牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

11月20日(火) 「教会の再発見②」 リン&ビル・ハイベルズ著  いのちのことば社

2012-11-20 15:02:33 | 日記

 第1部(1-8章)は、牧師夫人のリン・ハイベルズが書いていたが、第2部(9-13章)はビル・ハイベルズ牧師が書いている。2部の9-11章を読んだ。ウィロークリークには2万人近くが集まっているようなので規模が大きく、規模が小さい日本の教会とは全く違うが、「教会」についての大切な原則は学べると思う。著者自身も以下のように言っている。

 本からの引用。「ウィロークリークをモデルにするのではなく、神が押そうとしておられるその教会独自の「神の拇印」は何なのかを祈りと実践によって探し求め、発見するようにと、牧師たちに奨励しているのである。実は、それがこの第二部の背後にある目的である。つまり、どの教会も自分の独自性を見出すという重大な課題を自分で負っていかなければならないということである。」

 著者は説教とリーダーシップを分けて考えている。 「メッセンジャーは人々の前に立ったなら、彼らの人生にインパクトを与えるように、聖書の真理を明確に力強く語ることを何よりも欲する。一方、リーダーがマイクを握ったら、別のことが起こる。つまり、教会員がそれに向かって心を燃やすような使命や目的や動機を指し示すのである長らく、メッセンジャーは「聖書の真理の伝達と理解こそが信者の人生を変える」と信じる人たちを引きつけてきた。メッセンジャーは教え、徳を高める。しかし、リーダーは信徒を聖霊によって励まし動機づけていく。教会が果たすべき使命に信徒を動員し、行動を起こさせる。リーダーシップとは行動であり、信徒を椅子から飛び上がらせて、「これは生半可なことではない。これこそ人生をかけるべき絶対の使命だ」と宣言させることだ。また、メッセンジャーはよく聖書研究やメッセージの準備に没頭して、教会の中で起こっている微妙な負の傾向に気づかず、修正するチャンスを逃すことが多い。 」

 私は牧師になって最初は説教さえ良ければ教会は機能し建て上げることができると思っていたが現実はそんなに甘くなく、教会の中で起こってくる様々な問題に後手後手になってしまってうまく対処することができなかった。今振り返ってみると、リーダーシップの力がなかったということだと思う。


 彼はリーダーシップの8つの性質を次のように挙げている。
 1.リーダーはビジョンを掲げる能力を持つ
 2.人々を合体させる能力を持つ
 3.リーダーは人々を励まし動機づける能力を持つ
 4.リーダーは積極的に刷新していく必要性を見定め、それを成し遂げる能力を持つ
 5.リーダーは核となる価値を確立している
 6.リーダーは資源、資力、資金を効果的に振り分ける
 7.リーダーはエントロピーを察知する能力を持つ
 8.リーダーはリーダーシップ文化の創造を愛する

 「あなたがリーダーなら、指導せよ。しかも熱心に導け。聖霊に導かれた神中心のビジョンを掲げよ。簡潔で人の心を動かす教会活動声明をを作れ。効果的な伝道作戦を練り上げよ。核となる聖書的な価値を作り出せ。間違いなく軌道を走り続けるために、結果を見定める努力を尽くせ。」

 「あなたがリーダーなら、指導せよ。しかも熱心に導け」という言葉がとても印象に残った。私の場合、指導することに躊躇してしまったことが多かったと思う。

 
 また彼は聖書(使徒の働き2章41節-47節  そこで、彼(イエス・キリストの弟子のペテロ)のことば(説教)を受け入れた者は、バプテスマ(水の洗礼)を受けた。その日、三千人ほどが弟子に加えられた。そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。そして、一同の心に恐れが生じ、使徒たちによって、多くの不思議なわざとあかしの奇蹟が行なわれた。信者となった者たちはみないっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた。そして、資産や持ち物を売っては、それぞれの必要に応じて、みなに分配していた。そして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった。) に書かれているように、聖書的に機能する共同体のビジョンとして次のことを指摘している。
 
 1.聖書的に機能する教会においては、メッセージ(説教)は人を造り変えるものである。
 2.聖書的に機能する教会では、人生を変えるフェローシップ(交わり)がある。
 3.聖書的に機能している教会では、霊的に混乱した人たちに伝道し、救いを理解できるようにし、キリストに応答できるように導く。
 4.聖書的に機能する教会は、富を分かち合う。


 「 私たちは簡明なビジョン宣言を作った。「私たちは聖書的に機能する共同体を建て上げる。」 そして、私たちの使命を一文に要約した。「私たちは無信仰な人々を全面的に献身したキリストの弟子に作り変える。 」

 
 数年前にビル・ハイベルズ師の話を東京の教会で聞いたことがあるが、改めて本書を再読してみてリーダーシップの大切さを学んだ。私には説教の賜物が与えられていると思うが、残念ながらリーダーシップの賜物は与えられていないと感じる。使徒2章のビジョンは私にも私なりにあるのだが(ビル・ハイベルズ師とは比較にならないが)、私にはそれを現実的に形にしていく力が足りない。これからリーダーシップを学び、開発し、習得していきたいと強く願う。