外国人家政婦(8割がフィリピン人)の受入れ拡大 ~ 国内での国際競争に負ける国内勢

2014-06-21 13:11:50 | 日記
今月15日の朝日デジタル記事によると、政府は国家戦略特区で、外国人労働者を家事サービス分野で受け入れる方針を固めたとのこと。


<記事抜粋>
・「18歳以上、単身での入国」などの条件で、関西圏(大阪、京都、兵庫の3府県)の特区で今秋にも受け入れ。
・特区で試験的に日本家庭への受け入れ始め、需要があるかどうかを見極め、ほかの地域への拡大も検討。
・受入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアが中心。
・出入国管理法は、家事労働を目的とした外国人の入国を、外交官の家庭などで働く場合を除いて認めていない。
・今秋に法務省が告示を改正し、家事代行業者が雇う外国人に新たな在留資格を与える。


なぜ特区から始めるのか。本来は国全体でやるべきところ、本件については、国(政府)や東京都が総じて消極的姿勢であることや、特区制度は自治体などからの申請主義であることからたまたま大阪府市が手を挙げたということが主な理由であろう。どうであれ、女性の社会進出はもとより、日本全体の労働力が今後縮小していく見通しであるので、外国人家政婦の雇用拡大は必須な情勢だ。

家事サービス分野に限ってみると、本年4月22日の規制改革会議「貿易・投資等ワーキング・グループ議事概要」によれば、昨年6月30日現在の家事使用人として在留中の外国人の数は1268人(うちフィリピン人が78.4%)となっている。これには様々な条件が付されている(資料1)。

先の規制改革会議第2次答申では、「外国人家事支援人材については、国家戦略特区の枠組みの中で、十分な管理体制の下で活用する仕組みの検討を進める」とある(資料2)。今年度検討開始なので、そうそう早く実現するとは思えない。

家事サービス分野も含めて、外国人労働者の受入れ拡大に関しては感情的な反対運動が起こりやすいと感じる。日本人の雇用の場を外国人が侵す云々もあるが、それ以前に外国人排斥のイデオロギー的なものが根底にあるのではないか。これは、日本に限ったことではなく、世界中どこでも見られる現象だ。

日本では近年、専門的・技術的分野の在留資格の在留外国人は約20万人で推移してきている(資料3)。規制改革や成長戦略といった大げさな場で取り上げ、それをマスコミが大きく報じることで、反対世論が形成されたり、反対運動が起こったりしやすくなるのだろう。ただ結果として、国内での国際競争において、国内勢が負けている分野があるということだ。

雇用できない日本人より、雇用できる外国人 ―― 経営者としては当たり前のことである。

外国人労働者政策については、受入れ拡大の方向に行くのであれば、これまでのように大きく話題にせずに、粛々と民間ニーズに適宜対応する形で制度改革を進めることが肝要なのではないだろうか。日本社会の在り方はどうか等々の精神論ではなく、冷静に社会構造の変化に追従するための経済論で進めるべきである。



<資料1>

(出所:法務省入国管理局資料


<資料2>

(出所:規制改革会議資料


<資料3>

(出所:法務省入国管理局資料