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ケダ類 Go! Go!

生存表明用ブログ

ひとごとではない

2009年09月04日 | 見た
 テレビが来ましたの、我が家にも!
 いつの時代の人か的報告。

 で、昼間見た番組紹介で気になった「きらっといきる」を観ました。ひとごとではない気がして。

 5年ほど前に飛蚊症で診察を受けに行った新潟の眼科で、徹夜明け同然の状態だったせいだと思うけれど、矯正してもなかなか視力があがらず、眼底検査をしてくれて見つかった網膜格子状変性(裂孔だったかも)でレーザー凝固日帰り手術を受けた。

 親から遺伝したゆがんだ眼球が原因の強度近視で、網膜はく離リスクはもともと高い――ということも、その時にやっとわかった。

 でも、転勤があったり、出産があったりで、その後の定期健診はうやむやに。

 そして、最近、コンタクトレンズを作り直しに行った眼科で「眼圧が高いですね。これまでそう指摘されたことはありませんか?」と言われたので、やっと「実は左目の視野が欠けてる気がする」と告白できた。ずーっと気になってはいたんだけど、都会の病院だからか個人病院だからか、新潟の眼科以外では、高額な検査を積極的に病院側から勧めてくれなかったので、こっちも時間がかかると面倒だし、ほったらかしにしていた。

 で、視野検査の結果、見事加齢の証(?)「左目、緑内障」の診断を頂戴する。右目は今のところ大丈夫だけど、眼圧が高いので、左同様、眼圧を下げる目薬をさして、定期検診ということに。

 そんなことがあったばかりだったので、「見えなくなる日が来るかも」「そしたら本読めないんだよねー。映画やテレビは映像なくてもまあ音だけで半分くらい楽しめるかもしれないけど……」と気になっていた。生活の不安より、そんなところを心配するのは、まだ本気度低いってことなんだろうけど。

 会社員時代、思春期過ぎてから失明した兄弟がいる友人がいて、そのご兄弟は点字をマスターはしてるんだけど「小さいときに視力を失って最初から文字といえば点字っていう人は、もうね、読むスピードが全然違う! 手のひらでザーって読めちゃうの!」と教えてくれたことがある。点字界の速読!

 今はとても無理だけど、少し時間に余裕ができたら、勉強しようかなあ。

 そんなことより、まずは視力を失わないように、ちゃんとお医者さんや看護士さんとの意思疎通をよくして、検診をきちんと受けるべきなんだろうけどね。でも、「眼圧高いです」と言われた初診のときも、「下がりましたね」と言われた2週間後の診察でも、「その、高いとか低いって、どういう単位のどういう数字なんでしょうか?」ということさえ、わたしは聞けずに帰ってきちゃってるんである。どんだけ話下手というかコミュニケーション能力低いのか。先生がチャットで診察に応じてくれたら、もうちょっとしゃべれるかもしれないんだけどなあ(笑)

アドミュージアム東京

2006年09月02日 | 見た
 先日、オフラインでは超お久しぶりのネット友人と新橋(というか汐留?)で落ち合い、岡本太郎の「明日の神話」という大きな壁画を眺め、カレッタ汐留とやらいうビルに入っているアドミュージアムに流れた。
 これが、予想外に面白かった。
 人目をひくように、見た人にちょっとしたひっかかりを作るように制作された広告が集められているわけだから、ひっかかりまくって当然だろうけど。特に古いものが面白い。表現技法が今風ではないのに今でも共感できて面白いものもあれば、「なんで?」という不思議もあり。

 なにより素晴らしいのは入場無料ということ<けちか!

 60年代、70年代、80年代、90年代にわけて、時代を映すヒット商品(小説なども含む)と電通のてがけた当たりCM商品を陳列した(と思しき)コーナーがあるんだけど、自分に一番ぐっとくる時代は70年代と80年代で、90年代になるとすでに「こんなのあったっけ?」状態に入っていることを再確認。社会に出てからのほうが見る世界が極端に狭くなってたってことなんだろうなあ。テレビなんかまったく観てなかったもんね。

 ところで、カレッタと電通ビルの前に亀型噴水があって、毎正時に噴水ショーがあります、と説明があったのに、わたしたちが見ている間は断固として水を出そうとしなかった。「天候によっては、キャンセルになる場合もあります」って書いてあったけど、どういう天候なんだろう? もしかして、雨が降って水がある程度たまったときしかやんないとか?

 あ、そうそう。
 ミュージアムとも噴水とも無関係に、同行した友人との会話で目が覚める思いがしたこと。
「毎年、今年の夏は厳しいという気持ちが強くなるけど、でも、今年はほんとすごい汗かくよー」
「ほんとほんと。更年期障害かもしんないけどねー、あはははは」
 リアリストって素敵。

 そんなお年頃ですが、昨日、今日と過ごしやすく、うたた寝するときはなにか一枚かけることが必要な季節になりました。みなさま、どうぞご健勝でお過ごしください。

人は見かけによらない?

2006年08月21日 | 見た
 日曜日に放送開始に少し遅れて食彩浪漫(NHK)をつけたら、なんだかかわいい女性が出てきて、だけど「肉が好きだあああ、野菜なんか食わねえええ!」というような内容を、とつとつと穏やかな言葉でお話になっている。
 番組も半分ぐらい進んだところで、ようやくそれが作家の角田光代さんだとわかった。作家にしておくのはもったいないような(失礼しました)かわいい人だけど、肉らぶ族。
 次に出てきたフレンチレストランのシェフは西崎憲さんかと思ったけど、シェフ本業の人だった(失礼しました2)。

 お肉好きにもいろんなパターンがあるんだな、と思った。

花鳥風月――ホテル・オークラの美術展

2006年08月18日 | 見た
 ホテルオークラ別館(Southern Wind)地下2Fのアスコットホールでやっている「第12回 秘蔵の名品アートコレクション」に行ってきた。週末の日曜美術館(NHK)で見て、ちょっと行ってみたいな、と思ったから。
 メジャーな外国人画家の展覧会ほど激しく混むわけではなく、一応、前後の人の波に合わせて歩を進めれば、絵のまん前でちゃんと鑑賞できるし、作品との距離も近く、採光がやわらかくて、居心地のいい空間だった。

 一番面白いな、と思ったのは、クロード・モネの「テームズ河のチャリングクロス橋」という作品。まん前に立って観たときは、全体があまりにもぼんやりかすんでいて、「霧とか夕闇とかで実際こうだったのかもしれないけど、よくこんなぼやけた絵を描いたなあ」と失礼極まりない感想を抱いてしまったけれど、他の絵を見ながら会場の反対側まで歩いてふと振り返ったとき目に飛び込んできたのは、さっきとはうって変わり、トワイライトアワー特有の同色にまとめられてはいたものの、橋脚や船などが非常にクリアに見える風景だった。立つ位置によって色合いが変わって見えて、それでこそプロなのよ、と言われればそれまでだけれど、こんな距離感でモネさんもこの景色を見ていたのかなあ、と楽しめた。

 あと、なんかワインみたいな名前の人の花の絵が素敵だったんだけど、なんていう画家さんか、忘れた(あーあ)。

 チャリティイベントということで、出口に寄付箱が置いてあったけど、小銭だけじゃなく、千円札とか入っていて、さすが立派なホテルにお越しになるお客さまは違う、と感心した。

 会期がもうあまり残ってないけれど、お近くにお出かけのついでがある方は、よろしかったらどうぞ。

萌え~

2006年05月09日 | 見た
 すでに回がずいぶん進んでいたようだけれど、偶然NHK教育TVで「知るを楽しむ」を観た(2006.5.8.)。しゃべりの達者な元スポーツ選手はたくさん輩出されているけれど、経営者の域に達している川渕チェアマンを得られたことは、日本のスポーツ界にとって本当にラッキーだった――いや、無責任にそんなに話を広げるべきじゃないか。ようするにわたしにはありがたいことだったな、と。濃いファンの目から見て「サッカー界にとってどうだったか」なんてまるっきりわからないし。

 たまたま昨夜観られた回は、アントラーズ誕生秘話。いやー、面白かったなあ。
 んでまた、川渕さんの話がいいのだ。
「アントラーズのJリーグ入りの可能性はどれくらいですか、と訊かれて、さすがに100%というのは気の毒かな、と思って、それでもあきらめてもらわなきゃいけないから、99.9999%ありません、と申し上げたんです。それであきらめるだろうと思ったら、あにはからんや!

 きゃー、かっこいいー、あにはからんや!萌え~!

 続きが知りたい方は再放送で観てください。あるかどうか知らないけど。

 番組では、まだ若いジーコとアルシンドの連携ゴール・シーンなんてものまで魅せてもらっちゃって、元茨城県民はあの興奮再び! 実に嬉しかった。

 鹿島はスタジアムもいいけれど、クラブハウスがよかった。ずいぶん前に一度行ったきりだけど、練習場を見学できるカフェみたいな場所が公開されていたり、子供サッカー場が併設されていたり。地元で育つサッカー・チームが地元のサッカーを育ててるって感じがした。

 アルビレックス新潟も同じような感じで、巨大な市民公園の中にビッグスワン(スタジアム)があって、市民用のサッカー場やらいろんなスポーツ設備が隣接している。
 わたし自身は(Jリーグ創設当時とアントラーズ優勝間近の数試合を除くと)テレビで観るとすれば子供の頃から親しんだ野球と相撲がもっぱらで、サッカーやテニスはメジャーな国際試合ぐらいしか観ないけど、地元に鑑賞と憧れの対象となるプロ・スポーツ・チームが根ざしている土地を二つも見られたのはいい経験だったなあ。

 来週はバブルがはじけた後のJリーグ下支え期の話らしい。忘れずに観られますように。
 水曜日には辰巳芳子さんもやっていたのか。1回見逃しちゃったみたいだけど、これも今週は観ようっと。

大食い萌え

2006年03月29日 | 見た
 昨夜、テレビをつけたらテレビ東京だったらしく、いきなり特徴的なお化粧をしたお姉さんが、そば屋でがんがんそばを食べていた。どうやら、大食い女王決定戦の前振り番組だったようだが、いやー、みなさん、本当に素敵な食べっぷり。多少脚色しているかもしれないけど、大食いなのにやせているというところからして素敵だ。君らは比夏留ちゃんか。てことは、実は○○なのか?

 一回戦ではひたすらもずくを食べていたけど、あの戦いの厳しいところは、なんといっても同じものを大量に食べることだよね。いくら好きでも飽きる。そこを飽きない工夫をしてまで食べるところが修行僧のようですごい。煩悩があるんだかないんだかわからなくてますますすごい。

 わたしも中学生ぐらいのときは、この先どうなるのかと思うような大食漢だったが、老化はまず胃袋からやってきた(たぶん脳みそはもっと早くから急激に老・劣化していると思われるが、すでにそれを自覚できなくなっているたので、気にしない)。最近、食べられなくなりましたなあ。つまらん。

 ともあれ、本選は4月2日20時かららしいので、あまり満腹ではない状態で気合を入れずに見たいと思います。

みよちゃんはなちゃん旅行に行く 4

2006年02月18日 | 見た
 沖縄。
 そこに住むのは、あの男――そう、デイリーポータルZの沖縄在住愛知出身ライター、安藤昌教氏である。
 DPZを愛読する身としては、やはり追わなければならないだろう。

 ヤンバルクイナに会いに行った。ネオパークオキナワに。

 黒糖工場に行った。レンタカーのクーポンで黒糖と星の砂を最初にもらえた。非常に手馴れた工場案内を受けた。最後に待ちうけていたのは、みやげ物コーナーである。黒糖以外にもいろいろ買えるようで、結構な賑わいだった[沖縄黒糖]。

 闘牛に魅せられたかったが、闘牛のシーズンは春以降で、2月は2つしか試合の予定がないようだ。ガイドブックにあった名護市のゆかり牧場(観光闘牛場)というところに出向いたのだが、オフシーズンだったせいか立入りもできなかった[闘牛場 沖縄観光情報]。

 大きな墓は、島内を車で走っていれば、そこここで見られた。生きているものと地続きで先祖がいる。

 最大の収穫はげんまいが買えたことであろう[(有)渡具知]。丸大というスーパーで購入。スパムも安かった。あぶなく80円程度で売っているシーチキンの大きな缶詰まで買いそうになった。ここではHunt'sというケチャップが幅を利かせていた。

 だが、堤防の絵にお祝いを書くことはもちろん、安藤氏の店を訪ねることはできなかった。ストーカーへの道のりは遠く険しい。

みよちゃんはなちゃん旅行に行く 3

2006年02月18日 | 見た
 2月12日。
 日ハムのキャンプ地名護市は曇りときどき晴れ。阪神との練習試合は13時からだが、11時前には駐車場がかなり埋まっていた。
 選手たちが走り込みを終えると、内野スタンドにいた少年野球チームのユニフォームを着た子供たちがいっせいに駆け出した。なるほど、出待ちをするのか。さすが野球少年、よくわかっている。

 続いてバッティング練習が始まった。新庄、小笠原の姿も見える。
 そこへ、ベンチ脇から黒いハーフコートに風をはらませてひとりの男性が入ってきて、コーチ陣に丁寧に頭を下げた。
 大野だ。現在は野球解説者の大野豊である。
 新庄や小笠原より大野に興奮するのはどうなのかと思うが、「おおおお、来てよかった!」としみじみ思った。

 試合が始まるまで時間がありすぎるので、付近をぶらぶらすることにした。すると、土手に何やら不思議な集団がいる。きちんと整列して、誰かの演説を拝聴しているようである。
 近くに寄ってみて、再びアドレナリンが上昇する。
 福本だ。世界の盗塁王、福本豊である。
 ひょっとしてわたしは豊に弱いのか。江夏も和田も豊だ。阪神には二人もいたのか。さすがにいいチームだ。

 いや、そんなひとりごっつはどうでもいい。
 ともかくも、阪神ファンらしい出立ちの一団が福本の話を聞いているのである。
 さすがに写真を撮るのは失礼だろうが、生福本の話を聞こうと一団の後ろにこっそり立つと、きれいな女性がそっと近づいてきた。

「申し訳ありません。テレビ局企画のツアーなので、関係者以外の方はご遠慮願いたいのですが……」

 選ばれし民でない身の不遇を一瞬は嘆いたが、すぐに考えを改めた。そして、二人の豊と同じ空間に存在できた僥倖に感謝した。

 地元スーパーでフーチャンプルー弁当やグルクンの唐揚げ、ポーク玉子おむすびなどを調達して、試合開始の30分ほど前に外野スタンドに入る。チチローではないが、三塁側の阪神ベンチが見えるようにと、一塁側の芝生に腰を下ろしてから、「日ハム・ファンに混ざって応援するのはまずいか?」と気になったが、どうやらここにいるのは「日向ぼっこしながら休日を過ごすオプションとして、プロ野球観戦に来た」という地元の方が大半のようである。「どことどこの試合ですか?」と言いながら入ってくる人もいた。

 が、一塁側内野スタンドの端だけは異様な雰囲気である。
 広島猛虎会の黄色の横断幕。海沿いの静かな市営球場に太鼓と声援がとどろき始めた。

 日ハムの先発はダルビッシュ。
 彼を生で見られるとは。
 しなやかで美しい投球フォーム。
 確実にミットに吸い込まれる球は、すでに十分な重みを感じさせる。
 非常にピッチング内容がいい。

 われらがタイガースの先発オーダーは次の通り。

 DH 藤本
 8  上坂
 6  鳥谷
 9  濱中
 7  林
 4  関本
 3  喜田
 2  浅井
 5  秀太
 P  能見

 2回裏の守りで飛び出した1塁ランナーを挟みながらタッチできずに進塁を許したり、フライの捕球で野手がぶつかったり、ゴロの捕球ミスもあり、非常に守備に不安の残る内容だった。先発レギュラーが全員揃っているわけでもないし、本番の緊張感に慣れて試合勘をつけていくのはこれからだろうから、ぜひ今回得られた教訓を生かして、シーズン開幕へと前進してもらいたい。

 アナウンスもなく(あったかもしれないが聞えなかった)、実にのんびりと野球の試合に共存している感覚を楽しめた。投手対打者の勝負を楽しむならテレビのほうがよっぽど見応えがあるのだが、フィールディングを間近に見られるのは小さな球場ならではである。

 すっかりのんびりムードで試合結果はどうでもよくなり、また駐車場渋滞も避けたかったため、同点まで追い上げたのを見届けて、7回が始まる前に球場を後にしてしまったのだが、背後では風船の上がる音がしていた。本格タイガースファンの根性には頭が下がる。と同時に、阪神ファンとしてもプロ野球ファンとしてもぬるすぎる自分を恥じ入った次第である。

 翌朝、スポーツ新聞で決勝ホームランで阪神が勝ったことを知った。結局、ベンチの岡田監督の姿を確認できなかったのはかえすがえすも残念だったが、練習試合とはいえ勝利コメントを早々に読めて喜ばしいことである。

 フーチャンプルー弁当の美味しさと共に、長く記憶に留めておきたい一日であった。

みよちゃんはなちゃん旅行に行く 2

2006年02月16日 | 見た
 旅行初日――
 空港の到着出口を出ると、いくつもの旗がたなびいていた。
 梅・桃・桜、三寒四温、くしゃみの出始めなど、春を告げるものはいくつもあるが、やはり「やっと来たな!」と顔をほころばせたくなるのは、プロ野球キャンプインのニュースだろう。そして、ここ沖縄では、国外と九州に行った3チームを除く残りすべての日本のプロ野球チーム、さらには韓国の3チームも春季キャンプをはっているのである。

 レンタカーに乗り込み、国道58号線を北上しはじめる。
 今回の旅の目玉は、むろん明日予定されている阪神と日ハムの練習試合だが、普通の練習風景もぜひ見てみたい。あいにく阪神のキャンプ地「宜野座(ぎのざ)」は本島東側である。今日のスケジュールから考えて、西岸を走る58号線からアクセスしやすいヤクルト、横浜、中日のいずれかを見ていこうということになる。

 恥ずかしいことだが筋金入りのプロ野球ファンとはとても言えない軟弱者ゆえ、自分の贔屓チームの試合があまり地上波で見られない土地に住む期間が数年あったことや、自己管理の悪さゆえに試合放送時間に仕事をしていることも多くなったせいで、最近の選手はあまり知らない。したがって、誰が見たいか、と問われても、「古田(監督)か牛島(監督)か落合(監督)かあ、悩むなあ」と、選手時代からなじみのある監督しか思い浮かばない始末である。
 牛島くん(と今でもつい呼んでしまう同世代は多いのではないか)も見たかったのだが、旬の選手が多く層の厚い中日を選んだ。「あわよくば落合監督、見たいねー」という気持ちが一番強かったのは事実だが。

 ヤクルトのキャンプ地浦添市、横浜のキャンプ地宜野湾(ぎのわん)市を抜けると北谷(ちゃたん)町。ここが中日のキャンプ地である。すでに米軍の基地脇を通っているが、この先には空軍基地のある嘉手納(かでな)町、通称「象の檻」(楚辺通信所)の問題で新聞に何度も名前の出た読谷(よみたん)村が続く[地図]。

 球場の駐車場は無料。
 すぐそばの練習場でストレッチをする選手が見える。
 球場の通路のいくつかには「関係者以外立入り禁止」という張り紙ははられているが、中をのぞくことはできる。どうやら奥はブルペンらしい。人影は確認できないが、ミットにボールが吸い込まれる心地よくも懐かしい音が続く。4ヵ月ぶりに聞く快音だ。

 のんびりしたいい雰囲気である。「ああ、球場だぁ!」と嬉しくなる。突然自分の中に吹いた春一番を届けたくなったのだろうか、日頃最も苦手としている電話を手にとっていた。

「もしもしー?」
「どうもぉー、ごぶさたー。どしたの?」
「今ねえ、中日のキャンプに来てるのぉ」
「えええっ? 北谷? 沖縄の北谷にいるの?」
 さすがである。

「そうそう。なんかねえ、ブルペンで誰か投球練習とかしてるよぉ」
「なんかって! 誰かって!」
「お客さんも結構いて、選手が近くに見えて、いいですねー」
「あ、あのさ、練習が終わって選手が引き上げるときにサインとかもらえたりするのよ」
「え、そんな時間までいませんよぉ」
「きー。ていうか、じゃあなんで電話してきたの? ……ねえ、もしかして、自慢? 自慢なの?」

 そうだったのか。
 自分の内側にあったものは、春のお裾分け、シーズン開始が秒読みになった昂揚感の共有ではなく、自慢してやりたいという邪な気持ちだったのか。
 冷静な他人の目というのは、厳しくもありがたいものである。愚かな自己の暴走にブレーキをかけてくれる。

「そうそう~♪(喜)」
「いやーっ。人間性、わかるーっ(じたばた)」
「じゃあ、そういうことでー」
「はいはい、楽しんでねっ(しくしく)」

 久しぶりに元気そうな声が聞けて嬉しかったし、どんな状況でもVon Voyageと言える友人の懐の深さに改めて胸を打たれた。

「誰に電話したの?」
「名古屋の友達。中日ファンなの」
「へえ、じゃあ、なんかお土産とか買ってあげる?」
「うーん……でも、中日のグッズなんて、名古屋でなんぼでも買えるだろうしなぁ……」

 スタンドにあがると、2人ずつバッティング練習をしていた。
 ひとりの背番号は1。
 福留である。

「わ、写真! 写真とって! 大矢さんに送るから、携帯でとって! 顔はさすがに遠くてはっきり写らないだろうから、背番号が入るようにとって!」
「ネットが邪魔でうまくとれないなあ。それにどうしてもぶれちゃうよ」
「えー」

 自分はデジカメも写真のとれる携帯も持たずに来ておいてずいぶんな発言である。
 だが、福留のブロマイドや下敷きを名古屋ドームで売っているはずだし、あちこちで中部テレビ(だっただろうか)のカメラクルーを見かけたので、今日のこの様子はずっといい画像で彼女に届けられるはずだ。そう思って納得するしかあるまい。

 福留は非常にしなやかな振りで、実に軽々と外野スタンドに球を運んでいた。今回間近に見ることのできたバッターの中では、一番無駄な力をかけずに球を捉え、飛ばしてしていたように思う。
 その事実は、わがタイガースにとっては脅威だが、どんな土産よりも友人にとって喜ばしいものであろうと、今日のところは一緒に喜んでおくことにして、球場を後にした。

みよちゃんはなちゃん旅行に行く 1

2006年02月15日 | 見た
 その美しい写真をガイドブックで見て、すぐにわかった。

「あ、これ、工藤夕貴が泊まったとこだ!」

 車で5分もあれば一周できる小さな古宇利島。ここに昨年橋がかかった工藤夕貴を泊めてあげたお父さんお母さんに会うことは叶わないにしても、橋をわたって「あ、ここなんだねー、あのテレビねー」と感慨にふけってこようと旅程に含めて出かけた。

 綺麗だった。

 いかに不純な動機であれ、行動につながり、ここに導かれたことに感謝した。
 それほど、他で見たことのない美しさだった。
 あの橋を歩いて渡ることのできた工藤夕貴は幸いである。

 橋を渡って島に入るとすぐに平屋建ての建物がある。オープンスペースで土産物を販売しており、食堂もあった。
 その食堂に彼女はいた。
 テレビで見たとおり、笑顔のきれいな奥さんだった。
「テレビ、見ましたよー」と声をかけるのがさすがに憚られ、心の中で「あ、あの人だ~」とひとり喜ぶに留めた。
 もしや立派なストーカー体質かもしれないと、ふと不安にかられたが、次の瞬間には実行に移すだけの体力と根気がないことを思い出して安堵する。

 なお、その食堂では、その日獲れたばかりの貝の刺身などもあるが、なぜか餃子定食が人気のようだった。

 ところで、島に入る前に、小さなハプニングがあった。
 橋の手前で車を停められてしまったのだ。
 エメラルドグリーンの海とセルリアンブルーの空に挟み込まれたこの小さな島で、横溝正史が描くような事件でも起きたというのだろうか。

 結論を言えば、そんな忌まわしいことは何もなく、ふかぶかと頭をさげて車を停めたのは日焼けした顔から白い歯をのぞかせた若い青年であった。

「お急ぎのところすみませーん。今、橋の上で映画の撮影やっておりまして、あと1、2分で終わりますので、ちょっとお待ちいただけないでしょうかあ?」

 映画の撮影がこのように「通行人の善意」で支えられていることをはじめて知った。旅に出て教えられることは多い。
 ちなみに、古宇利大橋の上で撮影中だったのは、チェケラッチョという映画だそうである。