ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

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公共工事をめぐる恐喝事件で実刑判決。

2006-09-20 00:59:35 | 市議会議員として
「本件を通じ、市職員の対応のまずさ、暴力団組長である被告人と市長の親しい関係が明るみとなって市を揺るがす事態ともなっており、地域社会に与えた影響も大きい。」と指摘しながら、今岡健裁判官は平成18年9月19日、藤沢一賀被告に対し、懲役2年の実刑判決を宣告しました。以下は判決の主文と理由の全容です。

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平成18年9月19日宣告 裁判所書記官 斉藤康晴
平成18年(わ)第733号、第865号

■判決

本籍 (省略)
住居 (省略)

解体業 藤沢一賀 (生年月日省略)

上記の者に対する恐喝被告事件について、当裁判所は、検察官管るり子出席の上審理し、次のとおり判決する。

■主文

被告人を懲役2年に処する。
未決拘留日数中40日をその刑に算入する。

■理由

(罪となるべき事実)

被告人は、

第1
 かつて公共工事を施工していた善英建設株式会社が交通誘導員の不手際により交通事故を発生させた際、同会社に安全大会を開催させたものであるが、平成16年8月30日、同市が発注し、株式会社はじめ工業が請け負い、平成17年3月28日までの工期で施行していた道路改良工事に関し、交通誘導員の対応等に因縁をつけ、同会社から金員を喝取しようと企て、同月21日午後1時過ぎころ、同市両新田西町55番地先路上において、同市建設部現場監督員の面前で、同会社代表取締役OA(当時52歳)に対し、「市はこんな業者を使って工事をさせているのか、今すぐ中止させろ。」などと語気鋭く申し向けて脅迫し、さらに同所から、同市長秘書に電話をし、「ガードマンの口の利き方が悪い、行政はどんな指導をしているんだ。」などと申し向けた上、上記Oに対し、「市長に怒鳴り込んだら指名停止になるぞ。お前のところも善英のようになりたいか。」などと申し向け、引き続き、同日5時ころ、同市両新田東町69番地1先路上において、前期Oに対し、「明日の工事は中止だ。安全大会をしてからだろう。」などと語気鋭く申し向けて、暗に金員を交付するように要求し、これに応じなければ、前記道路改良工事の工期内竣工を妨害して前記発注者に対する信用を失墜させ、今後の工事受注等の業務に妨害を加えかねない気勢を示して脅迫し、同人をしてその旨畏怖させ、よって、同日午後11時15分ころ、同市谷塚上町775番地所在の株式会社デニーズジャパン谷塚上町店駐車場において、同人から現金50万円の交付を受けてこれを喝取し、

第2
 埼玉県草加市が発注し、東拓大創建設株式会社が請け負った下水道工事に関し、同現場でベンツに傷が付いたと因縁をつけ、示談金名下に同会社から金員を喝取しようと企て、同年4月4日午前11時ころ、同市高砂1丁目1番1号所在の同市役所本庁舎3階第2委員会室において、同市建設部担当職員に指示して、同会社営業部長IK(当時60歳)及び同会社現場責任者YH(当時30歳)を呼び出させて同席させ、上記Iらに対し、「昨日の夜中、工事現場を通りかかったら、道路のあちこちに石が散らばっていた。こんな安全管理の不適格業者を市は指名するんだ。こんな会社には二度と仕事をさせるな。この工事もストップしろ。」などと語気鋭く申し向けて脅迫し、さらに上記I及同Yに対し、「どんな安全管理を採っているんだ。工事現場を通ったらベンツに傷がついた。ベンツは高いよ。」などと語気鋭く申し向けて暗に金員を交付するように要求し、上記Iをして、同会社代表取締役TH(当時39歳)にその旨を伝達させ、これに応じなければ、今後も前記工事の施行等に妨害を加え、かつ、同会社の前記発注者に対する信用、今後の工事受注等の業務に妨害を加えかねない気勢を示して脅迫し、同人らをしてその旨畏怖させ、よって、同日午後5時ころ、同市新善町457番地2所在の株式会社デニーズジャパン草加新善町店において、前記Tから依頼を受けたSTを介し、現金100万円の交付を受けてこれを喝取し
たものである。

(量刑の理由)
 本件は、被告人が、公共工事の施工業者に対しその施工方法等に不備があると因縁をつけて脅迫し現金を喝取した恐喝(2件)の事案である。
 被告人は、公共工事の現場を巡回し、工事の施工方法等の不備を見つけるや、因縁をつけて多額の金員を喝取しようと、市長と親しい関係にあることをことさらに示した上、一方で、面倒なことには巻き込まれたくない、自己の責任を問われる事態は避けたいという事なかれ主義的なあるいは自己保身的な市職員の姿勢を見抜き、これを巧みに利用して、他方で、発注者である市に対する信用が傷付いて指名停止を受けることを恐れる工事業者の弱みに巧みにつけ込んで、市職員の面前等で工事業者の非を声高に論い、工事を中止させろなどと強硬に繰り返し責め立てるなどして、本件各犯行に及んだもので、動機は利欲的・自己中心的で酌量の余地はない。態様は、計画的、巧妙、執拗かつ卑劣で、極めて悪質であり、常習性もうかがわれる。
 被害者はいずれも、工事の中止に追い込まれるのではないか、そうなれば市の信用を失い指名停止を受けひいては仕事を失って倒産するのではないかとの多大な不安と恐怖を味わわされた上、多額の金員を喝取されており、生じた結果も重大である。本件を通じ、市職員の対応のまずさ、暴力団組長である被告人と市長の親しい関係が明るみとなって市を揺るがす事態ともなっており、地域社会に与えた影響も大きい。
 被告人は、同種前科1犯含む前科3犯があり、いずれも服役していながら、暴力団組長として活動し、本件各犯行に及んだもので、反社会的傾向がみられ、規範意識は著しく欠けている。
 被告人は、クレームをつけたのは主として公共工事の不備を糾すためであったかのような供述もしているが、現実には、工事の不備を指摘するに止まらず、ことさらに工事の中止を求め、発注者である市に働きかけて指名停止に追い込むことを強くにおわせる発言を繰り返しており、また、被害者らから金員の交付を受けると途端にそれまでの強硬に工事の中止を求めていた態度を一変させるなどしているのであって、クレームが金員喝取のための口実にすぎなかったことは明らかである。被告人は公判廷でもなおこのような弁解を続けており、真摯な反省の態度をみることはできない。
 以上によれば、被告人の刑責は重く、被告人は公訴事実自体は認めて一定の反省の態度を示していること、各被害者との間ではいずれも被害金額に相当する金員を支払って示談が成立していること、暴力団からの離脱を約束していること、扶養すべき内妻と幼い子らがいること、妻が公判廷で今後の監督を約束していること、知人が公判廷で社会復帰後の被告人の雇用を約束していることなど、被告人のために酌むべき事情もあるが、これらの事情を十分に考慮しても、被告人に対し主文の刑を科すのはやむを得ない。
 よって、主文のとおり判決する。
(求刑 懲役3年)

平成18年9月19日

さいたま地方裁判所第1刑事部

裁判官 今岡 健

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以上が、判決の全容です。一部、個人名や被告人の個人情報については、伏せさせていただきましたが、私の主観を交えずに、皆さんがご自身でご判断いただけることが藤沢一賀被告にとっても、関係者にとっても公平なことだと思いましたので、全文をほぼ原文どおりブログにアップさせていただきました。

私がこの判決文を読んで印象に残ったのは、「量刑の理由」の中段、「本件を通じ、市職員の対応のまずさ、暴力団組長である被告人と市長の親しい関係が明るみとなって市を揺るがす事態ともなっており、地域社会に与えた影響も大きい。」と裁判官が指摘した点です。

木下博信市長は藤沢被告との「親しい関係」を「新しい市政を育てる会」がアコスホールで開催した市政報告会で否定していますし、判決の当日、9月19日に自ら招集した行政会議においても、「行政手続きは適正であった」と執行部に対して意思確認をしています。これらはいずれも今岡裁判長の指摘とは食い違っています。

草加市議会の100条委員会の調査報告と委員長報告があたかも言いがかりであるかのような主張を木下市長は続けてきましたが、今回の判決は100条委員会の指摘事項と一致するものとなりました。

草加市議会は木下博信市長に対して、賛成多数(賛成19票、反対10票)で「辞職勧告決議」をすでに議決しています。

皆さまの声を、コメントとして、もしくはメールで、私に聞かせてください。心からお願い申し上げます。

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
実刑判決は当然だ (一市民)
2006-09-20 02:43:11
執行猶予などつかないだろうと思っていた。いつかこのブログで藤沢被告の後任者が同様の因縁をつけているという書き込みがあったが、その後一体どうなっているのか。司法の場でも市長と暴力団組長の「親しい関係」が認定された意味は大きい。市議選のポイントにすべきだ。



今度の市長選、民主党にも種子島議員の引退に不分明なものを感じさせるところがある。蓋を開けてみたら「市長の一人勝ち」なんてことのないような結果にしなければならない。
1年減刑の意味 (パペポ)
2006-09-20 08:32:21
求刑が3年であったものが、2年の実刑判決になったということは、1年の減刑ですよね。



被告人の弁護士が「市役所の対応のまずさ」がなければ今回の事件は起き得なかったと主張したことが判決に採用されたわけです。



そして、その背景に一市民さんもおっしゃっているとおり、市長と暴力団組長の「親しい関係」があったことを裁判官が指摘していることの意味は大きいと私も感じています。



木下市長はどのような言い逃れを自分ひとりだけ通すつもりなのでしょう・・・
主張し続けましょう (バットマン)
2006-09-21 09:37:20
予想通りに判決理由のなかで市長と藤沢被告との関係が明らかにされました。



助役、秘書、藤沢被告と徐々に市長を取り巻く鎧がはがされています。事実経過を見れば誰にも分かることです。これからも正しいことを主張し続けることが大事だと思います。



市議会議員選挙が近づいています。是非、間違っていることは間違っている、正しいこは正しいと勇気を持って言える方を選んで、草加を「幸せなまち」にしましょう。
ところで・・・ (市民)
2006-09-22 09:21:39
あるネット掲示板に、元県議のNさん「市長やめろ」市議に刺客・・なんて書いてありましたが本当でしょうか?

草加市政を一部で私物化してたりしていたらと思うと・・・。

新人が多数でるようですが、はっきりと主張してもらって市民にわかりやすい市議選であることをのぞみます。

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