

父親はこの男性なのかという不可解な事件が表面化した。タイでは波紋が拡がっている。
この男性がIT系の光通信の創業者の息子で、100億円超の資産を持つ重田光時との説も浮上。タイ警察は人身売買など犯罪の可能性が高いとして捜査しているが、一方で、相続・贈与税対策としての可能性もあるかもしれないと話している。男性は、7日未明、タイを出国しプライベートジェットでマカオに向かったが、消息不明で謎が深まる。
警察がマンションを捜索した時には、9人の乳幼児と、日本人女性(27歳)1人を含む10人の女性がいた。タイ人女性の1人は、この男性の子供を妊娠中だった。
マンション捜索時に現場にいたタイ人女性が、「日本人女性が11ヶ月の乳児を国外に連れ出す計画があった」と証言したことから、警察はこの日本人女性(27歳)から事情を聞こうと探したところ、すでに女性は、6日にタイを出国して、カンボジアに入国していたことが分かった。
警察が新たにバンコク市内の病院から、この男性が父親になっている乳幼児2人を保護した。警察は、マンションから保護した乳幼児9人が生まれたクリニック(無資格診療)から、13人の子供の医療記録を押収。この記録が正しいとすると、この男性の子供は15人になる。
うち11人は保護されており、残る4人の乳幼児(3人は、タイのパスポート。1人は日本のパスポート)は、この男性が、タイからカンボジアに連れて行った。プノンペンでは、乳幼児は特定できないが、飲食店などで子供を連れた、この男性を見かけたとの情報もある。
男性は日本とカンボジアの2つのパスポートを持っており、2年間で66回タイに入国していた。(日本のパスポートで52回、カンボジアのパスポートで14回)。
7月6日に10カ月の女児を連れてタイを出国し、カンボジアに入国したが、7月26日にタイに入国した時には、女児を連れていなかった。
7月6日にカンボジアに入国してから、7月26日にタイに入国するまで他の国に行っていたかどうかは、今のところ分かっていない。タイの出国の記録から、7月6日にタイを出国した乳幼児は、日本のパスポートを所持しており、苗字はこの男性と同じだった。
3月にも同様に、9カ月の男児を連れてカンボジアへ。2013年5月には、別の男児をカンボジアに連れて行った。4人の内1人のタイ出国時期については未だ分かっていない。
20日、タイメディアによると、24歳の男性が多くの子供を代理母に出産させていた問題で、タイからカンボジアに連れて行った4人の子供の内、2人の住居が分かった。
プノンペンから45キロ南の農村地帯。カンボジアは舗装されていない道路が多いため、車で約2時間弱かかる。14ヘクタールの広大な敷地の中に新築の一軒家があり、そこで3歳と1歳の男児が約1年間育てられていた。警備のため家の周りは鉄条網で囲んでいる。この土地の以前の所有者は、フンセン首相の三男で、男性がこの広大な土地を購入していた。ただ、この地域は、自然環境に恵まれているが、近くに設備の整ったクリニックは無く、小さな子供を育てるには不安がある。男性は、毎月1回程度、子供に会いに来ていた。8月5日の問題が発覚して以降は、別の場所に男児は、移動したとみられる。
また、9人の乳幼児を保護した同じマンションのタイ人男性が所有する部屋に代理出産で生まれた別の21人の子どもが住民登録されていることがわかった。登録されているだけで、実際にその子供はいない。21人の子どもの父親の国籍は、アジア、南米、ヨーロッパ。警察は、問題の男性に代理出産を斡旋した可能性が高いと見てこのタイ人男性を捜している。
タイでは、代理母が報酬を受け取る商業代理出産は表向きは禁止されているが、日本からも年間100人以上の夫婦が代理出産でタイを訪れていると言われており、また、中国からは、代理出産を目的としたツアーも主催されている。100万円前後の報酬で代理母になる20歳前後の若い女性もいて、グレーゾーンでの代理出産ビジネスが盛んだ。インドでは公に認められているが、タイの方が人気が高い。今回の一連の騒動でタイ軍政当局は、商業代理出産を制限する方向で法制化を急いでいる。
また、24歳の男性に代理母2名を紹介したニューライフ・タイランドの事務所には、閉鎖命令が下された。
8月19日、警察は、1000人の子どもを希望したという男性の要望に代理母への施術をしたクリニックに対して立ち入り捜査した。クリニックは今後60日間の業務停止命令が下された。
このクリニックでは過去4年間にタイ人や外国人に対して1000件以上の施術を行なってきたことが明らかになった。
