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オリンピックあれこれ(51)

◎豪華な選手団
 卓球の雑誌で見たのですが、さきごろ終わった世界卓球団体選手権(クアラルンプール)の日本選手団の豪勢さに驚きました。男女選手各5人に対し、何と28人もの役員というかサポート隊が同行していたというのです。
 総監督、男女監督、総務、協会役員、医師、栄養士、マッサー、スパーリング・パートナー、情報戦略スタッフなどなど。
 先のサッカーの五輪予選(カタール)あたり、何人のサポート隊が同行したのか分かりませんが、料理人や旅行日程をアレンジするような人を含めるとおそらく50人近い人が世話係として選手団に加わったのではないでしょうか。
 1960年にサッカーの日本代表が欧州遠征をしたとき、私はマネジャーとして同行しましたが、役員は団長と監督と私のたった3人でした。飛行機の手配や、選手が怪我をしたとき薬箱を抱えて走ったのを、なつかしく思い出します。

◎罪作りなオリンピック
 いまや選手は一人で強くなる時代は過ぎ去りました。周りに多くの協力者(両親を含めて)がいて、手とり足取りの様相です。
 昔の選手は、楽しいとか好きだからとかでコツコツと孤独に耐えて練習し、オリンピックに参加しました。勝つことは主として個人の喜びでした。
 しかし、いまはそんな悠長なことはやっておれません。たいていの国が、科学者や医師、心理学者を動員し、プロジェクトチームを編成し、科学的な処方を用いて、選手を管理して「勝つ肉体」を作り上げる「作業」をしています。
 スポーツ強国といわれる国々では、有望選手は少年、少女の時代から、コーチ陣がつくる流れ作業に近い工程に組み込まれて、コンピューターで監視され、食べるものや趣味や娯楽までもコントロールされています。当然、栄養剤やビタミン、そしてクスリも投与されることもあります。
 日本ではまだそこまでは行っていないと思います。だが、少年、少女が親元を離れて強化に励むエリートアガデミーの現状などを見るとき、私個人は「ちょっと行き過ぎではないか」という思いを捨て去ることができません。
 オリンピックは罪作りなことです。プロ化したときからカネまみれになったオリンピックのたどる道は、一本道でした。豪勢な選手団も時代の流れでしょう。

◎エプリルフールをひとつ
 テニスのマリア・シャラポワがドーピングで引っ掛かりました。今年1月に禁止薬物に指定されたばかりのクスリだったそうで気の毒な感じもします。結局は、これもカネまみれの現在のスポーツ界の犠牲者でしょう。
 ドーピングをもみ消すために金が流れたり、強力ライバルを蹴落とす手段に使われたり、ドーピングの世界は奇々怪々です。
 そこで早々とエプリルフールをひとつ。
 「リオ五輪女子サッカーのアジア予選で代表になった豪州と中国にドーピング発覚、3位で敗れた日本が代表に復活」
 というのはいかがでしょう。
(以下次号)

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