久方ぶりに戦術論といいますか、サッカー難しい?話。
イエメン戦についてのブログを幾つか見ていますと、「オシムになって何が変わったか、何が変わるのか」みたいな話が出ていますので、その部分についてちょっと考えてみたいと思います。
とりあえず過去(2月8日)のエントリを引っ張ってまいりました。
代表監督に求められるもの
ここで戦術について、以下のようなことを言ってみました。
この戦術という言葉も中々色々な意味に解釈できて面白いです。
例えば、カウンター、サイドアタック、ポストプレーなどは戦術用語ですし、他に雑誌などでは3センターがいいとか、サイド2枚の4-5-1がいいとか色々取り沙汰されています。
が、端的に言えば、色々な戦術というのは戦術的優勢を作り出すものということに尽きると思います。で、戦術的優勢というのは、
勝てる相手と(ドリブルで抜ける、マークでつぶせる)1対1の状況を作り出す(質のミスマッチ)
1対2の状況を作って2人で翻弄する状況を作り出す(量のミスマッチ)
のいずれかを作り出すということに帰結します。
バック何枚、中盤何枚というのは、結局多くの局面で1対1における質のミスマッチ、1対2という量のミスマッチを引き起こせるのにもっとも適したスタートラインということになるべきです。ミスマッチを引き起こせないのなら、3枚であろうと4枚であろうと意味がありません。
逆に言うと、これもまた最大公約数的な要素があるといえるでしょう。例えば右に優秀な選手がいるのなら、右を薄くして右は質で制し、左は人員で制する…など、
個を全く鍛えずとも、戦術だけで勝つことも理屈の上では可能だと思います。あらゆる局面で1対2、1対3の状況を作り出せばいいわけで。ただし、これを実現するためには、辞書数冊分くらいの理解が必要だろうとは思いますから、現実としては無理でしょう。
つまり、質のミスマッチをどこかで作り出さない限り、列強に安定して勝つためには辞書数冊分の戦術を覚えろということになります(笑)。そこまで戦術理解が高ければ、むしろ個の力と評価してよさそうなものですね。
個を鍛えることの重要性というのも、その部分にあるのでしょう。
個で勝てる局面が多ければ多いほど質でいけるので量の要請は減ります。ただし、個だけ鍛えても相手が量のミスマッチで対抗してくる可能性があるので、個を鍛えればそれだけでいいという問題でもない。このあたりが駆け引きです。
そこに集団スポーツの妙味があると言えます。
ミスマッチという言葉を使っていますけれど、監督に出来るのは結局そこまでなんですね。
シュートを入れる方法なんてのはまあ、形の良し悪しとか打つ本人の得意不得意もありますから、多少得意な形でチャンスを増やそうという努力はできるかもしれませんが、結果的には打つ本人にかかっているわけで、監督が祈れば点が入るというものでもありません。正直「打つ選手とボールに聞いてくれ」というようなものだと思います。結局監督の力量を測るにはどれだけチャンスを作れているか、シュートを打てているかで、何点入るかは議論の外ですからね。
で、「考えて走る」ということは、何を意味するか。簡単ですね。考えて走ることで量のミスマッチを引き出そうというものです。これは多分オシムに聞いたとしても、同じような答えが返ってくるのではないかと思います。
オシムの本音としては「ワールドカップくらいになれば1対1で勝てることはまずないんだから、常に1対2になるように工夫しなければいけないんだ」というようなところではないでしょうか。
だから山瀬をフリーマンにして数的優位を作るような練習をしているわけですし、色々考えさせる方法をとっているわけですね。
ただ、問題はこの部分を選手が理解しているかどうか。
理解しているのであれば、例えば「●×が調子がいいから、1対1でも勝てそうだ」という場合には無理をしてサポートの動きをしなくてもいい、などで手抜きできる場所も出てくるのではと思うわけですが、少なくともここニ試合、そういうアドリブを利かせている選手はいないように思います。
と言いつつ、好意的に見るならば現時点では自分達で一杯一杯なので、相手を見つつサッカーができていないのかなと。
これがある程度メンバーが固まってきて、相手の研究も出来るようになってくればこの部分では勝てそうだから勝てるのならサポートする選手を別のところに回そうなど、楽できる部分がでてくるのではと思います。無論、勝てると思いつつ勝てない場合もあるわけで、その場合は約束事を守らないといけないし、逆に相手が絶不調で予想外のところで勝てたりする場合もある。そういう場合にはそこで楽をしつつ…となってくることが望ましいのですが。
また、日本が良くない兆候として「バックラインでのんびり回していた」とか「アーリークロスが多かった」とかありますけれど、これも必ずしもそれが良くないとは思いません。
個人的にはバックラインでのんびり回していてもどこかでペースアップしてきちんとできるのならば全く構わないですし、アーリークロスをバンバンあげようと、その後で何らかのミスマッチを起こすべく動きをしてるのであればこれも全然問題ないんですね。もちろん、何もすることなく漫然と回していたり、アーリークロスをあげていたりするのでオシムがカンカンになっているわけですけれど(笑)
ただ、だからといって「~をしてはいけない」と言うのはマズいと思いますね。多分これは特に日本人選手あたりには一番言ってはいけない言葉だろうと思うんですね。それを言われると「ああ、これはやっちゃいけないんだ」と無邪気に考え、有効な場面でもやらなくなりますので。
ですので、「お前たちはバルセロナやブラジル代表のようにスローテンポから突然ペースをあげてチャンスを作ることもできなかったのにどうしてバックラインでのんびりとボールを回していたのか」あるいは「阿部も遠藤も中をフォローする動きも見せないのにどうしてアーリークロスをあげたのか」という風に指摘をすべきなのではと思います。
で、最後に二試合を見てのオシム評ですが、結果と全く関係なく、個人的には大いに誤算があります。
というのも、個人的にはオシムは日本代表の最大公約数的な戦術を見つけ出して、そこから発展させていく方法を取っていくのではないかな~と期待していましたが、どうもジーコとは違うものの、高い理想を携えてそこに向かって選手を導こうとしているよう。
それ自体は別に悪いことではありませんが、導く過程では脱落者も出るでしょうし、メンバー・適性などを踏まえて完成するのにかなり時間がかかりそうです。
多くの選手がこのあたりを理解できてくるのか、興味深く、また不安な部分でもあります。
イエメン戦についてのブログを幾つか見ていますと、「オシムになって何が変わったか、何が変わるのか」みたいな話が出ていますので、その部分についてちょっと考えてみたいと思います。
とりあえず過去(2月8日)のエントリを引っ張ってまいりました。
代表監督に求められるもの
ここで戦術について、以下のようなことを言ってみました。
この戦術という言葉も中々色々な意味に解釈できて面白いです。
例えば、カウンター、サイドアタック、ポストプレーなどは戦術用語ですし、他に雑誌などでは3センターがいいとか、サイド2枚の4-5-1がいいとか色々取り沙汰されています。
が、端的に言えば、色々な戦術というのは戦術的優勢を作り出すものということに尽きると思います。で、戦術的優勢というのは、
勝てる相手と(ドリブルで抜ける、マークでつぶせる)1対1の状況を作り出す(質のミスマッチ)
1対2の状況を作って2人で翻弄する状況を作り出す(量のミスマッチ)
のいずれかを作り出すということに帰結します。
バック何枚、中盤何枚というのは、結局多くの局面で1対1における質のミスマッチ、1対2という量のミスマッチを引き起こせるのにもっとも適したスタートラインということになるべきです。ミスマッチを引き起こせないのなら、3枚であろうと4枚であろうと意味がありません。
逆に言うと、これもまた最大公約数的な要素があるといえるでしょう。例えば右に優秀な選手がいるのなら、右を薄くして右は質で制し、左は人員で制する…など、
個を全く鍛えずとも、戦術だけで勝つことも理屈の上では可能だと思います。あらゆる局面で1対2、1対3の状況を作り出せばいいわけで。ただし、これを実現するためには、辞書数冊分くらいの理解が必要だろうとは思いますから、現実としては無理でしょう。
つまり、質のミスマッチをどこかで作り出さない限り、列強に安定して勝つためには辞書数冊分の戦術を覚えろということになります(笑)。そこまで戦術理解が高ければ、むしろ個の力と評価してよさそうなものですね。
個を鍛えることの重要性というのも、その部分にあるのでしょう。
個で勝てる局面が多ければ多いほど質でいけるので量の要請は減ります。ただし、個だけ鍛えても相手が量のミスマッチで対抗してくる可能性があるので、個を鍛えればそれだけでいいという問題でもない。このあたりが駆け引きです。
そこに集団スポーツの妙味があると言えます。
ミスマッチという言葉を使っていますけれど、監督に出来るのは結局そこまでなんですね。
シュートを入れる方法なんてのはまあ、形の良し悪しとか打つ本人の得意不得意もありますから、多少得意な形でチャンスを増やそうという努力はできるかもしれませんが、結果的には打つ本人にかかっているわけで、監督が祈れば点が入るというものでもありません。正直「打つ選手とボールに聞いてくれ」というようなものだと思います。結局監督の力量を測るにはどれだけチャンスを作れているか、シュートを打てているかで、何点入るかは議論の外ですからね。
で、「考えて走る」ということは、何を意味するか。簡単ですね。考えて走ることで量のミスマッチを引き出そうというものです。これは多分オシムに聞いたとしても、同じような答えが返ってくるのではないかと思います。
オシムの本音としては「ワールドカップくらいになれば1対1で勝てることはまずないんだから、常に1対2になるように工夫しなければいけないんだ」というようなところではないでしょうか。
だから山瀬をフリーマンにして数的優位を作るような練習をしているわけですし、色々考えさせる方法をとっているわけですね。
ただ、問題はこの部分を選手が理解しているかどうか。
理解しているのであれば、例えば「●×が調子がいいから、1対1でも勝てそうだ」という場合には無理をしてサポートの動きをしなくてもいい、などで手抜きできる場所も出てくるのではと思うわけですが、少なくともここニ試合、そういうアドリブを利かせている選手はいないように思います。
と言いつつ、好意的に見るならば現時点では自分達で一杯一杯なので、相手を見つつサッカーができていないのかなと。
これがある程度メンバーが固まってきて、相手の研究も出来るようになってくればこの部分では勝てそうだから勝てるのならサポートする選手を別のところに回そうなど、楽できる部分がでてくるのではと思います。無論、勝てると思いつつ勝てない場合もあるわけで、その場合は約束事を守らないといけないし、逆に相手が絶不調で予想外のところで勝てたりする場合もある。そういう場合にはそこで楽をしつつ…となってくることが望ましいのですが。
また、日本が良くない兆候として「バックラインでのんびり回していた」とか「アーリークロスが多かった」とかありますけれど、これも必ずしもそれが良くないとは思いません。
個人的にはバックラインでのんびり回していてもどこかでペースアップしてきちんとできるのならば全く構わないですし、アーリークロスをバンバンあげようと、その後で何らかのミスマッチを起こすべく動きをしてるのであればこれも全然問題ないんですね。もちろん、何もすることなく漫然と回していたり、アーリークロスをあげていたりするのでオシムがカンカンになっているわけですけれど(笑)
ただ、だからといって「~をしてはいけない」と言うのはマズいと思いますね。多分これは特に日本人選手あたりには一番言ってはいけない言葉だろうと思うんですね。それを言われると「ああ、これはやっちゃいけないんだ」と無邪気に考え、有効な場面でもやらなくなりますので。
ですので、「お前たちはバルセロナやブラジル代表のようにスローテンポから突然ペースをあげてチャンスを作ることもできなかったのにどうしてバックラインでのんびりとボールを回していたのか」あるいは「阿部も遠藤も中をフォローする動きも見せないのにどうしてアーリークロスをあげたのか」という風に指摘をすべきなのではと思います。
で、最後に二試合を見てのオシム評ですが、結果と全く関係なく、個人的には大いに誤算があります。
というのも、個人的にはオシムは日本代表の最大公約数的な戦術を見つけ出して、そこから発展させていく方法を取っていくのではないかな~と期待していましたが、どうもジーコとは違うものの、高い理想を携えてそこに向かって選手を導こうとしているよう。
それ自体は別に悪いことではありませんが、導く過程では脱落者も出るでしょうし、メンバー・適性などを踏まえて完成するのにかなり時間がかかりそうです。
多くの選手がこのあたりを理解できてくるのか、興味深く、また不安な部分でもあります。
代表はまだまだなんですけど、一つ一つクリアしていってほしいですね。
個人的には体力向上(最後まで走れる力)といつも練習しているパスワークの向上を期待しています。
いずれにせよ、これからが大事だと思います。
ゆとりとか冷静さ、その部分のある無しも結構ちがいますからね。少なくともFWの決定力などはガムシャラさの他に冷静さも必要でしょうが、日本のFWはみんなガムシャラタイプで、知的なタイプがいないですからね。
シャッフルされるとも言いますし、今後の動向にも注目したいものです。
オシム監督の風貌で睨まれると、選手もスタッフも、協会もマスコミも、み~んな減らず口を封じられてしまうようですが、よくぞおっしゃってくださいました。
そうなんです。考えて走るっていうのは、数的優位を様々な場面で数多く作るためなんですよね。サッカーは11対11ですが、それぞれの局面局面では、1対1や1対2、2対2や2対3などが多く、ボール際に22人が集まることなんて、ジュニアの試合じゃあるまいし、事実上ありえないんですよね。
多少の時間がかかることはやむを得ませんが、オシム監督自身が、協会への要請まであの風貌で睨んで言うもんですから、そこに期待したいです。
オシムさんの言う走るサッカー・・・90分間もホントに出来るのかな?って思うし、リズムが単調になりそうで、ポジションチェンジをする選手がバラバラな感じで危なっかしいなと思います。
ただ、ダイレクトパスを今までも多用していたサッカーをしてきたので、ここに有効な走りが出来れば理想的なものが作れるかも!?とも思います。
最近の選手は「言われたことを素直にやる」のですが、それが何のためであるかということをあまり考えていないような気がしますが、オシムの睨みに負けず、気になる部分は堂々と質問してほしいものです。
走るサッカーを90分やらなくても、試合の流れを読む力をつけて時に流すようなことをすけば90分走り続ける必要もないのではと思います。ダイレクトパスに旺盛な運動量が絡めば確かに素晴らしいサッカーになりそうですが、そこまで到達するのはかなり先のことになりそうな気がします。
私も一つ見極める段階?のことがあります。オシム監督は、「日本化」=日本人らしいサッカーを目指すと言っていましたが、それが完成したら世界と戦えるのか?オシム監督が言うように世界との差はあるのだから、完成したとしても現実問題としては、W杯出場が最終結果にしかならないのか?
それとも「日本化」+「オシム的戦術」でW杯グループリーグ突破くらいまで行けると考えているのか?!
上手く説明出来ないのですが、この2つの関係性を現在一番気になっている所です。
理由は、ジーコJAPANの時は、W杯出場~ベスト16が最終目標だったような気がするのですが、オシムJAPANの最終目標は?!
最終的な目標としては一応決勝T進出ということにはなるのではとは思います。
というか、現実は別としてそこを目標にしなければ日本人らしいサッカーをする意味がないでしょうし。