性(pH7.0)付近にまで低下することがあったとしても、血液pHが酸性にまで低下することは絶対にありません。もしも酸性になどなったら、とても生きてはおられないのです。
 百聞は一見に如かず。尿pHが酸性の社員の血液pHは、常に弱アルカリ性である。これを確認していただければ、必ずや上記翻訳書の間違いを理解し納得していただけると存じます。敬具
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
特許pHスティック http://www4.ocn.ne.jp/~ken2/
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拙著『出てますか?弱酸性尿』、ご参考にどうぞ!

53 三好基晴先生に質問

2007年02月13日 21時48分09秒 | 根拠なき体質説

 医学博士三好基晴先生(ホスメック・クリニック院長、藤沢市亀井野)の高著『ウソが9割健康TV(やっぱり「あるある」はウソだった)』(リヨン社発行、二見書房発売)を興味深く拝読させていただきました。その中でオヤッといぶかしく思われる部分がありましたので、ぶしつけながら素朴な質問をさせていただく次第でございます。
 第3章第4項「疑問だらけの『アルカリ性食品』」(p104~111)の「測定方法にトリックあり!」というご
指摘に、いささか不備が感じられてなりません。すなわち、私が貧乏な獣医学生だった40数年前、アルバイトの労賃を貯めて、やっと『内科診療の実際』(南山堂、第63版、昭和38年発行)を購入しました。その第14章
「酸性食とアルカリ食(塩基食)療法」(p1468)の冒頭に、「酸、塩基食の決定に二法がある
①食品を完全燃焼して得た灰分の水溶液の酸性なりや、アルカリ性元素(ナトリウム、カルシウム、マグネ
シウム)なりやに依る
②摂食後に、血液のアルカリ度を低下するは酸性食である。高上するはアルカリ食である。之は尿の反応を
検して大略の推測をする」と記載されております。
 しかるに上記2法のうち、三好先生は①だけを取り上げられ、「科学的に根拠のない健康トリックなので、
そのカラクリを説く」とされておられるのですが、②に言及されなかったのは片手落ちではないでしょうか?
 ②の方法では、血液のpH測定データが提示されてなく、血液pHと尿pHの相関性についても証拠が示されて
いないようです。それ故、三好先生はじめ現今の医師たちに無視されましても当然至極かもしれません。
 しかしながら、食後数時間以内に著しく尿pHのアップ・ダウンに影響する食品が実在することは間違いあり
ません。したがって、血液pHはいざしらず、少なくとも尿pHをアップする効果のある食品を「アルカリ性食
品」と呼び、尿pHを酸性化する食品を「酸性食品」と呼ぶことは許されて良いのではないでしょうか?
 このような私見をもっておりますので、三好先生のご高著に書かれている「疑問だらけのアルカリ性食品」とい
う部分は非常に困ります。ご高著がヒットし改訂版を出されるときは、何卒ご修正もしくは削除をご検討いた
だきたく、伏してお願い申し上げます。
 なお、もしも幸いにして、三好先生ご自身で尿pHに及ぼす食品の効果を実験していただけますなら、ぜひと
も私の発明した簡単便利な特許pHスティックをご利用いただきたく願い上げま
す。敬具
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技術士・獣医師・農学博士 Dr.中島健次
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