犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

一夜明けて。

2011年10月27日 | おせわがかり日誌


約束の日。

オレコちゃんはやってきた。

黒い車に乗って。

喪服のミグノンの代表友森さんにつれられて。

友森さんと同行者の男性が喪服だったのにはわけがある。

オレコちゃんと同じタイミングで、友森さんから推薦していただいたわんこが他にいた。





杏里ちゃんという。

突然、杏里ちゃんの預かりボランティアさんが亡くなったそうで、彼女も新しい家を探していた。

オレコちゃんか、杏里ちゃんか。

どうぶつを、犬を引き取るということを決めたあと、もうひとつの岐路。

オレコちゃんは保護されたばかり。

おまけに若く愛らしい容姿をしていて、人気ものらしい。そして元気だ。

だから私たちのほかにも預かりたいという候補はいるかも。




でも杏里ちゃんは。

突然のことで、本人(犬)もショックだろうし。




一日も早く預かり先が必要だ。

私はとてもかわいいと思ったが、老犬だし、病気などを経験していて、

少し元気がないようにも見える。耳の形も変形している。




でも杏里ちゃんの写真を見ていると、彼女の性格が伝わってくるようで、どうしても放っておけない気になってくる。

引き取ることを決めたけれど、誰を?というところで、家族と話し合って、結局結論はでなかった。





それで友森さんにはオレコちゃんにご縁を感じるけど、引き取り手のない子を預かりたいと申し出た。

翌日また事情は変わり、杏里ちゃんは預かり先だったおうちが、

「お葬式などが済んで落ち着いたらまた引き取りたい」

といっているそうな。

よかった(涙)。

・・・これで決まった。





やっぱりオレコちゃんには縁があるらしい。

それで、友森さんは明日は福島という忙しい日に、大変な業務をこなし、

亡くなったボランティアさんのお通夜に出席、その帰り道に、オレコちゃんをつれてきてくださった。

時間がかかるかな?と思っていたけどたった30分でいらっしゃった。





オレコちゃんのいろいろな話をきいて、お世話の方法や、

避妊手術のスケジュール、体調管理、次回の譲渡会は欠席させていただくことなど、

友森さんの手際よさのおかげでぱぱっと打ち合わせは終わり、ものの5~10分でお帰りになった。





玄関までお見送りして、オレコちゃんと私が残された。

移動用ケージとサークルを貸してくださった。

オレコちゃんがこれまで使っていたもの。助かる。

少しの間、家の中の探検が終わってから、お二人が去ってしまったので、玄関のあたりのにおいをかいで、

くんくんきゅんきゅん泣いていたオレコちゃん。

心配になったけど、泣いたのはその少しの間だけだった。

どうやら賢い。薄情なんじゃなくて。

そして思ったより小さい。

細い。

肉付きをよくすることが目標なので、運動と、食事。

これが何よりの課題。





友森さんもおっしゃっていたのだが、オレコちゃん、どうやら過去にちょっと虐待を受けていた節がある。

手を頭の上にあげられると、目がしばしばとけいれんのようにまたたき、そして少し首をすくめる。

「やめてください」

という顔をする。胸が苦しくなる。





車での移動だったので、酔っているかもしれないから落ち着いたら散歩とごはんを、といわれていた。

30分くらい一緒にいて、私はいつもどおり、着替えたり、くつろいだり、その間ずっと声をかけ続けた。

オレコちゃんはそのうち私の後追いを始めた。

「じゃあ散歩いこうか」

用意した中型犬のリードとハーネスだったが、散歩中に食いちぎるかもしれないので、

もう1本用意して、2本使ったほうがいいといわれていたので、1本しかないうちは、注意しなければ。

21時ごろ外へ出る。

通りはまだ車が多く、オレコちゃんはかなり緊張している。

でも散歩は大好きみたい。

家の中ではおとなしいのに、走る、走る。

ぐいぐいとひっぱる。

これはうれしい。

どうやら自分の記憶にある場所を探しているようだった。

遠く離れた別の町ということが、そんなすぐには理解できるものではないだろう。

初めての散歩が夜でかわいそうだなと思った。

1時間近く散歩したけれど、おしっこもうんちもしない。

心配だったが、とにかく食事もしなければ。

家に帰り、ごはんを出すと(ミグノンさんから頂いた)、がつがつがつ、と平らげる。

ああ、よかった。

出るものは出なかったけど、食べてくれて。

それから一緒にすごすうちに、どんどん打ち解けてくれたよう。

緊張していたんだね。

必ず一緒にいたがる。

さびしかったんだね。




洗濯物をたたんでいたら、別のソファに座ってたオレコちゃんが、

飛び移ってきて、腕の下や、胸元に顔を押し付ける。

ふんふんにおいをかいで、私のひざの上で、体を丸める。

ああよかった。

嫌われなくて。

だけどオレコちゃんはとても賢くて、

「あ、せんたくものたたむのよね」

という感じでもといた場所に戻った。




そして私があれこれ普段どおりの家事をこなす間、

寝息も立てずに眠りこけた。





必ず私のいる方角に頭を向けて。

(インターミッション)

真夜中に夫が帰ってくるというので、

出るものが出ないオレコちゃんをもう一度散歩にさそう。

午前3時の外へ出ると、もう車も殆ど走っていない。

オレコちゃん、さっきより、すごくうれしそうで元気。

地面に足をつけたとたんに走り出す。

すぐそばを夫の車が通ったので、ブレーキをかけ、彼が来るのを待った。

暗闇に大男。

それも真っ黒な服。

しっぽが下がって丸まっちゃった。

「こわいんだね~」

名前を呼び続けて、彼女のほうから来るのを待っていた夫だったが、

さびしそうにあきらめた。

家の中でスキンシップはかればいいか。

じゃあねといって、夫を残し、二人で暗闇を突っ走った。

オレコちゃんは住宅街が好きなんだね。

あっちこっち冒険したがり。

30分くらい歩いてまだおしっこをしないので、心配したが、

もう帰らないとなあ、と思った頃に、急にしゃがんで、

「ちー」

という感じで、ちょこっとお小水。

飲んだ水の量からすると、少ない気がするけど、まあいいか。

出るようになったらもうけもん。

大きいほうはだめだったけど、かえろうね。

それから家に帰って、夫がいて、びっくり。

でも徐々になれて、一緒の部屋でくつろぐ。

だけどやっぱり私のそばにいる。(いひひ)

ソファがお気に入りみたいだったけれど、

明日からはお留守番もしなければならないし、

今日は予行演習のつもりで寝るときはオレコちゃんのお部屋に。

扉を閉めた。

少ししてから見に行った夫が、

「立ってたよ」

といった。

んでも、ココロを鬼にして、

「慣れてもらわなくちゃ」

と私は寝てしまう。4時半だったかな。

翌日おきれるかなーとか思いながら、

1時間半の散歩で体も疲れて、ぐっすり。

久しぶりの快眠。

2時間ごにすっきりした目覚め。

低血圧でなかなかおき出せないんだが、

パキっと起き上がり、オレコちゃんのお部屋に。

もう、待っていたらしい。

まんなかで、立っていて、しっぽがぷりぷり。

「おはよう。お散歩いこうね」

少し残していたごはんも平らげたみたい。

大きいの出るといいけどな。

お弁当の仕込みなど、家事を済ませて、外へ。

待ってる間、

「ねえ~、まだかなあ?」

ていう感じのオレコちゃんのかわいかったこと。

徹夜続きの夫はぐったりしていたのでそのままに。

二人で朝日いっぱいの町へ出て行く。

オレコちゃんは元気いっぱい。




あっちこっちで犬連れのおじちゃんおばちゃんおばあさんに会い、みーんなから、

「かわいいわねー」

といわれる

「若いんでしょう」

といわれる

「おみみがおれているのねー、チャームポイントねー」

といわれる

「おりこうなのねー」

といわれる

えっへん。

でもぜんぜん、私の関与するところではないんだけど。

ゆうべは暗かったし、怖かったし、おどおどしてたけど、

今朝のおれこちゃんはうきうきしてる。

散歩が大好きなんだね。

ぐるぐるまわって、走ったり、ジャンプしたりした神社では、

大きな羽虫が地面をぴょんぴょん飛び跳ねていて、それをつかまえようと、

猫みたいな動きをする。あ、コレ違う。なんかでみたことある。

北極ギツネが雪原のウサギ穴を攻めるときのあれだ。

そういえば、オレコちゃんって、きつねにも似てる。

ゆうべ、夫と、

「ダックスにも似てる気がするし、ジャックラッセルにも、シェルティーにも似てるよね」

とか話していたんだった。でも結局、素人にはルーツなんてわからず。

遺伝子検査ならわかるんじゃないのというと、そんなんじゃなくてさ、と来た。

「そういうの、わかる人いないのかな?ああ、この子はあれが入ってるんですよ」

そんな池上さんみたいな犬マイスターがいたら会って話を聴いてみたいけど、大体その「~ですよ」の根拠は何なんだ。

しばらくして、大きいほうが出た。

ココロの中でガッツポーズ。

しかし小が出ない。

55分の散歩から帰ってごはんをあげたが食べない。

いろいろ忙しそうな私を見ていて、

「たぶんるすばんなんだろうな」

と察知したようで、そばから離れない。

台所に立っている間もずっと、足元の少し離れていたところで寝ていた。

から揚げあげてるから危険だけど、おとなしくて、賢いので、大丈夫。

他の子だとこうはいかないな。




三次元の動きをする猫なんて、もってのほかだ。

実家には空気読まずに背中におんぶしてくるやつもいるし。

こういう賢さがちょっとけなげでもあり、もっとわがままいってほしいなあ(困るけど)というココロの複雑を呼ぶ。

ベランダにも出てみた。

お花にお水をあげるとき、興味がわいたみたいだった。

少し笑顔になってた。ちょっと楽しそうだった。

徹夜続きの夫のしたくがすっかり整って、さあ出かけますとなる5分くらい前に、

オレコ部屋に入ってもらい、扉を閉めた。

「かえってきたらあそぼうね」

賢い。

多分、真ん中で立って、扉を見つめているに違いないけど、鳴いたり、扉をがりがりしたりはしない。

「わかった。待ってる。でもまた扉あかないかな」

そんな感じ。

鍵をかけて出て行くときも、ひとつも騒がなかった。

この子は相当いい子だ。

オレコちゃん、あとはおしっこだね。

帰ったら、また、いっぱいいっぱい、散歩しよう。

仕事ばかり、時間に余裕のない、ギスギスした生活に、いきなり「ハリ」が出た。

なんかしあわせ。





猫のいる生活を知ってしまうと、

猫がいない生活は耐えられなくなる。

できれば今も猫がいてくれたほうがいい。

だけども。

想像していなかった犬との暮らし。

以前よりずっと、しあわせだ。

犬も猫も一緒に暮らせたらなあ。

完璧だな。