春闘 ~ 労使間で決まらなければ、国がやるしかない

2014-03-13 00:15:21 | 日記
先のブログ記事の続編。厚生労働省の「平成25年労働組合基礎調査の概況」では、直近の労働組合の産業別、企業規模別、加盟上部組合別にみた組合員の分布状況などが掲載されている。


<概要>
○労働組合員数:987万5千人(前年比1万7千人減(0.2%減))
○推定組織率:17.7%(前年比0.2ポイント減)
○女性の労働組合員数:303万4千人(前年比4万4千人増(1.5%増))
○女性の推定組織率:12.6%(前年と同水準)
○パートタイム労働者の労働組合員数:91万4千人(前年比7万7千人増(9.2%増))、全体の労働組合員数に占める割合9.3%(前年比0.8ポイント増)、推定組織率6.5%(前年比0.2ポイント増)


こうした構造変化には、正規・非正規比率の変化も反映されているのだろう。労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)が憲法で保障された労働者の権利ではあるが、行使しなければ権利の意味をなすことはない。労働者の多くは、こうしたことを知ってか知らずか、近年の春闘は盛り上がりに欠けてきたように感じる。

意外に思うかもしれないが、下の資料1にあるように、推定組織率(労働組合員数を総務省統計局「労働力調査」の雇用者数(6月分の原数値)で除して得られた数値)は、10年前から2割を下回るようになっている。1950年代までは50%以上あったが、それ以降漸減してきた。

今回の春闘にも言えるが、企業規模が大きいほど労使交渉における労働者側の交渉力が強いことは、下の資料2で掲げた企業規模別の推定組織率を見れば、自ずと理解できる。下の資料3によると、パートタイム労働者の推定組織率は過去最高を更新し続けてはいるが、比率としてはまだまだ低い。

多くの場合、争議もせずに待っているだけでは賃上げとはならない。労組の組織率が漸減してきていることの責任の一端が労組側にもあると言われることもある。いずれにせよ、労使間交渉参加者数が減っている現状を直視すると、安全網としての労使間交渉制度や労働組合制度を実態に即すよう改革していく必要がある。

労使間で決めるべきことを労使間で決められない実態が更に広がっていけば、最終的には国が音頭を取るという滑稽な事態になる。現政権は、実際にそこに踏み込んでいる。それは、時代の変化ではなく、時代の悪化としか思えない。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料