ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

政治生活30年の経験と学識を活かし、ポリティカルセオリストの視点から政治の今を語ります。気軽にコメントして下さいね!

後期高齢者医療制度って?!

2008-02-18 22:46:29 | 市議会議員として
※画像は説明会当日に配布した埼玉県後期高齢者医療広域連合が発行しているパンフレットです。町会役員会と説明会参加者約80名にお配りしました。

2月17日の日曜日は午後2時から地元町会主催で、後期高齢者医療制度について説明会をさせていただきました。急なお話でもあり、まだ私自身も十分に理解しているとはいえない状態でしたが、できる範囲でその概要を私の主観的な感想を交えてお話ししましたので、ブログにもほんの少しアップしておきます。

■後期高齢者医療制度~若い世代への負担軽減と言うけれど・・・

後期高齢者医療制度~これは難しい制度です。ほんと、国は何を考えているんでしょうか?!これまでの国民健康保険や社会保険などいろいろな保険制度から75歳以上の高齢者の医療保険を抜き出して、老人保健を無くして、新しい制度にするわけです。

確かに、若くて元気な働き盛りの人たちは保険料の負担が担えるし、病気にもなりにくいので、社会保険は結構、黒字だったりします。それで、会社を定年退職して、収入が無くなると国民健康保険に加入して、あまり多くの保険料を負担できなくなった頃に、いろいろと健康に問題が出てきたりしますから、国民健康保険制度そのものが成り立たない程に赤字が年々膨らんできていました。

このままでは、若い世代に転嫁して保険料の負担を将来にわたって上げ続けていかなくてはなりませんから、せめてその一部を高齢者ご自身にも負担してもらおうということで、今回、現役世代と切り離して、後期高齢者医療制度を新設しようとしたことに一定の理屈はあるわけです。

■高齢者に対し、過酷な負担を強いることに・・・。

しかし、例えばこれまで国民健康保険の保険料の最高額は一世帯当たり56万円だったわけで、年金生活者である高齢者の医療保険は子どもの扶養になっているかぎり、この範囲で賄われていました。一家4人プラスおじいちゃん、おばあちゃんの6人家族でも介護保険料の最高額9万円を合わせても一世帯あたり最高65万円で納まっていたわけです。

ところが、これからは75歳になると自動的にお子さんの国民健康保険や社会保険の扶養から外れて、おじいちゃん、おばあちゃん共に、保険料をそれぞれ年金から自動天引きされてしまうわけです。

しかも、現役並みに収入のある後期高齢者からは、一人最高50万円もの保険料を個別に取られるため、おじいちゃん、おばあちゃん夫婦に現役並の収入があったら、一人50万円、二人で合計100万円も保険料を払わなくてはならなくなるので、低所得のお年寄りも高所得のお年寄りも、どっちにとっても負担感の大きい制度だと言われています。

※ここに示した保険税、保険料の最高額は年額です。これまでの最高限度額の制度が世帯を対象としていたのに対して、後期高齢者医療制度では個人を抜き出して負担させる制度であることが"過酷な制度"だと私が断じる主な理由です。

■永年こつこつ働いても報われない日本という国。

下手をすれば、永年、日本社会のために働いてこられたお年寄りが、長年、こつこつと年金を積み立ててきたお年寄りが、生活保護を受けている世帯よりも生活が困窮してしまいかねない制度なので、この制度が始まる今年4月以降、一定期間の暫定措置はあるものの、社会的に混乱するのではないかと心配する声が既に広がっています。

■こんなやり方許せない。~国の本音は消費税率の引き上げ?!

国は、国民にこの国の皆保険制度の限界を痛みを通じて直面させて、悲鳴と共に、こんなに苦しいなら、消費税を上げて、もっと国全体で保険制度や年金制度を立て直してくれ!っと言わせようとしているのではないかとすら、私は感じます。

官僚大国日本の官僚制度そのものの抜本的な改革に大ナタを振るわずしてです。国民の税金は大きな官僚国家を運営するイニシャルコストにそのほとんどが吸い取られ、国民生活を豊かにする投資的経費や政策的経費は国債などの国民からの借金でまかなわれているというのがこの国の"現実"なのではないでしょうか。

■今、私にできること・・・。

私は政治家を志す者として、自分の無力さをたまらなく痛感しています。どうしたらいいのか、その方向性だけは分かっているつもりなのですが、本当に無力です。

正直に言うと、具体的に何をしたらいいのかが、私には分かりません。

とりあえず、草加市独自に後期高齢者医療制度における保険料本人負担金に対する助成制度を創設することぐらいしか、今の私に提案できることはありませんが、これも当面の、その場しのぎに過ぎません。

今月20日、草加市議会2月定例会(予算議会)が開会されますから、できることを成していこうと思います。

■説明会を終えて。(ブログ記事編集後記)

今、必要なのは、この国の本質的な問題から目をそらさず、その問題解決に真剣に取り組む誠実な人々なのではないでしょうか。私も非力ですが、そんな一人としての自覚をもって、成すべきことを一つひとつ成していきます。みなさんの知恵と力を私に貸してください。

だれもが幸せなまち―草加をつくるために。

※関連ブログ記事:
「コメントして下さい!~後期高齢者医療制度について」
は、こちらです。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor
草加市監査委員
Soka City Auditor

※後期高齢者医療制度については、事業の主体である埼玉県後期高齢者医療広域連合ホームページをご覧ください。もしくは、草加市役所長寿福祉課(電話:048-922-0151)、埼玉県後期高齢者広域連合(電話:048-833-3222)までお問い合わせください。


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2 コメント

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政治力・民主主義に期待! (スノーマン)
2008-02-21 01:12:38
この法律は18年6月の通常国会で与党多数により強行的に採決(付帯決議あり)されたものです。

時の内閣は郵政選挙で大勝利した小泉内閣です。思えば、他にも数々の重要法案が与党多数の下で成立しました。果たしてそこに、少数派を尊重するという民主主義があったか考えると非常に疑問です。というのも、この法律の成立に関して、肝心の高齢者はまったくといっていいほど周知されずに蚊帳の外にいらしたからです。

今後の周知・議論、制度への関心の向上を期待します。

市町村の政治力では、瀬戸さんが言及されたとおりの方法があるんですね。今日のニュースで、愛媛県松山市が独自に市の一般会計で保険料の負担補助をすると知りました。


・・・そういえば、小泉首相の人気にあやかろうと、選挙ポスターに小泉首相との握手写真を恥じることなく使用し、当選した人がいたのを思い出しました。
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明日の我が身でもある問題です (ようすけ)
2008-02-23 18:30:43
介護保険制度導入による介護保険料の負担に始まり、所得税の老年者控除の廃止による増税、そしてこの後期高齢者制度の実施に伴う健康保険料負担の増加と、年金生活の高齢者世帯には、年金収入しかないのに負担増が度重なり、年金収入の増額もなくきびしいものです。 はっきり言って、年寄りは早く死ねとでも言わんばかりです。
これは、私がそう思う前に私の母が言ったことです。
そして、このことは今の高齢者だけの問題ではなく、これから高齢者になる自分たちの将来のことでもある切実な問題です。

政治家や官僚の無駄やでたらめを根本から改善することなく、机の上での数字合わせだけの手法で、これから少子高齢化が進むから財源不足で大変だといわれても納得できません。
政権与党の責任は重大であり、このような事態を招いたのは自民党政権のやってきたことです。
政官業の癒着体質、役人天国、政治の私物化で税金の無駄遣いをして、国民に負担を強いるのはおかしい。

草加市の後期高齢者医療制度における保険料本人負担金に対する助成制度を創設することは大賛成です。
国の問題は国の問題として追及すべきだが、現実の問題として市民の暮らしを考えると、そうでもしないと高齢者は大変です。

また、相次ぐ負担増が続くと将来が不安になり消費も低迷します。 これは、高齢者だけでなくこれから高齢者になる世代もです。40代後半になると老後のことを考え始める人が増えてきます。特にサラリーマンは60歳定年が多いですから余計でしょう。50歳になったら定年カウントダウンですから。
だから、将来が不安だと貯蓄をしっかりしておかないとということで、消費は抑えられていくことになります。
消費が低迷すれば本当の意味での景気の回復はありません。景気回復の最重要課題は内需の拡大であり、それは消費の拡大に支えられるものです。
ここしばらくの政府与党の政策に最もかけているものです。


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