国民医療費39兆円のうち、約10兆円は生活習慣病関連

2014-06-13 23:44:40 | 日記
もうじき新しい成長戦略が策定される予定だが、前回の成長戦略が策定された時と同じくして、昨年6月14日に「健康・医療戦略」も策定された。これを契機として、「健康寿命延伸分野の市場創出及び産業育成は、国民のQOL(生活の豊かさ)の向上、国民医療費の抑制、雇用拡大及び我が国経済の成長に資するもの」として、「健康・医療戦略推進本部」の下に「次世代ヘルスケア産業協議会」が昨年12月に設置された。

こうした一連の動きを知っている国民は殆どいないのではないか。大手報道機関での扱いも少ないし小さい。それはさておき、次世代ヘルスケア産業協議会が今月5日に示した中間とりまとめの中に、「増え続ける国民医療費」と題した資料がある。下の資料がそれだ。

この政府主宰の協議会での肝は、まさに「増え続ける国民医療費」をいかに抑制又は削減していくかであろう。そのために、強制的な医療費抑制策を講ずるのではなく、「健康寿命延伸産業」を振興していくことで、結果的に医療費抑制・削減を試みようというわけだ。

こうした産業政策的アプローチは一つの望ましい手法ではある。しかし、これだけでは医療財政の合理化が大きく進むとは思えない。やはり大胆な医療費抑制策を講じていくことが、医療財政の持続可能性を維持していくための最善で最速の方法であろう。

下の資料の上段に「医療費が毎年増大しており、平成23年度に38兆円を突破。今後もGDPの伸びを超えるスピードで増加し、2025年度には約60兆円に達する見込み。国民医療費のうち、医科診療医療費の約3分の1(9.8兆円)は生活習慣病関連」と書かれている。この書き方はわかりにくいが、要するに、生活習慣病関連の医療費約10兆円(2011年度)は予防・健康管理サービス産業を振興するという産業政策的アプローチで削減できるであろう、という趣旨だ。

医療界からサービス産業界への権益移転となる。その方が、患者予備軍の人々にとっては好い話ではある。是非とも進めていくべきだ。



<資料>

(出所:経済産業省資料