関西大弾圧救援会 garekitaiho1113@gmail.com

「大阪駅前街宣」弾圧、がれき説明会弾圧、関電前弾圧、オキュパイ大飯弾圧などの救援について綴ります

警察は 「事件にする」構え でいた ・・(最終意見陳述)

2014年06月04日 12時14分24秒 | 「10.17大阪駅前街宣」弾圧(事後逮捕)
< 「JR大阪駅前街宣弾圧(事後逮捕)」 韓さん裁判 >

6月2日、第4回公判(結審)における
韓基大さんの最終意見陳述を、2回にわけて掲載します。


★ 韓基大さん 最終意見陳述書(前半) ★

まず始めに言わなければならないのは、2012年10月17日の午後3時から4時までの間、ルクア東広場で行われた街頭宣伝は、マイクアピールとビラ配布をしただけのもので、全くの平穏に行われた。事件など起こりえるはずもなかった。

私は、駅職員によって表現の自由が侵害されるのを見なければ、抗議することは当然なかったし、抗議するということ自体、それをする理由がある限りは、表現行為として、本来憲法に保障された権利であるはずだ。

曽根崎署がこの日の行動が書かれたチラシを入手し、「ルクア東側で集会とデモが行われる」とJR大阪駅職員に対して連絡した。近くには機動隊まで配備して、警察はその日の行動がどんなものであっても「事件にする」構えでいた。

同じ年の10月5日、関西電力本店前では、転び公妨としか思えない公務執行妨害事件での逮捕劇があったが、この頃の、毎週金曜日の関西電力前での抗議行動は、7月に大飯原発の再稼働が強行された後で、緊急の課題としては“震災がれき問題”であると考える仲間が多くいた。

反原発の根本は、「反被曝」の問題だから、放射能の拡散を止める必要があった。震災がれきの広域処理を止めなければ、「放射能安全神話」が広がること、汚染の拡散が止められなくなることなど、様々な思い・考えから、震災がれきの広域処理反対が焦点化していた。その時、この震災がれき広域処理政策を、是が非でも進めなければならなかった、国や大阪府・市、原子力を推進する電力会社などは、このがれき処理反対運動が拡大していくことを、さぞ嫌っていたことだろう。

大飯原発再稼働の直前で、盛り上がっている頃の関電前では弾圧が無かったのに、10.5の転び公妨弾圧以後、立て続けに弾圧が続き、私に対しては排外主義グループを利用する3件目の弾圧までやろうとしていたことが、この時期の運動を、いかに警察が、過敏に警戒していたかを思わせる。

曽根崎署がJR大阪駅に被害届けを出させたのが、ルクア東広場で街頭宣伝活動が行われた日から2週間以上もたった、11月2日であったこと、そのあたりから11月13日、此花での、がれき焼却前の最後の住民説明会に対して、強い行動を行うことが運動側から発信されていたことなどを合わせて考えると、本件の弾圧が、震災がれき広域処理の反対運動を破壊する目的で行われたであろうことを、私は疑わない。

本件当日、ビラ配布とマイクアピールをした目的は、問題とする事実の周知だ。2011年3月11日の東日本大震災で発生した震災がれきは、大量の放射能プルームを浴びていた。多くの人がそのことを知らないだけでなく、震災がれきの焼却が大阪市で行われること自体も知られていない状況の中、その事実の周知のために行われた街頭宣伝だった。

当時、ほとんどの人が、震災がれき焼却の危険性も、震災がれきの広域処理が被災地の復興に役立たないことも、知らなかった。放射線障害に対する医療拡充などの被曝の低減や、避難の支援に使われるべき復興予算を、無駄に莫大に浪費してしまうことと合わせて、広く、早く、周知させて行く必要に迫られていた。

一人でも多くの人に問題の共有を求めていた運動が、ビラを渡す通行人の妨害を意図することなど考えられない。実際に、JR駅職員による妨害がなければ、大きな声も争うような動きも起こらなかった。ビラ配布をしようとしていた人たちがそれを諦めた後は、全くの平穏であり、怒鳴り合う場面や押し合う場面はすべて、JR駅職員等の不当な過剰警備で作られたものだ。

憲法に保障された権利である表現の自由のうち、街頭で行うことのできるビラ配布やプラカードの掲示、口頭でのアピールなどは、誰にでも出来る表現行為であるので、これに制限を加えることには特に慎重になる必要がある。そうでなければ、個人の尊重を謳う日本国憲法の13条にも違反してしまう。ビラ配布などの表現活動が、人の居る場所・通行量の多い場所で出来ない場合も、表現の自由が保障されないばかりでなく、憲法の13条にも違反している可能性がある。多くの人が行き交う場所でなければ、宣伝しても意味がないから、道路や駅の広場などは、表現の自由を行使する場所として利用できる、パブリックフォーラムとしてみとめられなければならない。

鉄道地のうち、特に駅前の広場などがパブリックフォーラムとされることは、「吉祥寺駅事件最高裁判決伊藤正巳裁判官補足意見」でも示されている。それは、鉄道営業法の42条1項や35条などによって鉄道員に行政警察権が与えられている事実からも言えることである。民間人である鉄道員に、行政警察権まで与えて守ろうとするものは、鉄道の安全な運行と、それを誰もが自由に利用出来る環境、つまり鉄道地における極めて高い公共性である。鉄道地は、切符などさえ購入すれば、誰でも自由に利用出来ることが当然のことであって、鉄道会社が恣意的に、鉄道を使う人間を選ぶということなどありえない。鉄道員には、誰もが安全かつ自由に鉄道を利用出来るように努める義務があり、その義務を果たす為に鉄道営業法があるのであって、鉄道員が鉄道地の公共性を冒すことはゆるされない。そして、その高い公共性故に、鉄道地は、その使われかたや場所の性質によっては、パブリックフォーラムとなる。例えば改札口のすぐそばで駅のフォームから出てくる人にビラを配布するなどの行為は、「吉祥寺駅事件最高裁判決伊藤正巳裁判官補足意見」でも示されているように、表現の自由があっても、駅の秩序を乱す可能性があり、鉄道営業法違反となる可能性はある。

ところが本件は、JR大阪駅職員も「御堂筋北広場」または「北広場」と呼んでいる場所で行われた街宣活動であり、ビラ配布などを行っていたルクア東広場はパブリックフォーラムである。にも関わらず、副駅長は「ここは鉄道用地だ」という認識でもってビラ配布の制止と、敷地からの退去を要求してきた。このような駅職員らによる不当な行為に私が抗議したことを、威力業務妨害罪にされたというものである。

検察は、鉄道営業法を根拠に行われた、駅職員らの、ビラ配布の制止や退去要求など警備業務を、私が妨害したとして、威力業妨害罪で起訴している。

しかし、本件で私以外の2人が逮捕された時、逮捕容疑の1つであった鉄道営業法違反容疑について、裁判所は勾留を認めなかった。しかも、数日後に同じ件で逮捕された私には、鉄道営業法違反容疑をつけることすらしなかった。だから、本件が鉄道営業法違反にあたらないこと、鉄道営業法を根拠に行った駅職員らの行為に権限がないということを、検察も裁判所も、既に認めているのである。

駅職員の行為は、表現の自由を保証する憲法21条の1項に違反していて制止権限などなく、鉄道営業法の趣旨を読み違えて、あたえられた権限を濫用した。駅職員の業務は違法に行われていて、不当であるので、法の保護をうけるものではなく、私の行為は威力業務妨害罪にはあたらない。

JR大阪駅は、グループ企業や管理するテナントなどが構内でビラ配布やイベントを行うことにだけは許可を出している。しかし当時の副駅長が「びら配布そのものが法律で禁止」になっているという認識を裁判所でしめしており、実際、その法律をJR大阪駅の判断で、恣意的に使っている。

駅職員に、鉄道営業法の42条1項と35条などによって行政警察権を与えられているのは、「鉄道地」の公共性が極めて高いからである。その高い公共性ゆえに、本来なら、公共の福祉を守る義務を負うはずのJR大阪駅が、恣意的に許可を出す出さないということをして、表現活動を規制することも権限の濫用にあたる。

さらに言うと、グループ企業や管理するテナントにビラの配布を許可出来るという事実が、平穏にビラを配布する限り「お客様の通行の妨げ」にならないことを示している。人通りの少ないルクア東広場で5名程度がビラ配布をしていたからと言って、誰かの通行を妨害しないということを、JR大阪駅職員は当然のこととして理解出来ていたはずだ。

JR大阪駅職員は、本件当日の街頭宣伝活動の始まる30分以上前から、監視カメラで警戒し、5分前からは警備にあたっていた。そして、ビラまきの態様がどういうものかを見定めることもせずに、終始妨害した。実際に平穏に行われていた今回のビラ配布に対して、駅職員が制止する権限など無かったのだ。

本件は、警察が主導して「集会・デモ」があるとJR大阪駅を動かしたが、JR大阪駅側にも警察による弾圧に加担して動くような体質があった。

今のJR大阪駅駅舎は新しいものだが、この建設工事の前、工事の途中、開業前と、多くの障害者団体から、バリアフリーに対する様々な要望が出されている。しかし、それに応えることはただの一度も無く、現在も段差のために車椅子では入れない施設が幾つもある。また、車椅子で電車を利用する場合は、「乗車の2日前まで」に連絡を、というポスターをいたるところに貼り、多くの障害者問題に取り組む市民団体から抗議をうけている。しかし、未だに「バリアフリーガイド」と称する冊子とホームページには、乗車2日前に連絡を寄越せという掲載を続けるなどの差別を平然と続けており、JR西日本に公共の福祉についての理解があるとは、とても思えない。

その差別的な体質が、JR大阪駅職員である検察側証人たちに、「ゼッケン」を身につけていたり「プラカード」を持って乗車していたりするのを見つけたら「降りてもらう」などのトンデモ発言を、平気で喋らせる原因になっている。
(後半につづく)

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<判決公判>
7月4日(金)15:00 
大阪地裁 201号(大法廷)

※この判決は、11.13 大阪市がれき説明会弾圧と
JR大阪駅前街宣弾圧とをあわせた判決となります。
韓基大さんについては、両裁判が併合されているため。


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