休憩返上・サービス残業・仕事持ち帰りー保育現場(東京新聞6/18)

2018-06-21 08:09:11 | 政治
6月18日付東京新聞9面に愛知県内の保育士たちの現状を調査した結果が報道されていた。

長時間保育が常態化している中、
子ども達のお昼寝の時間帯に交代で休憩を取るのだが、
その休憩時間は
お便り帳や保育日誌の記入、週及び次月の保育計画の立案の時間となり、休憩時間は有名無実。
もちろん休憩時間の一時間ではこれらの事務作業は終わらず、残業して事務仕事を行う。
だがその多くはサービス残業となる。
さらに、行事などの準備のために持ち帰りの仕事もあると言うものだ。

記事中の調査結果を見ると

1ヶ月の残業は 
名古屋市内が平均16.7時間(内サービス残業13.1時間)
名古屋市以外が平均21.5時間(同16.7時間)

休憩時間は取れたか の問に
名古屋市では50.3%がノー
名古屋市以外では63.4%がノーと回答。

残業中の仕事 として
会議や打ち合わせ      54.8%
行事の準備         53.2%
翌日以降の保育準備     46.2%
保護者対応         44.1%
保育室を整える       43.0%
週の計画や月の計画を立てる 39.7%

となっている。

東京の調査はないのだろうか。
多分東京も同様かそれ以上であろうと推察される。

私が関わっている労働組合の相談窓口には
保育士関係の相談が多く寄せられるようになった。

「労働契約のとおりに賃金が支払われない。請求したら首だと言われた。」
「人手不足で保育がままならない。増員をお願いしても増やしてもらえない。」
「パワハラで職場をやめたい。」
など、これらは一つの保育園で起きたことではなく、
保育士として働く人の共通の問題なのである。

上記調査で休憩が取れたか否かに対し
「ノー」と答えた人の数が少ないと感じるのは私だけ?。
実態は もっと過酷なのではなかろうかと思う。

娘の保育所では系列の保育所で職員が休むと
ヘルプと称して、その施設に派遣されるという。
担任を持っているのにである。
派遣先で、新卒2年目の保育士が一人担任で苦労しており、
日常保育で子どもたちと お歌を歌ってゆっくり保育をする余裕さえ持てずに保育をしているとか。
娘が子どもたちと歌を歌ったりしているところを見たパートの保育士がそう告げたらしい。
娘は呟く
「大学で保育実践について沢山学び、
あれもこれもと思って現場に入れば、
一人担任で、休憩時間に必死で保育日誌を書き、
なお
子どもたちのお昼寝の状態を確認もしなければならず、
自分の理想の保育実践もできず、やめたくもなるよね。」と。

娘の保育園では
現場から幾度人を増やしてほしいといっても入れられず、
経営陣は 2020年まで保育園を増やし続ける方針だとか。
待機児解消の名のもとに、
経営だけを考えた保育所が増え続けるが、
その陰で、
現場で働く保育士たちの労働条件は益々劣悪になっていることを痛感せずにはいられない。

保育士不足は
保育士の資格を持った人の数が少ないわけではない。
使い捨てのような働かされ方と、
上記調査のような過酷な労働現場、
十分な保育経験を蓄積することのできない現場に
嫌気がさして退職する保育士の多いこと。
さらに、
こうした現状とこの実態に見合わない安月給に、
学生たちが資格を取っても現場への就職を希望しない。
という悪循環の中にある。

ある保育士は、
「行政の監査が入ってほしい。」
という。
「多くの保育施設が保育士が足らない状況で保育している実態を知るべき。
そして行政指導で保育士の増員を指摘すべき。」と言っている。

厚労省は、この保育士不足の中にも拘らず
待機児対策を理由に、入所する子どもの数を増やすよう指示。
保育士の負担はそれを機にさらに大きくなったのではなかろうか。
現場の願いと逆行している。

監督責任の所在は違っても、
子ども達に一番身近な自治体は
その安全を守る責任が一義的にあると認識すべきである。
事故が起こって、子どもが犠牲になってからいくら反省の弁を述べても遅いのである。

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