今回のテーマは桃仁(とうにん)です。
桃は中国原産で日本には弥生時代以前に伝わってきたようです。日本でもポピュラーな果物ですね。
桃太郎も有名ですし。
私の住む長崎では中国との関係が深いため桃饅頭(寿桃)や西洋のカステラと合体した桃カステラ
などお菓子の世界でも桃は大人気ですね。
前に台湾の結婚式に出席したときウェディングケーキの代わりに大きな桃饅頭に入刀しましたが、見て
ビックリでした。中華系の人には日本人以上に桃への思い入れが大きいのでしょう。
長崎では春節(中国正月)を盛大に行いますが中華街では桃符が張り巡らされます。春節に併せて長崎
ではランタンフェスティバルが開催されます。2010年は2/14~2/28の予定です。
個人的にはパイナップルやマンゴーなど南洋系の果物が好きな私ですが・・・。
話が脱線しそうなのでマンゴー他の件は別の機会として
それでは
第10回:桃仁(とうにん)
桃は中国伝説の女王・西王母の愛好する果実として知られています。西王母の
桃の園、つまり蟠桃園の桃を食べて長寿になることから、「仙桃寿桃」といいます。
桃の花や果実が明るく華麗で、見るからに吉祥の植物と考えられ、実の形が
邪気を除きますので、中国の旧正月(春節)によく「桃符」(赤い紙にめでたい対句
を書いたもの)を使います。中国では誕生日に送られる最もポピュラーなプレゼント
は寿桃(桃の形をしたお菓子)です。日本でも花は観賞用として、また桃の節句とも
いうように、『ひな祭り』に欠かせず、実は果物として親しまれています。
桃仁(とうにん)は実を食べた後に残る、固い殻の中にあるタネです。女性の美し
い顔やお肌によい生薬(しょうやく)です。シミ、目の下のクマは女性の大敵です。こ
れは女性ホルモンの乱れが原因で、中医学から見れば、「血」の滞(とどこお)りと
関係が深いのです。桃仁(とうにん)は「血」の巡りをよくし、シミやクマやさめ肌を
徐々に改善します。
ニキビは若さの、シンボルといわれますが実際は若い女性にとっては深刻な悩み
の一つです。ニキビは特に生理前、生理中によく現れ、しかも生理痛もひどく、大便
もすっきりしないものです。言葉を変えれば、月経困難、便秘を持つ方はニキビが出
やすいのです。
桃仁(とうにん)は名前の通り桃のタネですから、油脂分を豊富に含み、大腸の
すべりをよくさせ、便秘も改善します。新陳代謝を活発化し、血液をサラサラにし、
老廃物をからだの外に出し、ニキビも自然になくなってくるのです。
女性は中年になると、下腹部に「オ血(おけつ)」という血の塊、例えば子宮筋腫、
卵巣ノウ腫(のうしゅ)が出やすくなります。桃仁(とうにん)は「オ血(おけつ)」を取り
除き、血の塊をなくします。中国の習慣では産後にはよく桃仁(とうにん)を使って
子宮をきれいにします。盲腸炎などにも、桃仁(とうにん)がよく使われます。
参考:
卵巣ノウ腫のノウ
オ血(おけつ)のオ
・桃符:
桃符は元来その字の如く「桃の木でつくった魔よけのふだ」 だったのですが段々簡略化され
赤い紙に書かれていることが多くなりましたが、現在でも中国では木に書いていることが多い
ように思われます。
桃の木でつくった魔よけのふだ。家の門につけ、新年にとりかえた。「老去怕看新暦日、退帰
擬学旧桃符=老イ去リテハ新シキ暦日ヲ看ルヲ怕レ、退キテ帰レバ旧キ桃符ヲ学バント擬ス」
〔→蘇軾〕
ー漢字源よりー
長崎でも春節にはいっぱい貼られますが、伊勢志摩地方でも桃符の習慣が
あります。
*<松下社の注連縄と桃符について>
伊勢志摩地方には「蘇民将来子孫家門」と書いた木札(桃符)を門ぐさへ注連縄とともに懸ける
風習があります。これは「蘇民将来」の言い伝えから、素盞鳴尊の教えにしたがい、蘇民将来の
子孫の家であることを示すことによって禍がもたらされないという意味が込められています。
毎年十二月十六日に松下社にて頒布始祭が行われ、悪疫退散、厄除開運、家内安全の守護札
とし、また縁起物として家門にかかげて、一年を通じ祭り飾られる様になったのです。
近年では、簡略化され「笑門」と書かれる木札が伊勢市内でも多く見られる様になりましたが、
これも”笑う門に福来たる”が始まりとか。
<松下社>
江戸時代に発刊の「伊勢参宮名所図会」には蘇民将来社として載っておりました。また古くから
このお社の森を「清明森」とも「蘇民森」とも称してきました。明治三年から現在の「松下社」という
呼び方になりました。
-松下社の栞より引用-
・桃カステラ:
・モモ:
モモ(桃、学名 Amygdalus persica)はバラ科モモ属の落葉小高木。春には五弁または多重弁の
花を咲かせ、夏には水分が多く甘い球形の果実を実らせる。中国原産。食用・観賞用として世界
各地で栽培されている。
Wikipediaより引用: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%83%E4%BB%81
・西王母:
西王母とは、西方に住する女性の尊称である。すべての女仙たちを統率する。東王父に対応する。
周の穆王が西に巡符して崑崙に遊び、彼女に会い、帰るのを忘れたという。また前漢の武帝が
長生を願っていた際、西王母は天上から降り、仙桃七顆を与えたという。
西王母像(漢代の素焼き像)
Wikipediaより引用: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E7%8E%8B%E6%AF%8D
・ランタンフェスティバルの写真:’08年撮影
<次回以降予定>
第11回:紅花(こうか)
第12回:紫河車(しかしゃ)
第13回:丹参(たんじん)
順次更新していきます。
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