先日、友達と「映像と原作小説の関係」についてお話しすることがあった。
その流れで、「NHKの大河ドラマって、原作小説があったりするんだよねー」「どう考えても脚本家が好きに作ってるとしか思えないけどねー」という話になる。
わたしが大河ドラマの原作小説の存在に気づいたのはかなり遅くて、毛利元就のとき。それも、毎回番組の最初にクレジットを一応見ていたにもかかわらず、まったく目に入っておらず、番組ではなくライバル日本史だかそのとき歴史は動いただかわからないけれど、当時やっていたその手のNHKの歴史紹介番組で毛利元就(だか奥さんだか)を取り上げたときに永井路子さんが招かれていてようやく気づいた次第。まあ、このように映像の原作者情報をクレジットからきちんと拾う観客は、実は少ないんじゃないかという気がちょっとする……けど、それはわたしの意識が低すぎるだけかも。すんません。
で、そういう話をした後、もう一度通して観たいかどうかは自分でもよくわからないけど、非常に印象が強かった大河ドラマは何かと考えてみた。
結論としては、どうも
「風と雲と虹と」じゃないかという気がする。
「世の中にこんな長い顔の人がいるのか」
というのが最初の驚きで(すみません)、でも、その顔が回を重ねて愛着を覚えるうちに「ハンサム」に見えてくることにまた驚いた(すみませんすみません)。
好きだった幼馴染(かなあ?)をお嫁にほしいと先方のおとーちゃんに申し入れたのに断られ、よそに嫁がされる彼女を略奪し、「こんなやり方ひどいわ、ちゃんとぷろぽーずしてくれればよかったのに」とふくれる彼女に「ちゃんと結婚の申込みをしたのに、あなたのお父様に断られちゃったのよ、知らなかったの?」と将門のおかーちゃんが話すシーンとか、娘を取り返しにきた(戦になった大儀は他にあったような気もするけど)おとーちゃん、将門の嫁になった娘になぎなたを構えて応じられて涙目になるシーンとか、なんか覚えている場面もやたら多い。
一番印象に残っているのは、たぶん田原の藤太がたぶん平貞盛(たしか山口崇)に将門を討つのに手を貸してほしいと頼み込まれたときに言うせりふ。
「わたしは、あの男が好きなのです」
山口崇がすかさず返す。
「それはわたくしとて同じこと」
印象に残っていると言ったわりに、本当にこういうせりふだったかどうか、はなはだ自信がない。
ところで、田原の藤太って誰が演じてたんだろう? 声と顔は頭に残ってるんだけど、キャストで一番記憶に近いのって露口茂なんだけど……そうなの?
で、この風と雲と虹とには原作小説あったのかなあ、と検索して、海音寺潮五郎の小説だと判明したのが金曜日。
翌土曜の日経新聞夕刊裏一面の「文学周遊」が、なんと海音寺潮五郎「平将門」だったのだ。わあ、これは読めってこと?
一時期、茨城県民だったことがあり、将門にあやかった店や土産物をいくつか目にしていて、せっかく県民になったんだし、将門の大河ドラマは子供の頃、結構まじめに見ていた記憶があるから(でも、そのわりに歴史の部分はぜーんぜん覚えてないので)ちっとは勉強しなきゃなあ、と思いながら月日は流れて、県民じゃなくなってしまったが、今回は30年前(ぎゃーっ!)の大河ドラマにおける脚本と原作小説の距離に注目しつつ――といっても、非常にあいまいな記憶の中のドラマとの比較になるけれど――読んでみたいな、と思った。
……ら、
文庫は在庫がないらしい。図書館に行くべかな。