『要介護度が高くなるほど費用が高くなる』のか、『要介護度が高くなるほど費用を高くかけている』のか

2014-03-02 22:07:02 | 日記
今国会に提出されている「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」に、2015~2017年度の第6期介護保険事業計画に係る介護保険法改正案が組み込まれている。このような解読不能な文字の羅列こそが、国会で審議対象になる正式な法案そのものである。これを読んでも理解できるわけがない。法案の概要は、先のブログ記事に掲載した資料や「介護保険制度の見直しに関する意見」を参照されたい。

介護保険法改正案に関しては、特別養護老人ホームについて在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化することが柱の一つとなっている。資料1〔=特別養護老人ホームの重点化〕を見ると、要介護3~5(中重度)の認定者の特養入所者割合が要介護1・2(軽度)の認定者のそれよりも増えてきたことがわかる。これについて、資料2〔=要介護度別認定者数の推移〕と対比すると、これまでの介護保険事業における特養入所に関する運用面で、要介護1・2の認定者よりも要介護3~5の認定者を優先させてきたことが見て取れる。

そう考えると、特養入所に当たって中重度の要介護者(要介護3~5)に重点化するという今回の介護保険制度見直しは、これまでの介護保険事業の運用傾向を明確化することと同義だ。介護保険財政の将来を見据えると、こうした制度見直しも止むを得ないとの見方もできる。だが、介護保険制度の持続可能性の維持という本質的課題に立ち向かっていくには、先のブログ記事なども書いたように、介護保険財政の費用対効果を極力合理化する方策を見出していく必要がある。

中重度の要介護者に対する介護サービス事業コストと軽度の要介護者に対する介護サービス事業コストの比較をキメ細かく行っていくべきだ。『要介護度が高くなるほど費用が高くなる』のか、『要介護度が高くなるほど費用を高くかけている』のか、いったいどちらなのだろうか?



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料