記念すべき1回目は、大好きな歴史小説を紹介!
それは、司馬遼太郎さんの短編「馬上少年過ぐ」です。
遅れてきた戦国武将・伊達政宗の生涯を描いた短編で、タイトルは政宗の有名な漢詩から取ったもの。
司馬さんはとても大好きな作家で、政宗は子供のころからのファン。まさに、自分にとって最高のコラボで、愛読書のひとつ。数ある政宗本の中でも、この作品が一番すばらしいと思います。
<内容>
政宗が梵天丸と呼ばれた卑屈な幼少時代から、独眼竜と呼ばれた青年期、「馬上少年過ぐ」と歌った晩年までを駆け足ながら、鋭い人物眼で、政宗の人となりを分析しています。
<満足度>☆☆☆☆☆
もう何回読んだかな…。大学1年で出会って、40回ぐらいは読んでいるかも。毎年、かならず1回以上は読んでいます。
<感想>
政宗という人間は表面上はかっこいいんだけど、実は片目でコンプレックスの塊だったのは有名な話。そして、めちゃくちゃ母に嫌われていた寂しがり屋でもある。少年時代はとても暗く、自分を唯一守ってくれていた父を殺さなければならなかった過酷な運命…。そんな男がいつしか英雄となり、天下統一を目指そうとする。しかし、すでに天下は秀吉のものになっていた…。
遅れてきた英雄の悲しさというのでしょうか。もし早く生まれていたら、秀吉や家康に負けなかったのではないかと思わせる男です。
でも、早く生まれていたら、父の輝宗が用意した優秀な教師たちの教育を受けられずに平凡な人間に終わった可能性も…。そうなれば、東北の名もなき武将として生涯を終えたかもしれせんね。
<ツッコミ!?>
司馬さんは「馬上少年過ぐ」のあとがきで「今度ゆっくり政宗について考えたい」とおしゃっていました。これは、いつか政宗の長編を書くもんだと自分は解釈して楽しみにしていました。しかし…そんなこともなく、お亡くなりになりました。残念です。
<馬上少年過ぐ>
馬上少年過ぐ
世平らかにして白髪多し
残躯天の赦すところ
楽しまざるをこれ如何せん
四十年前少壮の時
功名いささかまた自らをひそかに期す
老来しらず干戈の事
只とる春風桃李のさかずき
漢詩が分からない自分にも良いものだと思える作品です。
今のように政宗がメジャーな存在じゃない、自分が小学生か中学生の時に、何かの歴史書に載っていたのを暗記しました。
だから、本作のタイトルを見て、すぐに政宗の話だと分かりました。
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