鶴亀万年

元素周期研究会総帥の亀けんじがおおくりする、あまり役に立たないお知らせや気まぐれな情報が連日満載!

燐寸主義:日の丸桜印

2012-01-31 23:53:13 | Weblog

 さて、本日の燐寸は日の丸桜印。デザイン的にはあんまり大したことないんですが、買った日のことをよく覚えています。たいした思い出ではないのですがね。やっぱり1970年代の中ごろで、予備校へ通っていた頃。ある雨の日になんとなく予備校へ行く気がしなくて、そのまま電車に乗って終点の町まで行ったときに買ったという、まあそんな昔話です。

元素周期『マンガで覚える元素周期』リン

2012-01-30 09:11:43 | Weblog

 人間の生命活動にとって重要なアデノシン三リン酸とかに含まれるリンが本日の元素。しかしこの「アデノシン三リン酸」は別名ATPなんぞともいわれますが。なんかへんな名前ですね。アデノでシンさんとリンさんがどうしたって? というような感じすら受けます。とりあえず重要な物質らしいと。詳しくみてみますとこれはアデノシンという物質と、リンと酸素がくっついたリン酸というやつ3組が合わさったものということになりますね。それでアデノシン三リン酸。
 リンは数ある元素の中で最初に認定されたものといわれております。つまり、金銀銅やイオウなんかは有史以前から利用されてはいたわけですが「元素」として認知されていたわけではないということです。そういった意味で最初に「発見」された元素。1669年にドイツのブラントという科学者が見つけました。ガリレオより後でニュートンがいたころの話ですから、そんなにとてつもなく古いというわけではありません。日本でいうと江戸時代の初期。このブラントは科学者というよりは正確にいうと錬金術師だったんですね。ニュートンもだそうですが、石や鉄から金を作り出そうとしてあれこれ研究していた人たちの一人です。この人がファンタジーでおなじみの「賢者の石」として発見したのがリンでした。
 身近なところでリンといいますと燐寸です。燐寸は19世紀の中ごろに発明されたそうですが、そのころのは黄リン燐寸といってとても毒性が強く、工場ではたくさんの中毒患者などが出て社会問題になったそうです。で、黄リンは使用禁止となり現在使われているのは赤リンですが、リンが含まれているのは燐寸の軸についている頭薬ではなく、箱の側面に塗ってある側薬の方。燐寸をすると最初に側薬の方で発火して、それが頭薬に燃え移るという仕組み。
 マンガのネタは燐寸>火遊び>喫煙>不良という流れで、悪い先輩が不良予備軍の後輩たちに火遊びを教えるという内容になっております。学ランを着た不良の先輩が小学校の授業中の教室にやってくるという強引な展開ですが、まあマンガですから。

燐寸主義:ツバメ印

2012-01-29 16:46:13 | Weblog

 本日の燐寸はおなじみのツバメ印。昔ながらの代表的なデザインで印刷もきっちりしているし図柄的な完成度も高いですね。ワシ印と同じ色づかいなのですがこっちの方がインクがしっかり乗っている感じで、とくにスミベタの黒がよくしまっています。インクののりがいいとか悪いとか、こういうなにげないところに会社の勢いみたいのがあらわれてしまいますね。ツバメ印はこの絵柄で横幅が1mくらいある大きな木製の看板も存在し、この商品に対するメーカーの自信のほどがうかがえます。これはごく最近のものなので社名が日産農林から兼松日産農林に変わっております。そのせいで文字数が多くなった分1文字が小さくなっていてちょっとバランスが崩れておりますね。残念。
 インクののりがよいというのが基本ですが、デザインのすぐれたところはスミベタ部分のメリハリと各色の面積比でしょう。版画風に黒で描いてあるツバメの線の数や太さ、エッジの丸みなどが、地色の黄色との気持ちのよいコントラストを生み出しています。とくに注目すべきは四隅のかざり。意匠自体はよくあるものですが線の太さを使い分けて立体感を出しているんですね。長辺方向と短辺方向が非対称に微妙にゆがんだところもグッド。世界的にみてもレベルの高いものだと勝手に評価させていただきます。

120128元素周期『マンガで覚える元素周期』フッ素

2012-01-28 12:49:05 | Weblog

 本日の元素はフッ素。フッ素っていうとなんか虫歯予防のお役立ち元素のような気がしますがじつはそうでもなくて、とくにフッ素そのものはものすごく危険な毒物なんですね。発見して取り出されるまでの間に何人もの科学者が命を落としたり障害をこうむったりしたそうです。フッ素の「フ」の字はこれを取り出すフローライトという鉱物からとったものでこれを日本語では蛍石と申します。蛍石はフッ素とカルシウムの化合物ですが、これでレンズを作ると普通のガラスよりも実物により近い色が出せるので、高級カメラや顕微鏡なんかに使われております。
 歯磨きに入っているのはフッ化ナトリウムなどの化合物なのでもちろん毒はありません。歯にいいというので歯磨きに混ぜたり歯医者さんで液体を塗ったりするというのが日常的に行われており、国によってはわざわざ水道水に混ぜたりしているところもあるそうです。余計なお世話という気もしますが、過剰摂取すると歯にまだら模様のシミができてしまうこともあり、中国やインドには井戸水にたくさん含まれている地域があって問題化するというケースも。先進国では歯のためにといってもあまり頼りすぎないようにというのが方向性のようです。
 マンガはわれながらベタな内容ですがオチが気に入っております。フッ素キャラは歯でいーよ、というのだけはかなり最初から決めていて、マンガだし突然武士が出てきても全然OKといたしました。なにしろ一人で考えるんで反対する人もいませんから。武士のイメージはやっぱりほりのぶゆき先生のキャラだったのですが、ほのぼの系でせいいっぱいがんばっていただきました。「ふうむ、刃にいいのか…。」のところがこってり系マックスです。ラフの段階ではもっとヒキだったのですが、できるだけ顔アップにしてねとお願いしてこんな感じになりました。
 混じりっけのないフッ素は気体なんですけども猛毒なだけじゃなくてもうひとつ厄介な点がある。それは何かというと入れておく容器がないんですね。つまり、やたらに反応しやすいので入れ物が溶けてしまうわけです。今は冷やしたり圧力をかけたりして保管するようですが、取り出しに成功した当初は蛍石で作ったびんに入れました。そんなですから17世紀頃には見つかっていたのに、取り出すことができたのは19世紀の半ばすぎ。イギリスの米村伝次郎といわれるデービー卿(この人は学歴もない貧乏人の小せがれだったファラデーをやたらに敷居の高い王立協会に取り立てた人としても有名。その恩からファラデーは『ろうそくの科学』で有名な子ども向けのクリスマス講話会を始めたんですね)でさえも果たせず、取り出しに成功したモアッサンもそのためにノーベル賞を受賞(1906年)しましたが、その代償として片目の視力を失ってしまったというくらいです。
 どれくらいいろんなものと反応するかというと、不活性を看板にしているクリプトンやキセノンとも化合してしまう。というくらいすごいんです。クリプトンやキセノンといえば、反応性が低いことをかわれて電球の封入ガスにされているくらいですからね。アメリカの大手化学会社デュポンがフッ素で作った有名な化合物として、フライパンのコーティングでおなじみのテフロンがあります。でももう一品、クロロフルオロカーボンというのもあるんですね。性質は非常に優れているんですがとても厄介な点もある。こいつの日本での別名がフロンです。

燐寸主義:馬首印

2012-01-27 07:55:54 | Weblog

 本日は意匠としては珍しい縦型の馬首印。馬をモチーフにした燐寸というのはけっこうたくさんありますが、顔のアップというのはまずありません。しかも、顔の長いのに合わせたのか箱のデザインを縦型というのもかなりレア。発売元は先日の象頭印と同じくツバメ印の日産農林工業でありまして、燐寸としてはそれほどレアではありません。箱の文字も古い書体ですがそれほど古いわけでもなく、デザイン自体は明治時代のものを使っていますが現在も入手可能だと思われます。
 馬蹄のアーチから馬が顔を出しておりまして鼻づらが英語の「B」の文字を一部隠しておりますが、もしかすると「R」かもしれず、そうすると休憩安全燐寸ということになってしまいます。売れてる雑誌、とくにマンガ雑誌なんかだとこういう表現はよくあります。表紙のキャラクターがわざとタイトルに重なっているっていうの。キャラを強調するためにタイトルロゴの前にもってきてしまったりするんですね。
 燐寸にはレトロ西洋風なデザインが多く、この馬首印も影の付け方など外国の銅版画みたいな感じです。四隅の飾りもそれっぽいですが、やはりJISマークが全体の調和を壊しておりますね。というわけで、赤い馬は三国志とは関係なさそうです。上目遣いな表情がなんか神秘的ですね。