KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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世界選手権特集:オオサカは燃えているか?(2)~夏マラソンは暴挙か?

2007年08月23日 | 五輪&世界選手権
世界最高記録保持者、ポール・テルガト(ケニア)と、現在世界最強と言われるハイレ・ゲブレセラシエの出場回避は、予想通りだったが、アテネ五輪金メダリストのステファノ・バルディーニの欠場は予想外だった。世界選手権でも銅メダルを2個獲得しており、夏マラソンに強い、というイメージがあったからだ。情報によると、ベルリン・マラソンに出場するハイレのように秋のメジャーマラソンにエントリーしているわけでなく、体調も良くないらしい。

それなら、年末の福岡か来年の東京でも走ってくれればと思うが。アベベ以降のマラソン五輪金メダリストは、全て日本のマラソンを走っているのに、バルディーニはまだ来日したことがない。

今日、世界選手権マラソン3連勝を狙う、ジャウアド・ガリブ(モロッコ)の欠場というニュースが入ってきた。故障の回復が思わしくなかったという。

これで、日本のランナーのメダル獲得の可能性が高まった、と喜んでばかりはいられない。

連日の猛暑。今週末に大阪の気温が急激に低下する、という可能性はない。

気温の数値に、湿度の数値の10分の1を足して、25を越えれば、マラソンにはかなり厳しい条件だと言われている。そして35を越えたら、もはや危険水域だとも言われている。

最高40は軽く越えそうな大阪。もはや主催者が独自の判断で中止を勧告できる領域である。

'96年のアトランタ五輪の直前、一部の週刊誌では、今回の五輪のマラソンでは死者が出る、と恐怖を煽るような記事を掲載していた。来年の五輪開催地、北京の暑さと環境の悪さを危惧する報道がここに来て増えているが、真夏の大阪でマラソンを開催することを批判するような報道は僕は目にしなかった。

今年2月の東京マラソン、首都中心部を交通規制して、3万人ものランナーを走らせる大会を開催することを「暴挙」と書きたてるメディアはいくつもあったが、猛暑の中のマラソンもある意味「暴挙」だ。

熱中症という名称もすっかり定着した。少なくとも、ロス五輪のマラソンでこの症状に陥り、危険な状態になったランナーを「英雄」扱いしていた頃よりは、熱中症の恐ろしさに対する認識は広まっているはずだ。

出場するランナーたちは、どのような「暑さ対策」を施してスタートラインに立つのかがほとんど報じられないのは、それが「重要機密」だからだろうか?あるいは、あのバンコク・アジア大会での高橋尚子の歴史的大激走以来、世界のトップランナーの間で「暑さ」に対する認識が大きく変化したのだろうか?ウェアとシューズの素材もどのくらい進化したのだろうか?

12年前のユニバーシアード福岡大会の二の舞だけはごめんである。不測の事態に備えた救護体制もどのくらい整備されているのだろう?

分からないことが多すぎるので、レースの予想をする以前に、杞憂ばかりが浮かんでくる。メダル云々よりも、事故のないことを祈りたいし、今回のレースに参加したランナーたちが、自身の競技者生命に縮めるようなダメージを受けることが無きようにと願うのみである。

福岡大会を最後に、ユニバーシアードではフルマラソンが廃止された。今回の結果次第では、マラソンが世界選手権から分離開催、ということになるかもしれない。

もし、そうなったらなったで、今や日本もマラソンでしかメダルが獲得できないわけではないしテレビ局の反発も少ないかもしれない。来春から国際陸連が実施を予定している、ロードレースの格付けを明確にしてサーキットレース化するという構想も、世界選手権に代わる、「真の世界最強のランナー決定戦」を模索した動きではないかと思うのだが。

ともあれ、大阪で結果を出して、来年の北京を目指すランナーたちが、大阪で燃え尽きませぬように。僕が思うよりもずっと、「暑さ対策」が大きく進化していますように。



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