KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

10年目の東京マラソン

2016年02月27日 | マラソン時評
明日は東京マラソン。東京の中心部を交通規制して開催されるマラソン大会も今年で10回目を数える。第1回大会の翌週の週刊新潮がこの大会を「天下の暴挙」ともう批判したのも懐かしい。僕は物覚えが良い(根に持つ)方なので、この事は忘れないようにしようと思う。

東京マラソンが五輪マラソン代表選考レースとして行われるのもこれで3回目。最初の選考レースとなった2008年の大会は、一般参加の藤原新が2時間8分40秒の好タイムで2位に入賞するも、北京五輪代表入りは果たせず。4年後はその藤原が、2時間7分48秒と自己記録を更新。「皇帝」と呼ばれたハイレ・ゲブレセラシエに先着したことが高く評価されたが、ロンドン五輪本番は45位に沈む。金メダリストは東京で藤原に次いで3位でゴールしたスティーブン・キプロティチだった。

そして、4年後の今年、リオ五輪選考レースである今回も藤原には注目が集まる。ロンドン五輪以後は不調で、このまま引退かと思われたが、昨年の北海道で復活。谷川智浩、田村英晃、松尾良一といった「サブテン予備軍」の若手を相手に勝負に持ち込み、優勝。市民マラソンである富山マラソンの優勝を挟んで、12月の防府マラソンでは、「ライバル」である川内優輝とのマッチレースを制した。「勝負巧さ」を印象付けたが高速ペースでもこのような展開に持ち込めるか、注目だ。

昨年の東京で日本人トップとなった「元祖・山の神」今井正人。僕にとっては、「今、一番日の丸を付けさせたいランナー」だっただけに嬉しかったが夏の世界選手権はなんと髄膜炎で欠場。練習過多による故障ではなかっただけに心配されたが、年末の10マイルロードや、ニューイヤー駅伝で、順調に回復ぶりを見せて安心させてくれた。

一昨年の日本人トップでアジア大会銀メダルの松村康平も復活を狙う。注目はベテランばかりではない。旭化成の「スーパールーキー」村山謙太の初マラソンにも注目だ。本業ではグループ会社の不祥事でイメージダウンが甚だしい旭化成だが、こういう時に踏ん張り、汚名返上するのが企業スポーツの役割の一つ。(かつてのリクルートがそうだった。)ニューイヤー駅伝こそ7位に終わったが、今シーズンは旭化成が好調だ。昨年の福岡では佐々木悟が2時間8分56秒で3位。丸亀ハーフは茂木圭次郎が日本人トップの3位、延岡西日本マラソンは松尾良一、吉村大樹がワンツー・フィニッシュ、今年より福岡国際クロスカントリーがリニューアルされたクロカン日本選手権では市田孝がシニア12kmで優勝、と毎週誰かが表彰台である。

かつてのような、箱根駅伝のスター選手が入部してみたら、同年齢の高卒のランナーの練習での強さに圧倒されてしまう、というのがかつての旭化成だったというが、今は箱根のスター選手が逆に高卒の選手に刺激を与えている。個人的には丸山文裕の復活も嬉しい。

そんな中、村山には初マラソンの日本記録の期待もかかる。

他にも、服部勇馬ら大学生ランナーも多数エントリーしている。4年後の東京五輪をにらんでだろうが、五輪のメダルもいいが、
「WММ(ワールド・マラソン・メジャーズ)のチャンピオンを目指したい。」
と広言する日本人ランナーも台頭してきてほしい。そうなのだ。WММとは、「五輪や世界選手権とは別の、マラソン世界最強決定戦」なのだ。その中に東京が加わっていることは、誇りに思っていいことなのだ。

こう言っては偏見になるが、日本で開催されるスポーツの国際大会、どこまで海外の選手が本気になっているのか?昨年の東京マラソンでは、ロンドン五輪金メダリストのキプロティチが自己ベストを大幅に更新して見せた。金メダリストが100パーセントベストの状態で参戦する大会でもあるのだ。

昨年は、早野レースディレクターが、サイドカーに乗って、ペースメイカーに指示を与えていた。海外マラソンではよく見かけるがこれまでの日本のマラソンでは見られなかった光景だ。ペースメイカーとは、レースディレクターの意思の実践者という、海外都市マラソンの常識が体現されている唯一の国内大会である。「日本人トップ」の争いも熾烈だが、そこだけしか目を向けないのは勿体ない。欧州サッカーやМLBで、日本人選手の出る試合しか見ないようなものだ。

自分が走るわけではないのに、スタートが待ち遠しい。かつては福岡国際マラソンに感じていたのを、今は東京マラソンに感じている。

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