60年目を迎えた元朝日新聞運動部記者・中条一雄のコラム。
中条一雄の炉辺閑話~いろりばたのひまつぶし~
サッカーあれこれ(56)
◎Jリーグの衰退
Jリーグは1993年に発足して数年間、ブームといえるほど隆盛状態でした。いずれプロ野球人気をを追い抜くのでは、と早トチリする評論家がいたほどでした。ところが、ここ数年のJリーグ人気はどうしたのでしょう。ガタ落ちです。
テレビをつけると夜のスポーツニュースで、各局とも連日プロ野球を克明に報じています。だが、Jリーグは土曜日に集中しているせいでスコアを報じるのが精一杯。腹が立ちますね。
佳境に入った欧州チャンピオンリーグ(CL)の得点シーンの方が大々的にテレビで派手に報じられています。まったくJリーグはどこに行ってしまったの。
新聞の方も欧州CLは夕刊でトップを飾るほどなのに、Jリーグの方は日曜朝だけ、各紙ともほぼ1ページを使っていますが、窮屈で10行あまりで片付けられている試合もあります、とても全貌を知ることができません。
私の持論ですが、Jリーグは金、土、日に3試合づつ分散してやるべきでしょう。
4月25日、Jリーグ8試合の入場者平均は約15、700人。これに対しプロ野球セ・パ6試合の平均は約28、400人。サッカーは地方型でスタジアムの収容人員が少ないにしても、この差は決定的です。しかもサッカーは週1試合なのに、野球は週に5、6試合もやっている。日本人はやはり野球なんですな。
さらに酷いのはアジア・チャンピオンリーグです。先日の好調柏の観客数は7、424人。浦和は13、924人でした。観客の平均年齢が40歳を越え、完全にマニアのものだけになってしまった感じです。このままではジリ貧?
◎マンネリ化した内容
なぜ観客数が増えないのか。それはサッカーが面白くなくなってマンネリ化しているせいでしょう。
私は思うんですが、中盤でパスを貰ったらすぐにバックパスするような習慣はいつごろ始まったのでしょうか。私はJコムで時たま放映されるJリーグを見るだけですが、最近の試合はとにかくモタモタしています。「なぜ攻めないんだ」としょっちゅうつぶやいています。
個人技が上がったせいもあるのでしょうが、正確かもしれないが、無駄な横パス回しが多いように感じます。パスが来たら止めて、またパスをして、相手が迫ってくるとバックパス。臆病過ぎます。ボールの保持率が高いのは自慢になりません。
ベテランは、まるで「ことし一年ケガなく勤めたらオンの字」という感じでサラリーマン化し、新人はただ無意味に走り回ってつっかかるだけ。どの試合も、同じ映画を見ているようです。
ハリルホジッチ監督が「日本選手はスピードはあるが、スピーディでない」と、訳のわからぬことを言ったそうですが、まったくそんな感じ。
◎攻撃サッカー時代
Jリーグとは比較にもなりませんが、欧州CLを見る限り、世界の潮流は、質の高い選手たちが見せるたくましい、スペタクルな攻撃の時代に移ったと考えられます。胸がスーッとするような手に汗を握る多彩な攻撃を見るためだけに観客は集まってきます。
スペインの目まぐるしパスの交換と抜け目のない得点感覚。ドイツの素早い縦攻撃と早い寄せ。むかし堅守を誇ったイタリアも最終ラインから直線的に攻める、イングランドは相変わらず強引なパス(攻め)をやっているなどなど。まるで獲物を狙うような強く激しい攻撃陣の変貌ぶりは目を見張るばかりです。
一方で、Jリーグは人気面だけでなく、実力や体力面でも硬直化して袋小路に入ったみたい。うかうかすると世界の潮流からも取り残されてしまうのではないか、そんな錯覚を覚えます。前、後期に分けたくらいではクスリにもなりません。
(以下次号)
Jリーグは1993年に発足して数年間、ブームといえるほど隆盛状態でした。いずれプロ野球人気をを追い抜くのでは、と早トチリする評論家がいたほどでした。ところが、ここ数年のJリーグ人気はどうしたのでしょう。ガタ落ちです。
テレビをつけると夜のスポーツニュースで、各局とも連日プロ野球を克明に報じています。だが、Jリーグは土曜日に集中しているせいでスコアを報じるのが精一杯。腹が立ちますね。
佳境に入った欧州チャンピオンリーグ(CL)の得点シーンの方が大々的にテレビで派手に報じられています。まったくJリーグはどこに行ってしまったの。
新聞の方も欧州CLは夕刊でトップを飾るほどなのに、Jリーグの方は日曜朝だけ、各紙ともほぼ1ページを使っていますが、窮屈で10行あまりで片付けられている試合もあります、とても全貌を知ることができません。
私の持論ですが、Jリーグは金、土、日に3試合づつ分散してやるべきでしょう。
4月25日、Jリーグ8試合の入場者平均は約15、700人。これに対しプロ野球セ・パ6試合の平均は約28、400人。サッカーは地方型でスタジアムの収容人員が少ないにしても、この差は決定的です。しかもサッカーは週1試合なのに、野球は週に5、6試合もやっている。日本人はやはり野球なんですな。
さらに酷いのはアジア・チャンピオンリーグです。先日の好調柏の観客数は7、424人。浦和は13、924人でした。観客の平均年齢が40歳を越え、完全にマニアのものだけになってしまった感じです。このままではジリ貧?
◎マンネリ化した内容
なぜ観客数が増えないのか。それはサッカーが面白くなくなってマンネリ化しているせいでしょう。
私は思うんですが、中盤でパスを貰ったらすぐにバックパスするような習慣はいつごろ始まったのでしょうか。私はJコムで時たま放映されるJリーグを見るだけですが、最近の試合はとにかくモタモタしています。「なぜ攻めないんだ」としょっちゅうつぶやいています。
個人技が上がったせいもあるのでしょうが、正確かもしれないが、無駄な横パス回しが多いように感じます。パスが来たら止めて、またパスをして、相手が迫ってくるとバックパス。臆病過ぎます。ボールの保持率が高いのは自慢になりません。
ベテランは、まるで「ことし一年ケガなく勤めたらオンの字」という感じでサラリーマン化し、新人はただ無意味に走り回ってつっかかるだけ。どの試合も、同じ映画を見ているようです。
ハリルホジッチ監督が「日本選手はスピードはあるが、スピーディでない」と、訳のわからぬことを言ったそうですが、まったくそんな感じ。
◎攻撃サッカー時代
Jリーグとは比較にもなりませんが、欧州CLを見る限り、世界の潮流は、質の高い選手たちが見せるたくましい、スペタクルな攻撃の時代に移ったと考えられます。胸がスーッとするような手に汗を握る多彩な攻撃を見るためだけに観客は集まってきます。
スペインの目まぐるしパスの交換と抜け目のない得点感覚。ドイツの素早い縦攻撃と早い寄せ。むかし堅守を誇ったイタリアも最終ラインから直線的に攻める、イングランドは相変わらず強引なパス(攻め)をやっているなどなど。まるで獲物を狙うような強く激しい攻撃陣の変貌ぶりは目を見張るばかりです。
一方で、Jリーグは人気面だけでなく、実力や体力面でも硬直化して袋小路に入ったみたい。うかうかすると世界の潮流からも取り残されてしまうのではないか、そんな錯覚を覚えます。前、後期に分けたくらいではクスリにもなりません。
(以下次号)
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