<関電前弾圧(11.16事後逮捕)Mtさんの裁判>
10.21(月)第1回公判での
Mtさん冒頭陳述(全文)を掲載します。
◆◆ 冒頭意見陳述 ◆◆
(1) 大阪府警の警備・逮捕は不当・違法で、私は無実である
現在私は被告としてこの法廷に立っているが、起訴状にいうところの「公務執行妨害」も「器物損壊」も存在しえない。あるのは2012年10月5日、大阪府警天満署の影山警部や大阪府警公安三課の作りだした、市民の反原発活動・表現の自由を破壊するための不当逮捕事件である。
私が抗議した10・5前田登志(たかし)さん逮捕事件は、本年8月26日に当裁判所で無罪判決が出された。この事件は、当時唯一原発稼働させていた関西電力に対する市民の正当な抗議活動を犯罪視した、大阪府警により作り出された原発反対運動を潰しの不当逮捕事件である。この不当逮捕に抗議して逮捕・起訴された私は、当然にも無実・無罪である。
(2)公開空地における反原発の表現活動を委縮させるための逮捕劇
関西電力本店周辺はいわゆる公開空地で、市民の自由広場・パブリックスペースである。ここで福島原発事故後も原発を稼働させている関西電力に対して、市民の反原発の抗議行動・表現活動が行われてきた。公開空地は公園・集会場と同じで警察の公務は存在しない。事実この場所を使い関西電力への抗議行動が何の問題もなく1年以上も行われてきた。
しかるに大阪府警公安3課と天満警察署警備課はこの市民の自由な表現活動を犯罪視し、とくに2012年7月の大飯原発再稼働後も抗議行動が衰えず、さらに大阪市のガレキ焼却強行への抗議活動と合流することをおそれ、介入・弾圧の機会をうかがってきた。
10月5日はこのゾーンに天満署の影山警備課長補佐や大阪府警公安三課の警官らが出はいりし監視・威圧・挑発をくりかえし、事あらばこれに対する抗議を公務執行妨害罪などで立件しようと彼らはたちふるまった。
これは憲法に保障された表現の自由を侵害するもので厳しく戒められなければならない。
(3)裁かれるべきは、不当な警備の大阪府警と原発を稼働させている関西電力である
2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故は、経済成長第一とする現代文明に衝撃を与え、原子力発電に頼った私たちにも重大な反省を求めた。福島原発事故では国土の1割が放射能に汚染され、関連死は1000人を超え、15万人以上の人々が故郷を失う未曽有の事態となった。核廃棄物は最終処理不能で10万年後の子孫まで危険を強制する。事故は避けられず、放射能は人間の手では制御不能で、核と人類は共存できない。福島原発事故は放射能拡散・健康破壊・汚染水問題として今も継続している。
事故原因の解明ができない中、この国の原発は2012年5月5日にはすべて停止となった。にも関わらず、そして電気は足りているのに関西電力は自社の利益のために、7月に耐震免震棟もベントも避難経路もなく、活断層上にある大飯原発3・4号機を再稼働させた。事故が起これば関西一円に多大な被害をもたらすが、それより自社の利益第一で原発を再稼働させた。事故原因の解明がないまま原発を運転するのは、事故原因不明のまま航空機を飛ばすのと同様で行ってはならない。原発ゼロの今日この日、電気は足りており、日常生活に何の支障がない。百歩譲って原発稼働を考えるなら福島事故の全容が解明されてからでよく、関西電力に抗議が起こるのは当然である。
(4)原発の稼働に許可を与えてきた裁判所・司法も問われている
この国の原子力発電は、当初から危険が予知されたため、都市近郊に作られることは一切なかった。原発が安全なら東京や大阪の周辺に建設すれば、送電的にも効率的である。しかし原発と核廃棄物最終処理場は、すべて都市からはるかに離れた過疎地に作られた。さらにその地に電源交付金を与え、金銭的支配の上に原発から逃れられないようにしてきた。
この原発の危険性と差別立地性について、予定地住民はその不当性を裁判に訴えたが、裁判所はこの訴えを退けてきた。こうして裁判所もまた、原発の稼働と「原発安全神話」作りに手を貸した。だが福島原発事故は起こり、今も数十万の人々が苦難のなかにある。稼働に最終的な法的根拠を与えた裁判所の責任は重大で当事者責任が問われている。今後の原発訴訟や原発関連事件にたいし、司法は自己の犯した誤りと対峙し臨むべきである。
(5)憲法で保障された表現の自由の侵害に、裁判所は手を貸してはならない
10・5関電前逮捕事件は大阪府警による不当弾圧事件である。反原発運動を犯罪視する彼らはその後も執拗な弾圧を加えた。10・17大阪駅事件では表現の自由の侵害に多数の憲法研究者が抗議声明を出した。一連の事件で逮捕者は11名・起訴者は6名に及び、これは偶発的事件ではなく大阪府警が作り出した反原発運動破壊の一つながりの不当弾圧である。
また裁判所はこの警察・検察の市民の自由の侵害に対し易々と勾留を認め、起訴後も長期勾留を容認し、保釈後も被告の生活権を侵害している。さらに公判前整理手続きを行い、憲法で保障された公開裁判の原則と黙秘権を侵害した。憲法では戦前の特高などの治安弾圧・人権侵害の反省から、31条から40条まで拷問や残虐な刑の禁止などの刑事被告人の権利を明記しているが、これらの侵害も許されてはならない。
憲法21条で保障された表現の自由は、憲法三原則の基本的人権の骨格をなす。憲法はこの基本的人権の尊重を、第10章最高法規で改めてとりあげ、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と宣言している。裁判所はこの憲法の番人でなくてはならない。
私は10月5日、関西電力本店前で、憲法21条表現の自由の行使者として、また憲法12条の「国民の不断の努力」の行使者として、不当逮捕を弾劾して行動した。この憲法で保障された自由を、警察の公務が侵害してよいはずはない。行政権力の行使する逮捕権・起訴権の乱用から市民の身体的自由を守るのは、裁判所が国民から負託された義務である。それゆえ裁判所は、大阪府警による市民の表現活動の自由侵害を退けなければならない。
以上の経緯から明らかなように、私には起訴状のいう犯罪事実は存在せず、私は無実・無罪である。
2013年10月21日 ○○○○
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