英語と書評 de 海馬之玄関

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錯覚よくない、よく見るよろし

2005年11月11日 14時13分10秒 | 街は英語教育の素材の宝庫

先日、通勤電車の中で「これはどうなっているんだ」「なんて英語らしい英語じゃないか」という英語表現を見かけました。しかも、短い。Thank you, Odakyu! ブログのネタいただき! そう思いさっそくメモして、得した気分でオフィスに到着。これがその英文です。

In an emergency, to open the door, pull the lever.


これのどこが面白いかですって? 実は何も面白くなかったのです。なんのこっちゃねん? 私はこの英文を見たとき、英字新聞のリードを読んでいた残像が前頭葉に残っていたのか、主語の「you」と「be動詞」、そして接続詞が省略されていると錯覚してしまったのです。つまり、

In an emergency, (you are)to open the door, (and then you are to)pull the lever.


うん、うん。たった10語の中になんと英語らしい表現が豊かに盛り込まれていることよ。要を得て簡潔。見事だ。と独り悦にいりオフィスに到着。さっそく職場のアメリカ人の同僚に確認しました。

I have one question. Could you tell me?
How do you make this four-word phrase(”to open the door”)into a full sentence?
?????

If you write a grammatically correct sentence, how do you do with ”to open the door”?
????? In order to open the door・・・, or・・・・?????

You’ve got to be kidding! “In order to open the door” is little more than a phrase or a fragment・・・

流石の私もここで気づきました。おいおい自称英語教育屋のKABUさん、あんた「~するために」や「~するとその結果・・・になる」の不定詞の副詞的用法も忘れたのかい! あー恥ずかしい。そうなんです。この小田急の車輌の中の掲示は単に「非常の際にはこのレバーを引くと扉が開きます」と言っただけの単純なセンテンスだったのです(帰りに確認したら日本語はそうなっていました)つまり、

In an emergency,(please)pull the lever(in order)to open the door.



それなのに、私は「命令文だから主語が省略されるのはあたり前」だし、「英字新聞のリードでは、be動詞や冠詞や接続詞はむしろ省略されるのが普通だから」と、勝手に「わずか10語の中に英語らしい表現が豊かに盛り込まれていることよ」と感心してしまったのでした。そして、感心のあまりすぐ上の日本語も見なかったのです。私は「上人」ほど偉くはないですけれど、この時、吉田兼好『徒然草』の第236段の話が浮かんできました。そう、KABU先生の「感涙いたづらになりにけり」でした。


丹波に出雲と云ふ所あり。大社をうつして、めでたくつくれり。志田のなにがしとかやしる所なれば、秋の頃、聖海上人その外も、人あまた誘ひて、「いざ給へ、出雲をがみに。掻餅めさせん」とて、具しもていきたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。御前なる獅子・狛犬、背きて、後さまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子のたちやう、いとめづらし。ふかき故あらん」と涙ぐみて、「いかに殿原、殊勝の事は御覧じとがめずや。無下なり」といへば、おのおのあやしみて、「誠に他にことなりけり。都のつとにかたらん」などいふに、上人なほゆかしがりて、おとなしく物しりぬべき顔したる神官を呼びて、「この御社の獅子の立てられやう、定めて習ひあることに侍らん。ちと承らばや」といはれければ、「その事に候ふ。さがなきわらはべどもの仕りける奇怪に候ふことなり」とて、さしよりて、据ゑなほして往にければ、上人の感涙いたづらになりにけり。




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