
その日は暑い日だった。
暑がるこんちゃんを日の当たらない後部座席へ移動。
運転を変わってもらった。
白浜の海辺を、ここかな、ここかな、と探しながら、走る。
ローズマリー公園の看板が出てきたので、いってみる。
お花畑や中世ヨーロッパ風の建物の世界。
こういうのが好きな義母にはいいね、犬も大丈夫そうだしね、
あとでこよ、といって、ひとまず海岸へ。
先代犬と一緒にきた浜辺とちょっと離れたところだったけれど、
こんちゃんが初めて見る(と勝手に思っている)海だ。
もちろんオレコは大喜びで波に向かう。
強がりだが、わりと弱虫の太郎ちゃんは、予想通り、固まってる。
小型犬だからね。無理しないでいいんだよ。
予測不能だったこんちゃんは、驚いたことに、打ち寄せる波に興味を持ち、
自らてくてく、歩いて海に向かっていった。意外~。

さいしょはとても楽しげだったのだが、大きな波に襲われ、
逃げることもできなかったこんちゃん、顔が濡れてしまった。
「うみにかじられた」
とでも思ったかもしれない。
その後は波遊びを促すと、やや消極的に波とは平行線。

義実家の先代犬は「康太」といった。
その前の子が「健太」といって、17歳まで生きた美男子だった。
そのあとに来た子で、ふたり合わせて健康。
どちらもポメラニアン(オレンジ)だった。
体がとても弱くて、いろんな病気だったけれど、その分、頭がうんとよかった。
この海につれてきて、波遊びをさせようと思ったのだけど、
ぎりぎりのところを歩いているのに、絶対に波に濡れなかった。
安全な場所での水遊びは好きだったから、
波が危険だと感じて、避けていたのだろう。
あの子は賢かった、賢かった、と、みんなで語らう。
でもその子のときよりも太郎ちゃんと一緒にいる時間が長くて、
太郎ちゃんとはなんでも話すし、じ~っと聴いているので、
太郎のほうがいろいろ賢いのよ、と、義母が笑った。
でも康ちゃんともしもっとずっと一緒にいられたら、
康ちゃんももっと賢かったんじゃないかなあ、と思った。

張り合うつもりはないのだが、
オレコは賢いというわけではないかもしれないが、人間と対話のできる子だ。

ふだんの生活ぶりを人に話しても、あんまり信じてもらえないのだけど、
一緒に生活していて、そのあたりのことをわかっていて、犬に長けている夫によれば、
例えば、オレコだったらこうなのに、こんちゃんは違うんだけど、これはボケの兆候なのかと相談すると、
「いや違う。そのこんちゃんの行動ははふつう。オレコは特殊なんだからね」
という。そうか。犬はみんなそんな調子だと思っていたが。

猫(多頭)暮らしの長かった私だが、猫の中に特別かしこい子がいて、
彼とは意思を通じることがほんとに簡単で、オレコともそんな感じなため、
犬も猫も同じなんだな、と、思ってしまったのだが。
そういえば、かしこい子だけでなく、頭にお花が咲いてるようなあほうもいた。

そうか。こんちゃんはあほうではないが、ふつうなのだ。
でも時々情が通じると、とてもうれしくて胸がいっぱいになる。
ひとしきり遊んで満足したので、道の駅ローズマリー公園に戻る。
花畑、風車、ゴスペルが聞こえてきたのでのぞいてみると、ミニコンサート。
歌好きの義母が吸い込まれるようにして入っていき、義父も無理やり押し込んだ。
犬たちと花畑のあずまやでお留守番。
海遊びで疲れたこんちゃんはうっつらうっつら。
若いふたりはふむふむ花の匂いをかいだりしている。
ここから移動したとき、手足にリードがからまったこんちゃんが、
わなにかかった動物みたいになって、ぺたん、と道に寝転んでしまった。
通りがかりのおじいさんがびっくりして、
「犬がひきずられてる~」
というので、振り返ってみてみると、こんちゃんが見事にひっからまっていた。
リードがからまると、いつもひょいと自分から抜ける子で、
いままでこんなこと一度もなかったんだけど、海遊びして疲れたんだねえ。
抱っこして移動。

おみやげ屋さんも充実していたので、ここでまた買い物をして、
さて、お昼はどうしようということになって、車で移動することに。
えー。またー。
懲りずにまた明日に続く。