KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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2008ニューイヤー駅伝雑感vol.3

2008年01月30日 | 駅伝時評
元旦恒例とも言えそうな、5区の佐藤の爆走(区間賞は4度目)でコニカミノルタとの差は1分57秒にまで縮まった。しかし、コニカミノルタは6区で入社2年目の池永和樹が区間賞の走りで2位との差を3分に広げ、アンカーはコーチ兼任の磯松大輔。実は当初は松宮祐行がエントリーしていたのが当日、足に痛みが出て、急遽エントリー変更したのだという。当日のエントリー変更は、医師の診断書無しでは認められないのだという。

2区の旭化成、佐藤智之の失速を思い出した。変えようと思えば、当日の変更は出来たのではないか?13日後の朝日駅伝、旭化成はニューイヤーのメンバーとは大幅に入れ替えた布陣で2連勝を果たした。人材は育っている。後は、宗猛監督の采配と決断力だろうと思った。

首位はコニカミノルタが独走。しかし、今年は5区以降、入賞争いにカメラを向けてくれた。特に、四国電力が6区でもなお、入賞圏内にいる!6区の山下真司は、八幡浜高校時代に、ひろしま男子駅伝の1区区間2位という実績がある。愛媛県代表としては最高の成績だ。アンカーの秋山和稔が奮わず、11位になったが、過去最高順位を、エースの大森輝和抜きで得たのが大きい。

アンカーは中電対Hondaの2位争いが見応えあった。中電は五輪と世界選手権3回5位入賞の油谷繁、Hondaは初マラソン日本最高以来故障で低迷していた藤原正和。藤原の猛追で11秒差に迫られながら、油谷が逃げ切った。

コニカミノルタが2年ぶり6度目の優勝。
前にも書いたが、最長区間の2区に外国人を起用できないルールには異議ありだが、もし、2区に外国人起用が解禁されたとしても、このチームは2区に日本人エースを起用するだろう。そう思わせるほど、なんせ、30kmロードで90分を切るランナーが、この種目の世界記録保持者の松宮隆行を含めて4人もいるのだ。

前評判は決して高くなかった安川電機だったが、去年の熊日30km優勝のウイリー・キムタイが3区で区間13位と奮わなかったのを、4区以降の日本人ランナーが全て区間5位以内の走りで順位を4位まで押し上げた。去年、監督が山頭直樹に代わったばかりでの躍進である。

5位はトヨタ自動車九州。こちらは今井以降のランナーが奮わなかった。6位の日清食品も、5区以降のランナーがふんばった。アンカーは去年の世界選手権7位の諏訪利成。思えば、マラソンで五輪と世界選手権、両方で8位以内に入賞したランナーというのは、男子では諏訪と油谷と、谷口浩美さんしかいない。7位はトヨタ紡織。1区でのルーキー鷲見知彦の出遅れが惜しまれる。8位は富士通。アンカー帯刀秀幸の元気そうな姿を久しぶりに見た。

こうして見ると、昨夏の世界選手権代表ランナーが好走したチームが上位に入賞している。
前田和浩が2区で区間23位の九電工は14位。4区の小林史和が区間33位のNTNは21位。3区で岩水嘉孝が区間26位のトヨタ自動車は24位。そして、佐藤智之、久保田満とマラソン代表2人のいる旭化成は27位。
昨年、マラソンとニューイヤー駅伝との両立が難しくなってきていると感じたが、トラックと駅伝との両立も難しくなっていると思った。本来のトラックシーズンである春から日本選手権の行なわれる6月よりも、11月以降の記録会の方が好記録が連発する傾向が続いている。

今年のニューイヤー駅伝を見て感じたのは、長距離ランナーには「駅伝に強いランナー」と「駅伝も強いランナー」と、2通りあるなという事だった。

ニューイヤー駅伝で好成績を挙げるには、即戦力となる外国人ランナーと、箱根駅伝経験のある大学卒ランナーが欠かせなくなっている。旭化成やカネボウのような高卒主体の古豪がなかなか勝てなくなったし、全員高卒の三菱重工長崎は、今回の出場権を逃してしまった。「駅伝王国」九州においても、本社が福岡の九電工や安川電機は大卒ランナーの採用が容易なのだろう。
外国人ランナーを加入させないことをポリシーとしているチームで最高の順位は2位の中国電力だが、他のチームの順位を見ると、

10位 大塚製薬
11位 四国電力
15位 JR東日本
22位 自衛隊体育学校
25位 佐川急便
26位 山陽特殊製鋼
27位 旭化成
28位 SUMCO TECHXIV
29位 YKK
31位 中電工
33位 カネボウ
34位 トーエネック
35位 西鉄
36位 黒崎播磨
37位 自衛隊山口

いつのまにか、37チーム中、オール日本人のチームは16チームだけになっていた。22位のチームと37位のチームは、今後も外国人が加入する可能性はゼロだ(笑)が、
「日本代表ランナーの育成が主目的なので、駅伝での勝利が目的で外国人を加入させない。」
としているカネボウ、旭化成、大塚製薬以外のチームは今後どうするだろう。こうして見ると、
「四国出身者以外は採用しない。」
という方針の四国電力の11位、というのは驚異的に思える。四国の高校は決して、都大路で上位に入っているわけではない。かえってそれがいいのかもしれない。

いずれにしても、本命のチームが前評判通りの強さで圧勝という結果の割には、見どころが多かったと思う。

(了)


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